喉に絡まってつらい「痰」は、一般的に風邪や花粉症などの症状の場合に発生しやすいものになります。
痰が出るのは、呼吸器系である肺や気管支に付着した異物を排出するための粘液が異常分泌されているからです。つまり痰が出ること自体が、何かしらの異物が気管内に侵入しているサインになります。
しかも、痰は色によって原因や対処法が異なります。咳もないのに痰が出る、何だか痰の色がおかしい…そんな症状の場合に考えられる症状や病気の可能性について紹介します。
正しく対処して速やかに病気を治療していきましょう。
まずは痰の「色」の確認から
痰の色によっては意外な疾患が隠れている可能性があります。ティッシュに出したら、捨てる前に色を確認してみましょう。
色ごとにわかる症状について紹介します。
痰の色でわかる症状
痰の色ごとにどの様な症状が発生しているのかを判断することが出来ます。
簡単にそれぞれの痰の色ごとに考えられる症状について確認してみましょう。また、どの様な色の痰が出る可能性があるかについても知っておきましょう。
透明な〜白っぽい痰
透明に近い色の痰が発生している場合は、非細菌性感染症という細菌ではなくウイルスによる感染症の可能性があります。
気管支炎や咽頭炎、肺炎、鼻腔炎、や鼻水が多く発生している事によって喉に鼻水が流れ込んで痰の様に排泄されているなどの可能性があります。
水分を多く含んでいてねバネネバなものから、サラサラしているものまであります。
黄色い痰
黄色く痰が見えているのは、膿が発生している、つまり白血球の死骸が黄色く見えている状態となります。
感染症などと戦うために白血球が戦ってそれが膿となって鼻や喉の粘膜などから排出された結果黄色く見えていると言う事になります。
飲み込むことは良くありません。出来るだけ吐き出すようにしましょう。
緑色の痰
痰が黄色を超えて緑色の様になってしまうこともあります。
これは長期的な炎症が喉や鼻に発生している場合に発生しやすい変化になります。2ヶ月以上何かしらの炎症が発生している場合にこの色の痰が出てくる可能性があります。
その他にも、逆流性食道炎、緑膿菌の影響によって急性症状として現れることもあります。
ピンク〜赤い痰(血痰)
これは明らかに出血により色がついている痰になります。炎症などによって喉から食道までの間で細胞が壊れて出血していることがあるために、血痰となって排出されています。
出血とまでいかず、血が滲んでいる状態になります。非常に赤く鮮血が見える場合は、喉で血が滲んでいることが多いでしょう。
赤〜茶色の痰
血が酸化してしまったために色が茶色がかって見える状態になっています。
より深部で出血が発生している、もしくは長時間痰を吐かなかったことで気管を通る空気によって酸化されて、色が茶色くなっている状態になります。
もしくはタバコの喫煙によるタールの影響でしょう。タールは植物樹脂を燃やした時に発生する粘質性の煙で粘着性があるので、吸い込んだ煙は粘膜などに張り付いてしまいます。
部屋の壁紙が茶色くなっていしまうのと一緒で、粘膜にも色が着色し、それを痰と一緒に吐き出すと茶色く色が変色します。
痰の量や色を確認するときのポイント
痰を出すときは清潔なティッシュを使うのがベストです。洗面台やトイレに出してしまうと色が確認できず、病気の兆候を見逃してしまう場合があります。
1日に何十回も痰が出る、次から次に湧き出して止まらない、といった量が極端に多い場合は、「ブロンコレア」という病態の可能性が考えれます。ブロンコレアは肺胞上皮がんや肺結核が原因で起こる場合があるので、色に関わらず速やかに内科・呼吸器内科を受診しましょう。
痰の色は透明に近いものから、緑、黄色、赤っぽいものまで様々です。赤っぽい痰が出たときは血が混じっている可能性が高く、気管支や肺が傷付いている場合がありますので、放置せずに病院で受診しましょう。
透明~透明に近い緑はあまり心配ありませんが、黄色や赤の痰が続くときは要注意です。特に喫煙者の方は、肺がんやCOPD(慢性閉塞肺疾患)という病気にかかりやすくなっていますので、注意しましょう。肺がんについては、肺がんの初期症状をチェック!咳や背中の痛みに要注意!の記事を参考にしてください。
COPDとは煙草の煙など、有害な物質が長期間肺を刺激したために起こる慢性疾患で、重症化すると酸素吸入器が必要になることもあります。咳がなく、風邪でもないのに痰が止まらないという方は念の為に精密な検査を行いましょう。どの病気も、早期発見が重要です。
粘り気も確認しよう
色と一緒に確認したいのが痰の粘り気です。
痰に水分が多く含まれていて、菌などの含有量が少ない場合は痰はサラサラになります。主に症状の初期症状やアレルギー性の炎症などの場合に発生する痰がサラサラな傾向があります。
逆に症状が進行していたり慢性の症状である場合、身体が油分を多く含んでいて水分が少ない状態の場合にはネバネバした痰が多く発生します。
痰に粘り気が多いときは早めに対策をしたほうが良いでしょう。
症状別で見分ける「黄色い痰」の原因
痰と同時に咳や鼻水などの症状が出ることがありますよね。併発している症状で原因を見分ける簡単な方法をご紹介します。
喉の痛みと黄色い痰
喉が痛く、黄色い痰が出る場合は細菌が原因の風邪に罹患している可能性が高いです。症状としては重いものではありませんが、痰の中には白血球の残骸や細菌が含まれているので、こまめに吐き出して喉を清潔に保ちましょう。
また、風邪だからといって適切な治療を受けないと、悪化して気管支炎を引き起こすこともあります。早めの受診が大切です。
朝に出る黄色い痰
朝によく黄色い痰が出る、という場合は副鼻腔炎という病気の可能性があります。
副鼻腔炎というのは、慢性副鼻腔炎とも呼ばれ、急性副鼻腔炎が上手く治らず慢性化した症状のことです。鼻腔の痛みや鼻汁が続いた後の黄色い痰は喉ではなく鼻に原因があることもあります。
風邪と決めつけず、耳鼻科を受診することをおすすめします。副鼻腔炎については、蓄膿症が臭い!症状や予防方法を知っておこう!の記事を参考にしてください。
咳と黄色い痰
咳は痰と併発して起こることの多い症状のひとつです。
喉の痛みを伴う軽い咳の場合は風邪をひいている場合が多いのですが、
- 咳が中々治まらない
- 喉の痛みがないのに咳が出る
- むせるような咳が出る
といった場合は気管支炎の可能性もあります。
気管支炎の場合は、とにかく咳が続くのが特徴です。風邪をひいた後の長引く咳には注意しましょう。特に黄色い痰には白血球の残骸が含まれていますので、痰の色が変わった・色が濃くなったという場合は症状が悪化している可能性があります。早く治すには医師の指示に基づく適切な治療が必要です。
扁桃腺の腫れと黄色い痰
扁桃腺が腫れている、熱っぽくて物を飲みこみにくいといった場合は、扁桃炎に罹患している可能性があります。
扁桃炎になると、口蓋扁桃という部分に細菌が感染して黄色い痰が出やすくなるのです。扁桃炎の治療には抗生物質が必要になる場合があります。市販の風邪薬では症状が改善しないことが多いので、病院で適切な薬を処方してもらいましょう。
扁桃炎は頭痛や発熱などの諸症状を併発原因にもなりますので、早めの受診をおすすめします。
痰が黄色い時に気をつけたい症状
こんな症状と黄色い痰が併発した場合は、重症化する恐れがあります。当てはまるものがあったら要チェックです。
熱があり、医師に貰った処方が効かない
病院で風邪や気管支炎と処方されても薬の効果がなく、熱と症状が続く場合、B型インフルエンザに罹患している可能性があります。
B型インフルエンザはそれほど熱が高くないのが特徴です。通常の抗生物質や解熱剤では改善が見られず、放置すると重症化する恐れがありますので、病院を変えるなどして再度受診してみましょう。
特に、周囲でB型インフルエンザが流行っている場合などは要注意です。予防接種をしていても感染することがありますので、B型インフルエンザの時期に黄色い痰と熱が続くようなら、しっかり検査してもらいましょう。
高熱・鼻汁・咳が長引く
熱が下がらず苦しい、加えて鼻汁や咳が止まらないといった場合は、マイコプラズマ肺炎かもしれません。
マイコプラズマ肺炎というのは、マイコプラズマという菌に感染したことにより発症する肺炎で、喘鳴音が少ないために医師が見逃しやすいのが特徴です。
あまり白血球の増加がみられないため1回の血液検査では結果が分からず、正確にはマイコプラズマの抗体(MPHA)の値を比べることで判断します。この場合、2回の血液検査が必要なので判断に時間が掛かるのも難点です。
潜伏期間が長く、感染から2~3週間経過してから発症する場合があります。周囲にマイコプラズマ肺炎にかかった人がいたら十分に注意してください。
また、近年のマイコプラズマ肺炎は薬が効きにくい場合があります。重症化する前に受診をして、早めにしっかり治しましょう。
黄色い痰が発生しているときの対処法
では黄色い痰が発生している場合にはどの様な対処法で痰を処理し、改善に導くと良いのでしょうか。痰が発生している時に行いたい対策法を紹介します。
上手く痰を出す方法
痰を出したいけれど、喉に絡まってなかなか出ない、という経験はありませんか?そんな時にむやみに咳をしたり、咳払いを繰り返したりすると、喉や気管支を痛めてしまう恐れがあります。
咳があるときは、顔を下に向けて咳と一緒に吐き出してしまいましょう。下を向いて少し経ってから一気に出すのがポイントです。咳がないときは、早めの肺呼吸を意識しながら下を向いてタイミングを計りましょう。一度出しても息苦しいようであれば、何度か試して全部吐いてみましょう。
どうしても出ないというときは、部屋を加湿したり、濡れタオルを鼻と口にあてて何度か呼吸するのもおすすめです。湿度が上がることで、痰が出やすくなります。また、ぬるま湯などを多めに飲むといっそう効果的です。
痰を吐けない場所ではどうすればいい?
痰が絡んで吐き出したいけど、道路などには吐き出したくない。ティッシュなども持っていない。という場合にどう処理をしたらいいか困った事はありませんか?
そんな場合は飲み物を飲む事で対処をしましょう。飲み込むという方法もありますが、これは粘り気のある痰の場合、気管に入り込んでしまって問題を引き起こす場合があります。
出来るだけ排出するほうが好ましいですが、どうしても吐き出せない状況の場合は飲み物で流し込んだり、飲み込んでしまっても特に問題ありません。
しかし飲み込んでしまうことが癖になると、色の確認などが行えずに病気や症状の発見が遅れてしまいます。また、結核菌によって痰が発生している場合は胃の中でも殺菌されないので腸に流れて腸結核になってしまう場合もあります。
出来るだけトイレを探して吐いたり人目を避けて吐き出すようにしましょう。
去痰薬を使用する
市販薬でドラッグストアなどで簡単に誰でも購入できる去痰薬(きょたんやく)を購入して使用する方法です。
一時的に痰が絡まりやすくなっている症状が発生している場合は、使用して痰を吐き出しやすくすることが出来ます。しかし長期的に痰が発生している場合は何科の病気の可能性がありますので、乱用は避けてしっかり病院での検査を受けましょう。
長期的な痰の目安は3週間までです。3週間以上症状が発生している場合は一度検査を受けましょう。
痰を予防する方法
痰が発生しないように予め予防する方法を紹介します。すでに何かしらの症状が発生していて痰を出来るだけ発生させないようにするために有効な予防法でもあります。
気持ち悪い不快感をなるべくなくして、症状を緩和させましょう。
感染症を予防する
手洗いうがい、マスクの着用などを徹底して感染症によって粘膜が炎症することを予防することが有効です。
加湿などをしっかり行って喉の乾燥を防ぐことも有効です。常に個室などの空間が50%〜60%程度に加湿されていることが望ましいですので、極力痰を発生させたくない人はこの湿度を保って、喉や気管に異物が侵入することを防ぎましょう。
水分を小まめに補給する
炎症などが発生していても、水などで定期的に水分を補給しておくことで痰の発生を抑えられます。もし、痰が発生しても水分を多く含んでおり、サラサラしているので、ネバネバした痰に比べて不快感は少ないでしょう。
痰を発生させる飲みものや食品を控える
痰が多く発生している場合、痰が発生しやすくなる飲み物や食品は避けましょう。
痰を発生させるものは以下のものになります。
- 柑橘系のジュース
- 牛乳
- 炭酸
- 糖分が多い飲み物
- アルコール
- コーヒー
- 辛いもの
- 脂っこいもの
- 味の濃いもの
これらは痰の症状を悪化させる可能性のあるものになります。これらのものを出来るだけ避けて予防していきましょう。
痰を改善する飲み物
逆に痰が絡みやすくなっている場合に飲むと症状が緩和される飲み物を紹介します。
- はちみつ大根
- 生姜湯
- お茶
- 食塩水でのうがい
が有効になります。冷たい状態では身体を冷やしてしまい、免疫力の低下に繋がりますので、温かいもしくはぬるめの状態で飲むといいでしょう。
タバコを控える
喫煙は痰が絡んでしまう大きな原因です。
粘膜の乾燥などを招いて、痰が更に吐き出しにくくなる問題にも繋がります。特に感染症などが発生している場合はタバコを吸うと治癒に必要なビタミンCを消費してしまう問題もありますので、出来るだけタバコは控えるようにしましょう。
まとめ
このように、黄色い痰が出た場合は併発した症状によって様々な病気が考えられます。黄色い痰が出る前にどんな症状があったか、周りで風邪やインフルエンザが流行っているか、熱・鼻汁・咳などを併発しているか、といった前後の状態・状況を踏まえて適切な診断を受けることが重要です。
一度風邪と診断されても症状が治まらないのなら、病院を変えてみるのも一つの手です。特にB型インフルエンザなど長引きやすい症状、また気管支炎や気管支喘息を併発しやすいマイコプラズマ肺炎には気を付けましょう。熱が続いて体力が消耗すると、この他にも様々な病気に罹りやすくなります。
黄色い痰が出たら、まず併発している症状を確認してから、その判断を元に適切な病院で診察を受けましょう。くれぐれも、早めの受診が大切です。
痰が出て困ったら、ぜひこの記事をお役立てくださいね。
関連記事として、
・痰の出し方を4つ紹介!簡単に排除する方法と病気の場合の特徴
これらの記事も合わせてお読みください!