年末年始、新学期や季節の変わり目、または行事の前後など、大勢で食事をする機会が増える季節ですね。そんなときに是非気をつけてほしいのが、食物アレルギーです。
普段から見聞きするようなアレルギー、たとえば小麦や卵などは多くの人がおおよそのところを理解しているように思えます。しかし、甲殻類アレルギーはどうでしょうか?
どのような食材が甲殻類アレルギーに入るの?もし、アレルギー症状を起こしてしまった人が近くに居た場合どのような症状があり対処法があるの?
などまだ多くの人はこの甲殻類アレルギーについて対処法を知らない人は多くいると思います。
ここではこれからの季節に多くでる甲殻類アレルギーの原因やその症状、対処法などについて紹介していきます。
アレルギー症状は突然発症します。周りのアレルギー持ちの方を気遣うだけでなく、自分も甲殻類アレルギーになる可能性があるかもしれないと注意してみても良いかもしれません。
甲殻類アレルギーとは?
様々なタンパク質や物質に対して免疫作用が過剰に反応してしまうことで発生するアレルギー。
甲殻類アレルギーとはどの様なものなのかについて紹介します。
甲殻類アレルギーって?
アレルギーは本来害にはならない特定の物質に対して、過剰に免疫作用が発生してしまうことで問題が起こる症状のことを指します。
甲殻類アレルギーとは、主に海老やカニまたはシャコなどの甲殻類といわれる食べ物を食べたり、触ったりしたときに起こるアレルギー反応のことをいいます。
この反応を引き起こす原因となる抗原のことをアレルゲンと呼びます。
具体的にアレルゲンとなる食材は、甲殻類のエビ、かに、シャコなどです。また軟体動物のイカ、タコ、貝などでも症状が発生することがあります。
さらに節足動物のダニ、ゴキブリ、クモ、サソリなどもこの甲殻類アレルギーの原因物質である「トロポミオシン」というたんぱく質を持つ生物になりますので、これらの虫と認識されている動物からも発生することがあります。
食べるだけでなくても触ることでも発生する
これらの食べ物や生き物を食するだけでなく、触ったり、粉になった状態のものを吸い込むだけでもアレルギー反応は起こります。
近年アレルギーは色々な食物で起こりうるといわれますが、この甲殻類アレルギーは他のアレルギーに比べてその反応が強く出ることから、特に気をつけなければいけないアレルギーといわれています。
身体表面に出る蕁麻疹やかゆみ程度のもので済めばよいのですが、体調やアレルギー反応の出かたによってはアナフィラキーショックという重度のアレルギー反応を起こし、命までも危険な状況になりかねないのです。
小学生から増え始める
甲殻類アレルギーの症状を発症する患者は2歳を超えた頃から徐々に増え始め、小学生の頃に発症する人が多く居ます。
アレルギーは摂取量が増えるにつれて発生するもので、初めは食べられていても許容量を超えて施主することで突然蕁麻疹などがで始めることがあります。
小学生の年頃になると、これらのアレルゲンの食材を摂取する機会が増えるので発生者が増加します。
甲殻類アレルギーの原因は?
甲殻類アレルギーが発生する原因について紹介します。
アレルギーが発生している原因を理解して症状が発生しないように注意しましょう。
原因物質について
主に甲殻類が持つ「トロポミオシン」というタンパク質が原因物質です。
気をつけなければいけないのは、この「トロポミオシン」は海老やカニ、シャコの甲殻類だけでなく、軟体動物のイカやタコ、貝などや節足動物のダニ、ゴキブリ、クモ、サソリが保持してるタンパク質になります。
今まで海老やカニだけに気をつけていた甲殻類アレルギーの方もイカやタコ、ダニやゴキブリなどでも同じアレルギーが発症する可能性があることを知っておいたほうが良いでしょう。
そうすると日常生活の中でも注意しなければなりません。ダニやゴキブリにこの「トロポミオシン」が含まれているのですから、ハウスダストにも気をつけなければなりませんね。
食事だけでなく、日常生活の中でも原因物質に接触しないように注意しましょう。
原因となる行為
このアレルゲンとどのように接触すると問題となる症状が発生するのかについて紹介します。
食すことで発生する
カニやエビなどの殻や身の部分にアレルゲンとなるタンパク質が含まれているので、それらを食して吸収してしまうことで症状が発生します。
どの程度の量を食べれば症状が発生するかについては個人差があり、食べれば食べるほど症状はひどくなり悪化する傾向があります。
触れることで発生する
皮膚からの成分の吸収も行われますので、粘膜や皮膚に成分が付着することで問題が発生します。
蜘蛛やゴキブリの死骸や毛などや触覚などにもタンパク質が含まれていますので、これらがハウスダストに混ざっているものを吸い込むことでも症状が発生します。
食品に触れることでも症状が発生しますので注意が必要です。
甲殻類アレルギーが発生する食品は?
甲殻類アレルギーを発症する可能性のある食品は以下の通りです。
- エビ
- えびせん
- カニ
- シャコ
- かまぼこ、かまぼこ、じゃこ天(魚介類の練り物系全般)
- ちりめんじゃこ
- しらす
- イカ
- タコ
- 貝
などの食品は避けたほうが良いでしょう。アレルギーを持っている人は加工食品などを購入する際、必ず成分表示を確認するようにしましょう。
じゃこやしらすなどには小さな甲殻類やホタルイカなどが混ざっている可能性がありますので念のため注意したほうが良い食品になります。
また、外食などでもスープの出汁に甲殻類のエキスを使用していたり、カニなどを使用していることもありますので、不安であればお店の人に聞くようにしましょう。
甲殻類アレルギーの症状は?
甲殻類アレルギーの症状は大きく分けて4つのタイプがあります。全てが必ず発生する訳ではありませんが、摂取量を大幅に超えてしまうとどんどん症状が強くなります。
具体的に発生する症状を知っておきましょう。
皮膚や粘膜に起こる症状
多くの食物アレルギーで最も顕著な症状です。
かゆみや蕁麻疹などの皮膚症状のほか、口の中の不快感や唇が腫れるなどの口まわりの不快な症状や変化があります。また目が赤く充血したり、目のまわりが腫れるなどの症状などもあります。
最も多く発生する症状でもあります。1時間〜12時間程度で症状は自然消失することが多く24時間以上症状が継続して発生している場合は内科やアレルギー科などを受診したほうが良いでしょう。
呼吸器に起こる症状
皮膚や粘膜に起こる症状の次に多く起こる症状です。
くしゃみや鼻水、鼻づまりが挙げられます。咳や急に咳き込み止らなくなるなどの症状、またひどいときには呼吸困難に陥ることもあります。
この症状が発生したことのある人は、注意力を高めてアレルゲンとの接触を避けるようにしましょう。
消化器に起こる症状
腹痛や下痢、吐き気や嘔吐などの症状が出ます。この症状は鶏卵アレルギーに多く見られる症状なのですが、その鶏卵アレルギーよりも症状が重く出ること多いので注意が必要です。
この症状はアレルゲンを食してから24時間以上時間を置いてから発生する事もある症状で、長ければ2日後に症状が発生することもあります。
食物などとの関連性を照明することや、予測することが困難ですので見落としがちな症状でもあります。
体調などの関係もあり、時間差で消化器官の症状が発生することもあることを知っておきましょう。
全身性の症状(アナフィラキシーショック)
上記の症状が複数重なり合って出る症状のことをいいます。急性症状で場合によっては命の危険も伴うアレルギーショック症状です。
複数の症状が重なり全身に症状が出るので通常のアレルギー症状より重く、同時に血圧の急激な低下により意識を失うなどのショック症状が出る場合は命の危険も伴うので、単なるアレルギー症状と軽く見ずにおかしいなと思ったときには経過観察をし、適切な対処法を用意するのがいいでしょう。
場合によっては救急車を呼ぶことも検討したほうが良い症状になります。
急に症状が悪化し意識を失ってしまうこともありますので、一人の状態の時にこの症状が発生した場合には誰かに報告するなどの対策を取りましょう。
治療法と対処法
現在の治療法では、「これをすれば完治する。」という方法はありません。
基本的には、自分の身体の状態をよく知り、原因となる物質と上手に付きあっていく方法が一番とされています。
それを前提として基本的な治療としては、症状が出てしまった場合は抗ヒスタミン薬の投与や(飲み薬であることが多い)その他のお薬によって症状を抑えることです。またアナフィラキシーショックのような重篤な場合はアドレナリン自己注射薬が使用されます。
これらのお薬による治療法は症状が出てからの治療になるので、まずは事前にアレルギーであることの確認と、その際にどのような治療をするか、対応の医療機関の先生と相談することが必要です。
そのほかには、アレルゲン免疫療法というものがあります。
これは症状の出ていないときからアレルギーの原因物質を少量ずつ摂取し、アレルギー原因物質に対しての抵抗力や耐性をつけていくものです。ごく微量のアレルギー原因物質を期間をおき、長期的に摂取します。
しかしこの治療法は、耐性や抵抗力はついても完全に完治させるものではありません。また治療中体調などにより重篤なアレルギー反応を起こす可能性もあるので、対応の医療機関の先生とよく相談することが必要です。
検査法について
自分や、大切な人がこの甲殻類アレルギーかどうかを知るには検査が一番です。
対応の医療機関としては、内科、皮膚科、アレルギー科で調べてもらうことが出来ます。検査機関では甲殻類アレルギーに限らず、他のアレルギーの検査もうけることができます。
甲殻類アレルギーの原因物質である「トロポミオシン」というタンパク質はハウスダストアレルギーの原因であるダニやゴキブリにも含まれますので、アレルギー検査の際にそれらのアレルギー項目も一緒に検査してもらうと、今後気をつけなければならない原因物質がわかり良いでしょう。
検査方法は、主に血液検査です。ほかに皮膚検査(パッチテスト)でもアレルギー検査が出来ます。
費用はおおよそ五千円前後です。病院や内容によっては異なる場合もありますので気になる方は検査機関に問い合わせてみるとよいでしょう。
アレルゲンを誤飲したときの対処法
どんなに注意していてもアレルゲン物質を誤飲してしまう事は誰にでもあります。
特に甲殻類は人気の食材でもありますので、多くの食品に含まれていますので誤飲してしまう可能性の高い食品になります。
もし、自分や身近な人が誤飲してしまった場合にはどのように対処すれば良いのでしょうか?対処法を紹介します。
口をすすぐ
まずうがいをして出来るだけ粘膜に付着しているアレルゲンを排出しましょう。無理に吐く必要はありません。手洗いうがいをして症状を最小限に抑える対策をします。
口の中に入っている食品に関してはアレルゲンが含まれている場合は捨てたほうが良いでしょう。
一旦食事を中断して症状が落ち着くのを待ちましょう。
とにかく安静に
動き回ったり、症状が発生している状態で活動してしまうとアレルゲンが体の中を回って症状が広がりやすくなります。
足を高い場所に挙げて、出来れば横になって体を休めましょう。深呼吸をして体を休めていれば症状を早く治すことが出来ます。
アナフィラキシーショックが発生している場合
複合的に症状が発生している。もしくは過去にアレルギー反応で意識を失ったり、危険な状態に陥ったことのある経験を持つ人は、注意してください。
非常に危険な状態です。意識のある内に頼りに出来る人に連絡をとって、病院へ急ぎましょう。
もし自力で病院にいくことが困難な場合は救急車を読んで下さい。周囲に付き添っている人は絶対に患者から目を離さずに病院まで付き添ってあげましょう。
自己判断で様子を見てはいけません。必ず1度お医者さんに診てもらってください。
1度アナフィラキシーショックになってしまった場合は、再び誤飲した時に同程度の症状が発生する可能性が非常に高いです。
緊急用の注射薬などを常備するよう、処方されますのでそれを必ず手に入れるようにしましょう。
甲殻類アレルギーと上手につきあうために
甲殻類アレルギーの方はもちろん、そのほかの食物アレルギーの方、またはその周りの方がアレルギー体質の方に対し反応が出ないように気をつけたほうがよいことはあるのでしょうか?
甲殻類アレルギーだけでなく、多くの食物アレルギーを持つ方が共通して思うことは、周りの人の知識・理解不足です。
アレルギーの無い人にとって、海老やカニなどの食べ物だけでなくその他のアレルゲンになる食物は美味しいものと思っています。
そのような人の中には、「命に関わるアレルギーといっても、ちょっと軽くかゆみや発疹が出る程度でしょ。」などと誤解している方もまだまだ多くいるのが現状です。そしてそれがもっとも親しい親族や友人であることも稀ではありません。
そのような人たちとの会食では、「アレルギーは慣れだ」とか、「食わず嫌いだ」などの理由をつけられ、無理やり口に入れられアレルギー反応を起こした人が多くいます。
断固として断ることが出来ればいいのですが、立場上断りきれない状態であったり、毎回のことだと理解してもらうには、自分が犠牲になってアレルギー症状の怖さを見てもらわないと理解してもらえないなどと思ってしまうのです。
まさに命がけの会食です。
ただでさえ、本人は苦しい思いをしているのです。だから食事の時には美味しく楽しい時間を過ごさせてあげましょう。そのためには、周りの人の甲殻類アレルギーをはじめとする食物アレルギーに対する正しい知識と理解が必要なのです。
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