股関節の筋肉痛の原因と治し方を紹介!痛みが病気が原因である可能性も?

股関節付近の筋肉や両足の付け根の筋肉が痛くなる方が、多くなっているようです。股関節の筋肉痛は、運動やスポーツが原因で生じることもあれば、日常生活のふとした動作で生じることもあります。

私達は、両脚で立ったり、座ったりという動作を日常的に繰り返しているために、その動作が股関節によって支えられていることを、特に意識することがありません。しかし、いったん股関節の筋肉痛が生じるならば、四肢の筋肉痛よりも深刻に受け止める必要があります。

そこで今回は、股関節の重要性と股関節の筋肉痛などについて、ご紹介をしたいと思います。

股関節の基礎知識

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そもそそ股関節について、どれほど知っているでしょうか?

股関節は、日常生活の基本動作に不可欠である重要な関節であるにも関わらず、案外詳しく知らない方が少なくありません。そこで、まずは股関節に関する基礎知識をおさらいしましょう。

股関節とは?

股関節は、人が日常生活で行う基本動作(立つ・しゃがむ・座る・歩く・走る)を行う上で必要不可欠な重要関節です。

下半身には股関節の他に、膝関節と足関節(足首)という大きな関節が存在しますが、膝と足首は基本的に曲げ伸ばしするだけです。

しかしながら、股関節は下肢を曲げ伸ばしするだけでなく、左右に広げたり狭めたり、捻ることもできるのです。つまり、下肢の自由な動きは股関節に大きく依存していると言っても過言ではありません。

この股関節の自由度が奪われることを想像してみると、股関節の重要性を心から実感できるのではないでしょうか。

股関節の構造

股関節は、太ももの大腿骨と骨盤が組み合わさっている球関節(きゅうかんせつ)です。球関節とは、関節の骨と骨の接合部が球状をしていることで、関節の可動域が最も広く自由度が高いタイプの関節のことです。股関節の他には、肩関節などが球関節に該当します。

つまり、大腿骨の先端(大腿骨骨頭)が球状・ボール状に丸くなり、受け皿になる骨盤側の部位である寛骨臼(かんこつきゅう)にはお椀状の窪みである臼蓋(きゅうがい)が存在します。

正常な股関節においては、寛骨臼が大腿骨骨頭の約4/5を包み込むことで、股関節を安定させています。股関節には、寝ている状態を除けば、どんな姿勢をしていても常に自分の体重の一部あるいは全部が負担としてかかってきますし、運動をする場合には体重以上の負荷がかかることもあります。走る場合やジャンプをする場合には、片足で着地をすることもありますので、片方の股関節に体重以上の負荷がかかることもあります。

そのため、股関節をさらに安定させるために、股関節は多くの筋肉や腱(靭帯)によって、全体を覆われています。

股関節に繋がる筋肉

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股関節に繋がる筋肉は非常に多く存在し、様々な運動や動作を行う推進力になるとともに、衝撃を吸収することで骨や関節軟骨を保護する役割も担っています。

それらの内で主な筋肉を、筋肉の機能別にご紹介します。

腸腰筋(ちょうようきん)

腸腰筋は、主に股関節を屈曲させる機能を有する、腰椎と大腿骨を結ぶ筋肉群の総称です。腸腰筋は、次の3本の筋肉で構成されています。

  • 腸骨筋(ちょうこつきん)
  • 大腰筋(だいようきん)
  • 小腰筋(しょうようきん)

内転筋群

内転筋群は、主に股を閉じる際に両脚を内側に狭める機能を有する、恥骨と大腿骨を結ぶ筋肉群の総称です。内転筋群は、次の5本の筋肉で構成されています。

  • 恥骨筋(ちこつきん)
  • 短内転筋
  • 長内転筋
  • 大内転筋
  • 薄筋(はっきん)

外転筋群

外転筋群は、主に股を広げて開脚する際に両脚を外側に開く機能を有する、骨盤上方の腸骨と大腿骨大転子などを結ぶ筋肉群の総称です。外転筋群は、次の3本の筋肉で構成されています。

  • 中殿筋(ちゅうでんきん)
  • 小殿筋(しょうでんきん)
  • 大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)

大殿筋(大臀筋)

大殿筋は、簡単に言うとお尻の筋肉です。主に、屈曲した股関節を元に戻すために伸展させる機能を有するとともに、非常に大きな筋肉であることから歩行時の推進力にもなります。

深層外旋筋(しんそうがいせんきん)

深層外旋筋は、主に股関節を外旋させる機能を有する、骨盤帯に付着する筋肉群の総称です。股関節を外旋させるとは、医学的定義は難しいので簡単に言うと、立った状態で、かかとを軸にして、足のつま先を外側に回転させる動きのことです。深層外旋筋は、次の6本の筋肉で構成されています。

  • 梨状筋(りじょうきん)
  • 上双子筋(じょうそうしきん)
  • 下双子筋(かそうしきん)
  • 大腿方形筋(だいたいほうけいきん)
  • 内閉鎖筋(ないへいさきん)
  • 外閉鎖筋(がいへいさきん)

大腿直筋

大腿直筋(だいたいちょっきん)は、太ももの前面に存在する大腿四頭筋の一つで、主に股関節を曲げる機能と膝関節を伸ばす機能を有しています。

大腿直筋は、骨盤の腸骨と膝関節の膝蓋骨を経由して、脛(すね)の脛骨粗面を結ぶ筋肉です。大腿直筋は、筋肉の始点と終点の間に、股関節と膝関節の二つの関節をまたぐことから、二関節筋の代表的な存在でもあります。

股関節付近が筋肉痛になる原因

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それでは、このような多くの筋肉が繋がる股関節で、筋肉痛になる原因は何なのでしょうか?股関節付近で筋肉痛が生じる原因を、ご紹介したいと思います。

急激な負荷が筋肉にかかる

筋肉痛の最も一般的な原因として、普段使わない筋肉を運動や作業などで急激に使うことが挙げられます。

筋肉に急激な負荷がかかることで、筋肉を構成する線維(筋線維)に微細な損傷が生じます。この損傷を修復するために、血液成分が集まることで一種の炎症が起こり、そこで生み出された炎症性の刺激物質(ヒスタミンなど)が筋膜を刺激し、痛みを感じるわけです。

ですから、日頃からスポーツをして体を動かしていても、そのスポーツで使う頻度が少ない筋肉に急激な負荷がかかれば、筋肉痛になる可能性があるのです。

運動不足や加齢による筋肉の衰え

普段からスポーツや運動を行わない人の筋肉は、使われないために徐々に衰えていきます。筋肉が衰えれば、普通の人にとっては何ともない動作や動きであっても、筋肉に負荷がかかります。

例えば、股関節や両脚の筋力が低下していると、歩行の際に自分の頭でイメージしているほど足が上がっていないことで、ちょっとした段差でつまずくことがあります。つまずけば、身体は反射的に倒れないように股関節などを急激に動かして踏ん張ります。

この踏ん張りは、普通の人にとっては特に問題になりませんが、運動不足の人や高齢者にとっては大きな負荷となり股関節付近の筋肉痛の原因となるのです。

疲労や冷えによる筋肉の強張り

前述したように、股関節周辺や鼠径部には非常の多くの筋肉と腱(靭帯)が存在しています。

これらの筋肉や腱に疲労が積み重なったり、筋肉や腱が冷えに晒されると、血流が低下して余計に疲労物質が滞ることになります。そうなると、筋肉が緊張して強張りやコリという状態になり、この状態が長く続くと痛みに変わってくることがあります。いわゆる肩こりが悪化すると、痛みに変わるのと似たような症状です。

ですから、筋肉の疲労や冷えも、股関節周辺の筋肉の痛みの原因となる可能性があります。

骨盤周辺のゆがみ

人体は、とても精緻で精巧に出来ていますので、どこかに痛みなどの不調があっても、全体の筋肉や靭帯が無意識的にバランスをとることで、無理して歩いたり、作業をしたりという動作をすることができます。

しかしながら、そのように無意識的にバランスをとる背後には、通常以上に負荷がかかっている身体の部位が必ずあります。無理に身体を動かしていると、必ず他の身体の部位に歪みが生じるのです。

例えば、骨盤や腰椎などに痛みや歪みがあると、それをカバーするように骨盤周辺の筋肉がバランスを取ろうとして、通常以上の負担を受けます。この状態が続くと、骨盤周辺の筋肉などに疲労が生じて、筋肉が強張り痛みが発生することがあります。

ですから、特に骨盤や腰椎などにゆがみがあると、股関節周辺の筋肉の痛みの原因となる可能性があるのです。

妊娠による変化

女性の場合は、妊娠による変化も股関節の筋肉痛の原因になります。

特に出産が迫ってくる妊娠後期になると、リラキシンと呼ばれるホルモンが分泌されます。このホルモンの影響で、出産に備えて股関節に繋がる靭帯や筋肉が柔らかくなり、緩むのです。

この靭帯や筋肉が柔らかく緩んでいるところで、歩いたりすると、従来の自分の体重の他に、お腹の中の赤ちゃんの重さも加わることで、余計に股関節周辺の筋肉が伸びることになり筋肉に負担がかかります。その結果、股関節周りに筋肉痛が発生するのです。

股関節周辺の筋肉痛の解消方法

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それでは、このように股関節や鼠径部の周辺の筋肉に痛みがある場合、どのようにすれば痛みを解消できるのでしょうか?

股関節の筋肉痛について、その解消方法をご紹介したいと思います。

ストレッチをする

筋肉に急激な負荷がかかったような場合など、いわゆる一般的な筋肉痛の場合は、ストレッチをすることで筋肉をほぐすと良いでしょう。

また、ストレッチ効果として、身体や筋肉の柔軟性を高めて、怪我や筋肉痛の予防効果も期待されます。

ストレッチ方法には、筋肉の種類やストレッチの対象となる身体の部位に応じて、腸腰筋ストレッチや開脚ストレッチなど様々な方法がありますので、ストレッチに関する書籍やインターネットを通じて、ご自分に合う方法を探してみてください。

運動をする

運動不足や加齢・老化によって筋肉が衰えている場合は、ストレッチで筋肉をほぐしつつ、身体の状態と相談しながら、運動をすることで筋肉を鍛えましょう。

筋肉をある程度鍛えることで、筋肉痛になりにくい体作りをするのです。具体的な方法としては、ウォーキングや体操などの軽い運動から始めて、徐々に筋トレを行うのも良いかもしれません。筋トレ方法も、いきなり器具を使わなくとも、自分の体重を利用した自重トレーニングで十分でしょう。

これらの運動効果や筋トレ効果は、即効性はないかもしれませんが、筋肉をつけて筋肉痛になりにくい体を手に入れるとともに、ダイエットに繋がる可能性もあるかもしれませんよ。

体を温める

筋肉の疲労や冷えが原因の場合は、半身浴などの入浴や市販の温熱治療器などを利用して、体を温めましょう。体を温めることで、血流を促して滞っていた疲労物質を流し去るとともに、筋肉の強張りを解きほぐしていくのです。

特に女性の場合は、男性に比べて下半身の筋肉量が少ない傾向があり、下半身が冷えやすいとされています。ですから、半身浴などの入浴は、入浴時の水分摂取にさえ注意すれば、安全性も高く手軽に行える血流改善方法として、おすすめの解消法と言えるでしょう。

整体や指圧などの施術を受けてみる

このようなセルフケアをしても股関節の筋肉痛が改善しない場合、疲労や冷えが蓄積しているのか、骨盤などにゆがみがあるのかもしれません。

その場合は、整体師(民間資格)やあん摩マッサージ指圧師(国家資格)などの専門家による、カイロプラクティックやツボ押しなどの施術を受けてみるのも、一つの解消方法と言えるでしょう。

筋肉痛ではない病気の可能性

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このような股関節の筋肉痛の解消方法を試しても、筋肉の痛みが1ヶ月以上続くようならば、もしかすると股関節の筋肉痛ではない可能性があります。

その場合は、整形外科などの病院を受診すべきでしょう。ここでは、痛みの原因かもしれない代表的な病気を、ご紹介したいと思います。

筋筋膜性疼痛症候群

筋筋膜性疼痛症候群は、特定の筋肉に激しい痛みを生じる病気のことです。筋筋膜性疼痛症候群は、全身の筋肉に発生する可能性があり、発生する場合は特定部位の筋肉に発症します。ちなみに、筋筋膜性疼痛症候群が股関節の内転筋群に現れる場合に、内転筋筋膜症候群と呼ぶこともあります。

筋筋膜性疼痛症候群の特徴は、血液検査やMRIなどの画像検査など、いわゆる西洋医学における検査で、可視的な病気の根拠が現れないことです。

筋筋膜性疼痛症候群の原因と発生メカニズム

筋筋膜性疼痛症候群の発生メカニズムは、運動などによる負荷で筋肉が損傷し、いわゆる筋肉痛が発生した後の回復過程で、さらに過負荷を加えたり、血行が悪い状態にすると、筋肉の収縮が元に戻らなくなり痛みを発生させると考えられています。

そして、筋筋膜性疼痛症候群の原因は、次のような複数の要因が関与しているとされています。

  • 筋肉痛が生じて筋肉が収縮しているところに、さらに過剰な負荷がかかること
  • 足の長さの不一致
  • 骨格のゆがみ
  • 姿勢の悪さ
  • 同じ姿勢で長時間いること
  • 貧血
  • ミネラルの不足

筋筋膜性疼痛症候群の治療方法

筋筋膜性疼痛症候群の治療は、トリガーポイント注射(トリガーポイントブロック注射)と呼ばれる局部麻酔注射を行うことで、筋肉の固まりを解きほぐして、血行を良くする方法があります。

また、東洋医学における鍼灸治療・針治療は、比較的効果が見込まれると考えられています。

変形性股関節症

変形性股関節症は、股関節に痛みが生じて、動かしにくくなる病気のことです。

最初は運動後などに鈍い痛みを感じる程度だったのが、症状が進行すると股関節可動時(起きる・立つ・歩くなど)に鼠径部などに強い痛みを生じるようになります。そして、徐々に股関節を使う日常動作が困難になります。

変形性股関節症の原因

日本における変形性股関節症は、発症数の約8割が二次性変形性股関節症と言われています。二次性変形性股関節症とは、子供の頃に生じた股関節の病気が原因で起こる変形性股関節症のことです。ちなみに、残りの約2割は、一次性変形性股関節症と呼ばれ、成人以降に発症する原因不明の変形性股関節症です。

二次性変形性股関節症の原因は、次のような小児期に発生する股関節の病気です。

  • 臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)
  • 発育性股関節脱臼
  • 大腿骨頭すべり症
  • ペルテス病
  • 股関節の脱臼
  • 大腿骨頚部骨折

変形性股関節症の治療方法

変形性股関節症の治療は、症状が初期の段階では保存療法を選択することになります。可能な限り、股関節の負担を減らしながら大事に股関節を使うようにします。体重が重めの場合は、ダイエットも検討しなければなりません。また、心理的に抵抗があるかもしれませんが、杖の使用も大切です。基本的には、理学療法士の指導を受けることになります。

保存療法と並行して、運動療法も行います。痛みがあるため、歩行しなくなり筋肉が衰えるのを抑制するために、運動療法が必要になります。具体的には、水泳や水中歩行などが推奨されています。

保存療法と運動療法でも痛みが緩和されない場合は、手術療法になります。股関節の変形が軽度であれば骨切り術、変形が重度であれば人工関節にする手術となります。

詳しくは、変形性股関節症の症状とは?原因や治療法を紹介!リハビリが必要なのはどんな時?を参考にしてください。

まとめ

いかがでしたか?股関節の重要性や股関節の筋肉痛などについて、ご理解いただけたでしょうか?

たしかに、私達は両脚で立ったり、座ったりという動作が当たり前にできているために、股関節の重要性を意識することが、ほとんどありませんよね。

しかしながら、私達の日常生活に必要な動作は、股関節なくしては成り立たないのです。トイレに行くのに立ち上がる、トイレで座るといった動作にも、股関節が重要な役割を果たしているわけです。

ですから、本記事をきっかけに、あらためて股関節の重要性に意識を向けて、自らの身体のケアを考えてみてくださいね。

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