喉から血が出る、というのはなにか重い病気にかかっている可能性があります。一見、喉から血が出ていると思っていても、喉以外の場所から血が出ている場合が多いのです。
また、血が痰に絡んで出てきた場合でもさまざまな症状が想像されます。
しかしただたんに風邪や花粉症などで喉を痛めてしまい、血が出ることもあるのです。それを見極めるためのひとつのコンテンツとして見ていただければよいと思っています。
痰に絡んだ血が出ている場合の原因、そうでない場合の原因やそれぞれの対処法など詳しくご紹介させていただきますのでご覧下さい。そのためにまずは喉がどのようにできているのかお話させていただきます。
喉から血がでる原因は?
喉は咽頭と喉頭とで大きく分けることができます。
咽頭はそこから上咽頭、中咽頭、下咽頭に分けることができます。それぞれ、鼻、口、喉に繋がっております。
喉へ繋がる下咽頭の下には食道があります。食道は口に入れた食べ物の通り道です。呼吸をするときには喉を通り、肺に空気を届けます。
体内に酸素を取り込むとき、あるいは食べ物を取り込むときとで体のなかでは自然と分けられておりますが、下咽頭は食道と気道とを分ける分岐点の役割を果たしています。
喉はあらゆるものをいろんな場所に届ける、いわゆる空港での荷物検査みたいなものです。それではいよいよ「喉から血」の原因についてお書き致します。
鼻出血
鼻をこすりすぎたり、ティッシュでほじほじしすぎたりすることで鼻腔が傷ついてしまう場合があります。その血が喉を通り、口から出てしまうことがあります。
ちなみに鼻血が出た時に昔は上を向けと言われていましたが、鼻血を喉に流すことはあまりやらないほうが良い行為になります。
これは、血が胃の中で固まってしまう影響で吐き気や下痢などの健康被害が発生する可能性が非常に高いからです。特に栄養となるわけでもないので鼻血は出来るだけ鼻から排出するもしくはティッシュなどで栓をしてしまうのが良いでしょう。
慢性喉頭炎
気温の変化や寝不足、疲れ、ストレスなどで体内の免疫力が落ち、咽頭が腫れてしまうことがあります。細菌やウイルスが原因になります。粘膜が弱っているので、そこから血が出てくるのです。
急性咽頭炎では短期間の炎症ですので、血が発生する事はまれになりますが、慢性的に炎症が発生している場合、どんどん粘膜が弱まってしまって出血が発生する可能性も高くなります。
咽頭炎で喉の上部で出血が確認できる場合は鮮血として確認されるでしょう。
扁桃炎
口を大きく開けて鏡をみるとのどちんこが見えるかと思います。大変わかりづらい場所ですが、医者が小さなライトで照らしながら金属のヘラで抑えてくるあの場所が腫れていると、扁桃腺の可能性があります。
免疫が低下したときに細菌、ウイルスが入り込み、そこが炎症を起こし、血が出る場合があるのです。
扁桃腺は臭い玉(膿栓)と呼ばれている汚れが溜まることでも腫れやすくなってしまう事があります。扁桃腺が弱い人、腫れやすい人は特にこの粘膜が切れたりして発熱や出血が発生する事が多いでしょう。
出血がすぐに止まる場合は特に問題ありませんが、もし発熱や出血が止まらないなどの問題が発生している場合、扁桃炎や感染症などが発生している事が考えられますので内科や耳鼻咽喉科などの病院で検査、治療を受けるようにしましょう。
扁桃炎については、扁桃炎はうつるの?症状や種類について!を参考にしてください。
血豆や口内炎や歯肉炎
舌を噛んでしまったときやビタミンが欠乏しているとき、口内では血豆や口内炎ができます。それが原因で血が出ることがあります。けれど、喉には関係ありません。
特に口内炎や歯肉炎の場合は口臭がきつくなったり、歯肉や唇の裏など、問題が発生している部分に痛みもありますので、出血しているので出血していれば原因はすぐに明らかになるでしょう。
しかし口の中の血豆の場合は痛みがない場合もあるので、それが潰れた場合すぐには気づかないかもしれません。何れにせよ、一時的な出血の場合には特に問題ありませんのであまり心配せずに、食事などのバランスを考えて様子を見て対応しましょう。
口内炎については、喉に口内炎が出来る原因とは?予防方法も知っておこう!を参考にしてください。
肺などの呼吸器系から出血
こちらが喉から血が出ていると勘違いしてしまいがちなものになります。
肺や気管などの呼吸器官から出ています。これは喀血(気管出血)といわれていて、ときに気管を詰まらせ死に至る場合があります。
色の悪い血、黒もしくは茶色に近い色をしている出血の場合は深部での出血が発生している事が考えられます。粘り気が多い色の悪い痰が出るなどの問題が発生している場合は、一度呼吸器科などの病院での検査をおすすめします。
呼吸器系からの出血の場合、出血を確認する前に飲み込んでしまう可能性もあります。呼吸の際に鉄の風味を感じたり、血の匂いが感じられたら少し唾や痰の色を確認してみて出血している場合は対策を考える必要があります。
痰に絡んだ血が出てきた
単純に血液というより、血液が痰に混ざったものが口から出てくる場合があります。体にさして影響がないものから重大な疾患を抱えている場合までさまざまです。血が痰に絡んで出てくる症状をここでは紹介していきます。
もしも重い病気にかかっているかもしれない、と心当たりのある方がいらっしゃいましたら病院に行くようお願い致します。
風邪、インフルエンザ
ウイルス感染によって喉や気管支が炎症を起こし、出血する場合があります。血痰が出る場合があります。高熱が出ることもあるので大変ですが、血が出てしまっても安静にしていれば問題ありません。
花粉症
花粉症といえば、寝るころになって目がかゆくなったり、鼻が詰まったり、くしゃみが止まらなくなったりする、スギノキやヒノキのアレルギー持ちの方にとっての天敵ですよね。
ときにくしゃみや咳のせいで喉が傷つき、出血する場合があります。それが痰と混じって口から出てくることがあります。
副鼻腔炎・肺炎
腹腔鼻炎になると、鼻腔に溜まった膿が鼻水や血液と混じり、喉に流れてしまうことがあります。吐き出そうとしたとき、それが痰にまじり、血痰になることがあります。
肺炎は黄色い痰が出る、というのが一般的ですが、肺の炎症がひどいと血と混ざり血痰になることがあります。どちらも高熱が出ます。
肺炎については、肺炎はうつるのか?種類によって変わる原因と予防方法を参考にしてください。
気管支喘息
気管支喘息はアレルギーの原因になるものがきっかけで息がしづらくなったりします。
その原因はハウスダストや風邪、寒冷によるものです。
気管支が炎症を起こし、咳が出ます。咳をひどく繰り返すと、炎症を起こした気管支に傷がつき、血痰が出るのです。熱は出ませんが、ウイルスや細菌などが入ると風邪を引く場合があります。
気管支拡張症
細菌感染や免疫の異常などのさまざまな原因で気管支が開き、そのまま戻らなくなる場合があります。気管支の機能が過度に落ちているため、普段であれば免疫力でどうにかできる細菌が原因で肺炎にまでなってしまうことがあるのです。
気管支拡張症にかかると、長期間血痰が出ることがあります。
肺子宮内膜症
子宮内膜症は、子宮内膜が子宮から移動し、生理のたびに出血する病気です。卵巣に子宮内膜が移動すると、妊娠の確率が下がることで有名です。
ときに子宮内膜は肺に移動してしまうことがあります。子宮内膜は、体が生理の状態であるとどこでも出血するので口から血痰が出ることがあるのです。
肺結核
結核菌が喉から肺胞まで行き、感染する病気です。発熱や咳、疲労感、食欲の減退、寝汗などの症状が現れたら要注意です。冬に発病するときと似た症状なのですが、風邪と違い、非常に長続きします。内服しても症状が2週間以上続く場合、肺結核の疑いがあります。
そのまま症状を放置しがまんしていると状態が悪化し、血痰がでたり、息切れがひどくなったり、食欲が戻らないことで体重が減ったりします、早く病院に行くのが賢明でしょう。
がん
吐血や血痰の症状が確認される最も怖い病気ががんです。がんが発生する場所として考えられる場所と、症状などについて紹介していきます。
・咽頭がん
咽頭がんの症状としては鼻づまりや喉の痛み、喉奥が炎症することによっての出血、声がかすれる、飲み込みづらく感じているなどがあります。首に触れるとしこりが確認される場合もあります。
これらの症状は鉄分が不足することで発症しやすくなります。女性がかかりやすいといわれています。また口腔がん、咽頭がん、食道がんなども併発してしまう可能性があります。一見風邪と非常に似た症状でわかりにくいかもしれません。なにか体調が悪いな、と思ったら病院に行くのが良いでしょう。
・声門がん
声門にできるがんには三種類あります。声門がんや声門上がんは、比較的早い段階で違和感を感じる症状がありますので、咽頭がんにくらべ早期発見を期待できます。
声門がんは、声帯にできるがんです。声が枯れたり、かすれたりするので注意しましょう。声門上がんは、声に異常が現れにくいですが、喉に違和感を感じるようになります。
異物があるように感じたり、喉の奥がかゆくなったり、血痰が出る場合があります。首のリンパにがん転移すると、首元にしこりができます。
声門下がんは、喉の奥にできるため、早期発見が難しいといわれています。
しかししこりができると気管をふさいでしまうため、息苦しくなるという症状が現れます。
・肺がん
肺がんは比較的早期に発見できるがんのようです。肺がんにも種類があるようなのですが、大別すると肺の中心にできるものと末梢にできるものとがあるようです。
中心にできたがんは、がんが根付いたその周囲の細胞が傷つき、出た血液が気管支を通り血痰として口から出てくることがあります。
- 微熱が続く
- 体重が減る、
- 長年煙草を吸われている
もしこの三点に心当たりがある方は要注意です。肺がんについては、肺がんの初期症状をチェック!咳や背中の痛みに要注意!を読んでおきましょう。
・胃がん
がんの中で最も多くの人に発生しているのは、上記で紹介した肺がんですが、胃がんも2位3位に位置しているがんの一つです。大腸がんと並んで発生しやすい癌になります。
ピロリ菌が原因で昔から発生しやすいがんの一つで、近年ではピロリ菌の原因が減少している傾向にありますが、食事の欧米化により大腸がんと並んで増加してきているという背景もあります。
胃がんは初期症状として食欲不振や体重減少などの小さな症状はありますが、吐血の症状が発生するまで、特に目立った症状が無いので、吐血が発生する事で始めて気づく人も多い病気になります。
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この様に癌などの命に関わる病気の可能性がありますので、出血が確認された場合は真っ先に病院での検査を受けたほうが安心でしょう。
癌などの場合はとにかく早く治療を開始して、症状の進行を食い止めたり、がん細胞や腫瘍を取り除くことが最優先になります。次のステージに入る前に対処していくことが重要ですので、しっかり対処していきましょう。
血が出るような咳を治したい!
ここまで私は風邪や花粉症などの軽度の症状から重い病に至るまで、喉から出る血について述べてきました。私の文をここまでお読みになってくれているかたは、本当に喉から出る血が不安で仕方がなくなっているのではないかと想像しています。
そんなとき、どうしても重い病気のほうに目がいってしまい、「自分はがんなのではないか?」などと頭を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
けれど、考えすぎるのも体に毒です。私のここまでの記事は頭の隅にでも置いておいてください。そして、今から血痰を抑える方法もご紹介いたしますので、まずはできることからはじめてみましょう。
首を温めよう
咳をとめるのために有効なことは、我慢することではなく、うがいです。
喉を温めてあげることは咳にとても有効です。埃やチリ、たとえばハウスダストなどが原因で咳などを起こしている場合、しっかりうがいをしてマスクをしましょう。
そして喉を安静に保ってください。様子をしばらく見て、なかなか咳がおさまらなければ病院に行きましょう。処方された薬で治る場合がほとんどです。それでも治らなければ、精密検査をうけて自分の体の状態がいまどうなっているのか、しっかりと見つめましょう。
喉から血がでることを改善するには、勇気が必要です。
体を休めよう
血痰がでるとどうしても焦ってしまいますが。不摂生によって体調を崩している場合もあります。適切な睡眠時間と栄養のある食事を取ることで改善される場合もあります。
つまるところ血痰は、健康をそこなったときに出るのです。まずは、生活品質の向上に努めましょう。それでも改善されなかったり、長続きしたりした場合には、上記にも書きましたように病院に行きましょう。
薬を使用しよう
市販薬の商品で、喉に効く薬は沢山販売されています。
- イブ
- アリナミン
- パブロン
- コンタック
など、喉や鼻など部位別に風邪薬などを販売しています。市販薬は手軽に入手できて使用できることがメリットですが、ピンポイントに症状を治癒する為の薬ではありません。
原因を見誤ると逆効果となって症状が長引いていてしまったり、更に症状を進行させてしまう事に繋がりかねません。
病院での薬では出血や炎症を抑える薬や菌の繁殖を防ぎ殺菌する抗生物質などが症状にあわせて処方されます。
症状をしっかり見極めて、これらの薬を使用していくことが有効です。
喉に良い飲み物を飲もう
出血している時に柑橘系や甘すぎる飲み物、辛い食べ物などを摂取することは逆効果です。
炎症を更に強めてしまったり、痰を絡ませて呼吸器にマイナスの影響を与えてしまう問題が発生します。ですので、喉に良い飲み物を飲むことが症状を改善する上では有効になります。
喉からの出血が発生している時に有効な飲み物は以下の通りです。
- 水
- 白湯
- ヨーグルト
- 生姜湯
- ゼリー
- プリン
- アイスクリーム
プリンやアイスクリームはとにかくカロリーを摂取する事に長けています。喉が痛い場合には食欲なども失せて、栄養失調、エネルギー不足になってしまって病気が治らない事に繋がりますので、どうしても食欲が出ない場合はこれらの食品でカロリーを摂取して休むようにしましょう。子供に特に有効な対策法でしょう。
更に食事として推奨したいのが、
- うどん
- おかゆ
- りんごなど柑橘系以外の果物
- はちみつ大根
などがおすすめの食事になります。カレーなども風邪の時に良いといいますが、喉を強く痛めている炎症させている場合は、刺激物や熱すぎるものは出来るだけ避けたほうがいいでしょう。
まとめ
喉から血が出ている、と思っていても以外に喉が原因で血が出ているわけではないことが伝わりましたでしょうか。いずれも口内や鼻腔に炎症を起こしていたり、内蔵に原因があったりと、喉ではない別の場所に異常がある場合がほとんどです。
あきらかに風邪だ、これは花粉症だ、と思う場合を除いて私たちは体に異変を感じたとき病院に行くことが賢明な行動だと思います。
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