セレウス菌による食中毒に注意!症状や治療法、予防方法を知ろう!

普段何気なく生活している空間の中には、目には見えない菌がたくさんいます。それは食品についていたり、土の中やホコリの中にいたりと様々ですが、時として増殖し、食中毒を引き起こす場合もあるのです。

夏の時期によく見られる食中毒。家族や少人数でも大変ですが、団体でかかってしまうと被害はさらに拡大し、その影響は計り知れませんよね。食中毒の原因菌はいくつかありますが、今回はその中の1つ、セレウス菌についてお話しましょう。

このセレウス菌、どうやら熱では死なないという話もあり、非常に厄介なようです。重症化すると危険な食中毒の原因となるセレウス菌の特徴や対象など、これから詳しくご紹介いたします。

セレウス菌とは

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セレウス菌は環境細菌の一種で、土壌や汚水、空気中などの自然界の他、野菜や香辛料など、分布範囲が広いのが特徴です。普段は植物の種に似た形(芽胞)をしていますが、適度な温度や栄養によって発芽すると言われています。

残飯などの残りものに繁殖する他、タオルやシーツなどを媒介にして体内に入り込むこともあり、感染経路は広いです。また、種子に似た芽胞は耐熱性で、100℃で30分加熱しても死滅することはないそうです。

食中毒の種類

食中毒には、感染型食中毒と毒素型食中毒があります。

感染型

生菌型とも言われ、食中毒細菌に汚染された飲食物を体内に取り入れることにより引き起こされる食中毒を指します。具体的には、サルモネラ菌や腸炎ビブリオなどがこれにあたります。

毒素型

毒素型は、食中毒菌が食物中で増殖し、それによって生み出された毒素が体内に入ることで発症します。ブドウ球菌やボツリヌス菌などがこれにあたります。

こうした特徴から見ると、セレウス菌食中毒には感染型と毒素型、どちらの側面も見受けられますよね。嘔吐型は食物内で菌が増殖することが原因ですし、下痢型は腸管内で菌が増殖し、エンテロトキシンが生成されることによって発症します。

セレウス菌の食中毒について

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感染症法における4類感染症定点把握疾患の中に、感染性胃腸炎があります。感染性胃腸炎にはセレウス菌感染症も含まれ、その主症状は食中毒として現れるものがほとんどです。中には血流感染症という感染症もありますが、まずは食中毒についてお話していきましょう。

セレウス菌は食中毒菌の一種です。食中毒菌と言えば、サルモネラ菌や腸管出血性大腸菌、腸炎ビブリオなどが知られていますが、これらの菌は熱に弱いのが特徴です。75℃で1分加熱すると死滅するため、衛生管理の基準にも75℃で1分の加熱が条件として提示されています。そのため、食中毒は煮沸消毒で防げるような気がしてしまいますが、食中毒菌の中には、熱に強いものも存在するのです。

その1つが今回取り上げたセレウス菌で、加熱しても死滅しません。セレウス菌以外では、ボツリヌス菌やウェルシュ菌などが挙げられます。ではなぜ、セレウス菌は熱に強いのでしょうか?

芽胞は休眠状態

発芽前の状態である芽胞は、言わば休眠状態です。芽胞は熱に強い芽胞膜により、熱を加えても死滅せず、乾燥した状態でも長年生き続けることができます。そのため、調理過程では死滅させることができません。

ただし、これは発芽していない芽胞に限ることで、栄養や温度が加わって発芽したのちは、75℃の加熱で死滅します。

セレウス菌の毒素

セレウス菌はエンテロトキシン(下痢原性毒素)という下痢毒と嘔吐毒を作りだし、これが食中毒症状を引き起こすと言われています。

エンテロトキシンは、ブドウ球菌やウェルシュ菌、病原大腸菌でも同様の名称で呼ばれますが、それぞれ全く別の物質で、熱への耐性も異なります。

セレウス菌のエンテロトキシンは56℃で5分加熱すれば簡単に壊れますが、ブドウ球菌のエンテロトキシンでは120℃で20分加熱しても無毒化せず、非常に耐熱性が高いことで知られています。

セレウス菌の食中毒の症状

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セレウス菌食中毒は、セレウス菌を病原体として発症します。感染経路としては穀物などの食品が多く、夏には特に事例が増えます。

セレウス菌を原因とする食中毒の場合、下痢性と嘔吐性の症状が現れるため、「嘔吐型」と「下痢型」の2タイプに分類されます。では、具体的にどう違うのか、詳しく見ていきましょう。

嘔吐型

嘔吐型は、発症するまでの潜伏期間が短く、30分~6時間ほどです。また、毒素は食品中で作られ、原因食品としては穀物類やメン類、イモ類、チーズなど、デンプンを含む食品が挙げられています。発症すると、吐き気を伴う嘔吐症状が起こり、その症状はブドウ球菌による食中毒に似ています。

また、嘔吐型毒素は非常に熱に強いため、食前の加熱によって防ぐことができないのも厄介です。126℃で90分加熱しても、壊れることはないそうです。セレウス菌による嘔吐型食中毒の集団発生も、日本やアメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスなどで確認されています。

下痢型

下痢型では、潜伏期間がぐんと長くなり、発症までは8~16時間ほどにもなります。毒素は食品ではなく、人の小腸の中で作られます。原因となる食品としては、プリンや弁当などが挙げられます。症状は腹痛や下痢で、こちらはウェルシュ菌による食中毒に似ています。

下痢型毒素は45℃で30分の加熱には耐えますが、56℃で5分加熱すると壊れます。そのため、嘔吐型と違い、食前の加熱は効果があります。下痢型食中毒の集団発生は、ノルウェーやイタリア、ルーマニア、ドイツ、アメリカなどで報国があがっています。

セレウス菌による食中毒事件

セレウス菌による食中毒の統計がとられるようになったのは、昭和58年以降だと言われていますが、食中毒事件の事例も報告されています。

いずれの事例も、原因食品はカレーライスや弁当、チャーハンや餅など、穀物類が多く見られます。また、アメリカでは1993年7月に、2ヶ所の保育園で集団食中毒が発生しており、チキンライスを食べた48人中14人に胃腸症状が現れた事例もあります。

ウェルシュ菌による食中毒

では、セレウス菌食中毒とよく似た症状を引き起こす、ウェルシュ菌食中毒についても簡単にご紹介しましょう。ウェルシュ菌食中毒は、ウェルシュ菌に汚染された食品を口にすることで引き起こされる、急性胃腸炎です。

ウェルシュ菌は嫌気的条件(酸素が少ない状態)で増殖するため、栄養や環境状態が悪くなると芽胞を作ります。この芽胞は熱に強いため、加熱や殺菌、消毒に対して強い抵抗性を持っているのが特徴です。

症状

ウェルシュ菌食中毒になると、腸内で菌が増殖し、芽胞が作られる時にエンテロトキシンという、下痢原性毒素を生成します。症状が出るまでには6~18時間の潜伏期間があり、下痢や腹痛が起こります。発熱や吐き気はほとんど見られません。

症状が出た後は、2日ほどで回復します。こうした症状がセレウス菌食中毒の下痢型と非常によく似ています。

セレウス菌食中毒の検査方法

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では、セレウス菌食中毒とウェルシュ菌食中毒をどのように見分けるのか、診断方法をご紹介します。検査方法としては、患者の便や原因食品からウェルシュ菌が検出されるかどうかで判断します。

  • 感染者の便や原因食品からウェルシュ菌が検出される(1g/百万~1億個)
  • 同一の症状・血清型を示している
  • エンテロトキシンが生産されている

以上の点に当てはまる場合、ウェルシュ菌食中毒だと診断できます。また、ウェルシュ菌は嫌気性ですが、セレウス菌は好気性のため、その点でも診断が可能です。

セレウス菌食中毒の治療法

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では、セレウス菌食中毒を発症したら、どのように治療すればよいのでしょうか。嘔吐型では毒素が強く、高温で加熱しても毒素が消えないものがありますし、下痢型では脱水症状により命の危険にさらされる場合もあるため、どちらも注意が必要です。

抗生物質

治療する場合には、クロラムフェニコール、アミノグリコシド、バンコマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシンなどの抗生物質を使った方法が取られます。

抗生物質を使用しない治療法

セレウス菌による食中毒は比較的軽度なことが多く、早い段階で対処すれば、特別な治療をしなくても一両日中に回復することがほとんどです。

点滴保水治療や下痢止め、制吐剤などの使用によって脱水症状を避ける対処療法が取られ、短時間で症状が軽くなることが分かっています。そのため、抗生物質の投与による治療は、現在では重症でない限り使用されることはありません。

自宅でできる対策

では、自宅で食中毒の治療をする場合に気をつけるべき点をご紹介します。

市販薬の服用は絶対にしない

食中毒では吐き気や嘔吐症状、下痢が起こるため、市販されている下痢止めや吐き気止めを使用してしまいがちですよね。しかし、食中毒の時、胃や小腸ではウイルスが増殖し、機能が低下しています。そのために下痢が起こりますが、下痢は細菌やウイルスを排出するために必要な反射です。

そのため、薬によって下痢や吐き気を抑えてしまうと、かえって体内に細菌が残りやすくなり、症状悪化を招く危険があるのです。薬を服用する場合には、必ず医師の診断を仰ぐようにしましょう。

刺激の強いものは口にしない

食中毒の時に、特に禁止している食事はないようです。食欲があるのなら好きなものを食べて問題ありませんが、消化機能が低下しているため、あまり胃腸に負担をかけないように意識しましょう。

辛い者やアルコール、油を多く含んだメニュー、食物繊維を多く含んだものなどは避けることをオススメします。辛いものやアルコールは胃粘膜を刺激しますし、脂っこい食事や硬いもの、食物繊維を多く含んだ食事は、消化に時間がかかるため、胃酸の分泌が長時間にわたり、胃粘膜に負担がかかるためです。

乳酸菌などを摂取する

乳酸菌には腸内環境を整える作用があるため、ヨーグルトや整腸剤などを服用することをオススメします。また、乳酸菌を取る場合には、朝晩の2回、それぞれ違う種類を摂取することで乳酸菌が十分に活動し、より効果を狙えそうです。

また、乳酸菌にはオリゴ糖が含まれているため、同じくオリゴ糖を含んだハチミツと一緒に摂取するのもよいでしょう。

脱水症状に注意する

食中毒になると、下痢や嘔吐を繰り返すため、体の中の水分が足りなくなり、脱水症状を引き起こす場合があります。

これは非常に危険なので、脱水症状に陥らないよう、十分な注意が必要です。ただし、症状が現れてから5~6時間は体が水分を受け付けない状態になっているため、この間に水分を与えるのは避けましょう。6時間以上経過すると、徐々に症状が治まってくるため、この頃になったら水分を与えます。

まずはスポーツドリンクから与え、少量をゆっくりと口に含ませるようにしましょう。一気に与えると胃腸が刺激されて下痢や吐き気の症状が起きてしまいます。また、冷たい飲み物もよくありませんから、常温か、少し暖めたものを飲ませるようにしましょう。様子を見ながら、水分をほしがるようであれば徐々に与えていきます。

症状が重い時はすぐ受診する

食中毒は軽いものならば治療をしなくても自然に回復します。

しかし、意識障害や呼吸困難、血便の他、乳幼児や高齢者のように免疫の低い人が感染した場合には、早めに医療機関を受診することをオススメします。決して無理はしないでくださいね。

食中毒のリスク

セレウス菌食中毒は、通常は軽いものが多く、治療しなくても一両日中に回復するものがほとんどです。しかし、小さな子供や高齢者など、免疫力の低い人が感染した場合、最悪のケースでは死亡する例もあるので、油断は禁物です。

幼児や高齢者、療養中の人などがいる場合には、手洗いやうがいを徹底し、感染を防ぐように努めましょう。また、セレウス菌は土壌細菌のため、農家や園芸をする人は特に注意が必要です。免疫力の低い人が感染した場合、菌血症や心内膜炎、髄膜炎、肺炎などを併発する可能性があります。

セレウス菌食中毒の予防方法

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セレウス菌は土壌菌のため、自然環境の中に広く存在しています。そのため、米などの食物から汚染が広がることを完全に防ぐことは非常に難しく、実質的に不可能なのです。感染源は米や餅、メン類などの穀物類が多いため、おかずの作り置きをしない、保存する場合は菌が増殖しない環境下に置く、などの対策を取る他ありません。

セレウス菌は少量を摂取しただけでは食中毒にかからず、食品を通じて増殖する、食品媒介性の感染症だと覚えておきましょう。セレウス菌の増殖を防ぐためには、以下の点に気をつけて食品を管理することが大切です。

  • 1度にご飯を大量に炊かない
  • チャーハンなど、調理加工する場合には、加工までの時間を極力短くする
  • ご飯を保存する場合には、50℃以上の高温または冷却を素早く行う
  • 調理後2時間以内に冷蔵庫に入れ、冷ます場合には短時間で済むよう、小分けにして早く温度を下げる

セレウス菌が増殖する環境を作らないことが、予防のためには何より大切です。

セレウス菌による血流感染症について

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セレウス菌は食中毒菌として知られていますが、食中毒以外にも、血流感染症の原因となることもあります。

感染経路

感染経路としては、セレウス菌に汚染されたタオルなどによって皮膚に付着し、そこからカテーテル刺入と共に血流に侵入するというものが考えられます。人から人へ感染することはありません。

また、タオルやシーツがセレウス菌に汚染される原因としては、クリーニング店に出した際、洗濯中に汚染されるケースが少なくないと言います。そのため、業者に洗濯を依頼する場合には、定期的に細菌検査を行うことが重要となります。

予防法

血流感染症を防ぐためには、消毒による予防が有効です。セレウス菌の芽胞は熱に非常に強いため、100℃の熱水や蒸気での消毒は効果がありません。有効なのは、過酢酸などの高水準消毒薬・中水準消毒薬などで、次亜塩素酸ナトリウムが効果的です。

シーツやタオルなどの細菌検査で問題が見つかった場合には、洗濯槽内を掃除したり、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒を業者に指示し、感染を防ぐことが大切です。

まとめ

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いかがだったでしょうか。食中毒と言ってもたくさん種類がありますし、症状も様々です。また、食中毒の対策と言えば熱湯による消毒、というイメージが強いかと思いますが、セレウス菌のように、熱に強い菌もいるということが分かりましたね。

さらに、セレウス菌はわたしたちの生活の、あらゆる場所に存在します。特に、熱にも乾燥にも強い芽胞は非常に厄介です。いつ、どのタイミングで増殖し、食中毒を引き起こすか分かりませんから、日頃の心構えがとても大切なのです。

便利だからついつい作り置きしてしまうおかずやご飯などは、きちんと安全な方法で保存し、菌を増やさないことが重要です。また、食中毒だけではなく血流感染症のリスクもありますから、医療に携わる人は、しっかりとタオルやシーツの消毒を行い、感染経路を絶つことが重要ですね。

目に見えない菌だからこそ、意識を高く持つことが何よりの予防となるでしょう。感染症の発生状況などについては、全国の衛生研究所で情報収集・情報発信が行われていますので、そちらを参照してみるのもよいでしょう。

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