お腹を下す原因は何?考えられる病気と治療方法を紹介!

食べ物は胃で消化され、小腸、大腸を通り、時間をかけて消化されます。

そこで、何らかの要因がきっかけとなって消化器の動きに異常が生じ、健康な時よりも内容物が早く腸を通過します。すると、体に吸収されるはずであった水が吸収されず、水分を多く含んだ便が下痢便として体外に排出されます。これが、お腹を下すということになります。

つまり、下痢になるということです。では、いったいどういったことが原因でお腹を下すのか、また、どういった症状が出現するのか、それらに対する対処法についても見ていきましょう。

下痢とは?

トイレ 腹

生活している中で急に腹痛と同じに下痢になって困る、という人は多いでしょう。とても迷惑な症状の様に感じる人は多いでしょうが、これは体の状態を知ることができるとても大事な反応になります。

では、症状や次いで原因とメカニズムについても説明をしていきます。

下痢は2種類ある

下痢には、急性と慢性の2種類があります。それぞれ、症状には特徴があります。どのように異なるのか見ていきましょう。

・急性下痢

急性の場合は、症状は一過性です。便意が1日に数回~数10回起きます。約2週間で状態が落ち着きます。1度トイレに入ったり、ゆっくり1日休むと早く治癒します。

急性は、非感染性と感染性の2つに分類され、感染性はウイルスや食中毒、非感染性は暴飲暴食や食べる食品などが原因となります。

・慢性下痢

慢性の場合は、便意が1日に数回起きます。症状は3週間以上続くため、慢性化します。また、特定の状況下で下痢になる可能性が高いです。一度慢性化すると、治癒が困難です。

分類としては、機能性の下痢とそれ以外の下痢になります。機能性の下痢は、生活習慣の乱れやストレスが原因となって起きます。これは、過敏性腸症候群の可能性があります。機能性以外のものでは、病気や薬が原因となって慢性下痢となる可能性があります。

そのため、「気づいたら下痢が続いている」、「この下痢は、いつから始まったのか?」と、症状が出現し始めた時期が曖昧であるケースが多いです。

下痢のメカニズム

下痢には病型があり、それぞれの病型で起こるメカニズムが異なります。また、一つだけの病型に関わるパターンと複数の病型が伴って起きるパターンがあります。

・浸透圧性下痢

腸には、食べ物の水分を吸収して固形化する働きがあります。しかし、その水分を吸収しようとする力である浸透圧が高い食べ物をたくさん摂ると、水分の吸収が不十分となります。

その結果、水分を多く含んだ下痢便が排泄されることになります。

・分泌性下痢

腸管は、水分の吸収のほか、分泌物も出します。体に毒素が侵入すると、腸管からの分泌物も増えてしまい、これによって下痢になります。

なお、便はこの腸管の蠕動運動によって排泄されますが、毒素以外にも何らかの原因によって、腸管の蠕動運動が活発になった場合、分泌物が増えて水分量が増え、体に吸収されきらずに下痢になります。

・滲出性下痢

腸内に炎症が起こるような原因がある場合、腸管粘膜から血液、血漿、血清蛋白といった浸出液が出ます。すると、腸内の水分量が増幅し、下痢になります。

下痢の原因

食べ過ぎ

急性下痢と慢性下痢の2種類それぞれ、原因が異なり、対処法も異なります。

間違えた対処法をとらないためにも、明確な原因を把握する必要があります。では、それぞれどういったものなのか説明をします。

急性下痢の場合

急性の下痢の場合は、非感染性に暴飲暴食や胃や腸の冷え、疲労や風邪引きの時、疲労によるアレルギー、乳糖不耐症、抗生物質などの薬によるものなどが原因として挙げられます。

・暴飲暴食

暴飲暴食をすることで胃や腸に大きな負担がかかり、食べ物を消化しきることが難しくなって消化不良を起こし、下痢になります。また、過剰に水分を摂りすぎると、体の水分吸収が追いつかないことがあり、急性下痢を引き起こします。

・胃や腸の冷え

冷たい食べ物を飲食すると、胃や腸が冷やされます。すると、体のホメオスタシス(恒常性)が働き、体温を維持しようとして内臓の動きが活発化します。そうなると、腸は十分に水分を吸収できなくなり、下痢を引き起こします。

・アルコールの多飲

水分とナトリウムやカリウム、クロームといった電解質が増え、脂肪や糖が分解されてしまいます。

また、その脂肪や糖が体に吸収されにくい状態になり、腸に蓄積されてしまい下痢を引き起こします。

・カロリー甘味料

カロリー甘味料を多く含む食品は、甘い食べ物に多いです。これは、体が水分を吸収し難くする働きがあり、腸に水分が蓄積されやすくなります。その結果、急性の下痢を起こします。

・薬剤

薬剤は、基本的に1~2ヶ月後に起きる場合がありますが、急性の場合もあります。前者は、長期間に渡り抗生剤を服用していると善玉菌が殺され、減少し、腸内環境が悪くなります。その結果、多くの抗生剤に耐性を備えた菌によって、

・毒素

毒素が原因となる可能性のあるものとしては、腸管出血性大腸菌O-157やボツリヌス菌セレウス菌、コレラ菌といったものが挙げられます。

これらも、加熱処理がなされていない生の肉類や魚介類に菌が潜み、体内に留まって食中毒を起こします。セレウス菌以外に関しては、死に至ったケースもあり、危険リスクが高いです。

・細菌

原因となりやすい細菌には、腸炎ビブリオやサルモネラ、黄色ブドウ球菌、カンピロバクターといったものが挙げられます。いずれも魚介類や肉類などを生で食べることで細菌に感染するリスクがあります。

また、手に傷があったり、手に細菌がついたままの場合、食べ物に細菌がつきやすくなり、より感染率が高まります。これにより、食中毒を引き起こします。

・ウイルス

感染して食中毒になるウイルスは、ノロウイルス、ロタウイルスといったものが挙げられます。感染力が高いウイルスになります。免疫力が低下して抵抗力が弱っている人の場合、死亡する可能性があります。

・生理や妊娠

生理や妊娠によるものなので、女性に限り起きます。プロゲステロンという黄体ホルモンが存在しますが、これは生理周期や妊娠によって分泌量が左右します。黄体ホルモン自体は、腸の働きを抑制する作用があり、このバランス次第で腸内の環境が不安定になり、下痢になります。

生理周期の関係や妊娠によって黄体ホルモンのバランスが乱れると、自律神経が乱れて排泄コントロールの機能も乱れ、下痢になる可能性があります。

その他、生理前や生理中、妊娠中期~後期は子宮の収縮によって腸が圧迫を受け、胃や腸の活動が妨害されてしまい、胃液の分泌が抑制されます。これにより、溜まっている物を消化しようとして胃や腸の働きに異常が生じ、下痢になる可能性が高くなります。

慢性下痢の場合

慢性下痢では、病気が原因となっているケースがあります。しかも、原因が特定しにくい病気ばかりです。では、どういった病気が慢性下痢を引き起こすのか紹介をします。

・乳糖不耐症

乳糖不耐症」の人が牛乳を飲むと、急性下痢の原因となります。牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解するための乳糖分解酵素が少ない人は、「乳糖不耐症」と言われます。

乳糖不耐症の人が牛乳を飲むと、分解酵素が少ないがために、乳糖を分解できず、乳糖が腸の中に蓄積されます。乳糖は水分を引き寄せる役割があり、牛乳を飲むことで腸内の水分量が増幅して腹がゴロゴロとなり、下痢を引き起こします。

・二次性乳糖不耐症

これは、赤ちゃんに多く見られます。ウイルス感染などの感染性の急性下痢が治癒する過程で二次性乳糖不耐症になり、下痢が長引くというケースが存在します。

・潰瘍性大腸炎

これは、自身の免疫反応が過剰になって腸の粘膜が攻撃を受ける病気です。腸に炎症が生じて下痢以外にも血便や粘血便、腹痛なども起きます。重度になると血便が出ます。

・過敏性腸症候群

長期的に続く慢性下痢の約7割が、この過敏性腸症候群だという報告がされています。過敏性腸症候群は、ガス型、不安型、分泌型、慢性下痢型と大きく4つのタイプに分類されており、特定の状況下や特定のタイミングによって起こる下痢のことを言います。

慢性的に便秘と下痢を繰り返すというパターンが多く、ストレスが要因となって起きています。病院で検査をしても体に異常が発見されないことが多く、精神的なものからきているとされています。

・その他の病気

その他にも慢性下痢の原因となる病気はたくさん挙げられます。慢性膵炎やクローン病、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、糖尿病などの代謝系疾患、大腸癌など、主に胃や腸、膵臓や肝臓といった消化器系・泌尿器系の疾患を患った際に下痢を引き起こします。全ての人に当てはまるわけではありません。

・機能性下痢

病気とは異なり、様々なストレスによって起こるものを機能性下痢と言います。精神的ストレスとは、過労や睡眠不足、食生活の乱れ、対人や仕事のストレスといった身体的・精神的ストレスです。

下痢の対処法

食事の見直し ヘルシー

下痢に対しては様々な方法があります。どういったことが原因かによって、どういった方法をとるかが変わります。

正しい原因を把握せずに対策をしてしまうと、間違えた対処をとることになり、逆効果となる可能性があります。なので、専門家に相談をすることをおすすめします。

食事療法

食事の内容に気をつけることはとても大切な対処になります。食事に気をつけるだけで、腸内環境が改善されて状態が回復する可能性はあります。

但し、慢性下痢のように病気が原因となる場合は、食餌療法だけでは下痢症状を落ち着かせることが難しいケースもあります。では、どういったことに気をつけて食事をすると良いのか、見ていきましょう。

・暴飲暴食や冷えが原因の場合

胃や腸の状態が元の状態に回復するまでは、食物繊維を多く含む食品や油っぽい揚げ物や肉などは避けましょう。

食べるのであれば、刺激が少なく消化が良く胃や腸に優しい体内に吸収されやすい、蕎麦やうどん、じゃがいもやニンジンなどの野菜の煮物、豆腐などの乳製品、リンゴやバナナといった消化・吸収の良い果物、塩分が控えめの味噌汁やスープ等にしましょう。

油物が多い食べ物だけではなく、添加物の多い物も胃や腸には負担が大きいです。また、唐辛子や一味、七味、コショウなどの刺激物は消化器には刺激が強いので避けましょう。

その他にも、貝類やイカ、タコといった胃の中で膨らむような消化不良を起こし易い魚介類も胃や腸への負担が大きいため、避けましょう。乳甘味剤といった甘い物も腸に水分を蓄積させやすいため、控えましょう。

・食虫毒、ウイルスや細菌感染が原因の場合

下痢をすると、体内の水分量が過剰に減少し、体内に必要な量まで喪失します。すると、脱水症状になり、今度は便秘になる可能性が高くなります。

こういった事態を避けるためにも、対策として糖分が少なめのジュースやスポーツドリンク、白湯といった体に必要なミネラルが豊富に含まれている物で水分補給をすることがとても大切になります。アルコールやコーヒーは刺激物となるので、控えめにしましょう。

アルコールは、そもそもアルコール自体が消化器に刺激を与えます。コーヒーはコーヒー豆にカフェインが多く含まれており、消化酵素の分泌を促進してしまい、逆効果になり、胃にストレスを与えます。コーヒーを飲むのであれば、1日にコーヒーカップ一杯分、コーヒー牛乳にする、レギュラーコーヒー一杯分にするといった考慮が必要です。

なお、子供や高齢者は脱水症状が進行しやすいため、注意が必要です。なお、高齢者に関しては、年を重ねる毎に感覚が鈍くなっていくため、脱水状態になっていることに気づいていないことが多いです。そのため、脱水していないと感じていても適時、水分を補給するように気をつける必要があります。

・乳糖不耐症の場合

ヨーグルトは、約30%の乳糖が乳酸筋によって分解されます。70%の乳糖は残存しますが、乳糖不耐症が軽度であれば、牛乳でなくともヨーグルトであれば下痢の症状が出現にくくなる可能性が高まります。ちなみに、ラクトースフリーの牛乳は日本にはありません。

状態によっては、医師に診てもらう必要があります。なお、一生このままなのかと言うと、そうではないこともあります。毎日少しずつ牛乳を飲むことで乳糖が分解できるようになる可能性もあるため、人によっては改善がみられます。

・その他、慢性下痢の対策

慢性下痢に対しては、いつの間にかなってしまっているものなので、基本的には、日頃から食事に気をつけて腸内の環境が整うように腸内細菌を調整する必要があります。善玉菌が増えるようにビフィズス菌や乳酸菌を摂ったり、善玉菌のエサとなるオリゴ糖を摂ることを意識することが大切です。お腹がデリケートになっている時なので、消化・吸収の良い食べ物を食べるようにしましょう。

薬物療法

市販薬も多く売られていますが、根治可能な薬は見つかっておらず、対症療法となります。要するに、気休め程度に飲む薬ということです。

手頃に市販薬で入手もできますが、自己判断で服用をして死に至ったケースが過去にあるので、可能であれば内科の専門家に診てもらうことをおすすめします。

・暴飲暴食、冷えが原因の場合

これらが原因の場合は、腸の状態を整えるための整調剤や下痢止め薬を服用します。下痢止め薬には、市販薬のおすすめであれば小中学生用ストッパ下痢止めEXや、ストッパエル下痢止めEX、ストッパ下痢止めEXといった薬があります。いずれも類医薬品です。

・食虫毒、ウイルスや細菌感染が原因の場合

下痢止めをすると、毒素や細菌、ウイルスが体内に蓄積されたままになります。よって、このケースでは下痢止め薬は避けなければなりません。これによって、嘔吐や頭痛がある場合は、それに対応する薬は処方されます。

・慢性の下痢に対して

下痢が生じるような病気を患い、その病気の状態によっては医師の検査・診断や治療が必要な場合があります。薬物療法だけでは治癒が困難な場合もあります。慢性化している時は、自己判断で対策をとるよりも、まずは病院を受診すると良いでしょう。

心理療法

ストレスが要因となっている場合、食事療法や薬物療法に併せて心理療法が行われる場合があります。特に、過敏性腸症候群に関しては、便秘と下痢を繰り返しているにも関わらず、体に異常が見られないため、精神的ストレスからくるものと判断し、心理療法を主に行うことがあります。

まとめ

食事 気を付ける

下痢の種類やメカニズムには様々なものがあり、更には原因も細かく分かれ、それによって対策が異なることがわかります。

慢性的なものは病気も関与しており、何らかの治療が必要となる場合が多いですが、急性のものであれば、生活習慣や食事を見直すと短期間で直すことができる可能性もあります。お腹を下すというのはとても辛いので、できるだけ早く治せるように対応していきましょう。

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