二の腕が痛い時には、二の腕だけでなく肩や手の動きも不自由になる事があり、そういった場合は日常生活にも支障をきたし、たいへん不便です。
二の腕のどちら側が痛いかによって原因も異なり、それによって対処法も変わってきます。この記事では、二の腕の痛みの原因と対策について詳しく御説明いたします。
内側か外側かで、異なる二の腕の痛みの原因
二の腕が痛むのは、他の病気の影響によるものである事が多いです。二の腕のどちら側が痛いかによって、異なる原因因子について解説します。
二の腕の外側が痛い場合
二の腕の外側が痛い場合は、直接二の腕のみに問題がある場合は少なく、無理な姿勢や筋肉量の減少により、肩を中心に炎症を起こしている事が多いです。また、外観で皮膚などに異状が見られる場合は、皮膚の炎症が原因となっている事も考えられます。
一番多い要因である肩や首の異状については、病名ですと、四十肩や五十肩、頸椎椎間板ヘルニアなどがあります。しっかり病名にはならなくとも、無理な姿勢の継続により、首や肩に異状が起こり歪んだり、肩こりが原因となる場合も多いです。
他にも、神経が絡んだ病気や、どこかが圧迫されることにより二の腕に痛みが出てくる場合も考えられます。二の腕だけが痛いという場合は少ないため、外観に異状はないか、他に痛い部分はないかをはっきりさせる事が大切です。
二の腕の内側が痛い場合
二の腕の内側が痛い場合は、怪我などの外傷よりも神経の病気が原因となっている事が多いです。ピリピリと痺れている感覚がある場合には特に注意が必要です。これは神経が圧迫されたり、神経に何かしらの病気が発症していたり、といった場合に起こりえます。
神経の病気となると複雑で、症状が悪化する事も多いため、早めに医者の診察を受けましょう。命の危険性が高くはありませんが、日常生活に大きな影響を与える事も十分に考えられますので、早期治療が大切です。
二の腕の痛みの症状がある病気
二の腕の痛みには、以下に記載するような病気が考えられます。詳しく解説いたしますので、診察を受ける前、似たような症状があるかの確認に使用していただければと思います。
四十肩・五十肩
四十肩・五十肩は肩こりや首の歪みとは異なります。肩こりや首の歪みは、無理な姿勢を続ける事による筋肉への負担により、血行が悪くなり、老廃物が溜まる事によって引き起こされます。一方、四十肩・五十肩は関節に起こる炎症なので、無理な姿勢をしていたから等、理由がなくとも症状として発症します。
症状としては、肩を使った作業がしにくくなるのが特徴です。肩を上下に動かしたり、衣類を脱ぎ着したり、頭の位置まで手を挙げたりといった作業の事を指します。通常、肩もみをした時に、人差し指から小指までが揉む部分の辺りに痛みを感じるのも四十肩・五十肩の識別のポイントとなっています。逆に親指がある側はほぼ痛みがありません。
放っておいても約半年~1年で治るので心配はいりませんが、適切な検査や治療を行なう事により完治が早まるので、病院の受診をおすすめします。痛みが強い場合は、薬物を投与・投薬したり、無理のない運動をしたりするなど、医師の指示に従った処置を試みます。
帯状疱疹
帯状疱疹とは…痛みを伴う皮膚の炎症の事を言います。子どもの頃、水疱瘡になった経験のある方は多いかと思いますが、こちらと同じウイルスによって引き起こされる病気です。他、人が元々体の中に持っているヘルペスウイルスとも同じものです。
通常は症状が出ないのですが、免疫力が低下したり、ストレスがたまったりする事により、症状として表面に出てきます。子どもの頃、水疱瘡にかかった事がある方は、完全に治ったわけではなく一旦収まっただけなのです。体が弱った時を見計らって、症状を引き起こし悪さをしようと再発します。
成人の10%程度が発症すると言われており、そこまで珍しい病気ではありません。内服薬・外用薬共に効果的なものはありますし、原因を改善させれば、快方に向かう傾向にあります。一番大切なのは、体をしっかりと休ませてあげる事です。
稀に、帯状疱疹の皮膚の炎症は治ったのに、痛みが残ってしまう事があります。これを帯状疱疹神経痛と呼んでいます。年配の方々に多く見られ、ウイルスにより異状を示した神経が、思うように回復せず、継続的に痛みのみが残ってしまうのです。この症状が出た場合は、皮膚科以外に、痛みのある箇所に合わせて別の科も受診される事をおすすめします。
肩こりや首の歪み
赤ちゃんが生後しばらく経つまでは、頭が重たくなかなか上手く座れないのと一緒で、大人にとっても頭部の重さは負担になっています。現代はパソコン操作のようなデスクワークや、熱心に学習をする方が増えているせいか、前かがみの姿勢に変形してしまう事が増えていると言われています。
頭部を前に曲げるためには、首の後ろの筋肉を使います。実際に曲げてみると分かるのですが、この前かがみの姿勢を長時間続けると首の後ろの筋肉がつっぱり、想像以上に負担がかかるのです。このようにして引き起こされるのが肩こりだと言われています。前かがみの姿勢を続ける事で、年齢と共に背骨が曲がるのと同様、若いうちから首の骨が歪んでしまう事も考えられます。
こういった肩こりや首の歪みが原因で、首の筋肉が固くなり、首や肩の血行が悪くなってきます。症状が酷くなると、手の神経や腕などにも痺れのような症状が出る傾向にあります。骨や神経は全身繋がっているものなので、一部分に影響が出ただけで、他の部分にも多大なる問題が発生する事となります。一部分が不調な時は、他の部分で何か気になる症状がないのかも、しっかり記録しておく事が大切です。
頸椎椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアと聞くと、腰の痛みを想像する方が多いかと思いますが、頸部のヘルニアも深刻です。頸部とは、頭部と体を繋ぐ、すなわち首の部分と考えてください。
過去は加齢によるものが多かったのですが、最近は不規則な姿勢が原因で発症する事も多々あります。肩こりと同様、前のめりの姿勢だったり、スポーツなどで同じ姿勢を継続したりする事により症状として出てしまう事があります。
ヘルニアが引き起こされるメカニズムとしては、上記のような原因により、椎間板が脊髄の方に飛び出し、脊髄が圧迫される事により、痛みが生じます。肩や首、腕など頸椎と繋がっている部分に痺れが生じる事もありますし、酷くなると、足がもつれるどころか、歩行障害となる事もあり得るのです。
このような症状が考えられる場合は、椎間板に力を加えない状態をしばらく継続させるか、椎間板を削ったり元に戻したりする治療を行なうなどの処置を施す必要があります。日本で多く使われているのは、後者の外科的治療です。
特にピリピリとしびれる時は要注意!
上記にも記載しましたが、二の腕が痛いと言うより、痺れや麻痺が気になる場合には、神経によるものが多い事はお伝えしました。いくつか詳しく御紹介した症状以外にも、下記のような重篤な症状もあり得ます。
変形性頚椎症
頸椎が変形する事によって起こります。日常生活やスポーツなどで、無理な姿勢を長時間続ける事によって引き起こされる事が多いと言われています。
脊髄空洞症
脊髄内に空洞部分が現れることによって、他の脊髄部分に負担がかかり圧迫され、痺れが生じます。特に体の片側だけが痺れる事が多く、主に手足よりも腕の部分に痛みが生じる事が多いと言われています。
糖尿病
高血糖状態が長期間続く事によっても、神経に影響が及ぼされる事があり、麻痺が起こりえます。体の両側に対称的に痛みが生じるのは、脊髄空洞症との相違点と言えるでしょう。
脳の病気
こちらは最も重篤な症状と言えます。二の腕の痛みや麻痺にとどまらず、他にも危険性のある症状が出てくる事が予想されます。すぐに病院へ行くか、症状が酷いようなら周りの方の助けを借り、早急な対応をする事が求められます。顔を含む片側に麻痺が起こる片麻痺と呼ばれる症状ですが、どちらが麻痺するかは脳の障害の場所によって異なってきます。
二の腕の痛みを緩和する対策
記載してきたように、二の腕の痛み一つとっても、自分の生活改善でどうにかなるものから、重篤で早急な対応が必要なものまで、さまざまです。まずは医者へ行き、どこがどのように、いつから痛みがあるのか?をはっきり伝え、二の腕以外に気になる症状がないのかもはっきりさせておく事が大切です。
それぞれの病気によって対処方法もさまざまです。原因が分からない場合は、消炎鎮痛剤で痛みを抑えるなどの薬物療法が多いです。他、整形外科でマッサージを受けたり、痛い部分が痛まない程度にストレッチを行なったりといった解決策も考えられます。炎症が酷く、固定が必要な場合はテーピングをする場合もあります。
長期間継続してもなかなかよくならない場合は、最終的に手術をせざる負えない場合もあります。いずれにせよ、医師の指示に従い、適切な対処をする事が大切になってきます。
まとめ
二の腕の痛みについて、理解が深まりましたでしょうか?体は繋がっているため、二の腕だけに問題がある場合は少ない事が理解できたかと思います。
現代人に特に多いのは、前のめりの姿勢による肩こりのように感じますが、そのような問題点がある事を個々で理解し、こまめに休憩時間にストレッチをしたり、正しい姿勢での作業を心がけたりする事が大切です。
長く症状が続くようならば、早期に病院を受診し、適切な治療を受けられる事をおすすめします。そして、二の腕の痛みが早く改善するよう、再発を防ぐよう、無理のない姿勢を心がけるのが最も大切となってきます。