ロタウイルスは予防接種で防ごう!症状や原因は?感染した時の対処法や治療方法も紹介!自宅での対策方法は?

ロタウイルスというウイルスを知っていますか?このウイルスに感染すると、胃腸炎を引き起こします。特に小さなお子さんに発症する率が高く、5歳までにほとんどの子供が経験する病気の1つだと言われています。小さいお子さんがかかる病気は、周りにいるお母さんやお父さんが正しい知識を得ることで、重症化を防ぐことができます。

ここでは、ロタウイルスの特徴や症状、治療方法や予防方法について詳しくご紹介します。

ロタウイルスの特徴とは?

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ここでは、ロタウイルスの概要と特徴についてご紹介します。

ロタウイルスとは?

ロタウイルス (Rotavirus) は、レオウイルス科に属するウイルスで、特に乳幼児や子どもに発症する感染症です。感染すると、急性胃腸炎を引き起こし、下痢や嘔吐、発熱などの症状が見られます。先進国であるアメリカ合衆国でも、年間数百万人以上もの患者がおり、そのうち10%は入院する必要があるほど重篤になり、100人以上が死亡していると報告されています。

アメリカだけでなく、先進国、発展途上国問わずに、全世界で発症する病気で、世界中で毎年70万人もの患者がこの病気で命を落とすと言われています。ロタウイルスの感染は繰り返し起こりますが、年長児や成人になると発症率は極めて低くなります。

日本でのこの病気の流行の時期は、12月~4月にかけてがピークです。11月~1月にかけてはノロウイルス感染症が流行するので、冬の寒い時期~春にかけて、様々なウイルスに対して予防をする必要があります。

ロタウイルスの特徴

ロタウイルスの特徴として、乳幼児や子供に発症することが多く、5歳までには、ほとんどの子供が1度は経験すると言われています。乳幼児の中でも1歳に特に発症しやすく、2歳未満の時期に感染すると重症化しやすく、入院を必要とすると言われています。また、他のウイルス性の胃腸炎と比較して、下痢や嘔吐の症状が激しく、ひどい下痢により脱水症状になる場合もあります。

ロタウイルスの特徴

  • アルコール消毒剤や高温に対する抵抗力がある。
  • ピーク時期は毎年12月~4月にかけて
  • 感染力が非常に強い。
  • 何度も感染することもあるが、二度目以降は重症化しない。
  • 乳幼児~5歳までの子供に多く発症し、ほとんどが経験する。
  • 2歳未満がかかると重症化しやすい。
  • 感染すると、激しい下痢や嘔吐、発熱の症状が見られる。

ロタウイルスが感染した時の症状について

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ロタウイルスに感染すると、1日~3日ほど潜伏期間を経て発症します。主な症状は、激しい下痢、嘔吐、39度以上の発熱です。特に乳幼児の場合は、下痢、嘔吐、発熱の3つの症状が同時に現れます。

また、下痢や嘔吐により脱水症状や代謝性アシドーシスを合併しやすくなります。発症後2日~7日程度で回復する傾向にありますが、重症化すると痙攣や脳症を合併症状として引き起こす可能性がある為、十分に注意が必要です。

ここでは、ロタウイルスに感染した際の主な症状と、引き起こしやすい合併症について詳しくご紹介します。

下痢

ロタウイルスに感染すると激しい下痢を伴います。下痢は水溶性から泥状のものと様々です。下痢の色は白色や黄白色になることもあり、激しい下痢が原因となり脱水症状にかかる危険性があります。通常、血便の症状は見られないため、血便が見られた場合は、腸重積などの病気が合併している可能性も高いです。

下痢の症状がひどいからといって、下痢止めを投与すると、ウイルスが体内に留まってしまい、症状を悪化させたり、回復が遅れます。体は排泄物を通じて体内からウイルスなどの不要物を外に出そうとする働きをする為、ウイルス感染の場合に下痢止めを使用することは止めましょう。

嘔吐

嘔吐は、発症してから1日~2日目に見られ、3日目以降は徐々に回数が減る傾向にあります。乳幼児の嘔吐回数は、合計で5~6回を行われ、稀にこの数を超えることもあります。嘔吐が見られる際には、嘔吐物が気管に詰まり、窒息する場合がある為、十分に観察する必要があります。

発熱

ロタウイルスに感染すると、39度以上の発熱が見られます。発熱は発症してから、半日~1日程度続き、それ以降は回復傾向に向かいます。最高体温は40.2℃に達することもあり、39.1℃以上が14%の確率で見られ、38.0℃以上が65%の方に見られます。

脱水症状

合併症の症状として、引き起こりやすいのが脱水症状です。私たちの体はほとんどが水分で出来ています。脱水症状とは、体から排出される水分量が増えたり、摂取する水分量が減ることで起こります。体重の約2%の水分(体重60Kgの人で1.2リットル)が失われると、軽度の症状が現われ、体重約4%~6%の水分が失われると、重症化し病院で点滴や入院が必要になります。

脱水症状の初期症状は、口の渇き、口唇の乾燥、尿量の減少、頭痛、全身倦怠感、手足の震え、体温の上昇、食欲不振、めまい、吐き気、嘔吐です。重症化すると、脱力感や眠気、頭痛を引き起こします。幼児の場合は、言葉から症状を確認することは難しいですが、脱水症状にかかると、尿が少なくなり、ぐったりとしてしたり、放っておくと寝てしまい強い刺激を与えないと起きない状態になります。

幼児の場合は、特に他の病気と判断がつきにくいです。その為、脱水症状を確認する簡単な方法として、まずは爪をぐっと白くなるまで押してみてください。手を離してから元の色に戻るまでの時間を確認することで、脱水症状を起こしているか分かります。1.5秒以下で戻る場合は軽度の脱水、1.5秒~3秒で戻る場合は、中度の脱水、3秒以上かかる場合は、重度の脱水症状です。

脱水症状と聞いて、ただ水分が失われただけという認識を持つのは、大変危険です。なぜなら、脱水症状が原因となり、死亡する危険があるからです。症状が進行すると、最終的には無尿になり、頻脈、低血圧やショックを引き起こして、死に至ります。喉の渇きや食欲が減退する軽度の場合は、水分補給をこまめに行い、様子を見て、脱力感や眠気、手の振るえが確認できた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

代謝性アシドーシス

合併症の症状として、引き起こりやすいのが代謝性アシドーシスです。代謝性アシドーシスという病気は、呼吸以外の原因で体内が酸性に傾いてしまい、二酸化炭素や乳酸などの酸性の物質が外に出されない為に起こる病気です。

人が生命維持する際に、バランスの取れた水素イオン濃度は、pH 7.35~7.45です。この数値を基に、PHの数値が少ないと酸性が強いことを示すアシドーシス、PHが多いとアルカリ性に強いことを示した、アルカローシスと言います。

ロタウイルスに感染し、激しい下痢の症状を伴うと、アルカリ性の物質が体外に大量に流れてしまうことで、体の中にある水素イオン(H+)のバランスが取れずに、酸性の状態に傾きます。

この状態になると、バランスを取るために、二酸化炭素を多く作りだし、肺から早く出そうと、呼吸の回数が増え、過呼吸を引き起こします。また、呼吸が速くなったことで、二酸化炭素が体内に不足し、呼吸がしずらくなったり、呼吸困難やめまいなどの症状が現れます。また、重症化すると、血圧低下、ショック、昏睡状態に陥り、死に至ります。

詳しくは、代謝性アシドーシスの症状や原因って?治療方法も紹介!を読んでおきましょう。

ロタウイルスの治療方法

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効果的な、抗ウイルス療法はない為、症状を緩和させる対症療法が中心となります。

嘔吐や下痢に伴う脱水症状に対しては、経口補水液や点滴注射(輸液)が行われ、下痢に対しては整腸剤が用いられます。

経口補水液

経口補水液とは、電解質と糖質の配合バランスが考慮された物を、水に混合された液体で、脱水症状の際に口から補給する物です。

脱水症状の症状の程度に合わせて飲む量が異なりますが、乳児の場合は、体重1kgにつき、30~50ml、幼児の場合は、1日300~600ml、成人の場合は500~1000mlの補給が目安量だと言われています。軽度~中等度の脱水症状の際に用います。

点滴注射(輸液)

脱水症状の症状が重症の場合は、病院で点滴注射をする必要があります。水分や電解質などを静脈に注射することにより、体内に直接投与することが出来ます。脱水症状が中等度以上の場合は、輸液を行い、入院を考慮する必要が出てきます

整腸薬

下痢に対して整腸薬が用いられます。代表的な薬として、乳酸菌製剤が挙げられます。乳酸菌製剤は、乳酸を生成する薬のことで、腸内環境を整える菌が配合されています。下痢が長引き、二次性乳糖不耐症の症状が現われた乳児に対しては、乳糖分解酵素製剤が使用されます。

ロタウイルスに感染した時の家庭で行う対処方法

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ここでは、ロタウイルスに感染した場合に、家庭で出来る対処方法についてご紹介します。

水分補給

特に、乳幼児~小さい子供が感染すると、抵抗力が低い為に脱水症状にかかりやすくなります。その為、水分補給をこまめに行う必要があります。水分補給には普通の水でも十分ですが、体液に最も近い電解質の含まれていた方が吸収されやすくなります。

水分に対して0.9%の少量の塩を加えた水を与えたり、スポーツドリンクなどが適しています。スポーツドリンクの中でも、ポカリスエットは飲む点滴といわれるほど、脱水症状の強い見方になります。他のスポーツ飲料に比べて、ポカリスエットの方が塩分が多く、下痢によって失われた塩分や水分の両方を補ってくれます。

また、乳幼児の場合は、ジュースや牛乳などの濃い飲み物を飲ませたり、一気に飲ませると吐き戻すことがあるので、ゆっくりと少しずつ与えましょう。飲み物は10度前後の冷たいものが吸収が速い為、極端に冷たいものや温かいものは避けましょう。脱水症状の重症化した場合は、病院で点滴を行う必要や入院して経過観察する必要があります。

汚物の処理

排泄物や嘔吐物には、ロタウイルスが大量に含まれている可能性があります。二次感染を防ぐ為に、塩素系漂白剤調製液を用いて、すばやく消毒処理しましょう。塩素系漂白剤調製液は、0.1%以上の濃度の塩素系漂白剤を水で薄めて作ることが出来ます。

こちらを用いて、衣類の下洗い、壁や床の洗浄にお使いください。汚物処理の注意点は、すばやく処理すること、乾燥させないこと、消毒をすることです。この3つを守って、二次感染を防ぎましょう。

ロタウイルスの予防対策

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ロタウイルス感染症にかからないように、ロタウイルスに関する予防対策をご紹介します。

酸性アルコール消毒剤の使用

ウイルスは構造から、エンベロープウイルスとノンエンベロープウイルスの2種類に分けることが出来ます。エンベロープウイルスとは、脂肪・タンパク質・糖タンパク質からできた膜で、脂質に作用する成分に弱く壊れやすいのが特徴的で、アルコール消毒に弱いです。一方で、ノンエンベロープウイルスは、脂質性の膜が少ない為、ダメージに強く、アルコール消毒が効きにくいウイルスです。

ノンエンベロープウイルス

ノロウイルス、ロタウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルスなどが代表的なウイルスです。

エンベロープウイルス

インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、風疹ウイルス、B型やC型肝炎ウイルス、エイズウイルスなどが代表的なウイルスです。

今回の題材であるロタウイルスは、ノンエンベロープウイルスに属し、アルコール消毒液や熱に強く抵抗力が高いウイルスです。しかし、最近ではこのノンエンベロープウイルスに対しても有効な消毒液が開発されました。「酸性アルコール消毒剤」と呼ばれ、有効成分を高めた消毒剤で、手洗い石鹸や、消毒スプレー、ハンドジェルなどとして販売されています。

手洗い・うがい

トイレの後や、食事の前、外から帰ってきたときには、徹底して手洗い・うがいを行いましょう。ロタウイルスに感染する多くの場合は、糞口経路で感染します。この糞口経路とは、他の感受性宿主の便にいたウイルスが他の人の口を介して移ることです。そのため、トイレに行った後にや、口に物を入れる際などには、必ず消毒する習慣をつけることが重要です。

小さな子供が手を洗う際には、1人ではよく洗えていない可能性がある為、大人の方が手伝ってあげましょう。また、タオルも何度も使うことで、汚染源となり得る為、こまめに取り替えましょう。うがいの際には、イソジンなどの消毒効果のあるものを用いたり、手洗いの際には、酸性アルコール消毒剤の手洗い石鹸を用いて、しっかりと除菌しましょう。

環境の清掃

感染拡大を防止する為や、二次感染を防ぐ為には、部屋の換気をよくして掃除をきちんと行いましょう。ウイルスが部屋に留まる可能性が高いので、手がよくふれる場所はこまめに洗浄除菌を行い、特にトイレは清潔に保ちましょう。

予防接種

日本では、単価ロタウイルスワクチンと5価ロタウイルスワクチンと呼ばれる、2種類のロタウイルスの生ワクチンがあり、任意で予防接種を受けることが出来ます。対象者は乳児であり、単価ロタウイルスワクチンの場合は、生後6~24週の間で2回摂取を受ける必要があります。5価ロタウイルスワクチンは、生後6~32週間の間で3回摂取を行う必要があります。

どちらも生後6週から受けられますが、他のワクチンをすることも考慮すると、生後2ヶ月頃が最適な時期だと言われています。これらのワクチンを接種することで、腸重積と呼ばれる、腸が重なる病気になる確率が高くなると指摘している国もあります。初代で販売されていた、ロタウイルスワクチン(ロタシールド)では、摂取後に腸重積が多数発症したと報告があり、販売中止になり、現在のワクチンは、接種時期を正しく守ることで、欧米では安全に接種されていると言われています。その為、決められた期間に摂取できるか、医師と相談して決めることをおススメします。

この予防接種は日本では、任意になっていますが、WHO世界保健機関では2009年6月に、ロタウイルスワクチンを子どもの最重要ワクチンの一つに指定しています。ロタウイルスは、子供のウイルス性胃腸炎の中でも、重症化しやすく、脳症を引き起こす確率が高いウイルスです。ワクチンを接種することで、ロタウイルスによる下痢症状を防いだり、重症化する確率を90%減らすことが出来ます。

その結果、脳症などの合併症を防ぐことにも繋がります。医師と相談の上、スケジュールをしっかりと決めて予防接種を行うことが最も効果的な予防策です。

おわりに

ロタウイルスはアルコール消毒や熱に強いウイルスで、感染するとウイルス性胃腸炎を引き起こします。ウイルス性胃腸炎を引き起こすと、嘔吐、下痢、発熱の症状が見られるようになります。この感染症は特に小さなお子さんが感染することが多いので、お母さんやお父さんが、感染時の対処方法や予防対策を正しくすることで、重症化することを防ぐこと出来ます。

重症化を防ぐ一番の方法は、予防接種です。日本では任意で受けることになっていますが、ロタウイルスには5歳までにほとんどのお子さんがかかる病気の1つなので、医師と相談の上で、予防接種を検討されてみてはいかがでしょうか。

  
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