下痢と嘔吐を同時に感じる病気は?原因や対処方法を知ろう!

嘔吐下痢症(おうとげりしょう)という病気をご存知でしょうか?その名の通り、嘔吐や下痢が主症状として現れる病気です。嘔吐や下痢は、せっかく食べ物や飲み物を摂取することによって栄養や水分を補給しても、消化吸収をする前に吐き出してしまったり、排泄をしてしまうことで、栄養不足や脱水症状を引き起こす危険性があります。

このような嘔吐下痢症は、年齢を問わず罹患しますが、特に乳幼児や子供に多く発症する傾向にあるとされています。お子さんをお持ちの親御さんならば、子供が前触れもなく嘔吐して対応に困ったという経験を、1度や2度は経験されているのではないでしょうか?

そこで今回は、嘔吐下痢症の原因や対処法についてまとめてみましたので、参考にしていただければ幸いです。

嘔吐下痢症とは?

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そもそも嘔吐下痢症とは、どのような病気なのでしょうか?

嘔吐下痢症は、その名の通り、嘔吐や下痢が主症状として現れる病気ですが、嘔吐・吐き気や下痢といった症状は、様々な病気によって現れます。

そこで、まずは嘔吐下痢症という病気について基礎的な知識を確認してみようと思います。

嘔吐下痢症とは?

嘔吐下痢症は、嘔吐や下痢が主症状として現れる病気の「総称」です。

嘔吐下痢症の多くは、胃や腸などの消化器系にウイルスが感染することで発症するウイルス感染症(ウイルス性感染症)ですが、細菌に感染することで発症する細菌感染症(細菌性感染症)の場合もあります。

ウイルス性(ウイルス感染性)の嘔吐下痢症は、特に乳幼児や子供に多く発症する傾向がありますが、感染力の強いウイルスであれば成人でも感染して発症することもあります。

ちなみに、これらのウイルスや細菌が生み出す毒素が食べ物や飲み物に付着したものを摂取することで、嘔吐や下痢などの症状が現われる場合は、いわゆる食中毒として分類されることもあります。

嘔吐下痢症の診断名は?

嘔吐下痢症は、嘔吐や下痢が主症状として現れる病気の総称ですので、病院を受診して専門家である医師の診断を仰いだ場合に、別の病名・診断名を伝えられることもあります。

嘔吐下痢症に含まれる病気としては、主に次のような病気・病名が挙げられます。

  • ウイルス性胃腸炎(ウイルス性胃炎・ウイルス性腸炎)
  • ウイルス感染性胃腸炎
  • 急性胃腸炎
  • ウイルス性急性胃腸炎
  • 感染性胃腸炎(感染性胃炎・感染性腸炎)
  • ノロウイルス感染症(ノロウイルス胃腸炎)
  • ロタウイルス感染症
  • アデノウイルス感染症

このように様々な病気・病名がありますが、いずれも主に嘔吐・吐き気・下痢といった症状が現れることに違いはありません。

その他の嘔吐・下痢を伴う病気

このような嘔吐下痢症の他にも、消化器系の不調で嘔吐・吐き気や下痢が引き起こされることがありますので、簡単にご紹介したいと思います。

機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアは、慢性的な胃痛や胃もたれがあるのに、内視鏡検査などでは異常が発見されない病気のことです。いわゆるストレス性胃炎・神経性胃炎のことです。

機能性ディスペプシアでは、腹痛・嘔吐・吐き気などの症状が見られます。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は、慢性的に便秘あるいは下痢が続き、検査をしても異常が発見されない病気のことです。いわゆるストレス性の腸炎のことです。

逆流性食道炎

逆流性食道炎は、何らかの原因により、胃液や消化途中の食べ物が食道まで逆流して食道の粘膜に炎症を引き起こす病気のことです。

呑酸と呼ばれる胃液の逆流による酸っぱく不快な感覚が口腔や喉で生じ、吐き気を催すことがあります。

嘔吐下痢症の症状

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このように嘔吐下痢症は、主症状として嘔吐・吐き気・下痢といった症状が現われる病気です。

それでは、嘔吐下痢症で現れる症状は、嘔吐・吐き気・下痢だけなのでしょうか?そこで、嘔吐下痢症の症状について、ご紹介したいと思います。

嘔吐下痢症の症状

前述のように嘔吐下痢症の多くは、胃腸などの消化器系にウイルスが感染することで発症するウイルス感染症です。そのため、嘔吐下痢症の症状は、胃や腸などに炎症が生じる胃腸炎症状が現れます。

まず、ウイルスが口などから侵入して胃に感染すると、ウイルスを排出しようとする生体防御反応として嘔吐や吐き気が生じます。そして、ウイルスが腸に到達して感染すると、ウイルスを排出しようとして便が緩くなり下痢が生じるのです。

また、胃腸が炎症状態になることで腹痛を生じることもあります。お腹の痛みが非常に強い場合で、下痢便に血液が混じり茶褐色となっているときは、細菌性の感染性胃腸炎で食中毒の可能性があります。

さらに、体内に侵入したウイルスを退治するために、発熱が生じることもあります。発熱することにより、ウイルスの活性度が低下するとともに、ウイルスに対抗する白血球などの免役細胞が活性化します。

脱水症・電解質喪失症の合併

嘔吐や下痢の症状が酷く、嘔吐や下痢を繰り返す場合、脱水症(脱水症状)・電解質喪失症(電解質喪失症状)を合併することもあります。

脱水症は、身体から水分が失われている状態をイメージしますが、厳密に言うと身体から体液(水分と電解質)が失われた状態のことを言います。つまり、脱水症状は発汗・嘔吐・下痢と水分摂取不足などによって、身体から水分と体液に溶けている電解質が同時に失われている状態のことなのです。

電解質とは、体液に溶けているミネラルイオン(ナトリウムイオン・カリウムイオン・カルシウムイオン・マグネシウムイオンなど)のことで、次のような重要な役割を果たしています。

  • 体内の水分量の調節
  • 血液が酸性やアルカリ性のどちらかに傾き過ぎないようにph(水素イオン濃度)の調整
  • 神経伝達や筋肉の運動

脱水状態となると、血液中の水分が減少することにより端的に言って血液量が減少しますので、血流が低下して脳が血液不足となり集中力が低下するなど、様々な弊害が現れます。

また、脱水状態となって電解質が不足すると、神経伝達や筋肉の制御が上手くできなくなり、身体にしびれが生じたり、脱力感を感じたり、足をつるといった症状が現れます。

症状の持続期間

ウイルスや細菌は肉眼で確認することができませんから、ウイルスや細菌が体内に侵入したことを確認することもできません。そのため、嘔吐下痢症の症状は、何らかの前触れのようなものもなく突然に発症します。お子さんをお持ちの親御さんならば、子供が前触れもなく嘔吐して対応に困ったという経験が1度や2度はあると思います。

このように突発的に発症する嘔吐下痢症ですが、症状の持続時間・感染期間については非常に個人差が大きいことで知られます。というのも、ウイルスや細菌の種類の違い、感染者・患者の体力や抵抗力の違いなどが存在するからです。

嘔吐下痢症の発症初期に現れる嘔吐は概ね1日程度で治まりますが、その後に現れる下痢については個人差が大きく、1週間程度と長引く場合もあります。

嘔吐下痢症の原因

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嘔吐下痢症で嘔吐・吐き気・下痢といった症状を引き起こすのは、ウイルスや細菌です。

それでは、嘔吐下痢症の原因となる病原菌は、どのようなウイルスや細菌なのでしょうか?そこで、嘔吐下痢症の原因について、ご紹介したいと思います。

嘔吐下痢症の原因となる病原菌

嘔吐下痢症で嘔吐・吐き気・下痢といった症状を引き起こすのは、ウイルスや細菌への感染です。そして、嘔吐下痢症の多くは、胃や腸などの消化器系にウイルスが感染することが原因です。原因ウイルスとして代表的なものは、次のウイルスです。

  • ロタウイルス
  • ノロウイルス
  • アデノウイルス

また、嘔吐下痢症は、胃や腸などの消化器系に細菌が感染することでも発症し、原因となる代表的な細菌は、次の通りです。

  • 病原性大腸菌(O-157など)
  • 腸炎ビブリオ
  • サルモネラ菌
  • カンピロバクター

ただし、腸炎ビブリオ・サルモネラ菌・カンピロバクターの感染源は、ほとんどが食事・食べ物であることから、細菌感染の場合は多くが食中毒として嘔吐下痢症とは分けて把握されます。

ロタウイルス

ロタウイルスは、嘔吐下痢症の原因ウイルスとしてノロウイルスとともに代表的な存在のウイルスです。特に、乳幼児や子供に感染して、深刻な下痢症状を引き起こすことが多く、脱水症を合併することで死に至る危険性もあるとされています。

ロタウイルスは、主に冬から春にかけて流行する傾向があり、感染から発症までのウイルスの潜伏期間は1~3日間とされています。発症すると、嘔吐が先行して現れ、その後に発熱と下痢が現れます。ロタウイルスによる下痢は、1週間程度と長引きやすく、下痢便の色が白色に変色することがあります。

ロタウイルスに一度感染すると、ほとんどの場合で体内に免疫を獲得することができるため、2回目以降の感染では症状が軽微もしくは不顕在となります。そのため、高齢者や免疫不全症患者を除けば、多くの成人はロタウイルスによる嘔吐下痢症の心配はそれほど必要ないでしょう。

ノロウイルス

ノロウイルスは、嘔吐下痢症の原因ウイルスとしてロタウイルスとともに代表的な存在のウイルスです。ロタウイルスは成人の感染は少ないのですが、ノロウイルスは年齢を問わず、あらゆる年齢層で発症する可能性があります。

ノロウイルスは、主に秋から冬にかけて流行する傾向があり、感染から発症までのウイルスの潜伏期間は1~2日間とされています。発症すると、嘔吐や吐き気が現れ、その後に発熱や下痢が現れます。症状は個人差があるものの、概ね1~2日間程度で治まりますが、乳幼児や高齢者など身体の抵抗力がない人は、まれに下痢が長引くこともあり、脱水症を合併して死因となることがあるとされます。

ノロウイルスに感染すると免疫を獲得することができますが、その免疫は1~2年で失われるとされています。免疫が失われる要因は、未だ明確となっていません。そのため、一度感染して免疫ができたからと言って、安心することはできません。

アデノウイルス

アデノウイルスは、いわゆる風邪(かぜ症候群)の原因ウイルスとして有名で、夏場に流行するプール熱の原因ウイルスでもあります。一口にアデノウイルスと言っても、50以上の型が存在し、その型によって引き起こされる病気は異なります。

胃腸炎を引き起こすのは、主にアデノウイルスの31型・40型・41型とされています。乳幼児の感染が多く、嘔吐や下痢に伴い腹痛が生じるものの、発熱の程度は軽い傾向があります。一般的に、ロタウイルスやノロウイルスに比較すると、全体的に症状は軽いと言えるでしょう。

病原性大腸菌

病原性大腸菌は、特定の病気を発症させる毒素を有する大腸菌の総称で、中でも腸管出血性大腸菌O-157が有名です。病原性大腸菌は、主に小腸や大腸に感染して下痢や腹痛を発症させます。

病原性大腸菌は、食肉などを汚染することで食中毒を起こすことで有名ですが、接触感染によって嘔吐下痢症の原因菌となることもあるとされています。

嘔吐下痢症の病原菌の感染経路

このような嘔吐下痢症の原因となるウイルスや細菌の感染経路は、基本的に接触感染や経口感染です。感染者が嘔吐により吐き出した吐瀉物(としゃぶつ)の清掃の際に、吐瀉物に直接触れた手指や、掃除道具に接触した手指に付着し、十分な手洗いをせずに食べ物や飲料に触れることで病原菌が口に入ると感染します。

ですから、吐瀉物の処理、感染者が利用した便器の清掃、感染した乳幼児のおむつの処理をした後は、自らの手洗いについて十分に注意をする必要があります。

また、感染者の吐いた吐瀉物や糞便が放置され乾燥したものがチリやホコリとなって空気中に拡散し、その空気を吸うことによって空気感染することもあります。

嘔吐下痢症の対処方法

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それでは、嘔吐下痢症の原因となる病原菌に感染して、嘔吐や下痢の症状が現われた場合に、どのように対処すれば良いのでしょうか?

また、嘔吐や下痢といった症状は、思っている以上に身体に負担がかかりますから、嘔吐下痢症の病原菌に感染しないに越したことはありません。そこで、嘔吐下痢症の対処法や治療法、あるいは嘔吐下痢症の病原菌に対する感染予防法について、ご紹介したいと思います。

応急措置

嘔吐下痢症の症状は、前述したように何らかの前触れのようなものもなく突然に発症し、ウイルスを排出しようとする生体防御反応として嘔吐や吐き気が生じます。

吐きはじめから6時間程度の間は、嘔吐や吐き気が激しくなります。この時に、応急手当と考えて、吐き気止めを服用することは逆効果となります。身体は嘔吐したいのにもかかわらず、薬によって嘔吐が妨げられるからです。また、吐き気のするときに水分補給をしても、ほとんどの場合は更に嘔吐をする要因になります。脱水症の心配は、下痢が始まってからでも大丈夫です。

ですから、嘔吐と吐き気が自然と治まるまでは、基本的に絶飲食とするのが正しい応急対処法と言えます。絶飲食とは、何も食べず、何も飲まず、薬も服用しないということです。

医療機関・病院の受診

嘔吐や吐き気が6時間を超えても落ち着かない場合や、吐瀉物が緑っぽい色のものが混じっている場合や、血便が現れた場合は、速やかに医療機関・病院を受診したほうが良いでしょう。吐瀉物が緑色になるのは胆汁が混じっているためで、腸重積症(腸重責症)という病気の可能性があります。ちなみに、吐瀉物が黄色の場合は胃液なので、それほど心配はいりません。

成人であれば、慌てて医療機関に駆け込む必要はありませんが、乳幼児や子供の場合は下痢が始まると脱水症の恐れもありますので、早いうちにかかりつけの小児科を受診すると良いでしょう。

嘔吐下痢症の治療法

嘔吐下痢症が細菌性の場合は抗生物質・抗生剤の投与が有効ですが、ウイルス性の場合は抗生物質・抗生剤は効きません。そのため、ウイスル性の嘔吐下痢症の治療は、基本的に対症療法と脱水症予防の二本立ての治療となります。

対症療法

嘔吐や吐き気は、概ね1日程度で自然と治まります。治まらない場合は、吐き気止めなどの薬剤を処方されます。腹痛に対しても、痛み止めの処方がなされます。

発熱に対しては、ウイルスの活性度の低下と免役細胞の活性化の観点から、解熱剤の服用はなるべく控えたいところです。ただし、抵抗力のない子供や高齢者あるいは高熱の場合は、医師の指導の下で速やかに解熱剤を服用したほうが良いでしょう。

下痢に対しても、細菌の毒素やウイルスを体外に排出する観点から、早期に下痢止めなどの治療薬を服用することは控えたいところです。ただし、脱水症予防の観点から、下痢止めを服用したほうが良い場合もあり、医師の指導に従うことが大切です。

脱水症予防

特に下痢が長く続く場合は、前述のように脱水症や電解質喪失症が合併する危険性がありますので、脱水症予防に気を配る必要があります。

嘔吐や吐き気が落ち着いたあたりから、徐々に少しずつ水分補給を行います。最初は脱水症を予防するためにも、飲料の種類にこだわらず飲むことができるものを飲んだほうが良いでしょう。

下痢が始まると水分とともに電解質(特にナトリウムイオン)が失われますので、電解質の補給にも気を配らなければなりません。電解質の補給に優れるのが、飲む点滴と呼ばれる経口補水液(経口補液)で、塩分を含みナトリウムイオンなどの電解質や糖質などをバランス良く含んでいます。

水分補給が可能になったら、徐々に消化の良い炭水化物などから食事を通じて栄養補給をすることも大切です。

嘔吐下痢症の感染予防法

嘔吐下痢症の感染予防法は、手洗いやうがいの励行に尽きます。特に、吐瀉物の処理、感染者が利用した便器の清掃、感染した乳幼児のおむつの処理をする際は、マスクをして病原菌を吸入しないようにして、ビニール手袋などを着用して行いましょう。そして、その処理後は必ず手洗いとうがいを行います。

また、吐瀉物の付着した衣服については、次亜塩素酸ナトリウムの0.1%水溶液、いわゆる塩素系漂白剤5%液を50倍に薄めたもので消毒をしましょう。

まとめ

いかがでしたか?嘔吐下痢症の原因や対処法について、ご理解いただけたでしょうか?

嘔吐下痢症の多くは、ロタウイルスやノロウイルスに感染することによって発症します。そして、特に乳幼児や子供は抵抗力や免疫力が十分でないために、嘔吐下痢症を発症しやすいのです。

嘔吐下痢症の怖さは、嘔吐や下痢といった主症状ではなく、嘔吐や下痢によって付随的に引き起こされる脱水症にあり、場合によっては脱水症によって死に至ることもあるのです。

とはいえ、日本に住む限り、脱水症で死に至ることはまれで、基本的に嘔吐下痢症は予後良好の病気です。

ですから、嘔吐下痢症に罹患しても、嘔吐下痢症について良く知り、冷静に対処すれば大きな問題になることは無いと言えるでしょう。

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