運動の最中に、ふくらはぎが激しく痛んだことのある方は少なくはないでしょう。ジョギング、テニス、水泳、バスケットボール等々、脚に強い負荷のかかる運動を習慣的にされていた方なら尚更でしょう。
もちろん、そうした痛みの大半はただの足の攣りに起因するものであり、痛みはあるものの大したことはありません。しかし、その攣りが繰り返されると、酷い場合は肉離れにまで悪化する危険性があるのはご存知でしたか?特にふくらはぎは特に肉離れが起きやすい部位であり、一層の注意が必要となります。
今回は、そんなふくらはぎ肉離れの基本知識や症状はもちろん、治療法や予防法を紹介したいと思います
まずは肉離れについて知ろう!
そもそもふくらはぎに限らず、肉離れというもの自体がどういった状態なのかご存知でしょうか。「なんとなくイメージはつく程度」という方も多いのではないでしょうか。
肉離れは、筋肉が激しく急収縮を繰り返すことで強い負荷がかかり、結果として、筋肉の一部、あるいは全体が損傷・断裂を起こしてしまった状態のことです。もちろん、症状とダメージはそれ相応に重いものとなります。
詳しくは、肉離れの痛みの特徴について!期間や治療方法は?を読んでおきましょう。
では肉離れの症状がふくらはぎに起きると?
それではふくらはぎに発症してしまうとどうなるのでしょうか。殆どのケースでは、当然ですがまず痛みを感じます。その痛みのせいもあり、歩くことすら難しい状態になることも珍しくありません。本当に酷い時は、普通に歩けるようになるだけでも数か月かかることすらあります。
また、軽い場合や重い場合という表現を使いましたが、そもそも肉離れには3つの段階があります。
第一段階(軽度)の場合
- 痛みはあるものの、歩行などの軽い運動なら可能です。
- 筋肉の一部に小さい損傷や断裂が生じています。
- しばらく安静にすれば、自然治癒がみこめます。
第二段階(中度)の場合
- 強い痛みを感じ、自力の歩行が難しくなってきます。
- 軽度の場合よりも広範囲の筋繊維が断裂・損傷し、内出血も伴います。
- 自然治癒に頼らず、病院で治療を受けることが推奨されます。
第三段階(重度)の場合
- 痛みがかなり激しく、自力での歩行は不可能です。
- 断裂が非常に深いため、患部を指で触るだけで筋肉の凹みを確認できます
- 酷い時は断裂した筋肉を縫い合わせる必要もあるため、早急に病院に行くべきです。
以上が肉離れ全般の症状ですが、特にふくらはぎに発症してしまった場合、地面に足をつけるだけでも強い痛みを感じます。また、大きな内出血も併発するケースが多く、肉離れの中でも特に厄介なタイプの一つと言えます。
この内出血は放っておくと、翌日にはアキレス腱近辺にまで広がるため素早い対処が必要です。またふくらはぎは肉離れが最も再発しやすい部位であり、この点も注意が必要です。
ふくらはぎの肉離れの原因や予防方法を紹介!
冒頭でも簡単に触れましたが、肉離れは筋肉の過度な収縮によって引き起こされます。収縮が過度に行われることで筋細胞と筋膜が急激に強く引き伸ばされてしまい、断裂が起きやすくなります。
ですが肉離れは前触れなく突発的に起きることもあるため、必ずしも予防ができるとは言えません。とはいえ一般的に起こる原因を前もって熟知しておけば、予防の確率は上げられる筈です。
ではなぜ収縮が起きてしまうのか?
激しい収縮が起きる原因は一概には言えません。ですが最も多いのは日頃の運動不足やそれに由来する筋力不足、または準備運動の不足が原因となるケースです。反対に、筋肉の酷使によって過度な疲労が蓄積した場合も起きやすくなります。
他にも例えば栄養の不足や寒さというのも挙がります。こうした状況下ですと、筋肉が収縮しやすくなってしまい、それが肉離れを起こしやすくなるというわけです。
また、年と共に筋肉の柔軟性が低下することも原因の一つです。柔軟性が低下しますと筋肉のクッション性が失われ、激しい収縮を受け止められなくなります。特に20歳を過ぎることで、人の筋肉は徐々に柔軟性を失い肉離れのリスクが高くなります。つまり、成人の方々が須らくその危険性を認識する必要があります。
それではふくらはぎの肉離れに限定した場合、特にどの要因に注意するべきでしょうか。「柔軟性の欠如」と「筋肉の疲労」が最大の要因となります。ふくらはぎは普通に歩くだけでも、ある程度の負荷がかかってしまう部位です。その分ふくらぎの筋肉はただでさえ疲労しやすく、柔軟性が低ければさらに断裂を起こしやすくなってしまいます。
予防法
それでは予防のために、具体的に何を実践するべきでしょうか。
まず肉離れの主要因は、
- 運動不足などの不健康な生活
- 筋肉の疲労の蓄積
- 柔軟性の欠如
の三つとなります。よって取るべき予防策としては、
- 普段から適度な運動(軽いジョギングやウオーキングなど)を含めた、健康的な生活をこころがける
- マッサージなどで筋肉の疲労を和らげる
- 日頃から柔軟運動などで筋肉の柔軟性を保持する
この三点が最も重要となります。
中でもふくらはぎの肉離れを防ぐには、2番と3番の予防策が大切です。この両者を効果的に行うには、入浴後の時間を活用するのが良いでしょう。入浴で体が暖まると、血行が促進され疲労回復が早まります。この状態でマッサージを行うことで血行はさらに促進され、回復は一層早まります。また、入浴とマッサージを経ることで筋肉が柔らかくなります。この状態で行う柔軟運動は柔軟性の保持にとりわけ役立ちます。
また、就寝前と起床後のストレッチも有効的でしょう。ストレッチにも同様に血行を促進し筋肉の硬さを解きほぐす効果があります。就寝前に行うことで、睡眠中の血行が促進され疲労回復効果が高まります。また起床直後に行うことで筋肉が柔軟になり、その日の疲労が溜まり辛くなります。
いざ肉離れしてしまった際の対処法について
次は肉離れを起こした際の対処法について記述させて頂きます。もちろん、常日頃からの予防が一番です。ですがそれを実践したとしても100%防げるわけではありません。それが肉離れを怖さとも言えます。絶対に防ぐことが出来ない以上、いざ起こってしまった時の対処法を知る必要があるでしょう。
最も大切なのは応急処置
まず特に重要なことが一つあります。それはいざ起こった際に、迅速かつ正確な応急処置を施すことです。もちろん、適切な応急処置が早ければ早いほど、怪我からの回復期間は縮まります。これはふくらはぎに限らず、肉離れ全般に共通することです。
肉離れが起こった直後ですが安易に動いてはなりません。痛みが激しくて立つことが困難な場合はもちろん、痛みがそこまで強くないケースであっても安静にして患部を確認してください。明らかに第三段階、つまり筋肉が陥没しているときは速やかに救急車を呼んでください。その後も到着までは患部を氷で冷やしながら絶対安静を保ってください。
一方、肉離れが前述の第三段階まで至ってなかった場合はRICE処置と呼ばれる応急処置を施してください。RICE処置とは肉離れに限らずスポーツ障害全般に対して有効と考えられている、非常にポピュラーな応急処置法のことです。ではその基本知識ややり方等について紹介したいと思います。
RICEとは、
・R =Rest(安静)
・I =Ice(アイシング、冷やす)
・C =Compression(圧迫と固定)
・E =Elevation(挙上)
の4つの処置から名付けられています。
その手順として
- 患部を「安静」にします。
- 患部を「冷やし」ます。
- 患部に内出血が見られる場合は、患部よりも心臓に近い部分を「圧迫」し出欠を抑えます。
- さらに出欠を抑制するために患部を心臓よりも高い位置に「挙げ」ましょう。
RICE処置後は、軽いジョギングなどでクールダウンし休みます。その後は怪我の程度によっては病院での検診を受けましょう。
治療はどのように行うの?
肉離れから速やかに回復したい場合、「温熱療法」と「自然治癒力」の活用が重要となってきます。「温熱療法」とは簡単に言いますと、患部を温めることで血行の流れを促進する治療法のことです。この温熱用法によって人体が本来持っている「自然治癒力」を後押しし、怪我の完治を促進することが基本的な治療法となります。
基本的な温熱療法としては、まず「お風呂に入る」といった方法や「暖かいタオルで患部を覆う」などといった方法があります。この二つであれば、病院でなく自宅でも十分に実行できます。その後、皮下内出血も完全に音を潜め、患部に触れても痛みを感じなくなってきた後は「軽めのマッサージ」を行うのも有効的です。患部周辺をゆっくりと温めつつ、もみほぐすことで血行も促進します。
また、ふくらはぎに第三段階の肉離れを発症した場合は基本的にギプスなどが必要となります。このレベルの肉離れの場合、基本的に患部を曲げたり動かしたりすることは厳禁です。しかし、ふくらはぎは歩く時にも自然と曲げ伸びする部位です。つまりふくらはぎに重度の肉離れが起きた場合、ギプスなどでの固定抜きの歩行は患部を悪化させかねません。
また、中程度までの肉離れであったとしても油断はできません。ギプスは必要ありませんが、ふくらはぎをテーピングやサポーターで固定する必要があります。特に、肉離れ専用のサポーターが効果的でしょう。
まとめ
今回の記事は以上となります。簡単にまとめますと、特にふくらはぎの肉離れを防ぐには
・常日頃からストレッチなどでふくらはぎの疲労を和らげること
・ウオーキングや軽いジョギングなどで、脚の筋力をある程度は維持すること
の二点が何よりも重要となります。いざなってしまった際も、ますは患部を観察し、その程度に合わせた対応を冷静に行ってください。これは肉離れに限った話ではありませんが、怪我をした際には慌てずに冷静に対応することが何よりも重要だと言えます。