何か難しい名前の付いた病気ですが、「腎」が入っているということで、腎臓病の一つと思う人が多いと思います。これはまさしくその通りであり、腎臓が固くなってしまう病気なのです。
病気のそのほとんどは、気づかないうちに進行するものが多いのですが、これも多分にもれずその兆候が表れにくい病気です。そしていつの間にか進行しているという非常に厄介な病です。
今回はその腎硬化症についてお伝えいたします。
腎臓の働き
そもそも腎臓というのは、どのような働きをするのかを、以下にまとめます。
老廃物を排出する
人間は食事をとることでその栄養素を腸から吸収します。その際に必ずしも身体にいいものばかりを吸収するものでもなく、ある意味毒性を持ったものも吸収してしまいます。また、消化の際に毒性を持ったものが発生することもあります。
その毒性のあるものを、腎臓でろ過して排出する役目を負っています。これは、食事をして消化の際に必ず行われる運動です。
分かりやすくいえば、コーヒーなどの色の付いた飲み物を飲んでも、尿は透明か薄い黄色となるのは、腎臓でその色も成分もろ過しているからです。
水分を調整する
人間の身体は、ある一定の水分量を保つようになっています。それは子供で約60%から50%、大人で50%から60%ぐらいとなっています。これを調整するのが腎臓の役目であり、水分が増えると尿や汗で排出し、足りないとのどが乾くなどの症状が出るようになっています。つまり、常に一定の水分量をキープする役目を負っています。
また、水分量と同時に塩分濃度も司どっています。これは、ほぼ海水と同じようで、ある程度の塩分濃度がないと、やはり体調が異常を来たすように、何らかのサインが身体に現れます。
血圧を調整する
人間の身体の中に流れる血液は、一定の圧力がないと、身体の隅々まで血液が届きません。その血液を送り込むための力を血圧というのですが、これも腎臓が司っています。
この圧力が弱いと、身体が特に冷えたり、老廃物が滞ったりして、むくみを生じたり、ろ過が正常に行われず、身体に変調を来たします。
血液の状態を維持する
血液はアルカリ性を維持しているのが通常の状態ですが、食事の不摂生や運動不足などで酸性に傾くこともあります。こ
の血液が酸性に傾くと、腎臓を含め心臓などにも悪影響を与えるため、腎臓がアルカリ性に傾くように働きかけます。
ビタミンDの活性化
ビタミンDは、カルシウムと結合して骨を強化する役目を担っています。必要な栄養素として吸収されるビタミンDが、腎臓がその結合をさせています。
ビタミンDは吸収されると骨をつくる元となりますが、日光に当たることが必要となってきます。つまり、ビタミンDだけでは強化されないということになります。
また、最近の研究ではこのビタミンDが花粉症やアレルギーにも効果が高いという研究報告もあります。現に、ビタミンDを意識的に摂取することにより、アレルギーが軽減している報告があります。
腎硬化症とは?
血圧上昇の影響で腎臓の血管が動脈硬化を引き起こし、腎臓に異常を来たす疾患です。
つまり高血圧と動脈硬化の両方が腎臓に悪影響を与え、腎臓か固くなりその働きが十分にできなくなることです。
腎不全の三大原因
腎硬化症という病気は腎不全というかなり重症な病気の一歩手前の病気であり、俗に腎不全の三大原因の一つです。
腎不全というのは、腎臓が本来のその働きをしなくなってしまうという、最悪の状態のことです。
1 糖尿病性腎症
糖尿病が原因で発症し、腎臓の機能がうまく働かないことです。糖尿病で高血糖になりその影響で腎臓の細小動脈という毛細血管に障害が起きます。そのため大事な役目である血液のろ過がうまくできなくなります。
むくみや身体に毒が溜まりやすくなり、疲れなども目立ちます。その状況が悪化しますと、透析療法という人工透析をすることになります。人工透析は文字通り血液のろ過を人工的に行うことで、血液をきれいにすることです。
悪くなれば、週に一回の頻度で医者へ通うことになります。また、この費用が馬鹿になりません。実際には健康保険から支払われますが、中には会社側の健康保険となる場合は、嫌がる企業も多いと聞きます。
糖尿病はほんとうにいろいろな病気を併発するので、本当に気をつけねばなりません。
2 慢性糸球体腎炎
腎臓の中にある糸球体という細小動脈という血液をろ過する部分が、うまく機能しなくなる病気です。これも徐々に機能が低下する傾向にあり、そしてまた正確にはその機能低下の理由はわかっていません。
身体に微妙に起こる変化と健康診断の血液検査で判断する以外にないでしょう。あとは、その生活習慣も原因になるので、先に説明した糖尿病性腎症と同様に普段の生活に気を配ることが必要です。
3 腎硬化症
腎硬化症には2種類あります。
良性腎硬化症
主に進行が遅く、やはり高血圧であり徐々に腎臓の機能が低下していきます。肩こり、動悸、めまいなどの自覚症状も起きます。
悪性腎硬化症
割と若い人に多く、30代で発症するケースも少なくありません。進行も早いため、そのような兆候が現れましたら、速やかな処置を行わないと、最悪の結果となる場合もあります。
症状としては、やはり動悸や頭痛の他、血尿なども見られます。
腎硬化症の原因
さまざまな要素が影響を与えているようで、そのほとんどが生活習慣によるものと考えてもいいかと思います。
高血圧
本態性高血圧のものとは原因が特定できないもので、主に体質的で遺伝子的な要素と解釈できます。ですから、いくら塩分を抑えてもそれほどの効果は認められないといことになります。
高血圧は別の疾患への影響もかなりあります。心臓への負担や脳への負担も大きく、腎臓が健康のようであっても、他の臓器に影響を与えることは、間違いありません。
ですから、普段から血圧が高いという慢性高血圧人は、眼底検査を行い、意識的に血圧コントロールをするような生活習慣を身につけることをお勧めします。ちなみにこの高血圧は、拡張期血圧の数値で判断します。この場合は、降圧薬を服して、意図的に血圧を抑える必要があります。
腎硬化症の症状
特に腎硬化症だけでなく、腎臓全般に悪化した場合に起きる症状をここでは、お伝えします。
尿蛋白
腎臓が通常の働きをしないことから、尿より蛋白が出ることが多くなります。当然この排出されるために、その分の摂取する量も抑えることが必要になります。
この症状が出る時には、腎硬化症の他に腎炎、腎不全、腎臓がん、前立腺炎、尿路結石などの疑いもあります。
間違いなく尿検査で、尿蛋白が出ていることで注意を受けますので、その際には腎臓全般の検査をすることが必要になります。
腎臓の硬化
長年に渡り、高血圧が続いていると、動脈硬化といって、血管が固くなります。これを動脈高血圧といい、それが腎臓に影響し固くなる症状です。固くなることは脆くなることでもあり、血管内部が傷つきやすくなります。この傷の中に、脂肪や老廃物も蓄積して、血管も詰まりやすくなります。
頭痛、めまい、肩こり
血液の循環や流れ、どろどろ血の影響で老廃物が溜まります。場所によってはその汚れた血の影響で頭痛、肩こりが起きます。特になぜかこのような症状が起こる場合は、腎臓の機能の低下が疑われます。
腎臓の悪化だけが理由出ない場合も、当然に頭痛、めまい、肩こりは起きます。これは、血液がサラサラになっていないことの影響も大きく、この状態が長く続くと脳梗塞などを引き起こす可能性があります。
尿毒症
腎臓の機能が低下することにより、むくみ、だるさ、食欲不振、貧血などを引き起こします。これは、文字通り毒素が体内に溜まってしまうことで、腎臓の機能が低下したという典型的な症状です。
ろ過がきちんとされていないというで、毒素が排出されずに、身体の全体の血流が悪くなることが多いので、利尿薬を服用し、毒素を排出するようにすれば、むくみやだるさは軽減します。
眼底出血
上記のろ過が適切に行われなくなると、細かい血管への血液の流れが悪くなり、血流が留まります。眼の回りには非常ひ細い血管が集まっているため、栄養や酸素が行き届かなくなり、血栓で血管が詰まり、それが破裂し眼底出血を起こします。
この眼底出血は、引き起こしてしまうと治すのが非常に困難となるため、毎年の眼底検査は欠かせません。見えにくくなる視力障害を含め、場合によっては失明の可能性もありますので、注意を要します。
腎硬化症の治療法
腎硬化症だけを治すというよりも、その影響を与えている習慣や病気との関連性を改善することが、取り急ぎの治療法となります。
血圧の維持
特に重要なのが高血圧の管理となります。高血圧を通常に戻すために、降圧剤という投薬を行います。この投薬はあまりお勧めできない方法ではありますが、利尿剤と合わせることで血圧の維持が行いやすくなります。
急な血圧の上昇を悪性高血圧といい、すみやかに対処しないと脳障害など致命的なことになりかねないこともありますので、血圧には十分な注意が必要です。
また、食事の際には減塩、運動療法として、特に肥満気味の方には、運動を意識的に行い、体重を標準に戻すような管理を行います。
安静
病状が悪化したときは、安静が必要となります。さらに悪化した場合は、定期的な透析を必要とします。透析は、血液のろ過がうまくいかないと、血液中の老廃物が排出されないので、人工的に血液を浄化することです。
腎硬化症の予防法
腎硬化症の予防法を知っておきましょう。
栄養バランスのとれた食事
食事のバランスも当然、影響します。特に腎臓にいい食べ物を摂取する必要はありません。ですが、身体に悪影響を与えるような食べ物は、極力控えるようにしたいものです。
まだまだ初期の段階では食事療法で対処できます。もっとも、ほとんどの人はそれ以前は食べ物に注意を払っていません。よく、食べないと力が出ないという人もいますが、悪いものを食べるのは、逆に食べないことよりも悪いこともあります。
例えば揚げ物などは、たまにならいいのですが、使用されている油はサラダ油がほとんどで、サラダ油の主成分であるオメガ6の油は極力とらないことが望ましいと、アメリカの研究でも発表されています。
特にアメリカはファストフードなどの油を適正なものに変える法律も整備されたため、ガンの患者も急激に減っています。
また、添加物の多い食品も控えることが重要です。添加物が多いと腎臓でその添加物の無毒化をするために疲労します。それがやはり腎臓の過剰な負荷になっていることも間違いないのです。
血圧のチェック
血圧が高いことは、あらゆることでよくない傾向にあります。腎硬化症を含め、心臓にかかわる病気や脳梗塞など、命にかかわることが多いということになります。腎硬化症にかかわらず、常に血圧はチェックし、適正値を超えていたらただちに改善をするようにしたいものです。
多くの人はこの無頓着さが命取りになっています。このようなちょっとした兆候時に医師の診断を仰げば、未病という事前に大病になることが防げます。
食塩を控える
高血圧は塩分の取り過ぎが原因とする説が未だに主流となっています。実際には全く関係ないというデータと、取り過ぎによる影響もあるという二説に分かれます。イギリスでは塩分を抑えることを町ぐるみで取り組んだ結果、相当に高血圧の患者が激減したというデータもあります。
これは、パンに入れる塩を徐々に減らしたり、レストランで出す料理の塩分を徐々に減らしたということで、功を奏したということです。実際に徐々に減らすことで、味がしないなどの変化に気づきにくいため、クレームもないということだそうです。
一方で、塩は人間の身体に必要なものであり、減塩をすることで活力が減ってしまうというデータもあります。
ある人は、高血圧だからとほとんど塩をとらない生活をしていったところ、顔は青白く不健康な色になり、身体の節々が痛みだすという始末。やがてやる気がでないという状態になったため、医師の診断を仰いだところ、塩分の不足ということが原因とわかりました。その後、塩分をきちんと取る生活にしたところ、瞬く間に改善されたということです。
ただどちらの説が正しいかどうかの判断は、一様に決め難く偏り過ぎないことが肝要かと思います。
特に腎臓が悪くなっている場合は間違いなく塩分を取らないようにという指示になることは間違いありません。
適度の運動
現代は多くの人はそれほど身体を動かさずに済む時代となっています。特に30代40代に人は、どのような状況で今までと同じような食事スタイルですと、間違いなくメタボということで脂肪の蓄積は当然増え、高血圧にもつながるという環境になっています。この解消には、適度の運動をすることが大事ということになります。
禁煙
こちらも言わなくても、もはやわかりきっていることです。喫煙の習慣は腎臓へ負担もさることながら、他の内臓や脳への影響も甚大です。また、副流煙として回りへの迷惑も非常に大きいので、止めることをお勧めします。
ストレスを削減する
ストレスはあらゆる病気の根源となるケースが多く、この腎硬化症にも当てはまります。正直このストレスに関しては、はっきりと原因とつきつめることは難しく、おそらくの域を超えていません。
つまり、推測でこれが原因と考えられているということがあります。ただ、実際にデータ上はストレスの多い人がこの腎硬化症にかかるというデータもあることから、やはりその影響を考慮せねばなりません。
他の病気の弊害
腎臓は他の病気との弊害も多い傾向にあります。逆に、他の病気が元で腎硬化症になるケースもあります。
動脈硬化
食生活も影響していますが、血管内が狭くなっていることで、血流の量が減っていきます。このために多種類の血管が入り組んでいる腎臓が機能しなくなるのです。
心筋梗塞
血管内が狭くなることで、その圧が高くなり高血圧を引き起こすのですが、さらに心臓の回りの血管内も狭くなり詰まることで、心臓の血液が通わなくなることが、心筋梗塞です。
つまりその部分の細胞が死んでしまうことで、心臓の動きがきちんとしなくなることです。
脳卒中
腎硬化症を引き起こしていることで、血管内が狭くなり、その結果血栓が詰まりやすくなります。脳内の血管に血栓がつまり、脳梗塞を引き起こしたり、また、血管が硬く脆くなっていることで脳内の細い血管が破れることが脳卒中です。
脳内に出血が起こってしまい、軽度の場合はリハビリ等で治ることもありますが、重度の場合は半身不随や命の危険にさらされます。
まとめ
いかがでしたか。腎臓の病気は結構幼少のころからの体質や遺伝的な要素が多いのですが、他の病気が原因で重症化するケースも多いということで、普段からの生活習慣に気をつかう必要があります。そこに気をつかっていればかなりの確率で症状を和らぐことや身体の不調を訴えることもなくなります。
何事もそうなのですが、動物で人間だけが過剰な行動が多いということからも、原点に返って、よくというものを極力抑えることで、健康な身体は維持できるのです。
これはまさしく普段からの意識の差です。あとあと痛い思いやなんとなく不調な状態ということを避ける意味でも、いまから気をつけるようにしていきたいものです。
関連記事として、
・人工透析の原因を知ろう!どんな人が人工透析を受けるの?方法についても紹介!
これらの記事も合わせてお読みください!