ぎっくり腰は前兆のない症状です。魔女の一撃と呼ばれる程の激しい痛みは経験者でないと分からない痛みと言われています。
日々腰にはすこしづつ負担が掛かっています。ある日突然起こるかもしれないぎっくり腰について、どのような応急処置ができるのか知っておきましょう。
ぎっくり腰の原因となる病気
ぎっくり腰は急性腰痛症と呼ばれるもので、突然の強い腰痛が有名な症状です。原因が分からないものが多いですが、腰椎椎間関節捻挫と呼ばれる症状や、腰椎間板ヘルニアの初期段階を原因とする場合が多いと言われています。
ぎっくり腰というのは症状の事を指しているので、ぎっくり腰そのものが病名という訳ではないのです。
腰椎椎間関節捻挫
腰の骨は小さな骨が連なってできています。それぞれが椎間関節という小さい関節で支えられていますが、骨が変形したり靭帯がゆるんでしまうと関節がずれてしまいます。
また、関節が亜脱臼を起こして腰痛を起こします。
腰椎間板ヘルニア
腰の骨の間にあるのが椎間板です。椎間板はコラーゲンなどでできている線維軟骨で、クッションの役目を持っています。
椎間板は繊維輪と呼ばれる硬い部分と髄核という中心部分で構成されていますが、この繊維輪に亀裂が生じる事で内側の髄核がふくらむとこれが神経を圧迫して痛みを生じます。
ぎっくり腰が起きる原因
ぎっくり腰の原因となる病気は上記の通りですが、ぎっくり腰が起こる直接の原因にこれといったものはなく、病気に加えて様々な要因によって起こります。その理由として考えられるものは以下のものです。
筋肉疲労
慢性の筋肉疲労が溜まって突然腰痛となって現れる場合があります。
筋肉が壊れて行くスピードが回復よりも早いため、少しづつ疲労がたまって行き、どこかの瞬間に許容量を超えてしまって腰痛が起こります。
骨格が歪んでいる
立ちっぱなし、座りっぱなしの仕事をして骨格のどこかに負担が掛かっている場合や姿勢が悪くて負荷が掛かると、骨格が歪んでしまいます。
左右アンバランスな骨格になってしまったり、ある一カ所に負荷が掛かり続けるといった状態が続くと筋肉疲労につながり、上記と同様に腰痛となります。
過負荷
蓄積した疲労がなくても、突然大きな負荷が掛かるとぎっくり腰を起こします。若い方のぎっくり腰はこの過負荷が原因である事が多いです。
高い所から飛び降りて衝撃を受けたり、じっとしている状態から突然動くなどによって起こるものです。
ぎっくり腰になりやすい人
いつ起こるか分からないぎっくり腰ですが、なりやすい体質・生活習慣があります。
肥満気味の人
いろいろと健康に問題がありそうな肥満ですが、腰にも大きな負担となります。日々腰の筋肉に負担を掛け続けていて、何かの拍子にぎっくり腰になる事があるのです。
あぐら、横座り
腰の骨が歪んだ状態が長く続くと、筋肉の使い方がアンバランスになり、腰に負荷をかける事になります。
車に乗る人、デスクワークの人
ずっと同じ姿勢でいる事も腰への負担になります。姿勢が悪いと特に腰椎が曲がったままになってしまいます。いつも同じ所を動かすのではなく、意識して他の所も動かすようにすると予防になります。
布団が合っていない
腰痛持ちの方が布団を選ぶ際に気をつけるべき事は、硬すぎない事、柔らかすぎない事の二点です。人間の身体は曲線で出来ているので、寝具と身体の間に隙間ができてしまいます。この隙間が大き過ぎると腰椎の歪みが大きくなる事になり、寝ている間に負荷をかけ続ける事になってしまいます。
一般的には、ヒップとウエストの差が大きい女性の場合はやや柔らかめの方がよく、筋肉質な方の場合は固めの方が適していると言われていますが、自分の体型に合った物を選ぶ必要があります。
喫煙
煙草に含まれるニコチンは血管を縮小させるので、体全体の血流が悪くなります。特にニコチンは腰回り、椎間板に影響しやすいといわれています。
さらに、煙草の影響で痛みに対して鈍くなってしまい、ひどい痛みになるまで気が付かず腰を酷使してしまうという影響もあります。禁煙する事で痛んでいた椎間板が回復し、血流も良くなる事で腰痛の改善につながります。若い方は特に、禁煙で腰痛が改善するケースが多く見られます。
冷え性
冷え性の方は筋肉がかたくなりやすく、ちょっとした負荷で捻挫を起こす事があります。内蔵の冷えが特に影響します。足腰を冷やさない事や、軽い運動をする事で内臓の冷えを予防する事ができます。
ぎっくり腰の応急処置
予防をしていても突然起きてしまったぎっくり腰に対してできる応急処置についてまとめました。
まずは安全な所に移動する
ぎっくり腰になると、重い場合は全く動けなくなってしまいます。また、痛くなった直後は歩けたのにも関わらずだんだん歩けなくなる場合もあるので、できるだけ早めに安全な所に移動しましょう。
丸くなる姿勢を取る
ぎっくり腰になってしまったら、膝を抱える姿勢で横になるのがよいと言われています。
炎症をおさえる
冷やすのと温めるのどちらが良いのかについては諸説ありますが、現状では「温めた方がよい」という説の方が信憑性のある報告を見る事ができます。
ただ、靭帯や筋肉が断裂している事が分かっている場合や痛みがひどいうちは、炎症をおさえる冷湿布を使います。どちらもやりすぎず、医師と相談しましょう。
痛みが強いうちはお風呂で温めると逆効果となるケースもありますが、強い痛みが治まったら温めて構いません。
安静にしつつ、少しは動く
痛みが強い間(2~3日くらいが一般的です)は安静にしている事が大切ですが、動けるようになったら少しでもいいので日常の動きをしていた方がよいでしょう。どうしても安静にしていられない場合はコルセットを着用しサポートするようにします。
ただしあまり長期間コルセットを付けたままにすると筋肉が衰えてしまうので、医師と相談して使うようにしましょう。
薬を使う
ぎっくり腰には痛み止めの薬が効くので、痛みがひどいときは薬を使いましょう。
日本で主に使われているのは「非ステロイド性抗炎症剤」です。よく効く薬ですが、飲み薬の場合胃腸を悪くする人がいるため、胃薬と一緒に飲む場合があります。
欧米では、「アセトアミノフェン」という薬が使われています。非ステロイド性抗炎症薬の方が痛みには聞きますが、アセトアミノフェンには胃腸への悪影響がありません。
その他、筋弛緩薬を使用する例もありますが、こちらは脱力や眠気などの副作用が高確立で起こります。
いずれの薬を用いる場合も、医師や薬剤師と相談の上、正しく使いましょう。
マッサージは禁物
治療として患部のマッサージを行う事はありますが、専門家以外の人がマッサージをするのは悪化の原因となる場合があります。
民間の救急サービスを利用する
ぎっくり腰になった場合に救急車を呼ぶ事は避けてほしいといった方針があるようです。少し様子を見て症状の変化を見てほしいというのが現状です。どうしても痛みが我慢できない場合は、民間の救急サービスを利用しましょう。
ただし、動かさなくても痛い場合や嘔吐を伴う場合、事故にあった場合などは救急車を呼んでも問題はありません。
まとめ
二足歩行で生活しているからにはどうしても腰に負担が掛かってしまいます。さらにデスクワークや車の運転など同じ姿勢を長時間続ける事も腰に悪影響です。
日々いろいろな所の筋肉を動かすようにする事や、腰を曲げる時は膝も少し曲げる等膝をうまく使って負担を分散させる事、荷物をいきなり持ち上げないように気をつける、等の対策があるので、これらを活用する事で予防となります。
ぎっくり腰は一度起きてしまうと再発しやすいと言われています。一回目が来ないよう、腰を大切にして生活しましょう。
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