「所感」の意味や書き方を理解しよう!文例も紹介!

ビジネスシーンでは、「所感を書いて提出せよ」「所感を述べよ」と言われることがよくあります。就職・転職活動でも、所感を求められることがあります。

所感を書くように言われても、「所感は感想や所見とどう違うのか?」ハッキリわからないで迷うことがありますよね。「所感とは何か?」をきちんと理解していないと、所感を書くことはできません。

所感とは何か? 所感と感想と所見の違い、所感の書き方のポイントについて、例文つきでお伝えしますね。

所感とは何か?

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ビジネスや就職・転職活動において、「所感」を書くように求められることがよくあります。「所感」と「感想」「所見」「雑感」との違いがわからず、どう書けばよいのか迷う人が少なくありません。所感を書く時は、「何のために所感を書くのか?」をきちんと理解することが重要です。ビジネスにおける所感は、提出した相手(上司・先輩など)から評価されます。今後の仕事に影響する可能性もあります。

[何のために所感を書くのか?]

「所感」とは「その時、そのような状況に立ったことで何かに触発されて抱いた感想」という意味です。「心に感じたこと・思ったこと」という意味では、感想と同じようなものです。でも、ビジネスで求められる所感には、感想とは異なる要素が求められます。

ビジネスの所感にはPDCAサイクルを意識した内容が必要

ビジネスシーンで求められる所感には、PDCAサイクルを意識した内容が必要です。PDCAとは「計画Plan・実行Do・確認Check・改善行動Action」のことです。所感は、PDCAサイクルにおける確認(check)と改善行動(action)です。

ビジネスの所感には「その時・そのような状況で経験したことや感じたことや学び得たことを、今後のビジネス(仕事)にどのように活かしていくか?」を書く必要があります。ただ感じたままを書くのは「感想」です。

ビジネスの所感には「気づいたこと」と「今後の業務へのつなげ方」を述べる

ビジネスの所感には、「物事の経緯・感じたこと・気づいたこと・今後の仕事に活かせること・今後の仕事への活かし方・今後の目標と具体的な計画」を述べる必要があります。

「雑感」「所見」と「所感」の違いは?

「雑感」は「いろいろとまとまりのない感想」ですから、ビジネスシーンには不向きですね。

「所見」は「その時・その場所でその人が見たもの」「あることについてのその人の具体的な意見」という意味です。「銀座所見(銀座の風景)」「レントゲン写真の所見では、肺に異常はないようです」とか「この制度について、私の所見を述べます」などと使います。

所感は心が動かされ、考える

所見は「自分が見たことについて判断した結果の具体的な意見」です。ビジネスシーンでも使われます。所感は「何かに触発されて心が動かされ、考えること」です。「心に感じる」という点が、所感と所見の違いです。

[所感を求められるビジネスシーンとは?]

所感は、いろいろなビジネスシーンで求められます。報告書や日報に所感を書いたり、年頭や朝の朝礼で所感を述べたりします。

①一般的な報告書

部下が上司から特定の課題を与えられたり業務を命じられた場合、部下は指示された内容についてどのような仕事をしたか報告書を書きます。指示されたことに対して行った仕事内容を簡潔に記述し、所感を書きます。上司は、この所感に注目しています。

報告書の所感には仕事を通して学び得たことや気づいたことを明確にして、今後の仕事にどう活かしたいか・課題や問題点をどのように改善・解決したいかを書きます。所感を読んで、上司は部下と考えを共有できます。

復命書

官公庁では、特定の業務の命令・出張命令・研修命令など「命令書」を出します。命令書で指示されたことを行った報告をするのが「復命書」です。復命書にも所感を書きます。

②出張報告書

出張報告書は、出張先で自分が果たした役割を明らかにして、どのような成果を上げたのかを報告するものです。出張先で何があったのか・予定外のことが起きたのか・その対処法など、事実を明確に記載します。上司・先輩が出張先での出来事を正確に把握して、次の作業を考える資料になるようにします。

出張報告書の所感は、出張経験を通して気づいたこと・問題点・課題を明確に書きます。自分の対応について反省し、今後の仕事に活かす方法や改善策を書きます。上司・先輩・同僚とのコミュニケーションが円滑になります。

③研修報告書

研修やセミナーに社員を参加させるのは、会社が社員に「何かの知識やスキルを学んでほしい」「早く仕事を覚えてもらいたい」という理由からです。ですから、研修報告書は、一般の報告書や出張報告書のように事実を羅列するだけではいけません。

研修報告書の所感は、研修やセミナーで何を学び得たか・そこで学んだことに対してどのような印象を受けたか・自分の仕事にどのような影響を与えたか・今後の仕事にどのように活かしたいか、自分の仕事と直結した意見を読み手にわかりやすく書きます。

研修報告書の所感には書き手の感想が多く入ります。長文になる傾向があるので、できるだけ簡潔に書くように気をつけます。

④日報

日報に所感を書くのは、日々の仕事を振り返り、何を思い何を感じたのかを明らかにして次の作業を改善するためです。1日の仕事を振り返り、気づいたことや新しく考えついたアイディアや反省点・改善点を書きます。ポイントを絞って書くと、上司が読みやすくなります。

⑤工場見学報告書

社会人になると、自社工場や取引先の工場を見学する機会が多くなります。工場見学をした後には、必ず工場見学報告書を提出します。

工場見学報告書の所感は、1,事実 2,目的 3,意見の順番で書きます。 工場見学の行われた日時・施設などの事実、工場見学を行う目的や理由を明記します。工場見学では何を見てどのような経験をしたか、結果として何を学んだかをハッキリ書きます。ただの感想文にならないように、工場見学の経験を自分の仕事にどう活かせるかを考えます。

⑥会議の報告書

会議の議事録には所感を記載することはできません。でも、出席した会議について上司に報告書を提出する時は、議事録の最後に所感を書き添えます。

会議報告書の所感には、議事内容がどのように仕事に影響するのか、仕事に直結した感想や意見を書きます。個人の感想にならないように注意します。

⑦朝礼のスピーチ

定められたテーマについて、自分の感想と今後の仕事に活かせることを自分の意見としてまとめます。忙しい朝のスピーチなので、3分程度で簡潔に述べます。

⑧年頭所感

年頭所感は新年の抱負です。社内報などに書くことも朝礼で述べることもあります。前年における周囲の人たちに対する感謝・反省点・新年における会社に対する貢献・自分自身を成長させることについて、簡潔にまとめます。会社に対する協調性と向上心をアピールします。

所感の書き方は?

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ビジネスにおいての所感の書き方で重要なことは、事実と結論を書くことです。感じたことや気づいたことをそのまま書くのは問題ありませんが、必ず根拠となる事実を書いて結論をまとめます。

ビジネス所感を書く時は、物事に対するPDCAの流れを意識します。ビジネスに関わる一員として、経験した事実をどう感じたか・どのようなことに気づいたか・それを分析して今後の仕事にどうつなげるかを、書くようにします。

[所感を書くポイントは?]

ビジネスにおける所感を書くポイントは、①気づいたこと ②課題と改善策の提案 ③改善策の実行計画の提案 の3つです。

①気づいたこと・学び得たことを書く

ビジネス所感が感想文と大きく異なるのは、感じたことを書くのではなく「今まで見えていなかったものに気づく・発見する」という点です。セミナー・研修や出張や特定の業務などで、自分が気づいたこと・学び得たことを正直に書きます。そのためには、いろいろな視点から物事を見て、何か発見しようとする姿勢が大切です。

気づくのは課題・問題点・良い部分

気づくのは、仕事・業務における課題や問題点です。課題や問題点が見つかれば、それを改善したり解決したりしようとします。また、仕事・業務の良い部分に気づけば、今後の方向性が見えてきます。

②課題と改善策を提案する

課題や問題点に気づいたら、その改善策や解決策を具体的に提案します。良い部分を見つけたら、さらに伸ばすための方策を提案します。ビジネス所感では、「どう感じたか?」よりも「次に何をすべきか?」が重要です。会社は「その物事や経験をしっかり見つめて分析し、次に何をすべきか考えること」を求めています。

「○○という点は悪いと思います」「△△については改めた方が良いと思います」だけでは、ただの感想文になってしまいます。

上司・先輩が納得する改善策を提案する

物事をよく見つめて問題点や課題を洗い出し改善策を見つけますが、その改善策・問題解決策を上司や先輩が納得する必要があります。改善策・解決策を提案する時は、上司や先輩が納得できるものかどうか、よく考えます。

③改善策を実行するプランを提案する

改善策・解決策を提案しても、実行しなければ何にもなりません。Action(改善行動)が必要です。改善策・解決策を、いつ・何を・どのようにするのか・なぜそうする必要があるのか という視点で書きます。

これは、所感を提出する上司や先輩に対する約束のようなものです。実行可能で実行する価値のあるプランでなければなりません。

[所感の構成]

所感の書き方に決まった構成はありません。読み手である上司・先輩にわかりやすく書くことが大事です。前述の所感を書くポイントを踏まえながら、書き手の意図をはっきりさせます。

所感の構成は下記のようにすると、書きやすく読みやすくなります。

1,事実

研修・出張・業務などの経験した事実を書きます。

2,結果

経験から得た結果つまり気づいたこと・学び得たこと・発見したことを書きます。感じたことや良いと思ったことを書きます。

3,反省

経験を通して気づいた課題・問題点・反省点を明らかにします。

4,展望

経験から学び得たことや反省点を基にして、今後の仕事にどのように活かしていくのかを書きます。課題や問題点の改善策とその実行プランを提案します。

[所感を書く時は語尾に注意]

所感を感想文にしないためには、文章の語尾に注意します。「~と思います」「~と思いました」という語尾ばかりでは、いかにも単調で読み手が退屈します。「学生の書く感想文と変わらない」という印象を与えます。

語尾を多様化する

そこで、「思います」「思いました」に加えて「~という印象を受けました」「私には~のように感じられました」などという表現をして、語尾を多様化します。自分の意見を述べる時は「~と考えます」「~と考えられます」「~の点に留意します」などと書くことをオススメします。

所感の例文

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最後に、所感の例文を載せます。一般的な報告書・出張報告書・研修報告書・工場見学報告書の4つの所感です。工場見学報告書を除いて、所感の基本構成は同じです。①事実の概要 ②結果 ③反省 ④展望 の順序で書きます。

工場見学報告書の所感は、①事実 ②目的 ③意見の順序で書きます。

①一般的な報告書の例文

南北産業株式会社営業部第三課課長田中太郎様に、新商品の売り込みに伺いました。前回お会いして商品説明をしたところ、質問も多く大変興味を持っていただきました。本日は見積書を作成して持参し、成約させるつもりでした。

田中課長はさらに詳細について質問し、私の説明に満足したようでした。予算的にもマッチするとのことでしたが、本日は成約に至りませんでした。来週、再度訪問するアポイントは取れました。

新商品に多大な興味を示したにも関わらず成約に至らなかったのは、田中課長が話している時間が長く、こちらが提案したり商談を進めたりする時間が十分に取れなかったためです。顧客対応がスムーズすぎて、相手のペースに巻き込まれてしまったようです。

成約できる手応えは十分感じていますので、来週訪問するまでに相手の要望を考慮して提案書と見積書を作成し直します。提案書を見ていただきながら商談を進めるようにして、提案する時間が十分取れないリスクを回避します。

②出張報告書の例文

20xx年〇月〇日、仙台支店の視察および得意先との商談のために出張しました。

仙台支店は予想よりも小規模でしたが、社員達のモチベーションは高く活気に溢れていました。得意先の東西工業株式会社との関係も良好で、当社商品にも当社のサービスにも満足されているようでした。新商品についても契約を成立させることができました。

問題点は、仙台支店の業務効率が悪いことです。業務が遂行できれば時間軸は関係ないと考える傾向があります。残業が習慣化していて、見積書や提案書の作成を予定時間内に仕上げることができません。

今後は、仙台支店の支店長に時間軸を意識したフォーマットで日報をメールで送信してもらいます。日報を共有することで、時間軸を意識して業務を進めるように指導できます。業務効率を上げて、利益率前期比110%を目指します。

③研修報告書の例文

今回の研修は、コスト管理と業務工程のムダを省くことでした。

徹底的なコスト管理と業務工程におけるムダを省く必要性について多くのことを学びました。

当社の業務は、〇と〇と〇の3工程に分かれています。各工程において、スタッフがマニュアルに従って業務を行っています。ムダを省いて効率的に業務を進められる合理的なマニュアルと思っていましたが、今回の研修によって不必要な工程があることが明らかになりました。業務を行う上でもムダな動作があることも確認できました。

今後は、今回の研修を活かしてムダな動作と不必要な工程を洗い出し、新しいマニュアルを作成したいと考えます。新しいマニュアルによって、さらに業務の効率化アップを進めます。

④工場見学報告書の例文

20xx年〇月〇日午前10時~12時、当社の取引先である東西電気工業株式会社山梨工場を見学しました。

当社は商社なので、取り扱う商品の製造工程を知りません。商品の販売先から製造工程についての説明を求められることが多いので、主要商品の製造現場を見学することにしました。

製造工程は全てロボット化していてコンピューターで管理され、24時間体制で稼働しています。製品検査も精密機械を使用して行いますが、検査技師による目視も重要です。細かく計算されつくした製造計画に従って工場は動いているので、無理に仕事を割り込ませると製造工程に支障を生じる可能性があるとわかりました。今後は顧客にもよく説明して理解してもらい、無理のない納期で製品を発注していきたいと考えます。製品に対するクレームが発生した時は、製造工程と検査工程を留意して対応していきます。

まとめ 所感は今後の仕事に活かすもの

さまざまなビジネスシーンにおいて、所感を書くことを求められます。所感とは「その時そのような状況において何かに触発されて抱いた感想」です。「心を動かされ感じたこと」という意味では、所感と感想は変わりありません。

しかし、ビジネスにおける所感は単なる感想とは異なります。ビジネス所感は「見たり学んだりした経験を通して気づいたことを、今後の自分の仕事にどのように活かすか」を書く必要があります。所感を書く時、「物事と経験をしっかり見つめて分析し、次に何をすれば良いのか考えること」を会社は求めています。

ビジネスの所感を書く時は、Plan計画・Do実行・Check確認・Action改善行動という流れを意識します。ビジネス所感はPDCAサークルの確認と改善行動になります。所感を書くポイントは3つです。物事や経験を通して今まで見えなかったことに気づき、課題や問題点を洗い出し改善策・解決策を提案します。そして、改善策・解決策を実行する計画を提案します。所感の構成も、①事実 ②結果(気づいたこと・学び得たことなど) ③反省 ④展望(改善策とその実行プラン) となります。

ビジネスの所感は、一般的な報告書・出張報告書・研修報告書・工場見学報告書などいろいろなビジネスシーンで書きます。どの場合でも自分の仕事に直結させて、次の自分の仕事にフルに活かすようにします。

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