小耳症という症状は、生まれながらにしておこる耳の奇形であることを聞いたことがあるでしょうか?妊娠中になんらかの要因によって起こるといわれています。
この記事では小耳症の症状や、小耳症の原因となる薬剤の服用について説明していきます。
この記事の目次
小耳症とはどのようなものなの?
小耳症は耳の奇形です。生まれながら、耳が通常ではない形を持っており、耳が普通の人に比べると小さい状態であることをいいます。ただ単純に縮小した形であるというより、つぶれたようになっているため、小さい形であるとみとめられることが大半です。しかし、一見普通に見えるが大きさだけが普通より小さかったり耳がない場合もあるため、医師によって判断され小耳症だとわかる場合もあります。
小耳症の発生によって、外耳道閉鎖症という病気を発症しやすくなります。これは、耳がちいさくなったり奇形になることで耳の骨や結合組織が本来の場所からずれ、耳の穴から鼓膜へとつながっている外耳道が閉ざされてしまう状態のことをいいます。鼓膜への道が通常よりとじられているため、音の振動が伝わりずらく、難聴になりやすいといわれています。
どんな人が発症しやすいの?
小耳症の発生率は非常にまれなものだといわれています。発症率としては6000人~10000人に1人です。しかしその発症はかなりかたよっており、男の子の発症率は女の子に比べて二倍近く発症しやすいといわれています。
また、小耳症は両耳の発症の場合もありますが片耳のみの発症もあります。これも発生しやすい箇所があり、一般的に右耳のほうが圧倒的に発症しやすいといわれています。
小耳症は遺伝によって発症するの?
小耳症の原因はある程度つきとめられていますが、遺伝によって発症するかどうかはいまだはっきりとわかっていません。妊娠してから3か月以内は胎児が自身の器官を作る時期になります。その時期に何らかの外的要因をうけると、器官がうまく作られないという結果になってしまいます。
この、器官がうまく作られずに小耳症などがおこるとなると、遺伝的な要因は疑われていますが、今もそれに関連する遺伝子がはっきりと特定されていないため、明確に遺伝が原因だと証明されていません。しかし、先天性奇形は妊娠中のなんらかが原因のため、現在も遺伝子との関連性の研究はつづいています。
小耳症の原因はなに?
小耳症は妊娠中の外的原因によって引き起こされるといわれています。
この外的要因とは何かというと、主に妊娠中に母親が飲んだ薬であったり、美容ビタミンなどが原因になると考えられています。それではその内容を詳しく見ていきましょう。
サリドマイドなど抗がん剤による服薬が原因
小耳症の原因の1つに抗がん剤であるサリドマイドや葉酸拮抗剤などがあります。サリドマイドは、1957年にコンテルガンという名称で発売開始されました。日本国内においても睡眠薬イソミンや、胃腸薬プロバンMといって販売されていました。
この薬は、骨髄に対する治療薬やハンセン病に対する治療薬として使われていた比較的強い薬です。その為、副作用が起こりやすく催眠作用や催奇形作用をもっていると今は判明しています。これが判明したのちは世界規模で薬害問題が取り上げられましたが一時販売停止されたものの、2008年に再度販売が国内で開始されています。
これらの薬剤は何度も飲むことによって胎児に影響を与えます。また、胎児だけでなく母体にもダメージを与えることで、胎児は奇形を起こしやすくなるため妊娠中の服薬は最新の注意が必要です。
美容製品などの薬剤が原因
美容製品の人ユニビタミンA誘導体があります。これの成分はレチノイン酸誘導体というものですが、これを取りすぎることで耳がうまく形成できなくなったり、ひどいときには耳がないまま生まれてくる場合があるといわれています。明確にレチノイン酸誘導体が小耳症を引き起こす理由はわかっていませんが、引き起こす可能性は飲んだ場合、かなり高くなります。
また、耳に影響があるだけではなく、顎も小さくなったり、なくなってしまったりします。ほかにも口が裂けたり、胸腺や中枢神経が異常をきたしたまま生まれてくるケースが多くみられているため、妊娠し始めたらなるべく摂取しないようにきをつけることが大切です。
原因不明
小耳症は妊娠3か月までの行動によって発症するといわれています。これは、妊娠初期は胎児が器官を形成していくため、なんらかの不具合な要因を受けてしまうことによって器官をうまく作ることができず発育不全になってしまいます。これによって小耳症をはじめとした様々な生まれながらの奇形が起こるといわれています。
小耳症を発症している人の場合は顔面自体も奇形の場合が多いといわれています。特に両耳の発生ではなく、片耳のみ発生している場合は小さくなっている耳の顎の骨も上下ともにちいさくなっており、顔全体が非常にアンバランスになっている場合があります。これらは遺伝性の原因も考えられているもののいまだ原因がわかっていないため、明確に断定した理由はいまだ見つかっていないのが現状です。
小耳症の症状はどのようなものなの?
小耳症の症状を紹介します。
最も症状が軽い、第一度
小耳症はその段階によって3段階に分類されています。第一度はその中でも普通の耳と形はほぼ変わらない状態をいいます。そのため、大きさはことなるものの耳の正常な形はかなり残っており、見た目としてはそこまで変わりがないといえます。
第一度で軽い人の中には耳のひだの一部の対耳輪のみが欠損している場合もあります。これは普通の人と小さい以外はほぼかわらないものの、外耳道は閉鎖している場合が多いため、やはりなんらかの処方は必要になってきます。
欠損が確認できる、第二度
第二度は第一度に比べて耳が普通の人間に比べておかしいと判断できるほどの奇形であるといわれています。一般的に耳の形のどこかしらがかけていたり、特に上半分や耳たぶがなくなっていることがあります。耳の形は正常に残っているものの、上半分がなくなっている場合であったり、耳の穴の入り口が不自然に小さくなっている場合もあるといわれています。
第一度と同じように外耳道は閉鎖しているケースが多いです。この第一度と第二度は判断するのが難しい場合がありますが、耳の一部が欠けているかどうかで判断する場合が多いといわれています。
最も症状がひどい第三度
第3度がレベルとしては一番高い症状です。耳の形は存在しておらず、耳が本来あるべき部分には皮膚と軟骨のみが残っています。第三度の場合はほとんどがこの状態であり、その見た目からピーナッツ型と呼ばれています。
さらに進んだ症状、無耳症
第三度よりも症状が進行すると、小耳症ではなく、無耳症といわれるようになります。この場合は耳自体が存在しません。また、それに伴って顔の頬の骨の一部もなくなっている場合が多いです。本来あるべき骨がないため、そこはうまれつき大きくしわができてしまっています。
この場合は外耳が閉じてしまっている場合が多いため、難聴であることが多いです。これは、外耳からほんらい伝わる音の振動がうまく伝わらないため、音を聞き取ることができないからです。また、顔の骨自体がうまく形成されていない不完全な状態なので、症状が発生している上下のあご骨も小さくなっている場合がおおいといわれています。
小耳症とともに併発しやすい症状とは?
どの段階でも併発しやすい難聴
小耳症とともに発症しやすいといわれている症状に難聴があります。これは、小耳症特有の耳の穴である外耳が閉じてしまっているため、空気の振動が伝わりづらくなっていることに原因があります。本来音は空気を通して伝わっているため、その空気の振動の通り道が通りづらい、もしくはふさがっているために耳の聞こえ方は悪くなります。また、小耳症特有の原因として第1鰓弓と第2鰓弓の癒合になんらかの障害が起こっているためであるといわれています。
また、難聴に加えて耳鳴りもおこりやすいといわれています。耳やあごは魚のえらにあたる第1鰓弓と第2鰓弓という部分によって形成されていますが、これらがうまく作られない場合、小耳症が起こる可能性があります。それに伴い、耳鳴りが発生しやすいといわれています。
耳の小ささにともなうあご骨の小ささ
ほかにも小耳症になると1つ目に見えてわかる特徴があります。それは、小耳症を発症している側のあご骨が上下ともに小さくなっていることです。胎児の口から耳にかけての部分は第1鰓弓・第2鰓弓といった骨から作られています。
この骨がうまく形成されない場合奇形になってしまうため、耳の形成に支障がある場合にはともに口にかけても支障が起こりやすく、顔面になにかしら奇形をもちやすいといいます。特にそれがあごの骨におきやすく、耳から口にかけて通っている上下のあごの骨は小さくなりやすいといわれています。
小耳症の治療方法とは?
小耳症の治療方法は明確にあるわけではありません。
しかし、手術によって耳を作ることは可能です。これは、形成外科によっておこなうことができます。一度で形成できるわけではなく、耳自体が繊細で複雑な器官のため、何度も分けておこないます。すべての形成外科でできるわけではないため、費用や時間などをよく相談して決定していくことが重要です。また、手術の負担としても胸の軟骨から耳を形成していくため、全身麻酔が必要です。入院も必要なので子供の健康状態をよく見て判断するのが重要です。
また、生まれつき耳がないのに手術によってそれが形成されるため、幼稚園入園までにおこなうのが一般的だといわれています。しかし、体力がある程度必要な手術なのでそれを踏まえると10歳くらいで手術を行うの適切であるともいわれています。
まとめ
小耳症は先天的な症状なので防ぐことは難しいですが、現在は手術によって解決することができます。生まれてすぐに手術はむずかしいので子供と相談しながら、適当なタイミングで手術をするのが望ましいです。
普通のこどもと生活はなんらかわりなく、支障はないため、よく相談していくのが重要です。