筋肉痛は誰しも一度はやったことがあるかと思います。特に運動や筋トレをした後、筋肉の筋や繊維に沿って痛みを感じることがあるでしょう。また、翌日など時間差で痛みが現れる場合もあります。
運動後に筋肉痛が現れる代表的な部位としてふくらはぎがあります。ふくらはぎは足を使うために重要な筋肉がありますが、筋肉痛を起こしてしまうとどうも動けないこともあります。では、ふくらはぎの筋肉痛の原因や解消法についてみていくことにしましょう。
そもそも筋肉痛はどうして起こる?
ふくらはぎを始めとする部位に筋肉痛が起こる。この原因は筋繊維が傷ついているために起こる炎症・筋損傷と言われています。これが痛みを引き起こしているのですね。
筋肉は収縮することで、体を動かします。足の曲げ伸ばしや踏ん張りというものはふくらはぎの筋肉によって行われる動作です。筋肉痛を発症してしまうのは、過度な力が加わっていることが原因と考えられます。
例えば運動前に十分な準備体操をせず運動をしてしまうと、筋肉の柔軟性が低下します。そして、運動時に筋収縮の限界を超えて力が加わると、筋繊維が損傷・炎症を起こしてしまうのです。
また、伸縮性収縮運動という運動も筋肉に負担がかかるといわれています。これは筋肉組織が伸びた状態で負荷を受けるような運動を指します。具体的には階段を下る運動などがあげられます。特徴としては階段を上がる運動ではまた別の負担がかかるということです。
普段あまり運動・スポーツをしない人が準備運動をせず急に激しい運動をしてしまう。こういった人は筋肉痛を招くことになるでしょう。ダイエットをしようとして急に運動をするという人に多いといいます。筋繊維の回復が遅ければ遅いほど、筋肉痛解消まで時間がかかるでしょう。
その他の原因
運動をした後に起こる筋肉痛は筋繊維の損傷・炎症でした。その他、深刻なケースもあり、しばし注意が必要です。具体的には以下の原因が考えられます。
肉離れ
一部の筋肉組織(筋肉や筋膜)の断裂が起きている状態です。程度によって異なりますが、軽症であれば痛みは小さいです。しかし、断裂の程度や範囲が大きければ歩行困難になることもあるので注意が必要でしょう。
肉離れのほか、筋組織が完全に切れてしまう筋断裂もあります。症状が続く場合は整形外科・専門の病院で詳しい検査をし、状態を確認する必要があるでしょう。
詳しくは、肉離れがふくらはぎで起きた時の症状は?予防方法も紹介!を参考にしてください。
静脈血栓症
足の静脈に血液の塊、血栓が詰まってしまう病気です。
筋肉痛のような痛みを発症しますが、根本的に原因が異なります。症状の放置はさらに重篤な状態を招くことがあり、早急な治療が求められます。
筋疲労・単なる疲れ
筋肉の組織の損傷ではなく、疲労物質の蓄積が痛みを引き起こすケースもあります。よく乳酸がたまるといいますが、これが組織や神経に痛みを発症させる原因とされています。
筋肉痛の痛みの原因は?
ふくらはぎに筋肉痛が起きたとき、最近運動をしたのであれば、それが原因であるでしょう。その場合は、基本的にマッサージやストレッチをすることで症状を解消することができます。
一方で血栓症の場合は運動をしていないのに、ふくらはぎの筋肉痛を感じます。最初は痛みが小さく、気にならないものです。しかし、症状が大きくなっていくにつれて、事態の深刻さに気づくかもしれません。
ふくらはぎの筋肉痛がどのような原因で起こっているのか。その原因を自身の日常生活に照らし合わせて探してみる必要があります。早期治療が必要なケースもあるので、放置しないようにしましょう。
ふくらはぎの筋肉痛の解消方法
では、ふくらはぎの筋肉痛はどうやって解消していけばいいのでしょうか。運動後に痛みを感じたときや、自宅でできる筋肉痛解消法・対処法についてみていくことにしましょう。
RICE療法
RICE療法は捻挫などの症状に行われる4つの処置・対処の頭文字をとったものです。筋肉痛に対しても効果を発揮し、早い段階で処置をすることで痛みを解消する効果が期待できます。それぞれの意味は以下の通りです。
Rest(安静)
筋肉痛を発症し、痛みがある場合、まずは安静にすることが大事です。筋繊維が傷ついているため、動くとより悪化してしまう可能性があるでしょう。とにかく体を動かさないようにしてください。
Ice(冷却)
筋繊維が傷ついているとき、炎症を起こしていることがあります。このため、炎症を抑えるために、患部を冷却・アイシングします。保冷剤をタオルで巻き、低温やけどに気をつけながら冷却しましょう。
Compression(圧迫)
炎症症状を起こしてたとき、患部を放置してしまうと腫れが悪化することがあります。このため、冷却作業と並行して患部を圧迫してあげる処置が必要です。痛くない範囲で圧迫するようにしましょう。
Elevation(挙上)
患部に血液が集中し、腫れが悪化しないようにします。患部を心臓より高い位置にあげることで、血液が患部に流れにくくなり、症状の悪化を防ぎます。
マッサージをする
炎症や痛みが引いてくれば、マッサージをすることで回復を促進できます。炎症が治まった後は、筋繊維や細胞に栄養となる血液を循環させることが、早期回復のポイントです。血流を良くする即効性のあるマッサージのやり方は以下の通りです。
- ふくらはぎの内側、足首に親指を当てる
- そのまま足首から膝まで親指で強く押しながらマッサージをする
- このとき、痛みを感じくらい、強く押す
- その後、両手でふくらはぎを持ち、足首から膝まで血液を流すイメージでマッサージをする
ストレッチをする
マッサージは筋繊維の血行を良くし、筋肉の回復・修復を早める目的がありました。今度はストレッチをすることで筋繊維の柔軟性をあげるようにしましょう。筋肉痛予防にも効果的です。ストレッチ方法は以下の通りです。
- 壁に向かい合い、直立する
- その後、片方の足を後ろに下げていく
- このとき、かかとはあげない
- その状態をキープし、もう片方の足も同じようにストレッチをする
ポイントは無理をしないこと。勢いをつけてやってしまうと筋繊維が傷ついてしまうので注意が必要です。呼吸をしながら、ゆっくりとやっていくことが大切です。
湿布薬を貼る
痛みを感じている部分に湿布を貼ることで症状を軽減することができます。ただ、注意点としては温湿布、冷湿布を使い分けるということ。RICE療法のように、血液を患部に行かせたくないというときは冷湿布が望ましいです。
一方、腫れや痛みが引き、血液を循環させる必要がある、というときは温湿布が望ましいでしょう。
食事から栄養を摂取する
筋肉痛を解消する栄養素を食事から摂取するというのも、重要な解消法・解決法の1つです。運動後は筋肉に疲労がたまり、乳酸が発生していますが、これを取り除いてくれるのがクエン酸やビタミンといわれています。クエン酸は血液の流れを良くし、乳酸の代謝を促進してくれる効果があります。レモンなどの酸っぱいものに含まれているので意識して食べてみてください。ビタミンでも特にビタミンBは乳酸を分解する効果があります。疲労回復の効果が期待できるでしょう。
水分不足も筋肉痛を招く要因といわれています。このため、運動をしている時もその後の休憩の時も、きちんと水分を取るようにしてみてください。その他、筋肉の材料となるタンパク質を普段の食事から摂取するようにしましょう。ミネラル不足もふくらはぎをつる原因になるので、緑黄色野菜からミネラルを意識して摂取したいものです。
あとはとにかく休む
マッサージやストレッチをしても、体を休めなければ意味がありません。体の疲れを取るのにはやはり睡眠や休息が必要です。
睡眠中に放出される成長ホルモンは筋組織を回復させる効果があります。筋肉痛を感じたときは、体をリラックスさせ、ゆっくりと過ごすようにしましょう。
ふくらはぎの筋肉痛にならないために
筋肉痛にならないためには、いくつかのポイントがあります。
特に運動をするようであれば、それに向けて体の準備をしておかなければなりません。筋肉痛を予防する方法として以下が挙げられます。
準備運動をする
筋肉痛が起こるのは筋繊維の柔軟性が低くなっているにもかかわらず、負荷がかかり、炎症を起こしてしまうことでした。このため、運動の前にはきちんと準備運動をし、柔軟性を上げておく必要があります。
アキレス腱を伸ばす運動や太ももの筋肉を伸ばす運動と合わせて、ふくらはぎの筋肉もきちんと伸ばして上げましょう。準備運動をする・しないでその後の負担が大きく変わります。
運動後にストレッチをする
運動をした後の筋肉は緊張し、硬くなっていることがあります。そのため、無理のない範囲でストレッチをし、筋肉をほぐしてあげる必要があります。これをするだけで、翌日まで疲労を蓄積しない効果があります。
反対にストレッチをしないで就寝すると、筋肉痛を発症することがあります。運動後の体のケア・メンテナンスも重要で、忘れず行うようにしましょう。
普段から運動をしておく
急な運動をすると、筋肉痛になることがあります。そういった状況を回避するためには普段から十分運動をしておくことをおすすめします。これはランニングやウォーキングなどでも十分効果があります。
習慣的な運動は体の健康状態を保ち、病気を遠ざけます。また、足のむくみを解消し、細くする美容の効果も期待できます。ほとんど運動をしないという人は意識して運動をしてみてください。習慣化することで気持ちも前向きになり、ストレス解消となるでしょう。
無理をしない
運動をするとき、無理をしないようにしましょう。準備運動もして、体の状態が良いと思っても、思っている以上に体には負担がかかっていることがあるからです。筋トレ方法も適宜チェックしながら、無理のない範囲で行うことが大切です。
また、運動をするときは適宜休むようにしましょう。少し休憩を取るだけでも、筋肉への負担は大きく変わります。無理の無い範囲で運動をするようにしてください。
妊娠との関係
妊娠をすると女性の体は胎児を出産するために様々な変化をし始めます。
ホルモンバランスが崩れてしまったり、骨盤がより開くということも起こり始めます。特にホルモンバランスの崩れが起こると、普段の体ではあまり起こらないような体の変化が起こります。妊娠の初期症状としてふくらはぎの筋肉痛があります。
ホルモンバランスが崩れると、体の水分量を調節する機能が低下することがあります。すると、足にむくみができやすくなります。このむくみが筋肉痛と似たような痛みを発症させることがあるのです。筋組織が傷んでいるというわけではないのですが、しばし生活を苦しいものにすることがあります。
ふくらはぎの筋肉痛が病気の場合も…
運動をして、後日ふくらはぎに筋肉痛のような痛みが走れば、それは運動が原因と考えられます。しかし、何もしていないのにふくらはぎに痛みを感じるようであれば、それは何かしらの病気の可能性があるでしょう。
ふくらはぎの病気は自覚症状はあるものの、それほど意識して治療法が実施されることがありません。運動不足や年齢によるものと片付けてしまいがちなのですね。しかし、深刻な病気に発展することがあり、注意が必要です。具体的には以下の病気の可能性があります。
下肢静脈瘤
足は体の末端、下部にあります。足を流れる血液は心臓に戻るため、重力に逆らい上っていく必要があります。このため、足の静脈は足の筋肉に挟まれていて、筋肉の収縮力を借りて、血液を上昇させるようになっています。これを筋ポンプ作用といいます。そして、足の静脈には弁がありますが、これは血液の逆流を防ぎ、血液がうまく流れるような仕組みなっています。
下肢静脈瘤はこの足の静脈に存在する弁の機能が低下し、血液が溜まってしまう病気です。また、運動不足等によるポンプ作用の低下も原因と考えられます。皮膚の近くにある表皮静脈という部位の血管に瘤ができると目で確認できるほどのコブを作ります。
症状としては見た目でわかるような瘤、蜘蛛の巣を張ったような血管の跡、そのほか足のむくみやだるさを感じます。症状が進行すると患部のかゆみや炎症、血管が破れ出血がみられるなどが起こります。
病気の原因はよくわかっていませんが、立ち仕事をしていたり、加齢や肥満などのことが関係していると言われています。また、出産後の女性にも好発することがあり、足の状態には気をつける必要があるでしょう。
閉塞性動脈硬化症
動脈が硬くなり柔軟性を失った状態を動脈硬化といいますが、それが足に起こっている状態です。足に痛みを感じ、そのほかしびれやこむらがえりを発症することがあります。ただ、それを病気と診断することは自己判断では難しいでしょう。
動脈硬化が進行することで血管の狭窄や詰まりなどが起こり、痛みを発症します。また、特徴的なのが症状に周期性があるということ。痛みを発症したと思ったら、10分ほどで回復する。そのまたすぐに痛くなって、また治る。こういったことを繰り返します。これを間欠性跛行(かんけつせいはこう)といいます。
間欠性動脈硬化症で怖いのは、体のほかの部位でも同様に動脈硬化が起きている可能性があるということ。つまり、心臓や脳血管などの部位も同様に動脈硬化が起こり、放置すれば重篤な病気を招くリスクがあるのです。
病気の原因は高血圧や高血糖などの生活習慣病、喫煙といわれています。習慣的に血管を悪くすることをしていれば、動脈硬化が進行し、体を蝕んでしまうでしょう。周期的な痛みがあるようでしたら、注意が必要です。
詳しくは、閉塞性動脈硬化症とは?症状や原因を紹介!合併症に注意!治療には手術が必要なの?を読んでおきましょう。
坐骨神経痛
腰から足に向けて伸びている神経。それが坐骨神経です。坐骨神経痛はその名の通り、この神経が何らかの原因によって圧迫され、痛みを発症する病気です。ヘルニアや脊椎間狭窄といったことがきっかけで症状を発症し、患者さんを苦しめます
症状としてはおしりやふくらはぎの痛み・痺れなどです。症状も四六時中発症しているケースや、波があるケースもあります。安静時にも痛みを感じることがあるので、日常の生活に影響をあたえることがあります。
詳しくは、坐骨神経痛の原因とは?症状や治療方法、予防方法も紹介を参考にしてください。
まとめ
ふくらはぎの筋肉痛は運動をした後によく起こります。急な運動をすれば、運動習慣のない人はすぐに痛くなってしまうかもしれませんね。ですが、基本的に症状はすぐに回復します。
ふくらはぎの痛みで注意が必要なのは、最後にご紹介した病気であるケースです。加齢によるものや、単なる疲れと思って放置され、病気が進行してしまうこともあります。症状が進行すればするほど、治療は大掛かりなものになっていくでしょう。
痛みが継続的にでているときはきちんとした処置を。また、単に筋肉痛を発症したときも、マッサージ等でメンテナンスをするようにしましょう。
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