前回は右脇腹の痛みについての記事を書きましたが、今回は左の脇腹に痛みについての記事を書いています。
左右で原因が異なる場合があるので、どういった病気や原因が挙げられるのかを知っておきましょう。病気によっては、早期に治療を受けないと取り返しのつかないことになる場合もあるので注意してください。
この記事の目次
筋肉や皮膚が痛む場合
痛みが筋肉や皮膚に現れている場合は以下の可能性が考えられます。正しい原因を知って適切に治療を行いましょう。また、そうなったときの生活の状況なども症状の改善には役に立ちます。幾つかの可能性から症状を探っていきましょう。
筋肉痛が原因
左脇腹付近が筋肉痛になっていることが原因で痛みが発生していることがあります。
右脇腹の時も同じ原因で痛みが発生することがあります。脇腹付近の筋肉は日常的にに使用することが少なく鍛えられていない部位なので、あまり大きい負担じゃなくても筋肉痛になることがあります。
改善方法
筋肉に負担がかかる動きをしたことで筋肉痛になっている場合は、安静にしておけば症状は改善されます。しかし、仕事などで無理な姿勢を継続していることが原因で筋肉に負担がかかっている場合は、根本である原因を解消しないと筋肉痛の痛みが続いてしまいます。激しい動きをしていないのに筋肉痛の痛みが発生している場合は、普段の姿勢を見直してみましょう。
筋肉痛の痛みを早く治す方法として、筋肉痛から回復する4つの方法と4つの予防方法!の記事に詳しく書いてあるので参考にしてください。
帯状疱疹
皮膚に現れる症状で、体中あらゆる箇所に発症する可能性があり、脇腹にも発症することがあります。ちくちくする痛みが現れます。
症状
疲労やストレス、体の免疫力の低下などが重なったときに発症するケースが見られます。まずはじめに皮膚にチクチクする痛みが走ります。次に痛みがあった箇所にぶつぶつと赤い小さな湿疹が出始め、帯状に広がっていき、だんだんと神経の刺すような痛みに変わっていきます。症状の原因が改善されず、継続して痛みや湿疹が出続ける場合、ひどくなると、帯状疱疹神経痛へと症状が悪化し、長年に渡り痛みが消えない状態になります。また、一旦この症状が出ると、湿疹が消えても痛みは残り、皮膚の感覚が麻痺して患部によっては聴覚や視覚にまで影響が出てしまうこともあります。
治療方法
解消法としては基本的に、患部を清潔にしておくことが重要です。そして、症状が出た時期の環境の変化などを見直して、根本の原因を改善する必要があります。その他の解消法はストレスや寝不足が原因であったり疲労や生活習慣が原因だったりするので、ご自分での意識が重要と言えるでしょう。
病院に行く際には、皮膚科を受診し、抗ウィルス薬や消炎鎮痛薬を処方してもらいましょう。神経痛まで発展してしまった場合は、神経ブロックという方法を用いて治療が行われることがあります。
帯状疱疹に関する詳しい記事はこちらになります。合わせて参考にしてみてください。
背中や腰にも痛みがある場合
痛みが広範囲に渡る場合、または吐き気をもよおす場合などには以下の病気の可能性があります。通院や手術が必要な疾患である可能性があるので、早期発見、早期治療のため早めに症状を突き止めお医者さんへいきましょう。
尿路結石(尿管結石)
尿路結石の前兆として左脇腹周辺に痛みが発生している可能性があります。
症状
疝痛発作と呼ばれる痛みが症状として挙げられ、脇腹や下腹部などの腹部を中心とした部分に激しい痛みが生じます。これは右脇腹の痛みが発生することもあり、これがサインです。他の症状として、血尿が出たり血を吐いたり吐き気をもようす場合もあり、かなり苦しい生活になることがあります。
尿路結石の患者は年々増加しており、10%の人が発症しているとされています。特に、40代〜60代の男性の方が発症する可能性が高くなっています。
尿路結石になる原因として、
- 水分不足
- ストレス
- 食生活の偏り
- 尿路の細菌感染
などが挙げられます。特に食生活には注意が必要で、脂肪分が多い食事やシュウ酸を発生させてしまうチョコレートやカフェインなどの食事と合わせてカルシウムを多く摂っていると尿路に結石が発生し詰まってしまい、尿路結石になります。
予防方法
尿路結石の予防方法としては、普段から水分を積極的に摂ってトイレに行く回数を増やすことが挙げられます。
排尿を増やすことで尿路結石が詰まるのを防ぐことが出来ます。ただし、シュウ酸を発生させてしまうコーヒーやジュースなどをたくさん飲むと結石が出来やすくなるので、ミネラルウォーターやお茶を多く飲むようにしてください。
治療方法
尿管結石になると、泌尿器科での治療を受けることになります。あまりひどい症状じゃない場合は、尿の回数を増やして結石を流す「自然排石」という治療方法になります。しかし、症状が悪化して結石が大きすぎる場合は、自然に流すことが困難になり手術での治療になるので、早めに腎泌尿器科内科のある病院へ行くようにしましょう。
尿路結石については、尿路結石の原因はストレス?治療や予防方法を紹介!を参考にしてください。
肋間神経痛が原因
ろっ骨にある「肋間神経」が痛むという病気を患っていることで左脇腹に痛みが発生している神経系疾患の可能性があります。
症状
神経で痛みが発生するために、長く続く痛みではなく一瞬ピリッとした痛みが走るのが特徴的です。体を曲げた時やくしゃみ、咳をした時に肋骨の場所が動いてしまう際に痛みが発生します。肋間神経痛になる原因としては、
- 多くのストレス
- 睡眠不足
- エアコンなどによる神経の冷え
- その他の病気の合併症
- ウイルスの感染
- 疲労の蓄積
など原因は様々です。痛みが頻繁に発生する場合は病院へ行って治療を受けることが出来ます。しかし、ストレスや生活習慣が原因の場合は、根本を解決しないと再発してしまうので注意してください。
治療方法
肋間神経痛であると危惧される場合内科か整形外科への診断に行くのが適切です。治療法としては主に鎮静剤を処方されるようです。また神経ブロックという手法が用いられます。神経鞘に局所麻酔をして痛みを軽減する方法です。また針治療や漢方薬を使っての治療も広く行われています。
肋間神経痛については、肋間神経痛はストレスが原因なの?治療方法は?を読んでおきましょう。
脇腹から腹部や胸方向に痛みがある場合
腹部や胸、脇腹にかけて痛みや違和感がある場合は以下のような症状が考えられます。主に胃や食道などの消化器官系に原因が見られ、慢性化してしまう可能性のある疾患です。特に食事での治療が効果的でしょう。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍が原因
腹部の内部で胃潰瘍や十二指腸潰瘍が発症していることが原因で、左脇腹に痛みが発生していることがあります。
原因
胃潰瘍や十二指腸潰瘍になる原因として挙げられるのが、ピロリ菌の感染です。ピロリ菌が侵入してしまうと胃が傷つけれれます。その傷ついた胃に胃酸などが刺激となって発症してしまうのです。ピロリ菌の感染以外にも
- ストレス
- 不摂生
などが原因で発症することがあります。チクチクとした痛みが特徴的なので、いつもと違う痛みや違和感を感じた場合は一度病院へ行きましょう。
これらの症状が胃で起こったものを「胃潰瘍」十二指腸で起こったものを「十二指腸潰瘍」といいます。その他にも潰瘍性大腸炎の可能性もあります。
これらの原因が関連して大腸などに影響を及ぼす可能性もありますので大腸に影響を及ぼさないためにも早めに対処したい問題でもあります。
症状
胃潰瘍の症状としては、みぞおち付近に違和感や痛みを感じるといったものが挙げられます。それ以外にも、胸焼けや吐き気、上腹部での違和感などがあり、症状が進行すると吐血することも挙げられます。
治療方法
これらの症状が危惧される場合、内視鏡検査(胃の場合は胃内視鏡、腸の場合は大腸内視鏡)やバリウム造影検査またはピロリ菌検査が行われます。薬物療法では、胃の粘膜を強化する薬や胃酸の分泌を抑制する薬などが投与されます。また胃潰瘍からの出血がある場合は、止血するためクリップをしたり、止血剤を注射したりレーザーで血管を焼くなどの方法が内視鏡を使用して行われます。それでも効果が出ない場合は手術が行われ入院が必要なようです。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍については
を参考にしてください。
逆流性食道炎が原因
食道の粘膜の炎症により胸やみぞおち周辺が焼けるような痛みが起こります。
症状
胃では消化酵素と塩酸からなる胃液が分泌されています。通常胃は一方通行なのですが、何らかの原因でこれが逆流し、食道が胃液によって炎症を起こします。この逆流が繰り返し起こると、粘膜に炎症やただれ、潰瘍が引き起こされます。
胸焼けや呑酸(口の中が酸っぱい、胃からの逆流を感じる)がある場合があります。
治療方法
プロトンポンプインヒビターという薬を処方され薬物治療を行っていきます。また同時並行で食事制限なども行われます。お菓子、主にチョコレートやケーキなど、や柑橘系、かぼちゃやさつまいも、揚げ物などは胃酸の分泌を活発にさせるため摂り過ぎには注意が必要です。
逆流性食道炎に関する詳しい記事はこちらになります。合わせて参考にしてみてください。
・逆流性食道炎とは?症状・原因・治療法・検査法を知ろう!どんな人がなりやすい?
胆嚢炎
突然の腹痛の症状にはいくつもの病気の関連性が考えられますが、その中のひとつに胆嚢炎の可能性が考えられます。特に原因となる胆石が発生してしまっている人にははっしょうしやすい病気でもありますので注意していきましょう。
症状
基本的な症状としては3つ挙げられます。
- 腹痛
- 発熱
- 皮膚や白目の部分が白くなる黄疸
この3つの症状が特徴的です。腹部の痛みとしては腹部の中心部からみぞおち付近にかけて痛みが広がる傾向があります。急性に引き起こっ急性胆嚢炎では痛みは急激に激しく訪れてはっきりと症状を感じ取れる事が多いです。
対象的に病気が進行してしまっている慢性胆嚢炎では気づかない内に症状が進行してしまっている場合もあります。早期の対応では薬物治療での保存治療などで治療を行えますが、慢性の場合で胆のうが萎縮してしまっている場合では摘出手術を行う場合もあります。
原因は動物性脂肪分が多い食事を摂ることが大きな原因と考えられています。脂肪を消化吸収する為に肝臓から分泌される胆汁が胆のうで蓄積され濃縮される時に胆汁の一部が固形化してしまい胆石になり、管を流れる胆汁の流れを止めてしまうことで細菌に感染してしまい胆嚢炎が発症します。
対処法
食事法を見直し胆石を発生させない事が重要になります。
また、腹部やみぞおちに違和感を感じた場合や痛みが発生した場合は病院での検査を行うことをおすすめします。コレステロール値の高い食事を行っている人は十分注意する必要があります。
例え胆石が発生してしまっていても、細菌感染や胆汁が詰まって炎症を起こさなければこの病気は回避できます。早期の発見や症状が軽い場合には薬での保存治療も可能な病気なのでしっかり検査を忘れずに胆のうを摘出しなくても良いように対処していきましょう。
胆嚢炎の検査方法では血液検査、超音波検査、レントゲン検査、MRI検査、CT検査などが行われます。痛みなどの症状がそこまで強くない慢性の症状の方が悪化してしまう危険性が高いので食生活などを改善して病気のリスクを減らしていきましょう。
みぞおちから背中に痛みがある場合
背中やみぞおちから左方向に痛みがある場合は以下の病気である可能性が考えられます。この痛みについては重篤な病気の可能性があるため、専門医の治療が必要になるケースがあります。慎重に対応していきましょう。
急性膵炎が原因
左脇腹の内蔵には「膵臓」があります。この膵臓で炎症が起きていることが原因で左脇腹に痛みが起きていることがあります。
膵臓は、食べ物を消化するために必要な成分を分泌しています。正常に膵臓が働いていれば、膵臓に負担がかからないように消化するための成分を上手く分泌します。しかし炎症を起こしてしまうと、正常に機能しなくなって膵臓自身を消化し始めて急性膵炎が発症するのです。
急性膵炎の原因として真っ先に挙げられるのが、過度の飲酒です。その次に多い原因が胆石です。また、原因が不明のまま起きてしまう膵炎を突発性膵炎ということがあります。
症状
症状としては、左脇腹の痛み以外にも上腹部や背中側に痛みが発生することがあります。それ以外にも、発熱や吐き気、食欲不振などの症状があります。腹部の痛みは激しいものから、軽い痛みまで個人差がありますが、違和感や食欲不振が同時に起きる場合は急性膵炎の可能性を疑いましょう。
普段からお酒をたくさん飲んでいる人や栄養バランスの悪い食事が続く人は注意しましょう。
治療方法
膵臓に負担をかけないために絶飲絶食の治療が行われます。これは膵臓に刺激を与えず休ませ安静にさせるためです。また電解質を含む点滴を大量に体内に送り込み血圧と循環状態を正常に保たせます。薬剤治療では鎮静剤やステロイド性の消炎鎮痛剤、蛋白分解酵素阻害薬などが投与されるようです。
上記の手段では治療できない場合には手術が行われます。
膵炎に関する詳しい記事はこちらになります。合わせて参考にしてみてください。
・膵炎の症状とは?原因や種類、治療法も知ろう!似ている病気は?
・膵炎の時の食事制限のルールは?注意点と摂取したい食品を紹介!
すい臓がんの可能性
膵臓疾患や膵臓ががんになっている場合も左脇腹に痛みが発生します。
症状
他のがんと比べて、すい臓がんは初期症状が少ないがんと言われています。そのためなかなか早期に発見することが難しくなります。初期症状としては、
- 胃腸の不快感
- 食欲不振
- みぞおちに違和感
- 消化不良
などが挙げられます。この中でも、消化不良が頻繁に発生して食欲がなくなるといった症状がいち早く現れます。すい臓は消化を助ける機能があるので、これが上手く働いていないことでがんの可能性を疑いましょう。こういった違和感が長く続く場合は一度病院へ行って診察を受けたほうが良いでしょう。
予防方法
予防法としては、生活習慣での予防を紹介します。膵臓がんの発症に関連していると言われているのが、喫煙、飲酒、コーヒー、緑茶、肥満、運動などです。これらを摂取しすぎないのが、賢明です。また遺伝や慢性膵炎、糖尿病、遺伝性膵炎が関連疾患として関係性があるためこのような持病を抱えている人は医師からも注意を受けるでしょう。
その他上記に当てはまらない場合
今まで紹介した痛みの種類に当てはまらないその他の痛みについての原因を探っていきます。脇腹の痛みと言っても、その中には膵臓や腸、腎臓など様々な種類の臓器が入っているため、はっきりとした原因を特定するのはなかなか難しいです。視点を変えて探っていきましょう。
便秘である人
また、便秘でもお腹や脇腹が痛くなるケースがあります。特に左脇腹は大腸の終わりです。そこに便が固くなって溜まっている可能性が考えられます。自分を便秘だと思っている方は左脇腹を押してみてください、張っていませんか?また押した時に痛みは感じませんか?便が溜まっていたりガスが溜まっていたりする可能性があります。このような症状は特に女性に多く見られます。
対処法
そのような方はおもに食物繊維ではなく水分や油分が足りていない可能性が考えられます。この症状の改善にはオリーブオイルや豚の油などが良いとされているので、パスタやアヒージョ、牡蠣や野菜のオイル漬け背脂たっぷりの豚骨スープなどで油分を摂取しましょう。しかし、摂取しすぎると今度は排便の際に下痢になるかもしれません。また、便秘は放置すると大腸がんになってしまうリスクがあるので腸内環境に注意しましょう。
便秘の詳しい解消方法については以下の記事を参考にしてみてください。
・便秘の解消に効果のあるストレッチの紹介!放置は絶対NG!!
女性の場合
発症している方が女性である場合には、もしかすると婦人科系の疾患である可能性が考えられます。たとえば子宮や卵巣に起こる子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣腫瘍、卵巣のう腫などが挙げられます。このケースでは脇腹よりも少し下の方に鈍痛を感じます。
また、このような女性で症状が続いてしまうと不妊にも繋がってしまいますので、早めに婦人科の医師に相談することをおすすめします。
左脇腹に痛みが発生したら
では、もし左脇腹に痛みが発生した場合は何科を診察すれば良いのでしょうか?
上記の原因に挙げられた筋肉痛が原因の場合は、安静にしておけば良いのでそんなに心配する必要はありません。
しかしそれ以外の、内臓系の病気が起きている場合は早めに病院へ行く必要があります。しかし、どの病気に当てはまるかイマイチ分からない場合も多くあります。そういった場合は、「内科」を受診しましょう。
腹部エコーや血液検査を行って、どういった病気であるのかを調べることができます。そこで病気によっては違う科を受けることを勧められので、そちらの科を受診するようにしましょう。大きな病気の場合は、命に関わることもあるので、大したことないと放置することだけは避けてください。
まとめ
左脇腹に痛みが発生する原因
- 筋肉痛
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 急性膵炎
- 尿路結石
- 肋間神経痛
- すい臓がん
以上が今回の記事のまとめになります。
左脇腹に痛みが発生する原因としては、内臓系の病気である可能性が高くなります。筋肉痛が原因の場合は自然に治りますが、その他の内臓系が原因の場合は病院への治療になります。気になるけど、あまり苦にならないからといって、なかなか病院へ行かないと症状が悪化する恐れがあるので避けましょう。
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・立ちくらみを起こす4つの原因!予防や改善方法、病気の可能性も!
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