忙しかったり不規則な生活を続けていると口内炎が出来ることがあります。口内炎が出来ると食事や会話の時に引っかかってしまい、痛みが出たりして非常に生活しづらいものです。
口内炎というと口の中だけで起こる症状のように聞こえますが、実は喉の奥にできる口内炎があります。喉の口内炎は感染症を原因としている場合があります。
周りの人に感染を広げないためにも、喉で起こる口内炎の理由と口内炎予防についてまとめました。
口内炎とは
まずは口内炎について知っておきましょう。
口内炎の種類
口内炎は口の中やその周りの粘膜にできる炎症を総称したものです。
・口の端に出来る口角炎
・唇に出来る口唇炎
・舌に出来る舌炎
・歯肉に出来る歯肉炎
・のどに出来る口内炎
等様々な症状をまとめて口内炎と呼んでいます。
口の中は外部と頻繁に触れる機会があり、細菌やウイルスが侵入しやすい部分です。また、鼻や内蔵ともつながっているので異物から身を守るために粘膜で覆われていますが、この粘膜も外からの刺激で炎症を起こすことがあり、これが口内炎になります。
場所として一番多いのは頬の裏で、下唇の内側や舌にできる場合がそれに続きます。
口内炎の原因
口内炎の症状は、潰瘍というえぐれてできるような穴や、水泡があります。
どの口内炎も、たんぱく質を分解する酵素であるプラスミンが発生することが始まりです。様々な原因によりプラスミンが増えると、炎症の元であるヒスタミンや痛みの元であるプロスタグランジン、プラジキニンが出て血管を拡張します。やがて血管からこれらの物質が漏れだして痛みやむくみが起きます。
原因となるプラスミンが増える理由としては、ストレスが溜まることや、口の中に出来た傷、疲労、ウィルス感染、ビタミン不足、外的な刺激などが関係して発生します。
外的な刺激では、歯ブラシや固いものや熱いものや辛いものを食べることでもその刺激により、口内炎が出来ることもあります。
これらの原因を極力減らすことが、口内炎を減らす最も有効な手段です。
口内炎の種類
粘膜が触ると痛く食事の時には本当に困るものですが、原因によって以下のような分類が出来ます。
・アフタ性口内炎
最もよく見られる口内炎で、2~10mm程度の赤いフチのある白っぽく円形の潰瘍ができるものです。免疫力の低下やストレス、栄養失調、特にビタミンBの不足などが原因です。
まれにベーチェット病などの全身性疾病が原因となっている場合があります。口内炎ができる範囲が広い場合や何度も再発する場合は病院に行きましょう。
最も高い可能性で発症する口内炎です。基本的には早い場合で3日、長ければ2週間ほどで自然治癒します。症状がひどい場合は塗り薬を使ったりレーザー治療を行ったりします。
・ウイルス性口内炎
名前の通りウイルスによる口内炎です。ヘルペスウイルスやカビの一種であるカンジダ菌、その他梅毒や淋病、クラミジアなどの性行為感染症による口内炎もあります。
赤いただれやびらんが見られ、発熱を伴う場合もあります。小さな水泡がたくさんできたり、カンジダ性の場合は白い苔状の斑点が出ます。
生後6ヶ月以降の乳幼児に発生しやすい口内炎でもあります。喉に出来る口内炎として可能性の高いもので、口移しでの食事やキスなどの行為が原因になって感染します。
ウィルスの潜伏期間が2日〜12日程あり、ウィルスの菌の保持者に症状が出ていなかったとしても感染が行われます。子供は特に感染症に弱いので安易に感染を広げないようにしましょう。
20代以降の人ではこの口内炎のウィルスを50%以上の人が保持しており50代以降になると殆どの人がウィルスを保持しているので感染の可能性のある、タオルの共有や口移しなどの行為を避けるようにしましょう。
・カタル性口内炎
物理的な刺激を原因として生じる口内炎です。うっかり口の中を噛んでしまった時や熱いものを飲んでしまった場合にできた口内炎はこのジャンルになります。噛んでしまったりやけどをした部分から細菌が入り感染を起こしている場合もあります。
口の粘膜が赤く腫れて、他とは異なり境界がはっきりしません。痛みが長引くのもこのタイプの特徴といえます。
唾液腺からの唾液の分泌が少ないと発生しやすい口内炎でもあります。
・その他
以上の他、食品や金属によるアレルギーで炎症が起こるアレルギー性口内炎や、喫煙によるニコチン性口内炎があります。
これは原因となるものの摂取や接触を避けることで口内炎の発生を抑えることが出来ます。これらの効果で口内炎が出来ているん可能性が考えられる場合は、なるべくこれらとの関わりは避けましょう。
喉に出来る口内炎の特徴
喉の口内炎も一般的な口内炎と同じ理由で起こるものです。怪我ややけどなど思い当たる怪我がある場合や、食べ物などを口にしてアレルギーが起きている場合などがあります。
ただし注意するべきなのは喉の口内炎が発熱を伴う場合です。発熱がある場合に考えられる病気については以下のものが考えられます。
ヘルペス
ヘルペスウイルスは、もともとほとんどの人が保有しているウイルスと言われています。水疱瘡もヘルペスの一種で、割と良くあるウイルスといえます。
身体が弱って来るとこのウイルスが悪さをします。口の周りにぴりぴりした痛みがあったり水ぶくれ、かさぶたができるのがよくみられる症状ですが、症状のひとつとして喉に口内炎が出来ることがあります。小さな水ぶくれがたくさん出来るのがその特徴です。
とはいえ喉の奥は自分では良く見えないので、自分で分かる症状としては強い痛みがあるかどうかが目安となります。唾液を飲み込む時に強い痛みが出る場合はヘルペスウイルスが原因の場合があります。感染力があるのでコップやタオルの共用には注意が必要です。
ヘルパンギーナ
聞き慣れない名前ですが、コクサッキーウイルスというウイルスに感染して起こるものがヘルパンギーナと呼ばれています。
ヘルパンギーナの特徴は非常に高い熱が出ることです。感染後2~4日の潜伏期間を経て突然39度前後の発熱があり、熱が収まっても喉の奥に水疱が出来ます。幼児の場合には筋肉痛を伴うこともあります。こちらも感染性があるので注意しましょう。
ヘルペスとの違いは、夏になりやすいといった季節性があることと嘔吐を伴う場合があることです。しかし、口内炎自体の痛みはヘルペスの方が痛いと言われています。
子供に発生しやすい病気ですが、子供から大人へと少ない可能性で感染が起こる場合があります。飛沫感染や、接触感染や、糞口感染などから感染が起こり、症状が治ってからも1週間ほどはウィルスを保持しているのでこの間にも感染が起こることが特徴です。
大人にヘルパンギーナが発症した場合はこどもよりも酷い症状が引き起こるため、看病は細心の注意を払って行うよう注意しましょう。
腫瘍
まれではありますが、喉の口内炎が数ヶ月経っても改善せず痛みや違和感がある場合、腫瘍が疑われます。
その他にも口腔がんの可能性もあります。口腔がんも口内腫瘍も見た目的には、口内炎と似ていることもあり見た目ではわからない場合があります。
腫瘍の場合は大きなしこりが出来ていたり、痛みを伴わない場合などに違いに気づくことが考えられます。口腔がんの場合も痛みを伴わないことがあり、潰瘍の様に皮膚が欠如している場合はシクシク痛む場合があります。
これらの病気は自然治癒することは無く、病院での治療を行わないと治療が行なえません。しかも、口腔がんの場合はリンパへの転移が早く、そこから一気に全身にがんが転移する可能性があります。早めに口腔外科や、歯科などの専門機関を受診しましょう。
手足口病
夏に感染者の増える病気の一つにヘルパンギーナの他に手足口病があります。この病気も子供に感染が多く確認される病気でもあります。
コクサッキーウイルスやエンテロウィルスなどが原因になって発症します。抗体の少ない子供に感染する事が多く、空気中に存在するこれらのウィルスに大人が感染することは多くありません。
子供からの糞口感染や接触感染などの感染経路を辿り大人に感染します。
この病気も発熱や口内炎や手や足に水疱などが沢山出来る特徴がある感染症で、熱も38度以上の高熱が出ます。喉などの口内の奥に水疱や口内炎がたくさんできるという特徴があり、食事が困難になり風邪以上に厄介な病気です。
集団生活での感染が広がりやすく、幼稚園や保育園などの場で集団感染します。子供の発症では熱が出ない場合もありますが大人が発症した場合は必ず39度近い熱が出ます。
子供での発熱の症状が出る確率は3割となっています。
口内炎の予防対策
できれば発症させないようにするのが一番です。どのようにして予防できるかを紹介します。
生活習慣
口内炎の予防には、免疫力を高めることが非常に大切です。ストレスを溜めないようにしたり、規則的な生活を送ることがまずは第一です。免疫力を高める方法は、免疫力を高める方法は?食べ物などを紹介!の記事を参考にしてください。
また、ウイルスの感染を防ぐためには非常に基本的な「うがい、手洗い」をすることが効果的です。口の中の清潔さを保つことは口内炎の予防につながるので、食後の歯磨きは有効です。ただし、あまり強い洗浄液で濯ぎすぎるのは粘膜を傷つける場合があります。使用方法に従って使いましょう。
また、口の中の乾燥は粘膜を傷つけやすいので唾液が少ない方は注意が必要です。唾液には抗菌作用もあるので、ガムを噛むなど咀嚼のトレーニングをすることも口内炎予防につながる習慣です。
特に花粉症の時期や、鼻が慢性的に詰まっている鼻炎持ちの人などは、口呼吸になりがちで口内が乾燥してしまう原因にもなります。起床時に口の中がからからになっているなどの症状を感じる人はなるべく加湿を心がけて、口内の乾燥を防ぎましょう。
食事からできる予防対策
粘膜を強く保つためにはビタミンB群を含む食事が効果的です。ビタミンB群、特に口内炎に効くB2を多く含むのは以下の通りです。
・魚…うなぎ、いわし、さば、さんま等の青魚、魚肉ソーセージ
・肉…レバー
・その他…納豆、しいたけ、わかめ
これらを普段からバランス良く摂取するようにしましょう。
喉を傷つけない
口内炎が発生する大きな原因として、傷つけることにあります。大きな声を出しすぎたり、咳を大きく繰り返したりすると、喉が傷つきそこにウィルスが侵入することで喉に口内炎ができやすくなります。
喉の口内炎には貼り薬や塗り薬などが使えないので、ひたすら自然治癒を待つしかありません。唾を飲み込むのもつらい状況になるので出来ないように、症状が発症する前に予防することが重要です。
大きな原因は喉の乾燥や、大声を出すことや咳を出すことが問題になるので、咳止めを飲んで咳を止めたり、喉に負担のかからないように喋るなどの予防が効果的です。
風邪の予防
口内炎は免疫力が弱まっている時に発生しやすくなります。ウィルスが原因の風邪に感染してしまうと口内炎ができやすくなります。なので、発生原因の風邪の予防を行うことで口内炎の発生が予防できます。
さらに、口内炎などの口内の水疱などの症状が治療に出来る病気の夏風邪なには要注意です。
体温が38度を超える風邪を引いた場合は特に口内炎が出来やすくなるので、風邪などの感染症の予防を常に行っていきましょう。
※塩を塗る?
よく、口内炎に塩を塗り込むと早く治るという荒治療の説が唱えられていますが、実際はこの説には語弊があります。
直接塩を患部に塗り込む行為は激しい激痛が走るとともに、その刺激で炎症が強くなり悪化することもあります。痛みに対する恩恵が無いばかりか、逆効果なのでこれは避けましょう。
効果的な塩の使い方としては、ただのうがいではなく塩水でうがいを行うことなどが有効です。10%程の塩水を作り、うがいをすることで効果が期待できます。
塩には実際に殺菌効果があるので、口内の環境を良くすることが出来ます。これにより治癒力を高め、口内炎の治療を早める事が期待できます。
塩水でのうがいでは、口内の殺菌の数を10分の1に減らせ、効果の持続時間も3時間続いたという結果が出ています。
日頃からの予防や、口内炎が出来てからの治癒にも効果が期待できますので、試してみてはいかがでしょうか?
口内炎になってしまったら
もし口内炎になってしまったら口の中を清潔に保ち、イソジンなどでうがいをすることで回復の手助けをすることで大体1週間程度で回復することができます。
喉の口内炎の場合、水を飲むと喉が痛いのでなかなか水分を取れず脱水症状を起こすことがあります。また、食事も思うようにできず体力を消耗する恐れがあります。声をだすことも辛い状態になります。
早く治すためにも体調を整えることが大切なので、少しづつでも水分を摂るよう心がけましょう。また簡単にビタミンやミネラルが摂れるサプリメントなどもおすすめです。ゼリーと一緒に飲んで一刻も早く症状を治しましょう。
塗り薬等については、原因が分からない状態で使うのはあまり良くありません。たとえば痛みを和らげる薬であるケナログ軟膏は、カンジダ性口内炎の場合にはつかってはいけない薬です。医療機関に相談の上使用するようにしましょう。
あまりにも長引く場合(2週間程度が目安とされています)や、前述のように発熱を伴う場合は医療機関を受診しましょう。特にヘルペスについてはすぐに薬を処方してもらうことが有効です。口腔外科のある歯科医院や耳鼻咽喉科の先生に相談するとよいでしょう。
まとめ
口内炎も他の様々な病気と同様に、生活習慣の乱れによる免疫力低下を原因として起こるケースが多々あります。また、細菌に感染して起こる口内炎があることから見ても、免疫力を整えておくことが大切といえるでしょう。
体調不良や疲れ、ストレスなど新陳代謝を遅らせる習慣を避け、バランスのよい食事を心がけることで口内炎の出来にくい体質を作ることができます。
口内炎が出来ているときと出来ていないときとでは、ストレスの具合も食事の美味しさも全然違います。また、朝起きたときのなんとも言えないあの痛みは一日の始まりには最悪の痛みでもあります。
数日間の不快感と苦痛を味わうことになるのでなるべく口内炎を作らないように予防して口内炎の発生を防ぎましょう。
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