近年、腸をきれいにすることが「美と健康に効果的」であることがわかってきました。「え?腸が?」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、腸の機能には驚くべきものが多数あるのです。
では、腸をきれいにするためにはどうすればいいのでしょうか?また、腸をきれいにすれば具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか?また、きれいな腸をキープできない場合はどうなるのでしょうか?
ここでは腸と美と健康の関係、そして腸内環境改善のための方法をみていきます。腸をきれいにして、美と健康を手に入れましょう!
腸は第2の脳である
腸が「第2の脳」とも呼ばれているのをご存知でしょうか。生命の維持のための複雑な機能を兼ね備えており、脳からの指令がなくても自らさまざまな活動をしているためです。
ホルモンや免疫面でも重要な役割を担う
みなさん、一度は「自律神経」という言葉を耳にされたことがあるのではないかと思います。
この自律神経は私たち自身の意識とは関係なく、体の機能をコントロールしてくれます。つまり血液を循環させたり、栄養を吸収したり、内蔵を動かしたりしてくれるのです。寝ている時でも呼吸や代謝が停止しないのもそのおかげです。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」から成り立っています。交感神経は活動的な状況を、副交感神経はリラックスした状況を担当する神経と考えていただければ結構です。
この2つの神経のバランスが崩れると内蔵の動きが悪くなります。とりわけ強いストレスなどを受けると副交感神経の機能が低下してしまい、胃腸の動きが悪くなったり下痢を引き起こしたりするのです。
腸は栄養分や水分を吸収するほか、ホルモンを作り出したり、多くのリンパが集まる免疫組織としての機能なども備えています。非常に多くの神経や血管が集まっているデリケートな器官ですから、強いストレスなどを受けるとその影響が顕著に出てしまうのです。
腸内環境と腸内細菌の関係
腸内環境に関係するものとして腸内細菌の存在があります。
腸内細菌には善玉菌と悪玉菌、中間菌の3種類があり、その数は600~1000兆個とも言われています。重さにすると約1キロです。腸内細菌だけで1キロもあるとは驚きですよね。
善玉菌
腸内細菌全体の2割程度を占めます。腸内を弱酸性にして腐敗の進行を抑え、悪玉菌の活動を弱めてくれることで、病原菌や発ガン性物質の発生を抑制します。また、細菌による下痢も防いでくれるほか、便秘の予防にもつながるとされています。
乳酸や酢酸を作り出すビフィズス菌、乳酸を作り出す乳酸菌、酢酸や酪酸を作り出すルミノコッカス・コプロコッカスなどがこれにあたります。これらの菌は糖分や食物繊維をエネルギー源にして増えていきます。
悪玉菌
腸内細菌全体の1割程度と割合は低いのですが、その名の通り腸内環境を悪化させる菌です。悪玉菌が増えるのは食べ物に由来する部分が大きいです。特に消化しにくい肉類は腸内で腐敗便となり、大腸菌はその中のタンパク質やアミノ酸をえさに増殖します。肉類を多く食べる人に悪玉菌が多いと言われるのはこのためです。
おならや便が特に臭い方は腸内に悪玉菌が増えている可能性が高いです。悪玉菌の活動でタンパク質やアミノ酸が、硫化水素やアンモニアという有害物質に変質し、刺激臭を発するためです。悪玉菌が増えているという体からのシグナルとして、腸内環境の改善につとめましょう。
また、悪玉菌は胆汁酸と作用しあって、有害物質を生成します。それらが長い時間をかけて腸壁を傷つけ、ガンを引き起こすことがあるのです。
また、悪玉菌は腸内をアルカリ性にするため、免疫機能が低下して病気になりやすくなってしまいます。主に大腸菌や食中毒を起こすクロストリジウムなどが悪玉菌の代表です。
中間菌
別名「日和見菌(ひよりみきん)」とも言います。全体の7割がこの菌です。善玉菌と悪玉菌のバランスが不安的になったときに活発に動き出します。
善玉菌が優勢な時は善玉菌の役割をし、悪玉菌が多ければ悪玉菌として活動します。つまり、強い方につくという日和見的な動きをする菌です。
気をつけないといけないのは、全てを善玉菌にしようということではなく、全体のバランスを保つことです。善玉菌、悪玉菌、日和見菌、この3つの割合が一定であることが、腸内環境を整えることにつながるのです。
腸がきれいになることのメリット
腸がきれいになること、つまり腸内環境が改善することで私たちは多くのメリットを手に入れることができます。
便秘や肌のコンディションの改善はもちろん、免疫力も向上するとされています。また、腸で吸収された栄養素が細胞にくまなく運ばれますので、余分な脂肪がつきにくくなります。腸をきれいにすることで健康と美しい肌、そして太りにくい体質まで手に入れることが可能になるのです。
当然、個人差はありますが、無理なダイエットよりも腸内環境の改善に力を入れる方が、理想のスタイルを手に入れる近道なのかも知れませんね。
腸の不調が引き起こすデメリット
では、腸の調子が悪いとどのようなことが起きるのでしょうか。
皆さんも経験があると思いますが、代表的なものは肌荒れです。腸の調子が悪いと悪玉菌が多くの有害物質を作り出しますが、それらが大腸から吸収されて体内のあらゆる場所に運ばれるからです。そのため皮膚では肌トラブルが起こり、ニキビや吹き出物などができるわけです。
また、全身に運ばれた有害物質は臭いも発します。全身の毛穴から嫌な臭いが漏れ出すことで、体臭や口臭が変化するケースがあるのです。「最近、臭いがキツくなった」と思った方は、腸内環境が悪くなっているのかもしれませんね。
そのほか個人差はありますが、倦怠感や免疫力の低下も表れるとされています。
最も気をつけないといけないのがガンです。慢性的な腸の不調が発症要因のひとつとされています。習慣的な喫煙など、ほかにも発症要因はあるのですが、腸内環境を整えることでガン発症の要因がひとつ排除できるのですから、ぜひとも腸をきれいにしておきたいものです。
腸をきれいにする食べ物
腸をきれいにするために効果的な食べ物があります。これらを積極的に食べることで腸内環境は改善し、腸はきれいになっていきます。一方、腸にあまり良くない食べ物を控えることも腸内環境の改善につながります。
食物繊維が豊富な食材
食物繊維を豊富に含む食品は腸の動きを活発にして、排便を促進します。つまり、便秘解消に役立つ成分です。腸内に老廃物や毒素をためることなく体外に排出するためには欠かせないものです。
食物繊維を豊富に含むものには、野菜や海藻、こんにゃく、いも類、豆類、果物などが上げられます。これらを見てわかるのは、和食によく使われる食品であるということです。ですから、なるべく和食中心の食生活にすれば、自然に食物繊維を摂取できるようになります。バランスの良い食事で、さまざまな食品から食物繊維を摂ることを心がけましょう。
肉も体をつくる上で必要ですが、消化に時間がかかるため腸内環境を悪化させかねません。あまり食べ過ぎないようにバランスを取ることが大切ですね。
発酵食品
ヨーグルトやチーズには乳酸菌などの善玉菌が豊富に含まれています。これらを摂取することで、善玉菌の増加とそれに伴う腸内環境の改善が期待できます。
さらに善玉菌のエサになるオリゴ糖を含んだ食品を食べれば、効果はさらに期待できます。手近なものとしてはバナナがお勧めです。
また、乳製品が苦手な方も代替食品がありますからご心配には及びません。日本に古くからある納豆や漬け物にも乳酸菌がたくさん含まれていますので、それらを食べるようにして下さいね。食物繊維も摂れて一石二鳥です。
腸にあまり良くない食べ物
注意した方が良い食べ物は「脂肪の多いもの」「辛いもの」「甘いもの」です。ファストフードなどのジャンクフードも避けた方がいいでしょう。
これらは消化に時間がかかったり、刺激が強かったりするため、腸の機能が低下してしまいます。つまり、腸が疲れてしまうのです。
ただ、これは程度の問題です。誰しも脂っこいものや激辛食品、甘味が食べたくなるときはあるものです。ですから、たまにはステーキやトンカツ、辛いカレーやケーキなどを食べても構いません。頻度と量に気をつければいいでしょう。
腸をきれいにする生活習慣
食生活以外にも腸をきれいにするための生活習慣があります。
それは「規則正しい生活」と「適度な運動」を心がけることです。「あれ?そんなことなの?」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、これらは腸にとって非常に大切なことなのです。
十分な睡眠
十分な睡眠は自律神経を安定させ、腸の動き活発にしてくれます。また、免疫機能も高まるため、風邪などの病気にかかりにくくなります。十分な睡眠は体の疲れをとるだけでなく、体の内部からも病気へのバリア機能を高めてくれるのです。
適度な運動
また、適度な運動も欠かせません。なぜなら運動不足による肥満は腸の活性を低下させてしまうからです。
ただ、毎日ジョギングをしたりジムに行ったりする必要はありません。仕事帰りに一駅前で降りて歩いたり、スーパーまでの買い物を自転車や徒歩に代えてみたりするので十分です。
どうしても時間がない場合は、風呂上がりのストレッチなどでもいいでしょう。要は体を動かすように心がけることです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?普段はあまり気にすることのない腸ですが、その機能、役割に驚かれた方も少なくないのではないでしょうか。
適切な食事と規則正しい生活、適度な運動をバランスよく組み合わせることで、良好な腸内環境を維持し、腸の持つ能力を十分に引き出すことができます。また、腸の不調は肌トラブルや体臭などに表れるため、体が発するシグナルとして認識することもできます。
健康な腸は、あなたの健康と美にきっと貢献してくれることでしょう。体の内部から健康と美を追求してみてはいかがですか?
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