健康診断は受けていますか?健康を維持するためには、定期的に診断を受けていきたいものすが、肝心の診断の結果を見ても、ただの素人には難しい言葉も出てきますよね。
見てみたら、D判定などの低い判定が出てしまい、気になるけれども、よくわからない…と言う人も多いのではないでしょうか。そんな中でも、今回は「ヘマトクリット(Ht)」という値についての記事をまとめてみました。
ヘマトクリット値が低かったけれど、どうしたらいいのかわからないという人は、ぜひご一読ください。
ヘマトクリット(Ht)とは?
ヘマトクリットの数値は、血液の中の赤血球の多さを意味しています。
血液というのは血清という、清らかな黄色い液体のなかに、血球という赤い球場の個体が浮かんでいるようなイメージです。この中で、ヘマトクリットというのは血球の割合を示すものです。簡単に言うと、血液が濃いか、薄いかということになります。
ヘマトクリットの値が、基準値より高ければ、血液が濃いということになりますし、低ければ、反対に血液が薄いということになります。
ヘマトクリットの基準値
ヘマトクリットの基準値は男性の方が38.5~48.9%、女性の方が35.5~43.9%です。健康診断の結果が、これらの基準値内なら、問題はありません。
より平均に近いほうが健康といえるので、少し低いなと思う方も気をつける必要があるでしょう。
なお、新生児・幼児は大人よりもヘマトクリット値が成人の基準値よりも高く、60%ほどあります。15歳くらいになると、正常値となります。
血球数というのは、年齢、季節、時間帯、などでも差がありますので、基準値はその時期のものに照らし合わせましょう。
大まかには、男女ともに40%前後であれば、心配はないと覚えておきましょう。
ヘマトクリットが低いと?
ヘマトクリットの値が低いということは、血液が薄いということですから、多くの場合は貧血の症状が疑われます。
貧血を判断するためには、ヘマトクリット値だけではなく、その他にも、赤血球数、ヘモグロビン数、赤血球に対してヘモグロビンがどれくらいの割合であるかということも重要ですが、そもそもの血液に対して、赤血球がどの程度あるのかというヘマトクリット値も重要です。
やはり、このヘマトクリット値が低い方には貧血が見られる方が多いため、注意が必要です。
「鉄欠乏性貧血」、「再生不良性貧血」などの疑いも高いため、数値が低く出てしまった時は、一度お近くの病院を受診しましょう。
ヘマトクリットの値が低い時の例外的要因
ヘマトクリットの値が低い時は、貧血の可能性が高いのですが、それ以外もあります。
一つは、女性の場合は、月経に影響によりヘマトクリットが低い値を示すことがあります。
その他にも一時的に出血すると、低い値を示すこともあります。
もう一つは、これも女性の場合は、妊娠後半では循環血漿量が増えてしまうため、数値上は低い値となります。
ヘマトクリット値を上げる方法
ヘマトクリット値が低く出てしまい貧血と診断された場合に行われる治療は、食事療法といって、クスリが処方されるわけではなく、基本的には食生活の改善から行っていきます。
「鉄」、「葉酸」、「ビタミンB12」、「ビタミンB群」、「タンパク質」を摂取すると良いでしょう。まずは、貧血対策に必要な栄養素がもたらす効果を見てみましょう。
鉄分
一番重要視される血液の元となる「鉄」に関しては「ヘム鉄」、「非ヘム鉄」の二種類があります。薬局のサプリメントのコーナーなどでは「ヘム鉄」というサプリメントを見たことがある方も居るのではないでしょうか。
「ヘム鉄」はそのまま摂取しても、効率よく吸収される動物性鉄分です。対して、「非ヘム鉄」の場合は、植物性鉄分と言われており、そのまま摂取すると吸収されにくいという性質を持っているため、食べ合わせ、飲み合わせが重要になってきます。
「非ヘム鉄」の吸収率を上げるために、同時に摂取すると良い栄養素は「タンパク質」、「ビタミンC」などになります。
葉酸・ビタミンB12(及びビタミンB群)
葉酸・ビタミンB12は、造血効果を持っており、体に吸収された鉄分を効率よく血液に変えてくれる効果を持っています。
葉酸やビタミンB12だけでは貧血の改善効果は薄いのですが、血液を作るのに欠かせない栄養素となっています。
タンパク質
タンパク質には、上記の「非ヘム鉄」を体に効率よく吸収するのを助けてくれる効果があります。
その他にも、タンパク質とはアミノ酸から成るものなので、健康には欠かせないものといえますね。
貧血に効果のある食事療法
それでは、具体的にどのような食材に貧血に効果のある栄養素が含まれているのか、見てみましょう。
レバーなどの肉類
鶏レバーなどが代表する肝臓系食品には、上記の鉄分の吸収率が非常に高い「ヘム鉄」が多く含有されています。この「ヘム鉄」は上記にも書きましたが、動物性の鉄分と言われており、貧血の治療にはよく勧められる代表的な栄養素です。
また、「ビタミンB12」も多く含有されており、バランスよく必要な栄養素を摂取することができる食材です。
もちろん、「タンパク質」も多く含まれているので、貧血予防や対策には欠かせない食材です。
主に含まれる栄養素
・「ヘム鉄」
・「ビタミンB12」
・「タンパク質」
魚介類
マグロやカツオなどの魚介類の中には、豊富な「ビタミンB群」、「タンパク質」が含まれています。また、アサリやハマグリなどの貝類、ニボシ、干しエビ、などには「ヘム鉄」も多く含まれています。海苔や、乾燥ワカメ、などの乾燥系の製品の魚介類などは「非ヘム鉄」が含まれます。
綺麗な血液を作るのに良く医師から勧められるものに、ひじきがあります。
確かに鉄分を多く含まれていて、造血にとても役立つ食材なのですが、これは「非ヘム鉄」となるので、ビタミンC、タンパク質と一緒に摂取して吸収率を上げましょう。
主に含まれる栄養素
・「ヘム鉄」
・「ビタミンB12」
・「タンパク質」
大豆製品
納豆、豆腐などの大豆製品には、造血効果を持つ「葉酸」が豊富に含まれています。
また、大豆は畑のお肉という言葉も聞いたことがあると思いますが、これは大豆には、良質な「タンパク質」が豊富に含まれているからです。大豆は、他にも多分な栄養素を備えていて、がん予防にも効果的だと言われています。
大豆の水煮などと組み合わせて、ひじきの煮物などを付け合わせにすると、とても効果的ではないでしょうか。
主に含まれる栄養素
・「タンパク質」
・「葉酸」
緑黄色野菜ほか野菜類
ほうれん草や、小松菜には「鉄分」が含まれているというのは、耳にしたことがある方も居るかもしれません。
ほうれん草はおひたしにして食べたり、小松菜をサラダにしてみたりと、付け合せとして用意しやすい食材ですね。
その他の野菜類にも、誘導体と成るビタミンが豊富に含まれているものが多いです。
ブロッコリーや、サツマイモには、「葉酸」「ビタミンB群」が含まれていますし、キャベツや、ゴーヤには「葉酸」「ビタミンC」が含まれています。
勿論野菜ばかりではいけませんが、バランスが大切なので、含まれている栄養素を意識しながら普段の食事に野菜を取り入れましょう。
主に含まれる栄養素
・「ビタミンC」
・「ビタミンB群」
・「葉酸」
・「非ヘム鉄」
フルーツ類
時期が関係なく、一年中リーズナブルな値段で手に入るバナナには「ビタミンB群」が含まれています。イチゴ、みかん、柿には「ビタミンC」「葉酸」が、メロンには「葉酸」が豊富に含まれています。
フルーツは食べやすく、消化にも負担をかけないので、積極的に摂取したいですね。
主に含まれる栄養素
・「ビタミンB群」
・「ビタミンC」
・「葉酸」
牛乳・卵
卵は、完全栄養食品と呼ばれており、ゆでたまご一つを摂取するだけでも、とてもバランスよく栄養素を体の中に取り入れることができると言われています。牛乳には「タンパク質」と「ビタミンB群」が多く含まれています。
日常的に卵や牛乳は自然と摂り入れられる事が多いとは思いますが、あまり普段食べていないなと思う方は、意識的にこの二つを摂取してみましょう。
主に含まれる栄養素
・「非ヘム鉄」
・「タンパク質」
・「ビタミンB群」
・「葉酸」
貧血改善レシピ!
上記の栄養素が含まれる食材を摂取すれば、貧血は改善されていきますが、あまり料理を慣れていない人は、食材を見ても、何を作ったらいいのかわからないかもしれませんので、具体的なレシピの例をいくつか見てみましょう。
比較的簡単なレシピを用意しましたので、日々の料理の参考にしてください。
レバニラ炒め
【材料】分量(一人前)
- 牛レバ― 60g
- 塩 少々
- こしょう 少々
- にら 20g
- もやし 60g
- サラダ油 大さじ2/3
- しょうゆ 小さじ1
- レバーは薄切りにスライスして、ボウルに入れ、流水にさらしてしっかり血抜きをする。
※この時、お酒、牛乳などを使用してもよい。
5分ほど血抜きをしたら、ザルにあげて水を切り、塩コショウをする。
※臭みが気になるレバーの場合は、更にサッと湯通しを行うと良い。
ニラは3cmの長さに切り、もやしはひげ根をとる。 - フライパンに油半量を入れて熱し、臭みをとったレバーを入れて焼き、中まで火を通したらボウルに取り出す。
- あいたフライパンに残りの油を入れて熱し、ニラ、もやしを入れて炒める。
全体に油が回ったら、レバーをフライパンに戻し、醤油を加えて味を調えて、出来上がり。
ポイント
貧血改善といえば、やはりレバーですね。そしてニラには「ビタミンB群」「ビタミンC」が含まれています。ニラには臭みを消す効果もあるので、レバーとは相性が良いです。
おいしくいただくポイントは、やはり、しっかりとレバーの血抜きを行うことです。レバー特有の臭みを、いかに抑えて調理するかがポイントとなります。
血抜きには、牛乳を使うのも良いです。牛乳には臭いを吸着しやすい性質があるため、血なま臭さを抑えてくれます。牛乳を使用して、血抜きを行う場合は、少し長く15分ほど血抜きを行うと良いでしょう。血抜きが重要とはいっても、やりすぎると、ビタミン等が逃げてしまいますが、牛乳の場合はビタミンの損失が少ないのです。
レシピでは、牛レバーを使用していますが、鶏のレバーは比較的臭みも少ないので、調理しやすいです。
くわえて、新鮮な栄養を体に取り入れるには、新鮮な状態のお肉がベストですので、お肉屋さんなど、ご近所にありましたら覗いてみてください。スーパーのお肉よりも新鮮なお肉が手に入ります。レバーの場合ですと、臭みも新鮮な方が少ないです。
ほうれん草のナムル
【材料】分量(一人前)
- ほうれん草 80g
- いり白ゴマ 小さじ1/3
- しょうゆ 小さじ2/3
- ごま油 小さじ1/4
- ほうれん草は水洗いし、根本の太い部分には切込みを入れる。
- 鍋にお湯を沸騰させて、塩(分量外)をいれ、ほうれん草を根本から入れて茹でる。
- 冷水に取り、水けを絞り、3cmの長さに切りそろえる。
- しょうゆ・ごま油を和えて、器に持って、いり白ごまを散らして、出来上がり。
ポイント
豊富な鉄分が含まれていて、貧血改善にはとても効果の高い食材である、ほうれん草の簡単レシピです。茹でる、和えるというだけの工程なので、付け合せを作るのが面倒だな、と思ってしまう時でも、このレシピなら時間も少なく、簡単に用意できると思います。
もやしや、にんじんも同じようにナムルとして、おいしく頂けます。
ひじきと大豆の煮物
【材料】分量(四人前)
- 乾燥ひじき 18g
- 大豆(水煮) 150g
- にんじん 1/4本
- 油揚げ 1/2枚
- a・水 200cc
- a・和風顆粒だし 大さじ1
- a・砂糖 大さじ1
- a・酒 大さじ1
- a・しょうゆ 大さじ2
- サラダ油 少々
- みりん 少々
- 桜えび 少々
- ひじきを水に戻し、水けをきる。にんじんはみじん切り、油揚げはお湯をかけて油抜きをして、細切りにする。
- フライパンに少量の油を入れて熱し、ひじき、にんじん、油揚げ、大豆を軽く炒める。
- フライパンにaの水、顆粒だし、砂糖、酒、しょうゆを入れて、煮立たせ、煮汁がごく少量になるまで煮る。
- 器にとったら、みりんをほんの少しかけて、桜えびを散らしたら、出来上がり。
ポイント
ひじきや大豆は栄養価がとても高く、付け合せに用意すると、とても栄養バランスを良くしてくれます。これも慣れてしまえば簡単にできますが、少し手間だなと思う人向けに多めのレシピを用意しました。
残りはタッパーなどの密封容器で保存して、冷蔵保存して、少しずつ食べましょう。
あまり長期間の保存はききませんが、できるだけ時間を抑えて栄養を摂取するためには、こういった工夫も大切です。多く作りすぎてしまい、食べられない分は冷凍保存もしましょう。
もちろん、慣れている人は食べる分だけ調理しましょう。栄養は新鮮に摂取するのが一番です。
まとめ
貧血に効果のある、様々な食材をあげていきましたが、食事療法で行われる鉄分の摂取は、ただひたすらに鉄分を多く含む食材をたくさん食べると良いという訳ではありません。
鉄分はミネラルであるため、余分に摂取しすぎても、過剰分は体外へしっかり排泄されます。
ですので、摂取過多という点では、心配はあまり必要ありませんが、やはり吸収率が低いという問題がある為、貧血に対処するための食事療法では、バランスの良い食生活を心がけ、鉄分の吸収率を高める工夫が必要です。
日常的なバランスの良い食事が、健康的な体を作り上げていきます。ぜひ今日から少しずつでも、貧血対策・予防に力を入れて、健康的な体で元気に過ごしましょう。