血圧の左右差が出る原因は?疾患の可能性や正しい測り方を紹介!

皆さんは、血圧に左右差があるというのはご存知でしょうか?皆さんが右腕と左腕の太さや力の強さが違うように、右腕と左腕の血管の太さが違います。
そして、人間の血行や血圧も絶えず変化しています。

その為、右腕と左腕の血圧の違いが多少出ることはごく自然な事です。一般的には右腕の方が少しだけ高くなる人が多いそうです。

しかしこの左右差は大きい事は病気が原因かもしれません。また毎日血圧をしっかり計測しているのに実は逆側の手の血圧は異常な数値が出ているのに、それに気づくことが出来ずに病気が進行してしまうなどの問題があります。

この左右差がどうして起こってしまうのかその原因と、左右差が大きい場合に考えられる病気や正しい血圧の測り方などについて紹介します。

血圧の左右差で高血圧や重大疾患に気づかない事も

血管からくる重大疾患に気づかずにショック

例えば、毎日右腕で血圧を測っていて正常だった方が、ある人突然急に脳卒中で倒れるといったことがあります。と言うのも、血管は詰まりの前は血圧が高くなり詰まった先の方が血圧が低くなる特徴があり、腕に繋がる手前の血管が詰まっていたり狭くなっている場合、測定している腕の血圧が低くなってしまうからです。

この方は毎日血圧を測っていましたが、右腕だけしか血圧を測っていたため、血圧が低くなっていなかった左腕の血圧を測定することによって高血圧を見逃してしまいました。

そして、高血圧や血圧の左右差を見逃してしまったことで、血管の詰まりも抱えていたことにも気づかず、脳卒中という重大疾患の兆候を見逃してしまった事になります。この様に、血圧の左右差を見逃してしまう事は命に関わる事態になりかねません。

それを防ぐために、日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインでは、「初診時には、上腕部の血圧の左右差を確認する事」との明記があります。

どのくらい左右差があると危険なの?

高齢者の方ほど血圧に左右差が出来やすく、右腕と左腕で10mmhg違う事もありますが、これはよくあることで正常な範囲です。

しかしながら、左右の血圧差が15mmmhgくらいの差が出てくると何らかの血管の詰まり等が怪しまれ、20~50mmhgなど大きな差が出来ると危険信号です。

血圧に極端な左右差が出来るという事は、血圧が低くなっている方の腕に繋がっている血管が詰まっているという事です。放っておくと重大疾患を引き起こす可能性が高くなり、非常に危険な状態です。実は血管の左右差に気づかず放置していると、最悪の場合死に至る病気が進行している場合があるのです。

家庭での検査では左腕で検査している人が多い

近年では、ご家庭で簡単に血圧を計測できる機械や道具などが普及しており、自宅で自分で毎日血圧を測っているという人も多いでしょう。

しかし右利きの人が多いこともあり、右手でバンドなどを持って左の腕に巻くという人が非常に多いようです。この記事を読んでいる人も基本的には左腕を計測している事が多いのではないでしょうか?

しかし病院での検査では高血圧の人の場合特に右腕の血圧を検査することが多いでしょう。時間があれば両腕を測定する様にしましょう。

左右の血圧に差が発生する原因

手 乾燥

病院での血圧の計測では左右の血圧を確認することが一般的で看護師さんなども必ずそうしてくれる事が多いでしょう。これは病気などが潜んでいないか、左右の差が正常の範囲内かどうかを調べるものなのですが、どうして左右の腕の血圧に差が生じてしまうのかその原因について紹介します。

一般的に右の方が血圧が高いのが正常

右の腕の血圧の方が一般的には高いと言われています。10mmHg未満であれば特に問題はありません。

右側の血圧が高くなってしまう原因は鎖骨下動脈の位置や向きにあります。心臓は左側にありますが、左右の腕に血液を送り出す血管が、右側の方がスムーズに血液が送られる向きであることや、大動脈に近いのが右腕であることなどの理由から、特に病気などの問題が無くとも右腕の血圧が高くなってしまうのです。

それ故、もし片方の腕での計測を行う場合は基本的に右腕の血圧を測ることが多いのです。

心臓は左に若干寄っているから左の方が血圧がたかくなり高くなりそう・・・と思われがちですが実はそんなことは無いんですね。実際は心臓は左心房が左に膨らんでいるので左に位置しているという印象がありますが、中心位置的には心臓は中央に存在しているのです。

入浴した後に測っている

入浴後や運動後などに検測している場合は、血圧が一時的に上昇しているもしくは乱れている可能性も考えられます。

正しい計測方法を行っていれば入浴後に血圧を測るなんてこと無いと思いますが、家庭で測る場合は計測するタイミングでも血圧が変化する事も考慮して考えてみてください。

血圧は短時間で上下している

1分間の間でも血圧は10mmHg変化することもあります。特に運動などをしていなくてもです。ちょっと立ち上がった、水道で手を洗った、トイレに行ったなどちょっとした動作でも簡単に血圧に変化が生まれることがあります。

特に変化しやすいのは入浴や脱衣所で服を脱ぐなどの体温変化、会話やテレビなどでの感情、精神状態の変化、飲酒喫煙などのタイミングに急変動することが多いです。

なので、ちょっとした会話を挟んだり、ちょっとトイレに行ったなどの行為を挟んでから反対側の腕の血圧を計測した場合大きく差が開いてしまう可能性があります。

締め付けのある洋服を着ている

可能性としてこちらも挙げられます。正しい計測方法を行っていれば締め付けのある洋服を着ている状態で計測を行ってしまっている場合、大きく左右差が発生してしまいます。

脇の部分で締め付けられていたり、腕に無理な力が入っている体制が正しくないなどの要因はありませんか?腕を心臓よりも高い位置で計測していないか、低すぎる位置で計測していないかなどを確認してみてください。

血管が詰まっている

プラーク(ゴミ)や血栓が出来てしまう事で血管が狭くなってしまっているために左右どちらかの血圧が低下してしまいます。非常にシンプルな原因です。

動脈硬化や鎖骨下動脈付近に発生している血管の血流の低下が原因が特に考えられます。

両腕の血圧差が10mmHg以上離れている場合に血管疾患などが疑われ、血管検査が必要になります。

病気が関係している

病気や疾患が関係して血圧に左右差が大きく開いている可能性があります。

特に食生活が乱れている、運動不足である、肥満体型である、年齢が50歳を超えている、などの項目に当てはまる人は特に注意が必要です。

血圧には波がありますが、朝晩とそれぞれのタイミングで正しく計測している場合に、連続して異常数値が出てしまうことはほとんどありません。

もし、連日異常な左右差のある数値が発見されたときは病気の可能性が非常に高いので病院での検査を行うようにしましょう。

以下で左右差がある場合に考えられる病気について紹介しますので参考にしてみてください。

極端な血圧の左右差で見つかる重大疾患

大動脈解離は恐ろしい

血圧に極端な左右差があるという事は、血圧が低くなっている方はその元となる血管が詰まっている場合が多く、最悪の場合死に至る重大疾患の可能性が非常に高くなります。

ですので、左右両方の血圧を測ることにより、血圧を左右差で高血圧を見逃してしまうのを防ぎ、脳卒中や脳出血、心筋梗塞や腎不全などの病気の予防することが大切です。

大動脈解離

大動脈解離とは、心臓から出ている一番大きな血管である大動脈の血管内部の壁に切れ目が入り、そこから血液が徐々に入り込むことで血管の内膜が中膜や外膜から分離されてしまう大変危険な病気です。これが発症してしまうと胸や背中に激痛が走り、最悪の場合は大量出血で死に至る病気です。また発症した場合手足の血流が悪くなるのが特徴です。2週間以上放置した場合の致死率はなんと70%に上るそうです。

加藤茶さんもかかったこの病気で、石原裕次郎さんもこの病気で大変苦しみました。

突然に発症することも多く、その場合は急性大動脈解離と呼ばれ、急性心筋梗塞と同じくらい危険な急性疾患の一つです。

この病気は高血圧の方が発症しやすく、特に男性は女性の3倍発症しやすいと言われています。

末梢動脈疾患

末梢動脈疾患とは、高血圧、糖尿病、高脂血症といった生活習慣病によって、足に繋がる動脈の内壁の内側にコレステロールがたまって血流を妨げている状態をいいます。そこから血管が硬くなってしまうと動脈硬化と言われる状態になります。

65歳以上の糖尿病や喫煙者の方は特に危険な病気と言われていますので、特に注意しましょう。

以前は閉塞性動脈硬化症や下肢動脈閉塞症と呼ばれていましたが、現在は末梢動脈疾患に等位置されています。

この病気は左右差だけでなく、腕と足といった血圧の上下差によって発見の手掛かりになることもあります。

大動脈炎症群(高安病)

大動脈炎症群とは、15~30歳くらいの若い女性に多い原因不明の病気です。一番最初の報告者の名前を取って高安病とも呼ばれます。

症状は、心臓から出ている大動脈と脳や腎臓などの臓器に繋がる主分枝に炎症ができ、それが慢性化することによって、炎症患部が厚みを増して動脈内部の血管が細くなって血流を妨げるようになります。大動脈に炎症が出来ると、一部動脈瘤が出来るケースもあるようです。

大動脈とその主分枝のどの部分に炎症が出来るかは個人差がありますが、肺の動脈が炎症によって狭くなってしまうと、血圧に左右差が生じます。

また過去に大動脈炎症群を発症した方は、患部によっては数年後に炎症部が傷跡の様に盛り上がって細くなることによって血圧の左右差が生じる場合があるそうです。

高血圧から発症リスクが上がる病気も怖い

血圧が高くなると、体の全体的に血管により負荷が常に掛かってしまいます。高血圧で血管への負荷が大きくなると、血管は破れない様に厚くなると同時にすこしずつ堅くなってしまいます。

血管が堅くなってしまうと、コレステロールが溜まりやすくなり、より血圧が高くなってしまうという悪循環に陥ってしまう可能性が高くなります。

そうすると以下の様な重大な病気のリスクが非常に大きくなります。

高血圧の怖い所は、血管は体全身にめぐらされているため、心臓や腎臓の臓器、脳に繋がる血管、動脈などあらゆるところに病気の可能性が出来てしまう事です。

血圧は左右差をしっかり測るようにして、高血圧を見逃さない様にしましょう。

足の血圧を測るのも大事!

足の血圧も図ろう

血圧の変化は左右差だけでなく、足など下肢部に表れる場合があります。本来重力の影響で、下肢部は血圧が他の体の部分よりも高くなります。

しかしながら、動脈などに血管の詰まりがあると、その先にある足などの血行が妨げられて血圧が下がります。例えば、腕よりも足の血圧が低くなってしまっている場合は、末梢動脈疾患などの病気の可能性があります。

血圧の左右差でも分かる場合もありますが、定期的に合わせて足の血圧を測っておくと、より下肢部に繋がる動脈などの血管に関する病気の早期発見に繋がります。

血圧の左右差を正しく測る方法

血圧に左右差があると危険

血圧はちょっとした体の状態や精神状態の変化で変わってしまいます。正しく血圧を測れていないと、左右差があっても分からなかったり、逆に正常なのに血圧の左右差があると勘違いしてしまう事に繋がります。

血圧を測る場合は、片腕でも両腕でも正しい方法で測定するようにしましょう。

血圧測定30分前はカフェイン、ニコチン、アルコールを取らない

血圧は微妙な血管の収縮で変わってしまいます。

カフェインやニコチンは血管を縮めてしまいますし、アルコールは心拍数を上げますので、血圧測定前にはこれらが入っているものを取らない様にしましょう。

体をなるべく圧迫せず、リラックスして測定する

体に圧迫されている部分があると、その部分の血圧が上がってしまいます。例えば、正座をしていると、足の部分が圧迫されて血圧が変わってしまいます。血圧を測定する場合は、椅子などに深く座ってリラックスするようにしましょう。

また、タイツなどの締め付けがきつい服や、ジャケットなど片回りが制限される服も体を圧迫するので、なるべく体が締め付けられない服装で血圧を測定しましょう。

基本は心臓に近い右腕の上腕部から測りましょう

血圧は心臓から体の隅々まで血液を送り込む為の圧力ですので、血圧を測る際は出来るだけ心臓に近い所で測った方がより正確に測定することが出来ます。また、末端部分で測定すると圧力は等で誤差が生じやすいのも理由の一つです。

足など心臓よりも低い位置で測定すると血圧は重力の関係で高くなり、逆に心臓より高い位置になると、血圧は低くなります。ですので、血圧は上腕部を心臓と同じ高さで測るのが基本的な方法です。

しかし、上腕にケガがある場合などは上腕部の代わりに前腕で測定することも可能です。

片腕を測定しあとは1分~2分休んでからもう片腕を測定

血圧は心拍数や呼吸、精神状態など些細な事で変化します。

血圧を測る時も測定部を締め上げて血圧が変化しますので、片方の腕の血圧を測定した後は少しリラックスして呼吸を落ち着けてから、もう片方の腕の血圧を測定するようにしましょう。

朝起きてすぐや、寝る直前などはリラックス時に測定

血圧は些細なことで変わってしまうので、朝に測定する場合はトイレをまず済ませてから血圧を測定するようにしましょう。

また、夜もリラックスした状態を作ってから測定するようにしましょう。

計測を行う時間は?

基本的には起床の30分後〜1時間以内に1回。夜就寝前の入浴後1時間以上後に1回。1日に計2回測ることが理想です。

特に朝の計測が重要とされています。これは就寝中の血圧の状態が朝に現れやすいためです。それぞれの生活リズムの中で就寝と起床の2つの行動を軸に血圧を計測するようにしましょう。

まとめ

このように血圧の左右差があるという事は、動脈など血管にコレステロールが溜まるなどして血流が悪くなっている可能性があるという事です。そして、それによって生死を問われるような大きな病気の可能性も疑われますので、血圧は左右両方の腕で正しく測るようにしましょう。

また、血圧に差があると危険なのは左右差だけでなく上下差も関係があります。それは心臓から下肢部や臓器に繋がる動脈の血流が妨げられて発症する動脈乖離などの危険な病気があるからです。そういった病気を防ぐためにも、足の血圧も定期的に測るようにしましょう。

そして、これらの元となるのは多くの場合高血圧が関係しています。血圧の左右差によって病気の原因となる高血圧を見逃さないためにも、血圧は左右両方の腕で定期的にかつ正しい方法で測っておくことが大切になります。

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