クインケ浮腫の症状とは?原因や治療法、予防法も紹介!

クインケ浮腫(ふしゅ)という病気を知っていますか?この病気は19世紀後半にドイツ人医師クインケが発見した病気として、その医師の名前がつけられていますが、別名で血管性浮腫や突発性局所性浮腫などとも呼ばれています。

この病気はある日突然、唇や皮膚、まぶたなどの皮膚の一部分だけがパンパンに腫れる病気です。数日ですぐに治る軽度のものから、出来る箇所によっては呼吸困難で死に至る危険性のある病気でもあります。

この病気は再発しやすいこともあり、一度かかったことのある方はこの病気について詳しく知り、次回の再発時の対応に備えておくことをおススメします。
ここでは、この病気の症状、原因や治療方法について詳しくご紹介します。

クインケ浮腫について

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クインケ浮腫の概要と主な症状についてご紹介します。

クインケ浮腫とは?

クインケ浮腫は体の皮膚の一部分だけがパンパンに腫れる病気です。皮膚であればどこでもこの症状が現れますが、特に現れやすい場所は唇やまぶた、ほほ、顔、首などの見えやすい部分が大きく腫れあがります。

皮膚以外にも口の中や舌、喉、消化器官などに腫れる症状が見られる場合もあります。症状が現れる部位の割合としては、皮膚が50%、次に腹部・消化器官が48%、喉が2%の割合と言われています。喉に関しては比較的に低い割合で発症しますが、発症した場合は、生命の危険が伴うので、危険です。

基本的に浮腫とは皮膚の間質成分に病的に水分が溜まってしまう病気です。また、これらが原因不明で起こる点も特徴的です。

クインケ浮腫の主な症状は?

症状はできる箇所によって異なるため、箇所別に症状をご紹介していきます。基本的には、早くて2,3日長くても1週間で自然治癒する場合が多いです。同時に湿疹が出る場合もありますが痒みが現れることがない場合もあります。

皮膚に出来た場合

唇、まぶた、ほほなどの皮膚に出来た場合は、皮膚の一部がパンパンに腫れるので、見た目の変化からすぐに気付かれると思います。ほとんどの場合は、ただ腫れを伴うだけで、赤みやかゆみ、痛みは見られません。通常は1日~3日程度で自然に腫れがひいて元どおりになります。

皮膚に症状が現れる予兆として、個人差はありますが皮膚のチクチク感や痒みや頭痛などの症状が現れることがあります。特に唇にできる場合はこの部分の感覚は最も敏感なためこのような前兆を感じやすいといいます。特にこのような前兆を感じた時は安静を心がけ、原因となるストレスやアレルギーとなる食材を摂らないように心がけましょう。

消化器官にできた場合

消化器官にできた場合は、腹痛や下痢、悪心、嘔吐といった、様々な消化器官の異常が起こります。このような症状は、他の病気や原因でも起こりうる症状なので、自己判断はしにくく、医療機関を受診されても誤診されることも多くあります。

また自分では見た目で症状を確認することが出来ないので認識できません。

この病気が原因の場合、通常は1日~2日で症状が自然と治まります。その為、腹痛や下痢が2日以上続く場合は、別の病気の可能性もあるので、総合病院で受診されることをおススメします。

喉に出来た場合

喉に出来た場合は、死の危険を伴う最も危険な状態です。喉が詰まっている、話しづらい、息苦しいなどを感じた場合は、喉にクインケ浮腫ができている可能性があります。特に息苦しさを感じた場合は、その後呼吸が出来ずに窒息死にいたる場合があります。

息苦しさを感じてから窒息までの時間は、20分~14時間と時間の幅が広いです。その為、息苦しさを感じたらすぐに、救急車を呼び早期治療に当たるべきです。

クインケ浮腫の原因とは?

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クインケ浮腫が出来る原因は大きくわけて5つあると言われています。

薬の副作用

薬の副作用として、クインケ浮腫が出来る可能性があります。原因になりやすい内服薬は、解熱消炎鎮痛薬、ペニシリン、降圧薬、線溶系酵素、経口避妊薬などが挙げられています。

特に、降血圧薬による副作用は、喉にクインケ浮腫が出来やすいといわれ、この薬の副作用が原因で窒息死されている方もいると報告されています。

虫刺されのアレルギー

ハチなどの虫に刺された場合に、クインケ浮腫が出来る可能性があります。このような症状は、アナフィラキシー様反応とも呼ばれ、アレルギー反応の1つとして考えられています。虫刺されを起こしてから、1分~15分以内に症状が起こります。

初めは、不安感やチクチクした感じとめまいを引き起こしますが、急激に症状が悪化しだし、クインケ浮腫を引き起こす以外にも、全身に蕁麻疹が出来たり、喘息や呼吸困難、失神し、生命を脅かす危険を伴う場合があります。

初めて虫刺されを起こして症状が出る方もいれば、2回目以降でこのような症状が出る方もいます。

虫刺されによって引き起こるアナフィラキシーショックに関する詳しい記述はアナフィラキシーショック症状について!原因や予防法、対応法を知ろう!こちらを御覧ください。

食べ物アレルギー

クインケ浮腫は、食べ物が原因となって引き起こす場合があります。

特に、卵、魚、海老やカニなどの甲殻類、ナッツ類、果物などを摂取した際に、現れる場合が多いと報告されています。これらの食べ物を少量摂取しただけで、発症する方もいれば、果物を大量に食べた後に突然発症する方もいます。

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遺伝

家族に同じようなクインケ浮腫が発症している場合は、遺伝で発症する可能性があります。遺伝の場合は、遺伝性血管性浮腫(HANE)と呼ばれ、5万人~7万人に1人の割合で発症するといわれています。

遺伝性の場合は、幼少の頃は症状が現れなかったり、軽度の症状で済みますが、10歳以降から症状が重くなり始めます。また、経験する発作の数は年を重ねるたびに増えていきますが、全く発作症状を起こさない人も中にはいます。半数以上の患者さんが1ヶ月に1回またはそれ以上の発作を経験していて、多い人では週に数回発作を起こしている方もいます。

遺伝の方の原因は、補体第1成分阻害因子(C1インヒビター)の遺伝子が異常を起こし、タンパク量の低下が見られることで発作が起こると考えられています。

遺伝性の方の場合、誘引になるものは様々ありますがストレスや疲れの原因が主な原因と言われています。まだ発症していない方でも、家族の方でクインケ浮腫の症状がある方は、今回ここで紹介した原因が誘引になる危険性となることを念頭に入れ、注意することが予防に繋がります。

ストレスや疲れ

ストレスや疲れが原因となって、発症する場合があります。生活上で何かしらプレッシャーや苦痛を感じていたり、手術や外傷、抜歯、過労、妊娠、風邪、生理などの心身共にストレスがかかると、発症します。

子供も同様の理由で発症するケースが見られるため、子供がストレスを抱えている場合もその原因を取り除いてあげるようにしましょう。子供は特に外的ストレスを外に受け流すことが上手く出来ない場合もあるため、親が手伝ってあげる事が大切です。

治療と予防方法

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症状が軽い場合は、1日~2日で腫れが自然と収まりますが、呼吸困難や蕁麻疹などと一緒に引き起こすようなアレルギー反応の症状が重症な場合は、すぐに病院で治療が必要になります。ここでは、原因別の治療と予防策をご紹介します。

薬の副作用が原因の場合

薬の副作用が原因の場合は、まずは該当する薬の使用を中止します。比較的に症状が軽い場合は、抗ヒスタミン薬の内服または静脈注射により投与し、症状を軽減させます。また、重症の場合は、ステロイドの静脈注射を行います。

薬の副作用で発症した場合、次回他の薬でも発症する可能性があります。原因になりやすい内服薬として挙げた、解熱消炎鎮痛薬、ペニシリン、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、降圧薬、線溶系酵素、副腎皮質ホルモン剤、経口避妊薬などは、今後使用する際には注意が必要です。これらの内服薬を服用する場合は、まずは医師に相談されることをおススメします。

アレルギーが原因の場合

食べものや虫刺されなどのアレルギー反応が原因となって症状が起こっている場合は、まずは原因となるアレルギー物質を回避することが症状を緩和させます。また、即効性のある処置では抗ヒスタミン薬の内服または、静脈注射により投与して、症状を軽減することが期待できます。

呼吸困難を引き起こしているなどの緊急事態の場合は、エピネフリンを皮下や筋肉内、または静脈内に注射を行い呼吸を整えます。呼吸困難の場合は、呼吸器をつけたり、口や鼻、気管の上の皮膚を少し切開して、気道確保する為に気管チューブを挿入したり、気管支を広げる気管支拡張剤などを投与して、呼吸を楽にします。

アレルギーが原因で発症した方は二度と症状を起こさないためにも、自分がどんな物質に対してアレルギーを起こすのか血液検査などを通して確認し、対象となるアレルゲンに接触しないことが最善の予防策になります。虫刺され(ハチなど)の防ぎようのないアレルゲンの場合は、アレルゲン免疫療法を長期に渡って利用することで、効果を示す可能性があります。

また、過去に虫刺されによるアレルギー反応を起こした経験のある方は、エピネフリン自己注射用キットと抗ヒスタミン薬の錠剤を常備薬として携帯することで、虫に刺されのアレルギー反応が起きた際には、迅速に対応することができます。常備薬を投与することで、症状は緩和されますが、その後は緊急外来を受診されることをおススメします。

遺伝が原因の場合

遺伝性のクインケ浮腫の可能性がある場合は、C1-INHの機能の異常によるタンパク量の低下が原因となっている為、C1インヒビター補体充療法またはトラネキサム酸の投与を行います。

また、遺伝性の方で最も発作を起こす原因となっているのが、ストレスや疲れと言われています。これらが原因となって誘発されている場合は、後天性の場合と同様にストレスや疲れの直接の原因となっているものを取り除くことが重要です。

ストレスや疲れが原因の場合

ストレスや疲れが原因となっている場合は、原因と考えられるストレスを回避することや、自分にあったストレス解消法を取り入れることで、発作回数を軽減させることが出来ます。

ストレスの感じ方は人それぞれ違うので、ストレス解消方法も人それぞれです。終わった後に気持ちいいなと感じる程度の適度な運動を日常に取り入れたり、十分な休息や睡眠をとることは、一般的にストレス解消方法に繋がると言われています。

その為、少しでもストレスを感じているなと気付いたら、まずは十分な睡眠と休息を取り、散歩やジョギング、水泳などの適度な運動を取り入れてみてください。

子供のクインケ浮腫

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子供の顔がいきなり腫れてきた場合、突然のことに驚く人は多くいると思います。しかし中には時間がないことや症状が軽いことや短時間で腫れが引いたことやお金との兼ね合いや子供が病院を嫌がることから少しの間様子を見て見ようと思う人もいるかもしれません。

しかし、子供の原因不明のHAE(遺伝性血管性浮腫)を放置しておくと歳を負うごとに症状が悪化したり少ない確率ですが、喉に浮腫が出来て突然窒息に陥ってしまう可能性もあります。

そんなことのないように子供にクインケ浮腫の症状が引き起こった場合についてまとめておきます。

子供のクインケ浮腫の症状

特にまぶたや唇の様な皮膚の薄い部分に発症するケースが多いでしょう。その他にもこのクインケ浮腫は皮膚や粘膜のどの部分にも発症する可能性はあります。ほぼ大人が発症したときと症状は変わらず、子供の場合も痒みや痛みを感じないことから、軽く受け止める人も多いかも入れません。

特に両親がクインケ浮腫の子供の場合遺伝によって50%の確率で発症するとされています。

子供のクインケ浮腫の対処法と治療法

子供の顔が突然腫れるなどのクインケ浮腫の症状が現れた場合は腫れが引いたと言っても安心してはいけません、再発の可能性が高いのがこの病気です。顔などの腫れによって重大なことに発展することはなく、数時間や数日で腫れは収まる場合が多いですが、再発や重症になる前に、原因をある程度特定しておくことが重要です。

腫れが発生した時に写真をとっておき医者に見せるなどするとスムーズに診察が行えていいでしょう。皮膚科や小児科などを受診した後はアレルギー科でアレルゲンは無いか調べておいたほうが良いかもしれません。

子供の場合は遺伝によるものが多いですが、後天性の場合も考えられます。その場合は何かしらの食べ物が原因になっている場合が考えられるので一応検査しておきましょう。

治療法は大人と同様に、抗ヒステミン剤を投与するか、症状の重症度によってはステロイドを静脈に注射する場合があります。

予防法

原因となるものが食べ物である場合はその食べ物を把握して控えるようにする必要があります。その他アレルゲンでは花粉やペットなども発症の原因になりえます。

他にも原因不明な場合やストレスによる発症も考えられるので、十分注意しましょう。子供の場合は抜歯や歯の入れ替わる時期や転校や生活環境の変化によって大きくストレスの感じやすい時に発症するリスクが高まるのでこの時期には注意しましょう。

特に重要な予防法が原因となる問題を回避することなので、この原因を突き止めることが重症化を防ぐ鍵になります。この病気は症状によっては死に至る可能性もある病気なので軽視しないようにしましょう。

完全に治療する方法は今のところ無いのが現状です。現段階では遺伝性の疾患に対して有効であろう治療法の研究が進んでいます。なので将来的にはこの病気の完治が期待できるかもしれません。

まとめ

クインケ浮腫はただ皮膚が腫れる場合のみの時もあれば、蕁麻疹などのアレルギーと一緒に引き起こして呼吸困難などの生命の危険に陥る場合もあります。また、クインケ浮腫ができる箇所によっても症状が異なるので、一度発症したことのある方は注意が必要です。発作がおきて、呼吸に異常を感じた場合は、すぐに救急車を利用しましょう。

クインケ浮腫ができる原因として、食べものや虫刺されなどのアレルギーが主な理由として挙げられますが、自分がどんなアレルギーを持っているか、原因が分かっていないと再度発症する場合があります。

発症する前の数分前や1時間前にどんなものを食べたか、薬を内服していないか、または虫にさされていないかを確認して、思い当たるものがあれば血液検査などを受けてアレルギー確認しましょう。どんなものが原因で発症するかを知ることが、次回の予防策へと繋がります。

原因が思い当たらない方の場合は、ストレスや疲れなどからきている可能性があります。その場合は十分な睡眠と休暇、適度な運動を心がけましょう。

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