ノロウイルスの検査方法って?症状や感染経路、予防法も紹介!

ノロウイルスは下痢などの症状が現れる、感染性胃腸炎を引き起こす原因の一つです。食中毒患者の半数以上がノロウイルスによるもので、冬場になると流行し集団感染のニュースなども報道されています。

また、今のところノロウイルスには予防するワクチンや治療薬などの対応策は無いと言われており、感染しないよう予防や検査をしっかり行う事が重要視されています。正しい知識を身に付け、ご自信や大切なお子さんをノロウイルスからしっかり守りましょう。

ノロウイルスとは

吐き気

ノロウイルスは毎年11月~1月に流行し、抵抗力の弱い子供が集まる学校や高齢者施設などで集団感染が起こりやすくなっています。まずは、そんなノロウイルスの特徴についてご紹介したいと思います。

感染力

熱や乾燥、アルコールによる消毒にも強く、体内のウイルスの数が少数(およそ10個~100個)でも発症すると言われており、強い感染力を持っています。

感染ルート

どのような経路からノロウイルスに感染するのでしょうか。

  • 接触感染・・・ノロウイルスに汚染された食品を食べたり、ウイルスが付着したものを触った手のまま食事をするなどで口から体内に入ってしまいます。
  • 飛沫感染・・・感染者の吐しゃ物や排泄物に含まれるノロウイルスが飛び散り、他人の体内へ入り込んでしまう事です。
  • 空気感染・・・感染者の吐しゃ物などが乾燥し、中に残ったノロウイルスが空気中へ舞い上がり体内に入り込む事です。

症状

ノロウイルスに感染した際に起こる代表的な症状をご紹介します。

  • 熱・・・38℃以下の微熱がでる場合があります。高熱になる事は少ないと言われています。
  • 吐き気、嘔吐・・・他のウイルス性胃腸炎よりも症状が重たい場合が多く、胃の中が空になっても、嘔吐を何度も繰り返す事があるようです。
  • 下痢、腹痛・・・ウイルスを体内から排出するために下痢の症状が現れます。下痢を何度も繰り返すと、脱水状態になる場合があります。

これらの症状が1~2日程度続くそうです。また、免疫力が高い人などは症状が現れなかったりする場合もあるようです。

風邪との見分け方

症状の違いとして、強い下痢症状や嘔吐の繰り返しが挙げられます。また、せきやノドの痛み、鼻詰まりなどの風邪症状は一般的には現れません。

心あたりがある場合にはノロウイルスに感染している疑いがありますので注意しましょう。

ノロウイルスの種類

ノロウイルスには遺伝子型の違いによって多くの種類が存在します。また、これらの既存のウイルスが変異する事があり、「潜伏期間が短い」「感染力が強い」などの特徴を持った新型が生まれる場合もあるようです。

ノロウイルスの予防

消毒

現在、ノロウイルスには感染を予防するワクチンなどはありません。ウイルスに感染しないような行動を意識し、予防に努める事が大切です。

また、一度ノロウイルスに感染した人には免疫がつきますが、その効果の持続期間が数ヶ月~2年程度と言われており、翌年再び感染する事も少なく無いようです。新型のノロウイルスが発生した際には免疫を持った人も居らず大流行に繋がった例もありますので、より効果的な予防法を知っておきしょう。

手洗い

熱やアルコール消毒にも強いノロウイルスです。食事やトイレ、共用場所の使用の際などには手の周囲を石鹸でしっかりと洗い流す事が重要です。

施設・設備の除菌

不特定多数の人が利用する設備には、多くのノロウイルスが付着している可能性があります。特に便座や手すり、ドアノブ、調理場の設備・器具などに付着している事が多いため清潔に保つよう心掛けましょう。この時スプレーなどを直接吹きかけて、ウイルスを飛び散らせないようにする事がポイントです。

吐しゃ物・排泄物の適切な処理

患者の吐しゃ物や排泄物にはノロウイルスが大量に含まれていますので、適切な処理が必要です。それらの処理をキチンと行い、感染拡大の防止に努めましょう。

直接手で触れないようにし、手袋(2枚重ねにする事が好ましいです)とマスクを着用します。消毒液を静かに注ぎペーパータオルなどで汚物が広がらないように取り除いていきます。その後消毒液を浸したペーパータオルを敷き10分程度放置した後、もう一度消毒液と水拭きで仕上げのふき取りを行います。

ここで使用する消毒液は次亜塩素酸と呼ばれる薬品です。一般の薬局やスーパーなどで売られている塩素系の漂白剤の事ですので、成分表示やラベルを良く確認してみましょう。

汚物が残ってしまったり、処理が遅くなると空気感染のリスクが高まりますので、迅速な処理を行う事が大切です。

また、下痢の症状が治まった後もしばらくの間、便中にはノロウイルスが存在しますので注意しましょう。水洗トイレを流す際には、飛び散らないように便座のフタを閉めてから流すようにします。感染者と使用するタオルを別にしたり、毎回ドアノブなどの設備を除菌する事もポイントです。

食品の加熱処理

ノロウイルスの感染原因となった食品が特定される例は少ないそうですが、特定された中では牡蠣などの二枚貝が原因になっている場合が多いようです。調理の際は食材の中心温度が85℃~90℃になった状態で、90秒以上の加熱を行う事が必要とされています。

ノロウイルスの検査

顕微鏡

ノロウイルスに感染した疑いがある場合、早期発見により感染の拡大に務める事が重要です。一般の医療機関では問診のみで感染しているかの判断をされる事が多く、必要性が認められた場合にのみ検査が実施されるようです。その際にどのような検査が行われるのか、代表的なものをご紹介します。

抗原検査

便の中にノロウイルスが含まれているかウイルスの抗原検査を行う方法で、検査は医師により必要性が認められた場合に実施されます。付属の綿棒により便を採取し、キットに滴加する事で結果が現れます。重症化する恐れのある3歳未満もしくは65歳以上の人には保険が適用され、実費負担の場合は病院によって異なりますが、5千円~数万円の検査費用となる場合が多いようです。

また近年では、一般の医療施設でも検査キットが用意されている場合もあり、安価かつ短時間で済む検査を受ける事が可能となっています。まずはお近くの保健所や、病院(内科や消化器科など)で相談してみましょう。

メリット

検査キットは15~20分程度の短い時間で検査結果がでるため、結果を早く知る事ができます。

デメリット

ノロウイルスの潜伏期間中(24~48時間)の間には結果が陽性にならない事があるなど、確実性に欠ける面があります。

注意点

食料品を扱う人や調理の従事者などは感染の拡大による被害が甚大になる可能性があるため、疑わしい場合には更に精密な検査が必要となってきます。

精密検査

通常の医療機関では実施できず専門機関にて検査が行われます。主に学校や職場での二次感染の対策などに用いられ、結果の判明までにおよそ3日~10日程の時間が掛かります。

遺伝子増幅法

PCR法、LAMP法などがあり他の検査法と比べ<検出の精度が高い事が特徴です。対象者の便の中に含まれるノロウイルスの遺伝子を増殖する事によりウイルスの有無を判断します。

RT-PCR法

ウイルスの有無を確認すると同時に、遺伝子型の判別まで行えることが特徴です。

リアルタイムPCR法

RT-PCR法よりも検出の感度が高く、短時間で結果が得られる事が特徴です。一方で遺伝子型までの判別はできず、試薬が高価であるデメリットもあります。

LAMP法

ウイルスの特異性に対して強く、汎用機での検査が可能といった特徴があります。遺伝子の増幅効率が高い事がメリットです。

電子顕微鏡法

ノロウイルスは非常に小さい為、通常の顕微鏡では確認する事ができません。そこで電子顕微鏡を用い、濃縮した便などからウイルスの粒子を確認する方法があります。遺伝子増幅法よりは精度が落ちますが、ウイルスを直接確認することができる他、ノロウイルス以外のウイルスも検出できる特徴があります。

ノロウイルスの治療

安静2

現在、ノロウイルスに対する特効薬や治療法は無いため、安静にしながらウイルスを体外に排出する方法が有効です。

この際、下痢や嘔吐を繰り返しますので体内の水分が不足してしまいます。経口補水液などを飲み、脱水症状とならないよう心掛けましょう。嘔吐を繰り返している場合には飲む事が苦しいかもしれませんが、少しずつでも給水していく事が重要です。

注意点として、症状が多少辛くても体内のウイルスをしっかり排出する為に、下痢止めや吐き気止めの薬を服用しないようにします。高齢者や幼児で下痢などによる脱水症状が酷い際には、点滴による補水が必要になる場合がありますので早急に医療機関へ相談しましょう。

まとめ

最後にポイントを簡潔にまとめました。

【ノロウイルスについて】

・乾燥や熱、アルコール消毒に強く感染力が強い。

・感染ルート

①接触感染・・・汚染された食品を食べたり、ウイルスが付着したもに触れる事で口から体内に取り込まれます。

②飛沫感染・・・感染者の排泄物などが飛び散りウイルスが体内に入り込んでしまう事です。

③空気感染・・・ウイルスが含まれた排泄物などが乾燥し空気中に舞い上がり、体内に入り込んでしまう事です。

・症状・・・下痢、嘔吐を繰り返し、脱水症状となる場合もあります。微熱が出ますが38℃以上の高熱になる事は少ないとされています。

【治療】

特効薬や治療法はありません。安静にしながら、脱水症状とならないよう給水を続ける事が重要です。

【予防】

・ノロウイルスに対するワクチンなどの予防法は現在ありません。

・手洗い・・・共用のものに触れた際や食品を扱う前後には石鹸による手洗いを確実に行う事が重要です。

・除菌・・・多くの人が使用する施設や設備をしっかり除菌します。特に食品を扱う場所や、ウイルスが付着している可能性の高いトイレなどは念入りに行いましょう。

・感染者の吐しゃ物などの処理・・・消毒液を使用し、新たな感染に繋がらないよう確実に処理を行います。

・食品の加熱処理・・・特に二枚貝などのノロウイルスが含まれる可能性が高い食品は、中心温度が85℃~90℃になった状態を90秒以上保つ加熱が必要とされています。

【検査】

・抗原検査・・・検査キットを使用し安価で短時間の検査が可能となっていますが、潜伏期間中には陽性とならないなど検出の精度は高くありません。

・遺伝子増幅法・・・便の中に含まれるノロウイルスの遺伝子を増幅させ、ウイルスの有無や型を調べる方法です。感染の疑いがある人の中で、主に食品や調理に従事する人に対して実施されます。

・電子顕微鏡法・・・電子顕微鏡を使い便中のノロウイルスの粒子を直接確認します。

【最後に】

ノロウイルスは食中毒の原因の半数を占める、とても身近に潜むウイルスです。効果的な治療法も無く感染力も強いため、感染の疑いがある場合には適切な検査と拡大の予防に務めるよう心掛けましょう。

  
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