尿毒症の症状とは?原因や治療方法、予防方法を紹介!

尿毒症(にょうどくしょう)という言葉を聞いたことがありますか?

尿毒症とは、腎臓機能の低下により起こる障害と、体液異常により起こる症候群のことを総称した名前です。

腎臓といえば、老廃物を尿として排出するのに、血液を濾過する器官というイメージがありますが、実はその他にも大切な役割を担った臓器なんです。

ここでは、尿毒症についてお話しするとともに、私たちの身体の中で働いてくれている、腎臓についてもお話ししたいと思います。

腎臓とは?

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その前に、腎臓がどこにあるか、あなたはご存知でしょうか?

腎臓は腰のあたりに2つ、左右対称に握りこぶしぐらいの大きさであります。形はそらまめのような形です。あまり大きくない器官ですね。

腎臓の役割は先ほどお伝えしたように、血液の濾過をして、老廃物を尿として排出するため、膀胱に送り込む役割のほかにも様々あります。

それでは、知られざる腎臓の役割をご紹介します。

あなたはいくつ知ってる?腎臓の役割

役割1、血圧の調整

腎臓が血圧の調整をしているなんて、知っていましたか?腎臓は塩分と水分の排出量を調整して、血圧の調整をしてくれるんです。

具体的には、血圧が高い状態になると塩分と水分の排出量を増やして血圧を下げ、逆に血圧が低い状態になると、排出量をおさえて上げようとします。また、ホルモンを分泌することによって、血圧を上げることもできます。

腎臓と血圧の関係は密接で、腎臓の働きが低下すると高血圧になりやすく、反対に高血圧だと腎臓の働きを圧迫し、それを低下させることがあります。

役割2、血液をつくる指令を出す

血液というのは、骨の中にある骨髄というところで作られますが、この指令を出すのが腎臓なのです。

腎臓が分泌するホルモン、エリスロポエチンに刺激を受けて血液をつくるということです。腎臓の働きが低下すると、エリスロポエチンの分泌も出されなくなってしまい、貧血になってしまいます。

役割3、体液量やイオンバランスを調整する

体液の量や、イオンバランスの調整、体に必要なミネラルを取り込んでくれるのも腎臓の働きの1つです。イオンバランスとは、プラスイオンとマイナスイオンのバランスのことです。

腎臓の働きが悪くなると、体液量の調整ができずにむくみとして出てきます。また、イオンバランスが崩れることで、疲れやすくなったり、不眠、イライラ、生活習慣病を患うなどの悪影響を及ぼします。

役割4、活性型ビタミンDをつくる

活性型ビタミンDってなんだ?と思われるかもしれませんが、簡単にいうと、食べ物などから摂取したカルシウムを体内に吸収するのに必要なものです。これを作っているのが腎臓です。
この活性型ビタミンDがつくられないと、カルシウムの吸収ができなくなるので、骨が弱くなってしまいます。

このように、腎臓の働きは多岐にわたります。あまりスポットライトを浴びることの少ない?器官ですが、大事にしてあげないといけませんね。

腎臓の異常、どこでわかる?

腎臓はこのように、様々な働きをしてくれる器官です。そんな器官に異常が出たら大変ですよね。
では、そんな腎臓が異常事態に陥ると、どんな自覚症状が出るのかというと……。

なんと腎臓機能がかなり低下(調べたところ20〜50%と幅はありますが)してから、ようやく自覚症状が出てくるそうです。それまでは、どんなに辛くても必死に必死に我慢して、働いてくれるのです。なんて健気な臓器なんだろう、と感動している場合ではありません。

裏を返すと、自覚症状が出てきた頃には、かなり大変な状態、場合によっては手遅れになっているということです。

それを防ぐためには、定期的な検診を受けるほかありません。手遅れになる前に、健康診断は定期的に受診すべきなのです。

尿毒症とは?

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さて、今回のテーマ、尿毒症の話に入ります。

尿毒症とは、腎臓の機能が低下して、老廃物を排出することができなくなり、それらの老廃物や毒素が血液中に溜まってしまうことをいいます。

では、尿毒症によってどのような症状が出るかということをお話しします。

尿毒症により現れる症状

尿毒症による症状は、全身にわたり現れます。以下に、その一部を紹介します。

●水、電解質の異常

=むくみ、高血圧、心不全などを起こします。カリウムの増加により不正脈、カルシウムやリンの異常により骨の代謝異常を起こすこともあります。

●血液の異常

=血液を作る指令を出すエリスロポエチンが分泌されなくなるので、貧血になります。腎機能低下によりなる貧血を腎性貧血といいます。その他、赤血球寿命の短縮や、低栄養により鉄や葉酸が不足します。

●骨代謝異常

=活性型ビタミンDが作られなくなるので、カルシウムの吸収ができなくなり低カルシウム血症になります。そこから様々な疾患が発生し、結果的に腎性骨異栄養症になります。これにより、骨折しやすくなったり、骨の変形、関節などの傷みのほか、心臓や血管弁が石灰化するなどします。

●内分泌系異常

=性ホルモンの低下、成長ホルモンや甲状腺ホルモンの異常も指摘されています。

そのほか、神経系の異常による眠気や、意識障害、栄養障害やビタミン不足を起こすなど、全身に様々な悪影響を及ぼしていることがわかりますね。

尿毒症の原因、慢性腎不全ってなに?

一体どのようにして尿毒症を患ってしまうのでしょうか?尿毒症は、簡単に言うと慢性腎不全が進行して発症します。

では、慢性腎不全とはなんなのか?それを知るためには、尿ができる仕組みを知る必要があります。

順を追って、お話ししましょう。

尿ができる仕組みと腎不全

まず、尿ができる仕組みからです。

尿は、腎臓に流れ込んだ血液を、糸球体(しきゅうたい)が濾過して、原尿を作ります。濾過して綺麗になった血液は、また心臓に戻ります。

この原尿を膀胱まで届ける間に、必要なものは吸収され、その残りカス、老廃物は尿として体外に排出されます。これが尿ができる仕組みと排出の仕組みです。

尿を作るのに重要な働きをする糸球体。これが、腎臓に問題が出てくると破壊され、濾過機能が働かなくなります。一度壊された糸球体は、二度と回復しません。

糸球体は腎臓一個につき約100万個あるとされています。そのうち、破壊されたのがある程度の数であれば、残った糸球体で同じだけの仕事を一生懸命こなそうと、カバーします。このため、自覚症状が出ないのです。残された糸球体の働きにより、私たちは自覚がないままに生活を続けます。

しかし、そのままの状態が続くと、糸球体にも限界がきます。負担が過剰にかかるので、糸球体の破壊されるスピードが上がっていくのです。そして年単位で徐々に腎機能が低下し、慢性腎不全となってしまうのです。

慢性腎不全がさらに進行し、末期腎不全となると尿毒症の症状がみられます。

つまり、老廃物の混じった血液の濾過をすることが出来なくなり、体内に老廃物や毒素がたまってしまう、ということなのですね。

慢性腎不全と急性腎不全

慢性腎不全に対して、急性腎不全というものもあります。

尿毒症を引き起こすのは慢性腎不全ですが、では急性腎不全とはなんなのか?どのような症状が出るのか?それについて比較しながらご説明します。

慢性腎不全

先にご説明した通りなので省略しますが、腎機能が徐々に低下していき、慢性腎不全になります。
これに対する治療法はありません。一度壊された機能は回復しないからです。ただし、それ以上悪化させない、もしくは悪化のスピードをゆるめる治療法はあります。

具体的には食事療法を行ったり、薬によって糸球体の破壊を食い止める、腎機能低下により起こる症状を改善するなどします。

また、腎不全を引き起こした元の病気がある場合(糖尿病など)は、そちらも改善させるための薬を投与していきます。それでも悪化してしまった場合は、透析や腎臓移植をしなければいけません。

急性腎不全

急性腎不全とは、なんらかの原因により腎機能が急激に低下することで体内の内部環境の維持ができなくなった状態のことをいいます。

原因は大きくわけて3つにわけられます。

  • 腎前性=腎臓に問題はないけれど、尿を作る血液の腎臓への供給量不足で起こる
  • 腎性=腎臓そのものに問題がある場合
  • 腎後性=腎臓で作られた尿を体外へ排出する経路が閉塞するなどして起こる

このそれぞれに、さらに細かい原因があります。それらの原因を改善することで腎機能の回復をさせるとともに、内部環境の改善を維持することが基本になります。

慢性腎不全との大きな違いは、原因を改善、治療することで腎機能の回復を見込める、ということです。

腎臓をいたわるために必要なこと

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腎臓が大切な器官ということは、お分かりいただけたと思います。一度壊されたら回復しないなんて、恐ろしいですよね。では、腎臓がきちんと健康に働けるために必要なことってなんでしょうか?

最後は、それについてお話しします。

●禁煙すること

喫煙は百害あって一利なし、というように、例に漏れず腎臓にとってもよくありません。その他の病気の予防にもなるので、一刻も早くやめましょう。

●過度な飲酒をしないこと

適度な飲酒は問題ありませんが、飲み過ぎはNG。ほどほどに楽しみましょう。

●適度な運動をすること

これも腎臓だけでなく、ほかの病気予防になります。定期的に、自分の体力の範囲で取り組みましょう。

●規則正しい生活を送る

睡眠はしっかりとり、毎日規則正しい生活をすることで、体内のリズムが整い、腎臓が働きやすくなります。ストレスも大敵です。

また、食事の上で気をつけるべきことが3点あります。腎臓の状態によって基準はかわりますが、ここでは腎臓が正常な時の基準値をお話しします。

  • 塩分は1日3g以上6g未満
  • カロリー摂取目安量は25~35kcal/kg標準体重/日

*標準体重を算出するには、以下の式を使います。

・標準体重算出式 身長(m)×身長(m)×22

ただし、この式は成人向けとなっています。学童期のお子様向けの算出式は

・身長(m)×身長(m)×身長(m)×13

になります。

●たんぱく質は1.3g/kg標準体重/日を超えない

かなり数字が限定されていて、堅苦しい気もしますが、塩分の過剰摂取をひかえ、暴飲暴食、偏食に気をつけ、バランスよく食べることが大切だということですね。

まとめ

いかがだったでしょうか。ふだん、あまり意識しない器官、腎臓と、腎臓を病んでしまうと起こる、尿毒症についてお話ししました。

しかし、腎臓、ひいては腎臓病というのは奥が深く、今回の内容はほんのサワリの部分です。
腎臓病は糖尿病や、その他の生活習慣病、メタボリックシンドロームなどとの関連も深いといわれています。
また、成人の8人に1人は慢性腎臓病(腎不全になる前の段階)といわれ、新たな国民病になりつつあるそうです。

一生懸命、私たちの生命活動を支えてくれている腎臓をいたわると共に、定期的に健康診断をして、自分の体の状態を知ることが、腎臓病予防の第一歩です。

  
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