打ち身ってどういう状態なの?あざや内出血との違いは?症状・原因、対処法を紹介!

身体の一部を強打すると、強い痛みとともに、内出血が起こり、場合によってはひどく腫れることもあります。皆さまも、このような症状が現れる「打ち身」を、一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

皮膚からの出血などは伴わないことが多いため、ほとんどの人が、そのまま放置してしまうケースも多々あるようですが、受傷時にきちんと対処することで、治癒速度を縮めることができると言われています。

また、打ち身と骨折の症状を間違えて自己判断したため、骨折の治療に長期間を要したというケースや、あるいは、単なる青あざではなく、何らかの病気によって青あざができやすくなる場合もあるようです。

そこで、ここでは、私たちの日常生活で頻繁に起こりやすい「打ち身」についての症状や、対処法など、打ち身に関する様々な情報をご紹介いたします。

打ち身の症状

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打ち身は、主に、強い衝撃などの外的要因で、筋肉などの皮下組織が損傷する症状のことを示します。「打撲とはどう違うのか?」と疑問に思う人も多いかもしれませんが、打撲は、打ち身と同様の意味を示すものです。

多くのイメージでは、「打撲=ケガの名前」「打ち身=症状」と捉えられているようですが、どちらも“衝撃によって生じた皮下組織の損傷”を示しているようです。

それでは、打ち身(打撲)には、どのような症状が現れるのか、早速見ていきましょう。

内出血・青あざ

打ち身の代表的な症状とも言えるのが、内出血や青あざです。「出血」というのは、血管外に血液の成分が出てしまう現象のことを示し、「内出血」は、このような出血が、表皮の傷口を介してではなく、皮下組織や筋肉内で起こる現象です。

皮下には細かな血管が幾本も張り巡らされているため、強い衝撃が加わることで、皮膚組織そのものは傷を負わずとも、その内部で血管が損傷し、内出血を起こします。手足や顔、腹部、頭部など、身体のあらゆる箇所に起こりうるので、私たちの認識では、内出血がそれほど「大怪我」であるという印象を抱きにくいのかもしれません。

そして、内出血が起こると、それに伴ってできるのが「青あざ」です。治癒するにつれて(時間が経過するにつれて)、血管の赤い組織であるヘモグロビンが酸化するため、赤紫や青紫色のあざが、黄色く変色していきます。

受傷時に適切な処置をすれば、比較的早く青あざが消えるのですが、多くの場合、処置をしないまま放置しているため、なかなかあざが消えないという人も多いようです。

内出血については、内出血の治し方5選!正しい処置で早く治すようにしよう!を参考にしてください!

赤み・腫れ

皮下組織の損傷とともに、損傷部位に炎症を起こしていると、患部に腫れを伴うこともあります。腫れが見られた場合、大抵、受傷直後にピークを迎え、時間の経過あるいは治癒するにつれて、徐々に引いていくと言われています。

ほとんどの場合、3日もすれば腫れは引いていくので、何日も経過して、腫れが引かない場合には、骨折などを疑うべきでしょう。

痛み

もちろん、細胞組織を損傷して、炎症を起こしている状態ですから、痛みも伴います。しかし、打ち身の場合は、受傷時に最も痛みがあり、その後、時間の経過とともに、「押さえると痛む」という痛みに変わってきます。

多少の痛みがあるにせよ、身体を動かす際に、支障が出るほどではありません。また、打ち身と骨折の痛みでは、痛み方が異なります。

骨折の場合は、患部の骨の上を抑えると激しく痛むという「限局性圧痛」という独特の痛みに加え、痛くて動かすことができないほどの激しい痛みを伴うのが特徴です。

しかし、痛みの感じ方は人によって様々ですので、打ち身だと思っていたら、骨折や、ひびが入っていたということも珍しくありません。とくに、足の小指などを強打した際には、打ち身になっただけだと思っていたら、剥離骨折していた、というケースもあるようです。

もし、骨折を見逃して放置してしまうと、後遺症が残る可能性もあるため、的確な判断が必要です。

血腫

ほとんどの打ち身の場合、自然に治ると言われていますが、強い衝撃を受けて、血管が潰れたり切れたりすると、通常の内出血よりも多量の血液が皮下の血管外に出てしまいます。血管外へ溢れた血液は、血小板の働きもあるため、再び血管内に戻ることはありません。

通常の打ち身程度の内出血量であれば、血管外へ溢れた血液は、そのうち自然に体内に吸収されていきますが、出血量が多かったり、ひどい内出血を長期にわたって放置すると、血管外へ溢れ出た血液が繊維性の組織に置き換わってしまうのです。

こうなると、血腫によって筋肉の伸縮が困難になるため、筋肉断裂を起こすこともあるようです。

打ち身の対処法

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いくら多くの場合で自然治癒が可能であると言っても、損傷を受けたときにどう対処するかによって、治癒期間は異なります。ここでは、打ち身をできるだけ早く治すための対処法をご紹介いたします。

炎症期の対処法

衝撃を受けた、損傷直後の症状の特徴としては、内出血とともに赤みが出たり、腫れるといったものがありました。これは、皮下組織およびその周囲で炎症が起きている証です。腫れが生じている炎症期には、何よりもまず、冷やすこと(=アイシング)が大切です。

アイシングをする際には、氷のうやアイシングパック、またはビニールに氷を詰め込んだものを利用して、患部に密着させます。

氷は、製氷機などでは、通常-15℃~-20℃程度で保存されていることがほとんどですので、凍傷を避けるための工夫が必要です。少し常温で放置したものを使ったり、あるいは濡れたタオルなどを介して当てるようにしましょう。その際、テーピング用のテープや包帯などで固定しておくと、なお良いと言われています。

そのほかにも、バケツに氷水を用意し、その中に患部をつけて冷やす方法もあります。これは、ひざ下や、肘下などの打ち身に便利なアイシング方法と言えるでしょう。

冷却時間については、一般的に15分~20分程度とされていますが、肌の感覚は人によって個人差があります。目安としては、「感覚が麻痺した」と感じた時点で、すぐに終了することです。くれぐれも長時間冷やしすぎないように気をつけてください。

また、転倒などによる打ち身では、かすり傷などを伴うこともあるようです。その場合においては、アイシングを行う前に、患部を流水でよく洗い、消毒を済ませてからアイシングに移ってください。

炎症期での対処法の注意点

前途のように、炎症期は「冷やす」ことが大切なポイントになります。腫れが引くまでは、入浴時などに温めすぎないように配慮する必要があります。

また、よくアイシングの代わりに湿布を貼る人もいるようですが、湿布は鎮痛効果はありますが、冷たく感じるだけで冷却効果はありません。湿布を貼る際には、必ずアイシングのあとに貼るようにしてください。

そのほかにも、飲酒は血管を拡張させるため、治りを遅くする可能性があるだけではなく、痛みも再発することがありますので、腫れが引くまでは、飲酒は控えることをおすすめします。

内出血・青あざ期の対処法

アイシングをすると、早い場合にはその日のうちに腫れが引くこともあります。一般的には約3日経過する頃には、炎症が治まることが多いようです。

炎症期を過ぎて、内出血・青あざのみが症状として残っている期間には、アイシングと温める「温熱治療」を交互に行うことで、治療期間を短縮できると言われています。

アイシング→温熱治療→アイシング→温熱治療というように、双方の対処法を順に行ってみましょう。

温熱治療においては、患部が冷えないようにサポーターや温湿布などで工夫するのも良いかもしれません。そのほかには、タオルを濡らし、電子レンジなどで温めて患部に当てておく方法もあります。

しかし、電子レンジで加熱すると温まりすぎて、火傷を招くことがありますので、十分に気をつけてください。

温熱治療での適温は、36℃~37℃、およそ人肌ほどの温度だと言われています。気持ち良いと感じる温度を保つようにしましょう。

もちろん、入浴時に湯船に浸かり、身体を温めることは、毎日行うことができる手軽な治療法の一つと言えるでしょう。

内出血・青あざ期での対処法の注意点

温熱治療に移る前に、炎症がきちんと治まっているかを確認することは大切なポイントです。

少しでも腫れが残っている場合には、温熱治療ではなく、アイシングをするようにしてください。炎症期に温めると、痛みを増長させてしまいます。一週間程度経過しても腫れが引かない場合は、整形外科などを受診することをおすすめします。

また、タオルなどを温めて温熱治療に使用する場合には、温度が下がりやすいという問題点が生じますので、こまめに温めなおすように心がけましょう。その点を考えると、ホッカイロなどを応用すると、手軽で良いかもしれません。

打ち身ができやすくなる様々な疾患

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打ち身は、外部からの衝撃が原因となって起こります。しかし、医学的に見ると、打ち身のような一過性の斑紋が生じやすい場合においては、何らかの病気が隠れていることもあるようです。ぶつけたつもりがないにも関わらず、なぜか打ち身のような内出血をよく起こすという方は要注意です。

ここでは、内出血を起こしやすくなる場合に考えられる原因について、ご紹介いたします。

特発性血小板減少性紫斑病

これは難病指定されている困難な病気の一つです。血小板を減少させる可能性のある薬などを服用していないにも関わらず、血小板の数が減少して、出血しやすい状態になってしまう病気です。

小児によく見られる「急性型」の場合は、症状を発症してから半年以内に治まると言われていますが、成人が多く発症する「慢性型」の場合においては、血小板の減少が止まることはありません。

また、原因においても、急性型の場合は、ウイルス感染によるものなど、原因が明らかになっている一方で、慢性型の場合においては、原因不明になっているケースが多数だと言われています。

体内で、血小板に対する自己抗体ができることで、血小板を自ら破壊してしまうため、出血しやすいといった症状が起こるようです。

「内出血しやすい」以外の症状としては、

  • 皮膚に点状あるいは斑状の出血がある
  • 歯茎などの口腔内での出血がある
  • 鼻血がよく出る
  • 血便、血尿がある
  • 経血が多く、また、月経が長引きやすい

といった症状が認められており、ひどい場合には脳出血を起こすこともあるようです。内出血しやすいといった症状に加えて、これらの症状が見られた場合には、早急に病院を受診してください。

詳しくは、特発性血小板減少性紫斑病とは?症状・原因・治療法を紹介!を読んでおきましょう。

白血病

白血病という病名は、多くの人に知られているので、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。白血病とは、簡単に述べるならば「血液のガン」です。

血中には、赤血球・血小板・白血球といった血液細胞が存在していますが、これらの血液は骨髄で生産されています。

白血病になると、骨髄で生産される際に、これらの血液細胞が「白血病細胞」と呼ばれるがん細胞に変化し、増殖していくのです。

白血病は、染色体や遺伝子が損傷することが起因していると言われていますが、それらの原因として考えられているのは、放射線やベンゼンなどの化学物質、あるいはウイルスなどがあるようです。

白血病の初期症状として現れるのが、まさに、内出血やあざが頻繁にできるようになるというものです。そのほかにも、

  • 歯茎からの出血がある
  • 鼻血が出やすい
  • 貧血症状が起こりやすくなる
  • 発熱・頭痛が起こることがある
  • 寝汗をかきやすい
  • 動悸や息切れしやすい
  • 全身の倦怠感
  • 体重減少
  • 関節痛などの骨の痛みがある
  • 口内炎が頻繁にできる
  • 皮膚がよく痒くなる
  • 顔色が悪い

といった症状が見られます。白血病は、治療しなければ、死に至ることもあるため、早急に治療を開始しなければなりません。

万が一、このような症状がある場合においては、病院を受診してください。心細い場合には、誰かに相談して、付き添ってもらうと良いかもしれません。詳しくは、白血病の初期症状を紹介!あざやかゆみなどに要注意!を読んでおきましょう。

肝硬変

意外に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、肝硬変の場合においても内出血を起こしやすくなるといった症状が現れることがあるのです。

肝硬変とは、肝炎ウイルスやアルコールの過剰および長期的な摂取、肥満などによって、肝臓が硬くなってしまった状態を示します。

本来、再生機能が高いと言われている肝臓ですが、これらの原因によって長期的に肝臓細胞にダメージを与え続けると、線維化したたんぱく質が増加し、硬くなってしまうのです。肝硬変が悪化すると、肝臓がんの原因にもなりかねませんので、侮ることはできません。

では、なぜ内出血が関係しているのかというと、肝硬変による肝機能の低下が起因しています。肝機能低下によって、血液凝固作用も低下し、その結果、内出血を起こしやすくなるというわけです。

内出血しやすくなるといった症状のほかに、

  • 食欲低下・食欲不振
  • 疲れやすい
  • 全身の倦怠感
  • 体重減少
  • 黄疸
  • 身体の浮腫
  • 腹水
  • 肝性脳症

などの症状があげられます。しかし、肝臓は、「沈黙の臓器」と呼ばれているほど、自覚症状があらわれにくい器官です。上記にあげた「黄疸」以降の症状が出てきている場合には、かなり末期の状態にまで進行している可能性が非常に高くなります。

「自分は大丈夫」と過信せず、アルコールを長期的に飲んでいたり、肥満傾向にある人で、上記の前半項目に当てはまる症状がある場合においては、念の為に病院で精密検査をすることをおすすめします。

早期の段階で治療に取り組むことで、その後を大きく左右します。詳しくは、肝硬変の自覚症状を見逃さないように!注意すべき症状は?を読んでおきましょう。

薬剤によるもの

心疾患や、脳疾患で用いられることのある薬の中に、「抗血液凝固剤」と呼ばれる薬があります。この薬は、文字通り、血液を固まりにくく、サラサラにすることで血栓症などの合併症を予防する働きがあります。

このような薬を服用している場合、出血しやすい状態にあるため、内出血も起こしやすくなってしまうのです。そのため手術などの治療においても、抗凝固剤を服用している場合には、施術不可能になるケースが多々あります。

また、これらの薬には、ワルファリンなどの「抗凝固薬」とよばれるものと、アスピリンなどの「抗血小板薬」と呼ばれる2種類がありますが、作用の仕方が異なるため、それぞれ服用における注意点などにも違いがあります。

食べ合わせや、薬の飲み合わせ、控えるべき嗜好品や、副作用などについてを、事前にしっかりと医師に確認しておく必要があると言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。強い衝撃を受けたときのあの痛みは、身体の芯まで届くようです。しかし、身体の修復機能をサポートするように、適切な処置を行えば、より早い治癒も可能になります。

また、肌の露出が多くなる季節での、打ち身による内出血や青あざは、見た目の美しさも損なってしまいます。打ち身になったときには、正しい対処法で、素早く治すよう心がけましょう。

また、打ち身になりやすいという自覚がある人は、ここでご紹介した病気の症状を入念に確認し、少しでも当てはまる症状がある場合には、早めに病院を受診することをおすすめします。早めの治療で、病の程度や症状を大きく低減できることもあるのです。

身体のサインを、見逃さないということは、健康維持には欠かせないことなのかもしれません。

  
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