「性欲がない」「セックスが苦痛」──男女関係なく、このように性欲の低下に関する悩みを抱える人は、近年増加傾向にあるようです。実際にセックスレスに悩む夫婦も増加しています。
実際に、このような性欲が低いという悩みを持つ人たちの声に耳を傾けると、「性欲がない」というより、セックスに対する「嫌悪感」を抱いている、という表現の方もいらっしゃいます。もちろん、生物学的な理由もありますが、精神面での影響も大きいのは確かです。
年齢、性別、個人差によって、その強さは異なりますが、私たちが生きていくうえで、男女が出会い、互いに性欲を抱くのはごく自然なことです。つまり、健全な年頃の男女の性欲の低下は、不自然な減少であるとも言えるのです。
さて、そこで、ここでは、性欲の低下の原因について、男女別でご紹介いたします。
性欲が低下する原因(女性編)
現代を生きる女性は、非常に多忙です。少し前の時代と比べ、社会で活躍できる場所も格段に広がった分、キャパオーバーになってしまう女性が多々いるのが現状です。
女性たちが美しく、健康でいるためにも、セックスは欠かせない存在なのですが、そこまで心身が回らない、といったところでしょうか。
さて、女性の性欲低下には、どのような原因が考えられるのか、早速見ていきましょう。
ストレス・疲れ
精神面では、やはりストレスが大きく影響しているようです。仕事のストレス、家族や恋人の心配事、人間関係の悩みなど、「ストレスをあげればいくつでも出てくる」という人も多いのではないでしょうか?
このようなストレスは、交感神経を優位に働かせ、身体を緊張状態にさせてしまいます。すると、「セックスをする気分ではない」という精神的な影響だけではなく、実際にセックスをしても濡れにくく、痛みを伴う原因にもなります。
また、これは、セックスに関する問題に限らず、ストレスやひどい疲れは、不眠やうつ状態を招く要因にもなります。すると、疲れは溜まり、マイナス思考にもなりがちで、悪循環を生み出します。
ストレスの要因になっていることを取り除く方法を考えたり、一日の中でリラックスする時間を作るなどして、心身をゆったりさせてあげることが大切です。パートナーに話を聞いてもらうというのも一つの方法かもしれません。
コンプレックス
自分の身体にコンプレックスがある女性は、かなり多いようです。「色が白い」「細い」「小顔」「美乳」というように、美の定義が限定されがちな現代では、このような女性が増えても仕方ないのかもしれません。
コンプレックスを気にして、好きな人に裸を見られることに嫌悪感を抱き、セックスまで進展しても、気持ちを集中させることができないという人もいるようです。
世間が決める美の定義、もしくは「美しい」と言われる女性と自分を比べるのではなく、自分自身が良いな、と思えるところを探してみるのも良いかもしれません。コンプレックスばかりにフォーカスするのではなく、少し視点を変えて、自分の身体を見つめ直すことが大切です。
パートナーとのマンネリ化
特に関係が悪化しているわけではなくても、パートナーとの関係が長くなると、女性の性欲は低下します。これは、様々な研究からも証明されていることです。
自覚がある人は、たまには場所を変える、新しい下着を購入してみる、あまりしたことがない体位に挑戦してみるなど、これまでとは少し違うシチュエーションになるような心がけをするのも良いでしょう。
その他にも、関係が長くなればなるほど、パートナーに対して、男性的な魅力を見出しにくくなる傾向にあり、嫌なところも目につくようになってきます。
このような心理は、女性の性欲にも非常に大きな影響を与えるのです。これを機に、パートナーの頼もしさや、たくましさを改めて探してみるというのも良いですね。
アルコール
お酒を飲んで酔っ払うと、性欲も高まりそうですが、性欲低下の改善に、アルコールはあまりおすすめできません。
ほろ酔い程度の飲酒は、快楽を感じる脳内物質のドーパミンの分泌量を増やし、性欲を高める効果もあるようですが、ある一定の量を超えると、アルコールによって神経が麻痺し、感度が鈍くなってしまうのです。
アルコールの力を借りずとも、自然に性欲が湧いてくるのが一番です。
更年期障害
年齢とともに女性ホルモンの分泌が減少すると、ホルモンバランスが崩れ、様々な不調を招きます。そのうちの一つとして、性欲の低下があげられるのです。
女性ホルモンのエストロゲンが急激に減ると、膣が乾燥し、萎縮するため、セックスをすると痛みを伴うこともあります。通常であれば、40代後半から50代以降の閉経前後にこのような症状が出てきますが、最近では更年期障害の低年齢化も問題視されており、20代や30代で、更年期障害が始まる人もいるようです。
これは、過度なストレスや、喫煙、食生活の乱れ、無理なダイエットなどが原因だと言われています。このような場合には、生活習慣を見直し、年齢相応の健康な身体づくりに励むのが一番です。
ピル(避妊薬)の影響
ピル(避妊薬)の服用が、性欲低下の原因になっている場合もあります。通常、エストロゲンという女性ホルモンは、体内での分泌に大きく変動し、この変動によって、性欲が強くなったり、弱くなったりする時期が現れます。
しかし、ピルを服用することによって、エストロゲンの値が一定になります。つまり、性欲の強弱の「波」がなくなるため、「性欲がなくなった」と感じる人がいるようです。
明らかに性欲が低下したと感じる人もいれば、逆に性欲が強くなったと感じる人もいるので、一概には言えませんが、少なくとも、性衝動について、ピルが何らかの影響を与えていると言えるでしょう。
性欲が低下する原因(男性編)
男性の性欲低下は、見方によっては、女性よりもデリケートなものであると言えるかもしれません。
もし、パートナーの性欲低下を感じたら、女性はそれを責めたり、ダイレクトに「どうしてできないの?」と質問する前に、まずは女性側が、様子を見ながらこっそりと原因を探り、できそうなことから試していく、というやり方だと、パートナーを必要以上に不快にさせずに済むかもしれません。
さて、それでは、男性の性欲が低下する原因について、見ていきましょう。
「彼女・妻」≠女性
女性にも見られる原因と同様に、男性もまた、長く連れ添っていると相手のことを親友や家族、兄弟と同じように、「女性」というより「安心できる人」といった角度から見てしまうようです。
この場合、無理に「女として見させる」というように強引に気持ちを動かすことは、ほぼ不可能です。男性が、改めて長年連れ添った相手を「女性」として見ることができるように、髪型を変えたり、メイクを変えるなどのアプローチを女性側からしてみるのも良いでしょう。
なかでも、香水を変える、というのはおすすめです。香りは、人間の本能的なところに作用します。いつもとは違う香りをまとう女性に対して、男性は、本能的に自分のものにしたいという衝動が働きます。ほのかに香らせるというのもポイントです。
疲れている
男性の場合、ストレスがセックスによって解消されるケースが多いですが、体力的に疲れていると、ストレスを解消してくれるセックスですらできなくなる、という人が多いようです。
しかし、女性にはこの感覚があまり理解されにくいため、男性は余計にげんなりしてしまうケースが多々あります。
男性が、「今日は疲れている」と言っているときには、無理に誘うのではなく、「今日もお疲れさま」と優しく背中を撫でて、眠らせてあげるのが一番です。疲れが取れたら、きっと、性欲もまた戻ってくることでしょう。
性嫌悪
これは、性欲低下がさらに悪化した状態を言います。疲れていたり、その気になれないのに、無理やりセックスをして、失敗するという経験が重なると、セックスを負担に感じるようになるのです。
「女性を満足させなければ」という強い脅迫観念に襲われ、勃起しなくなるというケースもあるようです。女性の場合にも、起こりうることですが、男性はこのようなことに関しては、とてもナイーブです。様子を見ながら、できることを探してみましょう。
上であげたように、髪型を変える、メイクを変えるといった方法の他にも、寝具を変えたり、精のつくご飯を作ってあげるのも良いですね。
男性更年期障害
更年期障害は、女性に限らず男性にも見られます。年齢とともにホルモンの分泌量が減ると、精子の育ちが悪くなり、勃起中枢が鈍くなってしまいます。その結果、勃起しない、セックスの最中に勃起しなくなる、性欲の低下などが、症状として見られます。
また、肥満によっても男性ホルモン(テストステロン)の分泌が減少するようです。生活習慣や食生活を見直すことで、ホルモン分泌が低下するのを遅くすることが可能と言われていますので、パートナーの生活スタイルが乱れていると感じるときは、それらをそっと改善できるよう、サポートしてあげるのも良いでしょう。
適度な運動も必要ですので、これを機に、一緒に何かスポーツを始めるというのも良いかもしれません。
アルコール
これは、女性の場合と同様です。ほろ酔いだと、気が大きくなり性欲も強くなりますが、過度なアルコールは神経を麻痺させ、勃起しなくなる可能性が高くなります。
また、頻繁にアルコールを摂取する人にも、このような現象が出る場合があるとも言われています。時々、休肝日を作ることも大切です。
近年性欲が低下している若者が増加している
近年新聞やニュースなどでも若者の〇〇離れという話題をよく見かけますが、若者の性欲離れというニュースも例外ではありません。どんどん多様化している世の中で、結婚やお金持ちだけが幸せを測る指標ではないことを多くの人が感じています。
ジェンダー(性区分)においても多様化が進みつつあり、同性での恋愛やプラトニックと言った恋愛性質の人も受け入れられる様になっています。
若者の性離れが進んでいる?
若者の性事情を覗いてみると、恋愛は大変だから別に恋愛や性行為に依存しなくても良いという意見があるようです。
80年代バブルの頃は活発に恋愛が行われ、情熱的に燃え上がっては離婚するなどのスキャンダルも少なくなく、不倫騒動なども多く世間を賑わせていました。しかしそれでも女遊びは芸の肥やしなどという意見も当時の代表的な考え方でしょう。
しかし現代では不倫はタブー、完全悪という捉え方をしている流れがあり、芸人ですら愛妻家が進んでいます。
この様な流れもあり、最近の若者の間では結婚を視野に入れない恋愛をしている男性が減ってきているというのです。バブルの頃にはお金もあって、女性との交際費などを男性が負担して居たりしましたが、現在では賃金も少なくなり、自分の趣味も女性も遊びも親孝行もすべて賄える時代ではなくなり、やりたいことを絞らなければ満足に楽しむことは出来ません。
このことからもだったら合理的に女性関係を少なくして本命だけに集中しようという思考が働いているのでしょう。
連絡手段の復旧も関係している?
昔は電話などをするにも、家の電話に電話をかけたり、なかなか会えない話が出来ない、と簡単にコミュニケーションが取れる時代ではありませんでした。
しかし現代では携帯電話の普及とともにスマートフォンへと時代が変わりSNSやラインアプリなどで簡単に連絡が取れて、あまり恋愛が加熱的に盛り上がらない傾向にあるといいます。
若い世代でも将来のことを合理的に考え、少し冷めていると感じることすらあります。
また、昔のように恋愛だけでなく沢山の熱狂できるコンテンツが増えてきている事も大きな理由でしょう。
精子の量が減っている?
男性の精液に含まれる精子の量が今と昔で変わってきているのはご存知でしょうか?
2016年ごろから警戒視されている問題で、男性の精液が年々減少していることに加え、大きさも小さくなり、奇形の精子も増加しているというデータがあります。
合同研究で行われている各国の男性の精液の検査でも、日本が最も精子の量が少なかったことも報告されています。
原因は異性への関心の低下や食生活の変化などの関係性が報告されていますが、詳しい関連性については未だ明らかになっていません。
精子が少なくなっていることで性欲が減少しているのか、それとも性欲が減少していることで精子の量が減少しているのか、何れにせよ少子化と言われている昨今男性の生殖機能が、元から低下している事は望ましくない事態である事には間違いないでしょう。
海外でも減少している
世界の経済の中心でもあるアメリカについて調べてみると、アメリカの若者にも性離れの傾向があることがデータとして出ています。
18歳までの内に性行為に及んでいる若者に割合は1991年の54%をピークに現在まで減少の一途を辿り現在では40%以下にまで減少しています。
アメリカの分析では、ネットやゲームなどの普及により人の生活のあり方、過ごし方と言うものが変わってきている傾向にあるといいます。
一人で楽しむことが簡単になり、異性や家族への興味が低下し、セックスへの依存度が低下しているのではないかという意見は確かに的を得ているかもしれません。
他にも若者は精神的、肉体的年齢が低下している一方で考え方には偏見が減って、性に依存しない関係性や恋愛方法が増加しているなど、人の恋愛のあり方が多様化している事も示唆されています。専門家のように多角的な目線で若者の性分析をしていくと様々な側面が見えてきて具体的に全体像が見えるようになってきます。
ネットが監視している
やはり昔よりもネットでの意見などが表に出るようになったり、ネットからの有名人などがかなり増えてきています。
炎上やバズるなどの言葉もよく目にするようになり、昔は芸能人だけが非難の的や矢面に立つ立場だったのに対して今では誰でも炎上する可能性があり、ラインの内容などをさらされてしまえば一気に悪事は世に知れ渡ってしまいます。
酔った勢いで性行為に及べば、その状況を盗撮されてしまいネット上に拡散されてします可能性があります。そうなると人生が狂ってしまう可能性さえあります。
これらのことからも男性だけでなく女性も性に対して慎重にならざるおえない状況にあるのかもしません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。セックスは、私たちの美容面・健康面においてもいろいろなメリットがあります。
女性は、美肌効果や生理不順の解消、冷えやむくみにも良いと言われています。また、男女共通したメリットとして、免疫力アップ、安眠効果、鎮痛・鎮静効果、あるいは癌の予防になるとも言われているのです。
性欲が低下しているという自覚のある人は、ここであげたことを参考にしながら、柔軟な視点で、改善方法を探してみましょう。
何より、セックスは、パートナーとの愛情を深める行為です。本来ならば、連れ添う時間が、長くなればなるほど、大切にしなければならないのではないでしょうか。
たくさんのカップルが、幸せになることを願っています。
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