あなたは水虫に対して、足や、足の指の股がかゆくなる病気だと思っていませんか?
実は、水虫は手指にも感染することがあるのはご存知でしょうか。非常に稀ながら、手にも感染してしまうんです。あなたの手は大丈夫でしょうか?
水虫はどこにでも居るカビ菌の感染によって起こる皮膚病なので誰でも皮膚のどの部分にも発症する可能性があります。頭皮に感染したり陰部に感染したりもします。高温多湿の環境下で著しく増殖が行われるので、大体が靴を履いている足元で発生することが多く水虫は足の病気と思われがちです。
が、今日は少ない確率で発症する手の水虫について紹介します。
ここでは、手水虫の症状や予防法、治療法などをお伝えします。
手水虫とは?
手水虫とは、別名、手白癬(てはくせん)といいます。足の水虫を足白癬というので、それの対になるような言葉ですね。
ここでは、わかりやすく手水虫と呼ぶことにします。
手水虫の原因菌は、白癬菌(はくせんきん)と呼ばれる細菌、カビ菌が手に感染することで起きる皮膚病です。
白癬菌は水のあるところならどのような環境にも存在する菌です。
最も多い感染経路は、自分の足の水虫からの感染です。なので、手水虫だけでなく、足水虫も治してあげないと、手水虫を治すだけでは、また感染する可能性があります。
白癬菌とは?
カビの一種で、たんぱく質にふくまれる、ケラチン(角質ともいう)を栄養源とします。
この細菌によって、水虫のほか、インキンタムシなどに罹ることがあります。
日本人はこの白癬菌を5人に1人は持っていると言われています。なので、多くの人が利用するプールやトイレ、スポーツジム、銭湯などの足ふきマットの上には必ず潜んでいる菌であると言えます。
皮膚に付着した白癬菌は皮膚表面のケラチンというタンパク質を餌に増殖します。湿度が70%以上で15度以上の温度の環境で最も繁殖しやすく、春から夏のシーズンが最もこの菌による皮膚病を発症する患者が増えます。
手、足、股、頭に感染することが多く高齢者が特にこの菌による感染症を発症しやすい傾向があります。
足水虫から手水虫へ、どううつる?
まず、足が水虫になる流れをご説明します。
ちなみに、家族内に水虫患者がいるか、また、施設などで集団生活をしていたり、プールなどの利用が多い人は罹りやすいです。それだけ水虫患者=白癬菌に接触する機会が多いからです。
白癬菌をもっている人の足から、角質がはがれ落ち、それに触れることにより感染します。ただ触れるだけではく、触れてからそのまま放置していると、傷ついた角質から菌が侵入し、増殖して感染することになります。 時間にして、12時間〜24時間以内に感染するといわれています。
このようにして足に感染してしまい、何かの拍子に足に触れると手水虫の発症につながるのです。たとえば、爪を切るときなどは要注意です。
また、風呂場やお手洗いのマットなども要注意。湿った状態だと、カビ菌である白癬菌はうじゃうじゃ増殖しますので、手に触れると感染する可能性があります。
寒く乾燥した環境では菌は元気を失ってしまうので、冬場や秋には感染のリスクは少なくなりますが、逆に湿気の多い春や夏といった季節は菌が元気になりますので、感染が起きやすいので要注意です。
手水虫の症状とは?
足水虫と同様に、4パターンに分けられます。それぞれの特徴をお話ししましょう。
●趾間型水虫(しかんがたみずむし)
指の間にできます。
むず痒く、指の間が赤くなってきます。白くふやけて皮がむけ、爛れてきます。水のような液体が出て、ジュクジュクと膿んできます。
●小水疱型水虫(しょうすいほうがたみずむし)
水疱や膿を持った水疱のようなものができます。
水疱の大きさは、数ミリであまり大きくありませんが、強い痒みがあります。
●角質増殖型水虫(かくしつぞうしょくがたみずむし)
痒みなどの自覚症状はありません。
皮膚の角質が厚くなり、ザラザラになって皮がむけてきます。
足にできる場合は、かかとなどの皮膚の厚い部分にできます。
手水虫で一番多いのは、この角質増殖型水虫です。自覚症状がないため、見落とされやすいといわれています。
●爪水虫
爪白癬(つめはくせん)ともいいます。
爪には神経がないので、痛みや痒みはありませんが、見た目に症状が現れてきます。例えば、爪が厚く、濁ってきたり、表面が崩れてボロボロ、筋があるなど。
爪水虫は放置しておくと着実に進行し、完治により多くの時間を費やさねばならなくなってしまうので、早急に対応するべきです。
手水虫と間違われやすい他の症状とは?
症状が似ていて、手水虫と間違われやすい病気を紹介します。
アトピー性皮膚炎や汗性湿疹などこれらに水虫の薬を用いると、逆に悪化する可能性があります。違和感があるなと思ったら、自己判断せずに皮膚科で診察してもらいましょう。
●主婦湿疹
正式には手湿疹といいます。
手に触れるさまざまなものの刺激により生じる皮膚炎です。
乾燥肌気味の人や、洗い物などをして手の脂分が減ったりすると起こりやすくなります。また、空気が乾燥する季節、秋から冬に多くなる傾向があります。
症状が悪化してくると、皮膚が硬くなり亀裂が現れます。痒みを伴うこともあり、搔くと余計に症状が悪化します。
手水虫の場合は片手に症状があらわれますが、主婦湿疹の場合は両手にあらわれます。
●掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
手のひらなどに膿疱(膿の固まり)が発生する病気です。これも、主婦湿疹と同じく左右同時に症状があらわれます。
水虫との違いは、感染しないこと。膿に触れても他人に感染することはありません。また、水虫の水疱は無色ですが、膿疱の場合は黄色みがかっています。
ただし、これらは初期症状が非常に似ており素人目には汗疹や湿疹などと区別がつかないため、やはり医師の診断を受けるのが間違いないと思います。
手水虫の予防法とは?
手水虫を予防するには、白癬菌を手に付着させないことが第一です。
道具を分ける
白癬菌は、大変生命力が強い菌とされています。爪水虫の人が切った爪に、半年経っても生き続けていたという話もあります。
なので、爪を切る際にはばら撒かないように新聞紙などにまとめて捨てるということが大切です。その爪を触れることによって、白癬菌が手に住み着き、手水虫になる可能性もあります。
爪切りなども、できるなら他人と共用せず、マイ爪切りを持っておくと安心です。しかし、自分が水虫の場合は足用と手用で分ける必要があります。
また、同様に共有するスリッパからの感染も多いと考えられるのでトイレスリッパの使用方法を改めるという事も必要でしょう。
清潔にする
白癬菌はカビの一種なので、高温多湿を好みます。
温かい時期からは、特に注意が必要です。梅雨時期や、蒸れた靴の中には白癬菌がうようよ……という可能性もあります。
さらに、体に垢や汚れがたまるとアルカリ性の肌になりますが、これが白癬菌の増殖を許してしまう環境なのです。まめにシャワーをあびるなどして、身体を清潔に保ち、肌を弱酸性にしておくと、感染を予防できます。
白癬菌は水に流れるので、手洗いを小まめにすることでも手水虫を予防できます。外から帰ったら手洗いを必ずしましょう。
ついでに足水虫の予防もかねて、足も洗うとなお良いです。その際、指の間や爪の周りも丁寧に洗うことが大切です。
多くの手水虫は、足水虫から白癬菌をもらってしまうことで起こりますので、足水虫を予防することが手水虫の予防にもなります。
足水虫の予防として効果的なのは、先にお伝えしたように足を洗うほか、洗い終わった足は乾燥させること、靴は毎日履き替えること、サンダルに履き替えるなどして蒸らさないことなどです。
白癬菌が住み着きにくい環境を作ることが重要なのですね。
家族に水虫患者がいる場合の予防法は?
かつては、働くお父さんの代名詞だった?水虫ですが、今や働くお母さんも珍しくない現代において、日本人の五人に一人は水虫といわれています。
家庭という狭いコミュニティの中で、水虫患者がいると、あっという間に感染が広がってしまいます。
家族に水虫患者がいる場合は、爪切りやバスマットなどを共用しないようにすることが大切です。
また、はがれた皮膚が床に落ちていると、それに付着した白癬菌が感染源になる可能性があるので、掃除は念入りにします。
できることなら裸足で歩かないようにし、自分専用の部屋履きなどを履いて、菌に触れないよう心がけることが大切です。
それでも、どこで白癬菌をもらってくるかわからないので、バスマットなど洗えるものは小まめに洗い、ベッドマットなど洗うことが難しいものは、定期的に外で干すなどすると良いでしょう。
椅子を使った生活
床に寝そべるスタイルの生活を送っていると、手には白癬菌が付きやすくなるので手白癬にかかるリスクは高くなります。和式の畳の部屋などでは仕方ないですが、家の中では基本的に裸足で歩き回ることが多いのでそれだけ菌はどこにでも付着します。
なので、床に寝転がる様なスタイルの家庭ではより、手洗いを行うなどの対策が重要になるでしょう。出来れば椅子を使った生活のほうが手白癬にかかるリスクは低くなります。
手と足の触れる部分を完全に分けて生活することで、白癬菌が手に接触する機会が圧倒的に減るのでその分リスクは少なくなります。また、家でも靴下を履いて生活するなど、感染させないために水虫の人は自覚を持って感染のリスクを無くすことも重要です。
自分が水虫の場合は自分で対策をして手に菌が付着する事をなくしていきましょう。
免疫力を上げる
そもそも白癬菌がく着したからと行って必ず水虫を発症するわけではありません。もし必ず発症するものだとしたらものすごい国民病になっています。しかしそうではありません。殆どの場合は自己の免疫力によって感染は防がれ、症状を発症しません。
たまに、皮膚の免疫力が低下していることで、感染が起こり菌が増殖し症状を発症します。
肌の免疫力を上げるためには、バランスの良い食生活や、睡眠、運動などがあげられる他に、肌の日光浴、保湿などが有効です。特に洗い物など水仕事をしている場合は手が乾燥しやすいですし傷ができていたりすると、そこから菌が入りやすくなります。痒いからと行って掻きすぎるとそこも傷になり菌が広がります。
しっかり、クリームを塗るなどして皮膚を保湿し手の皮膚の免疫力を高めましょう。
また、風邪を引いているときや体調が悪い時は同時に肌の免疫も低下しています。身体全体の免疫が落ちていますので、そういった時は特に他の菌への感染による合併症状などに気をつけましょう。
体温を温めて早めに元気を取り戻しましょう。
足の水虫を治す
手に水虫を移さないように、自分の足の水虫を治すことを早めに行いましょう。自分が水虫なことで他の人にも感染させてしまう可能性もありますので放置は禁物です。
普通の水虫であれば2ヶ月ほどで治療することが出来ます。さらにそこから菌の死滅までさらに1ヶ月の時間が必要になり、3ヶ月ほどは薬を使って治療しましょう。
完全に治るまでは、再発の可能性が高くなり、その期間にも手への感染は起こる可能性があります。市販薬での治療もいいですが出来れば病院での治療が好ましいです。
長引く病気でもありますので、症状が長引けばそれだけ治療のための薬代はかかります。手に感染すればさらに治療費はかさみます。足に発症した時にいち早く対応することが手に感染を起こさないために出来る最重要な項目となるでしょう。
手水虫の治療法は?
できるなら皮膚科へ行くのがベストですが、初期段階では、薬局の水虫薬も有効です。
現在、さまざまな薬が薬局などに売っていますので、自分の症状にあった薬を選ぶと良いでしょう。
出来ることなら薬剤師さんに相談することをオススメします。先ほどもお伝えしたように、水虫患者は大変多いです。恥ずかしがらずに相談しましょう。
また、症状が和らいだからと言って、安心してはいけません。白癬菌は、実はその間も生きていて、ただ休眠しているだけなのです。こちらの手が弱まるのをじっと息を潜めて待っています。
なので、症状が落ち着いたと思っても、一か月から二か月ほどそのまま薬を使い、白癬菌がなくなるまで治療を続けましょう。
爪白癬の場合
水虫の病状が進行し、爪水虫などになってしまった場合は、市販の外用薬は効きません。
これは、薬を塗れる範囲に白癬菌がおらず、深いところに入り込んでいるからです。
この場合は、主に飲み薬を用いて治療します。
爪水虫に進行してしまった場合、治療はかなり長期になります。
爪水虫の場合、白癬菌を爪の内部に蓄えていて、それらをやっつけないと、手水虫を完治させることができないからです。つまり、手水虫をいくら治しても、蓄えられた白癬菌がどんどん出てきて、水虫が再発するということになります。
また、爪水虫によって濁った爪は、薬によって戻ることはありません。爪がのびて、きれいな爪に生え変わるまで薬の服用は続きます。
伸びる速度にもよりますが、手の爪ならば半年程度かかります。
ここまで悪化する前に、皮膚科で診察されることをオススメします。
まとめ
足水虫ほどメジャーでないので、あまり認知されていない手水虫。
ですが、自己判断で全く効き目のない薬を用いてしまうと、良くなるどころか、それを栄養源にして白癬菌が増殖する可能性もあるそうです。
白癬菌は当然ですが、私たちの目には見えません。
皮膚科で顕微鏡検査をすると、水虫であれば白癬菌は必ず見つかります。すぐに原因が判明するのです。
何事も初期対応が大切です。すぐに対応することで、重症化を防ぐことができます。
おかしいな、と思ったら、恥ずかしがらずに皮膚科に相談へ行くのが完治への近道です。
今や女性の水虫患者も増えてきているといわれています。
悩んでいるのは、あなただけじゃありません。安心してくださいね。
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