胃腸炎で熱が出るのは危険?予防方法や対策を紹介!

胃腸が痛いと「食べ過ぎかストレスかな~」と思う人も多いかと思いますが、胃腸炎の原因はストレスのほかにもあり、中には高熱が出て脱水症状や敗血症の恐れがある危険な病状であることもあります。

熱がでる胃腸炎はウイルスや細菌が原因です。安静にすれば治るケースもありますが、毒性の高い食中毒などは放置しておくと危険な場合もあります。また感染症の場合他人に移さないように会社や学校をお休みしないと迷惑になってしまいます。

胃腸が痛いなと思ったら「ストレスか食べ過ぎだろう」と甘く見ず、体温計で熱を測ってみましょう。

また、このとき「胃腸の痛みくらいなら風邪薬や下痢止め、吐き気止めを飲んで会社に行こう」とすると、胃腸炎の種類によっては悪化してしまいます。また感染症の場合周りに名を苦をかけてしまいます。

発熱性の胃腸炎の適切な対処をご紹介します。

胃腸炎で熱がでたら危ない?熱の出る胃腸炎の原因

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熱がでる胃腸炎はウイルス性、細菌性の胃腸炎です。40℃ほどの高い熱のでる胃腸炎はウイルス性の胃腸炎です。細菌性胃腸炎の場合は多少熱も出るものの、ウイルス性の胃腸炎より熱がでません。

なお熱がでない場合はアレルギー性胃腸炎、ストレス性の胃腸炎、アルコールや刺激物による胃腸炎の可能性もあります。高熱が出ていなくても胃が慢性的に荒れると、ウイルスや菌類に弱くなります。胃腸炎の種類や原因を振り返って、重症化を防ぎましょう。

細菌性の胃腸炎

高温多湿の暑い季節には食料が傷みやすく、食中毒をおこすリスクがあります。

サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクターや、黄色ブドウ球菌、組織侵入性大腸菌、ボツリヌス菌、嘔吐型セレウス菌や、腸管出血性大腸菌(0-157など)、ウエルシュ菌、下痢型セレウス菌、コレラ、毒素原性大腸菌、などが細菌性の胃腸炎です。

必ずしも熱がでるわけではありません。種類によっては感染後に熱の出ない菌もあります。コレラ菌などは低体温になったりします。

ウイルス性の胃腸炎

ウイルス性の場合は冬、春に活動します。ウイルスごとに活動時期は異なります。

胃腸炎をおこすことで有名なウイルスは、牡蠣などで当たることで有名なノロウイルス、子どもが発症しやすいロタウイルス、同じく子どもが発症しやすい腸管アデノウイルスなどがあります。ノロウイルスは冬(12月~1月)に多く、ロタウイルスは春(3月~4月)に多めです。腸管アデノウイルス40型、41型は特別季節による特徴はありません。

子どもに多い胃腸炎ですが、全年齢で発生します。強い発熱がでることが多いです。インフルエンザや風邪でも発熱と胃腸炎を発症します。

ウイルスや細菌による感染性の胃腸炎の症状

重症化して亡くなることも少なくない食中毒もありますが、若くて健康な人であれば脱水症状や下痢による電解質の不足に気を付ければ治ることがあります。

しかし、お年寄りや子どもは最近の毒性に耐えられず亡くなってしまったり、吐いたもので喉を詰まらせて死亡する場合が多く見られます。

また若い人も脱水症状などが原因で死亡することもあります。

また本人が健康で病気に耐えうる体力を持っていても、周りに感染を広げる危険があります。吐瀉物、排泄物を処理した手で触ったドアノブなどから菌が手に付着し何かの折に口に含まれることで感染する場合や、ウイルスの含まれたほこりが舞い散るだけでも感染するもあります。

感染を防ぐためにも医師の診断を受けて安静にしましょう。

市販の解熱剤、吐き気止め、下痢止めを飲むと悪化する?

人間の身体が熱をだすのはウイルスを弱らせるためです。嘔吐や下痢をするのは毒素を外に出すためです。

そのため、ウイルス性の場合は特に、医師の指示なしに解熱剤を飲むと悪化してしまう恐れがあります。医師が子どもに解熱剤を投与する場合もあるので一概に悪とは言えませんが、医師の判断がなければ飲まないほうが良いです。

よって、腹痛、嘔吐、下痢、発熱、と辛い症状ですが、このとき市販の解熱剤を含んだ総合風邪薬を自己判断で飲んではいけません。

しかし胃腸の粘膜を保護する薬は有効なので、胃腸薬と呼ばれる市販の薬は飲んでかまいません。総合風邪薬は解熱剤が入っているので医者に処方されるまでは飲まないほうが良いです。

また下痢止め、吐き気止めは強力な細菌に感染した場合、強い毒素を排出できず、症状が悪化します。

発熱性胃腸炎の原因、菌・ウイルスの感染を予防するには

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菌やウイルスが繁殖しやすい場所はそれぞれ特色があります。それぞれの菌の予防法をご紹介します。

なお「過熱すれば多少腐っていても大丈夫」という人がいますが、確かにほとんどの菌やウイルスは過熱で死にますが、菌やウイルスが食べ物を毒物に変質している場合、加熱しても毒素が無毒化されない場合があります。またウエルシュ菌は高温でも殺菌できません。臭いをかいでおかしいもの、腐った味のするものは「過熱したから大丈夫」とは限りません。

菌によって生息地や対処は違いますので覚えておきましょう。

卵に注意!サルモネラ菌

卵黄からくることの多い食中毒の原因になる菌です。

卵は新鮮なものを購入し、購入後は冷蔵庫に保管して短期間に消費しましょう。普段は卵の殻がサルモネラ菌を防いでいます。そのため割った後の卵は痛みやすいので、割った後に加熱せずにおいておくのは危険です。過熱すれば菌が死にます。白身、黄身が硬くなるまで加熱すれば安心です。古くなった卵や、加熱用の卵(海外に多い卵)は生で食べたりしないほうがいいです。

また卵がついた器具、容器、を放置せずしっかり洗いましょう。卵が汚染されているとも限らないので、生卵を触ったら手を洗うことも大切です。

念のため、免疫力の低い乳幼児や高齢者には生卵を食べさせないほうが安全です。

魚介類に注意!腸炎ビブリオ菌

温度の高い沿岸の海に生息しています。魚介類経由で食中毒を起こす他、魚介類を触った手、魚介類を切ったまな板で調理したサラダやツマなどの野菜から感染するケースもあります。

魚介類は調理前に塩を振って流水(水道水)で良く洗うとよいです。臭みも取れるので一石二鳥です。

また、まな板から菌が付くこともあるので、まな板はよく洗剤で洗うか、野菜用のまな板と魚介類用のまな板を使い分けるとよいです。最近は百均で薄っぺらいまな板が売っているので、複数買っておくとよいでしょう。特にサラダをつくるときは要注意です。

温度が高いと繁殖する菌ですので、冷蔵庫で4℃以下に保存しましょう。夏場熱い時期は特に注意しましょう。ちょっと痛んでいたら、食い意地を張らないこと。腸炎ビブリオ菌は61℃で10分以上の過熱で無毒化できます。

牛乳や肉に注意!カンピロバクター

家畜に多い菌です。未殺菌の牛乳、加熱が不十分の肉から感染します。豚肉、鶏肉、牛肉でもレバーや持つなどの内臓は、赤い部分が白くなくなるまで十分に加熱して食べましょう。

またビブリオ菌同様、肉を切ったまな板でサラダをつくってはいけません。発熱しますが、38℃以下と、ウイルス性の熱より低いです。

作り置きのお弁当などに注意!黄色ブドウ球菌

土中に存在するありふれた菌です。お弁当、おにぎりなどから検出されることが多いようですがどんな食品にも付着して繁殖する可能性があります。菌自体は100℃30分の過熱で死滅しますが、この菌が作る「エンテロトキシン」は過熱しても分解されません。

酸素を必要としない菌なので、汚染を受けるとどこでも繁殖します。10℃以下で保存すると繁殖を抑えられます。この菌に感染してもあまり熱は出ません。

非正規の真空パック、乳幼児ははちみつに注意!ボツリヌス菌

感染すると神経を侵し呼吸障害も引き起こす、適切な治療を受けない場合は死亡率が30 % 以上といわれる菌です。ボツリヌス菌のつくりだす自然界の毒で最も強い毒ともいわれています。酸素を嫌うので、加熱のしっかりしていない真空パック製品が危ないです。

120℃4分間以上の加熱がないと殺菌できません。レトルト食品の多くはこの基準で殺菌しているので保存がきいています。

しかし一部過熱が基準を満たしていないものもあります。もし真空パックや缶詰が膨張していたり、食品に酪酸臭がある場合はボツリヌス菌が繁殖している恐れがあります。

ボツリヌス菌は無酸素状態で温度3.3℃、pH4.6 以上などの特定の条件がそろうとで繁殖します。過程で保存食をつくる場合は注意が必要です。3℃未満で冷蔵、あるいはマイナス18℃以下で冷凍すると繁殖をおさえられます。

ボツリヌス毒素は、80℃30分間(100℃なら数分以上)の加熱で失活するので、食べる直前に十分に加熱すると効果的です。

また蜂蜜を乳幼児に与えるなといわれますが、これは「過熱しない食品なので乳幼児ならボツリヌス菌に侵される可能性があるから」です。

炊飯器に入れっぱなしのご飯食べちゃダメ!嘔吐型セレウス菌

土中やほこりの中に幅広く存在し、特に米や小麦に付着する菌です。100℃の温度で27~31分間の過熱で無毒化しますが、何かの折に調理ごに付着したら、柔らかくなった状態で適正温度の28~35℃になると繁殖する可能性があります。

下痢型は60℃を5分ほど続けて過熱すれば無毒化しますが嘔吐型は熱に強く126℃を90分過熱してもでも無毒化しません。

冬ならいざ知らず気温が10℃以上になる季節は炊飯器にお米を入れっぱなしにすると腐ってしまいます。いったんお米を炊いたら「保温」ボタンを押して温度を高めて保存し、日を置かないですぐに食べましょう。温度が高くても腐るので長時間の放置は危険です。糸を引いていたり偏食していたり異臭がしたら食べてはいけません。

食べきれないご飯は、小分けにして10℃以下で保存、あるいは冷凍しましょう。

土埃、生水、どこにでも生息する下痢型セレウス菌

嘔吐型は耐熱力が高いですが、下痢型は60℃を5分ほど続けて過熱すれば無毒化します。

しかし調理後に付着した下痢型セリウス菌が繁殖する場合もあります。作り置きのお弁当などに注意しましょう。

過熱しても過信は禁物!熱に強いウエルシュ菌

非常に熱に強く過熱後も生き残ります。無酸素を好むので、過熱後の食品の中心などから繁殖するようです。

「過熱すれば安心」という過信からこの菌の飲食を許してしまうことが多いようです。

過熱した後の食べ物も早めに食べましょう。

衛生状況に注意!o-157などで有名な大腸菌

人や家畜の大腸にいる菌です。食事のほか、不衛生な貯水タンクから感染するケースもあるのでビルに住んでる人は一度確認してみましょう。大腸菌にはさまざまな種類があります。

腸管組織侵入性大腸菌

腸管の粘膜組織中に侵入するタイプの大腸菌です。赤痢に似ています。

毒素原性大腸菌

東南アジアやアフリカなど衛生管理の行き届いていない国の旅行先の生水などから感染します。皮をむいた後の果物から感染した例もあるので注意しましょう。

腸管出血性大腸菌(0-157など)

毒性が高いベロ毒素を生成します。溶血性尿毒症症候群、痙攣・脳症、急性脳症を引き起こし、最悪の場合は死に至る場合があります。治療後も腎臓に後遺症ができてしまうリスクがあります。

家畜の糞尿などに生息する菌で、75℃過熱で殺菌できます。感染力が強く少しの大腸菌でもすぐに繁殖します。お年寄りや子供は免疫力が低く重症化、あるいは死亡するリスクが高まります。子どもやお年寄り、免疫疾患がある人、あるいはストレスなどで免疫力が下がっている人、アレルギーを起こしやすい人は、生レバーなどの過熱されていない食べ物は食べないほうが良いです。

他の病気にかかりやすくなるピロリ菌

胃腸炎の症状は出るとは限りませんが胃がんや胃潰瘍など他の病気にかかりやすくなる原因といわれています。どこにでもいる菌で、既に胃の中に保有しているかもしれません。50代以上は特に保有率が高いです。

乳酸菌LG21を摂取すると増殖を抑えます。

ロタウイルス

乳幼児にかかるウイルスです。感染力が強くどこにでも存在するので乳幼児ならどうがんばっても誰でもかかるといわれるありふれた症状です。大人もかかる場合があります。

ノロウイルス

生牡蠣からの感染で有名ですが、生牡蠣を食べていなくても感染するケースがあります。この場合、人から人へ感染しており、ノロウイルスの付着した手で何か口に入れるものに触れ、それを口に含むことで感染したと思われます。寒気を好み、冬に繁殖することが特徴です。

牡蠣の触感を楽しみたい気持ちはわかるのですが、湯通し程度の不十分な加熱ではウイルスの感染力は失われません・・・加熱用の牡蠣であれば90℃ほどの温度で90秒間以上の過熱が必要です。

下痢や吐瀉物の処理は塩素系漂白剤を使うことで除菌できます。二次感染を防ぐために十分殺菌しましょう。

感染すると37~38℃ほどの微熱がでて激しい下痢と嘔吐を繰り返します。

まとめ

胃腸炎はストレスだけが原因ではなく、ウイルスや細菌が原因でも起こります。この場合発熱することもあります。

発熱したときはウイルスや細菌性の胃腸炎の可能性があります。感染を防ぐために会社や学校を休んで病院で診察を受けましょう。

また市販の解熱剤や下痢止め吐き気止めを自己判断で飲むと悪化する恐れがあります。市販の薬でごまかして無理して会社に行ってはいけません。

またウイルス性、細菌性の胃腸炎を避けるには、食中毒に注意しましょう。十分に加熱したものを食べ、異臭、変色した食べ物をとらないようにしましょう。

また発熱性の胃腸炎になると、下痢で脱水症状に陥りやすいです。またナトリウムやカリウムの電解質が不足するので、糖分の少ないスポーツドリンクや果汁ジュース、塩分など水で薄めて飲んだりして対処しましょう。

  
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