痰が緑色になるのは病気?原因や対処法を紹介!

風邪をひいたり、体調を崩すと、痰に悩まされるという人が多く見られます。痰のみが出てくる場合や、咳を伴う痰など、出方も様々です。

また、そのときの身体の状態によって、痰の色も変わってきます。「黄色の痰が出た」「痰が緑色になっている」「痰が赤い」といった経験がある人もいるのではないでしょうか。痰の色は、原因となる病気によって異なり、身体の健康状態を示すバロメーターでもあるのです。

そこで、ここでは、痰が出る原因に加え、緑色の痰が出るとき、どのような病気が原因と考えられるのかを、詳しくご紹介いたします。

痰が出る原因

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そもそも痰とは、なぜ出てくるのでしょうか?「痰」と聞くと、喉から出るイメージが強く、喉の不調のようにも思えますが、私たちが息を吸ったり吐いたりする、空気の通り道である気道や、肺が大きく関係しているのです。さて、早速、痰が出る原因について見ていきましょう。

痰とは?

私たちが実際に「痰が出る」と感じるときには、喉に絡みついたり、実際に口の中に出てきたりと、“外に出ている”状態にありますが、実は、痰の正体は、空気を肺に送り込む気道(気管・気管支)や肺から分泌されている粘液で、身体の中で常に作られているのです。

普段は、ごく少量しか分泌されないため、無意識のうちに飲み込み、胃へ流れており、「痰が出ている」と感じることはありません。

しかし、ウイルスや細菌などの異物が入ると、気道や肺が、それらを痰に絡ませて体外に排出しようとするため、通常より多くの痰を分泌させるのです。煙草を吸う人に、痰が出やすいといった傾向があるのは、このためです。

また、風邪が治りかけているときに、痰が出るという説もありますが、関係性はありません。風邪のひき始めの症状として痰が出る場合もありますし、その他の風邪の症状が治まり、痰が出る症状が残っている場合でも、まだ、身体がウイルスと戦っているという証なので、油断は禁物です。

痰と鼻水の違いは?

アレルギー性鼻炎や、副鼻腔炎などで鼻水の量が増えると、喉へ流れる鼻水の量も比例して増えます。このとき、喉に溜まって絡みつく鼻水を、痰と勘違いする人もいるようですが、同じ「排出作用」とは言え、鼻水と痰はまったくの別物です。

喉に鼻水が流れるといった症状は「後鼻漏」と呼ばれ、原因となる鼻炎を治すことで解消されます。しかし、気管に流れてしまうと、肺炎や気管支炎を引き起こす可能性もあるので、気を付けなければなりません。

また、何科を受診するかというのも異なります。痰が絡む場合は、呼吸器が関係しているので内科、後鼻漏の場合は耳鼻咽喉科で受診しましょう。

痰が緑色になる理由

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痰には、ウイルスなどの病原菌の死骸や、それらと戦った白血球が含まれており、痰の色に影響しています。つまり、色の付いた痰が出るようになったということは、身体にウイルスなどが侵入しているということです。

その場合、黄色や緑の痰が多く見られるのですが、緑色の痰の場合、大きな病気のサインである可能性もあります。

緑色の痰が出るときに考えられる病気について、早速見ていきましょう。

慢性気管支炎

3か月から、長い場合は2年以上も、咳や痰といった症状が見られる病気を、慢性気管支炎と言います。明確な原因は不明ですが、長期の喫煙や排気ガス、大気汚染などが要因としてあげられているようです。

咳や痰などの症状のほかに、息切れなども見られ、日常生活に支障をきたす場合も多々あります。

慢性気管支炎の場合、痰が気道に詰まると、細菌感染の原因になるため、病院で吸引してもらう必要があります。

急性気管支炎

細菌性のものやウィルス性のものがります。多くの場合は風邪の延長で引き起こりやすく、風邪の菌が上気道の炎症から、気管へ、さらに気管支へ広がることで発症します。

風邪の症状から気管や気管支へ炎症が広がり、咳や痰の症状が強くなった物を急性気管支炎と呼ぶので、その発症確率は高いのが特徴です。

この気管支炎が進行すると、肺炎に進行する可能性もあります。基本的な症状は咳や痰や食欲不振や発熱や全身の倦怠感などが挙げられます。この内の痰の症状が膿性の性質を持つ場合がありこの時には緑色の痰が確認される場合もあります。

慢性気管支炎では症状が3ヶ月以上続く場合もありましたが、急性気管支炎は症状が90日以内に収まるものを急性と分類しています。基本的な急性気管支炎の治療期間は1〜3ヶ月の間です。風邪の場合は数日から2週間以内には完治してしまいますが、気管支炎にまで発展すると痰や咳などの症状が長引いてします事が多いようです。

風邪により感染が始まる事が多い病気なので、まずは風邪の予防をしっかり行い発病の予防をすることが重要です。

基本的に気管支炎は気管の奥で発症する病気なので気管支炎自体が人に感染ることはありません。しかし、気管支炎の原因になっているインフルエンザウィルスや風邪ウィルスが感染者の飛沫や接触によって感染する可能性は十分あります。マスクをすることや周囲がしっかり手洗いうがいを行うことで感染を防ぎましょう。

気管支炎に関する詳しい記事は

気管支炎はうつるの?症状や原因を知っておこう!

気管支炎を食べ物で治療するには何が効果的?食べてはいけないものは?

細気管支炎は赤ちゃんに危険?症状や原因、治療法を紹介!閉塞性細気管支炎にも注意!

こちらの記事を参考にしてください。

気管支拡張症

気管や気管支が拡がり、もとに戻らなくなってしまう病気を気管支拡張症と言います。多くの場合、百日咳やブドウ球菌感染症、真菌感染症、インフルエンザなどでの、呼吸器の細菌感染が原因となります。そのほかにも異物の吸入によるもの、吸入によって気道が損傷を受けるため生じるものなど、原因は様々で、男性よりも女性に多く見られます。

慢性気管支炎と同じように、咳や痰といった症状の他に、体重の減少や全身の倦怠感などが生じ、痰の量が多いのもこの病気の特徴です。多いときには、1日に100mlも痰が出るケースもあるようです。

気管支拡張症の場合、症状が悪化すると、緑の痰に血液が含まれる場合があります。

気管支拡張症に関する詳しい記事は気管支拡張症とは?症状・原因・治療法を知ろう!予防する方法は?こちらの記事を参考にしてください。

細菌性肺炎

細菌性肺炎とは、肺炎細菌やインフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などの細菌が口から入り、肺まで到達することが原因で起こる病気です。咳や、どろっとした痰、発熱といった症状が見られ、悪化すると胸膜にまで炎症が及び、胸痛を引き起こす場合もあるのです。

また、どんな人でも細菌性肺炎になる可能性はありますが、とくに、喫煙歴が長い人や、肺に何らかの疾患がある人は、口から入ってきた細菌を排出する働きが弱いため、感染しやすいと言われています。

緑膿菌肺炎

痰や膿を緑色にする色素を持つ緑膿菌が、肺に感染して起こる病気を緑膿菌肺炎と言います。緑膿菌は、植物や動物、人間などのあらゆる生物に常在している菌で、健康な人には悪さをしないのですが、身体の抵抗力が落ちたときに感染しやすく、様々な不調を招きます。

まず口から緑膿菌が侵入した場合、気道を通るため、気管支炎を先に引き起こすことが多いようです。また、口から侵入するほかに、すでに緑膿菌に感染している身体の他の部位から、血液に乗って肺に到達し、肺に感染するケースも見られるようです。

また、まれなケースですが、重症化して、発症から1~2日で死に至るという報告もされています。

症状としては、寒気や38度以上の高熱、悪臭を伴う緑色の痰といった症状が見られますが、高熱ではなく、意識障害が出てくる場合もあるので、非常に危険な病気とも言えるでしょう。

びまん性汎細気管支炎

肺と気管支の間には、枝のように広がる呼吸細気管支という管があり、この細気管支が、肺と気管支をつなぐ役割をしています。びまん性汎細気管支炎とは、この細気管支に炎症が起きた状態のことを言います。

40歳~50歳の人に多く見られ、蓄膿症を併発しているケースも多々あるようです。

症状は気管支炎と非常によく似ており、咳や痰、息切れなどが見られ、発症してすぐは、黄色い痰が出てきますが、症状が悪化すると緑色の痰に変化していきます。

肺結核

この病名は、多くの人が耳にしたことがあるのではないでしょうか。肺に、「結核菌」と呼ばれる菌が感染することによって発症する病気です。

初期症状は、風邪とよく似ているため、見過ごしてしまいがちなのですが、微熱や体重減少、倦怠感といった症状が見られ、咳がとにかくよく出るようになります。

結核菌に感染しても、抵抗力で菌の力を抑えられた人は、発症には至りません。また、肺結核は、「昔の病気」というイメージが強くありますが、近年、増加傾向にあるため、注意が必要です。

肺結核の場合、黄色い痰から緑色の痰に変わり、症状の悪化に連れて、痰に血が混ざったり、喀血するケースも見られます。

一昔前までは発症者の15%もの高い確率で死亡する可能性がりましたが、現代医療での死亡率は少なくなっています。しかし高齢者に発症した場合は危険度が上がります。肺結核は飛沫感染するので、家族間や周囲での感染が起こってしまう病気です。

治療方法では主に抗結核薬による治療が一般的で抗結核薬2種類以上の薬を6ヶ月以上続けることで治療していきます。

結核に関する詳しい記述は結核に感染した時の症状とは?経路や予防方法を紹介!こちらの記事を参考にしてください。

逆流性食道炎

食道と気道の場所が近いために、逆流性食道炎が起こった時に食道と同時に気道や気管支と言った部分を傷つけてしまう可能性があります。これによって気道が炎症を起こし、痰が発生します。

物を食べている時に気道、気管に唾や食べ物が入ってしまい、苦しい、咳が止まらないなんて経験はありませんか?それと同じように気管に胃液や咀嚼物が混じった物が入り込むことでより炎症が起きやすくなります。

逆流性食道炎の症状の特徴としては、食後横になった時に嘔吐感がある、胸焼けする、喉が痛む、酸っぱい感じがする、息が臭い、痰が出る(透明もしくは緑色でドロっとしている)これらの症状と同時に痰の症状が出ている場合は逆流性食道炎の可能性が高くなります。

逆流性食道炎は高齢の人で墳門と呼ばれる食道と胃を締めている役割のある部分の下部食道括約筋の働きが弱くなることで起こりやすくなります。もしこの様な兆候が見られる場合はよく噛んで食事を行うことや、食後すぐに横にならないなどの対策が必要になります。

水をこまめに飲んだり、刺激の強い食事を控えるなどいくつかの予防法を行って行きましょう。もし痰が絡んだ時はゆっくり深呼吸をし痰が出てくるのを待つことや軽い運動を行うことで痰が出やすくなります。

痰が出たときの対処法

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ここまでの説明でもわかるように、痰は、ウイルスなど、身体に侵入しては困るものを外へ出すためのものですから、飲み込まず、出してしまった方が身体のためにも良いと言えます。

しかし、たまに見かける痰をペッと吐き出すおじさんのようにはなりたくない…という人も多いのではないでしょうか?そこで、痰が出たときの上手な対処方法についてご紹介します。

ぬるま湯塩うがい

痰が気になり始めたら、塩をひとつまみ入れたぬるま湯でうがいすることをおすすめします。痰を柔らかくして、お湯を口から吐き出すときに、痰も一緒に出すことができ、口内がすっきりします。

また、お風呂に入ったときに、湯船に浸かりながら、お湯を口に含む方法もあります。お湯を含んだ状態のまま数秒待ち、数秒経ったらお湯を吐き出す、という工程を繰り返すと、老廃物も一緒に外へ出すことが出きるので、美肌効果もあります。

鼻うがい

鼻が詰まっていたり、鼻水が多くなっている場合には鼻うがいによって喉に鼻水が流れていくのを解消することが有効です。1Lの水に9g程の塩を溶かし、鼻うがいをしていきます。

この時刺激を減らすために、半分から1/3程の水を温めて塩を溶かし、残りの水で薄めて温度を調整して30〜40度のぬるま湯作って行ってもいいでしょう。

片側の鼻から水を吸い込み、口の中に流し込みます。この時口の中の形を「ん」の発音の形にしておくと水を誤って飲み込んでしまいにくくなります。

これを両鼻行って、最後にしっかり鼻を噛んで水を出し切っておしまいです。最後の食塩水の排出が十分でないと、生活中に水が出てきたり、食塩水が腐ることで菌が繁殖し逆効果になる場合もありますので十分注意しましょう。

仰向けになって深呼吸する

仰向けの状態で何度か深呼吸し、そのあと身体を起こして咳をすると、喉に溜まった痰をきれいに出すことができます。

しかし、咳は身体に負担をかけるので、3回程度に抑えておきましょう。咳払いなどで、なかなか取れなかった痰も、この方法でキレイに除去することができます。

鼻で深呼吸する

痰が喉の奥に溜まっているなと感じたら、鼻からゆっくり深呼吸をして口から吐きましょう。これを何度か繰り返すことによって痰が口の方へ流れ込んできて痰が吐きやすくなります。

無理に息を吐いて痰を出そうとすると喉に負担を掛けてしまったり、吐き気がして逆流性食道炎はなどの症状を起こしかねません。無理なくゆっくり行って上手に吐いていきましょう。

乾かさない

こまめに水分補給することを心がけたり、加湿器などで部屋の湿度を上げるなどして、できるだけ粘膜を乾燥させないようにしておくことも効果的です。粘膜を潤わせると、痰がやわらかくなり、吐き出しやすくなります。

ツボ押し

のどぼとけの両側から、斜め下当たりにある「水突(すいとつ)」というツボや、鎖骨の下側の両サイドにあるくぼみの「中府(ちゅうふ)」というツボを指で押さえるのも効果的です。

あまり強く押しすぎず、やや痛みを感じる程度の強さで4~5回、ゆっくり押しては離す、という工程を繰り返しましょう。

去痰剤を使う

できるだけ、本来持っている自然治癒力で改善するのが一番ですが、上にあげた方法でもなかなか改善されない場合は、痰を切る去痰剤と呼ばれる薬を服用するのも手です。

去痰剤は、気道を潤わせることで、痰が出やすくなる効果があるものと、痰そのものを柔らかくして体外へ排出させやすくするものとの、2種類に分けられます。

病院で処方される薬の方が効果がありますが、市販薬としてドラッグストアでも購入することができるので、試してみるのも良いでしょう。

原因となる病気を治す

風邪などの病気を発症した場合は軽視せずに、他の病気に発展する可能性がりますので早めに市販薬でもいいのでしっかり対処して安静にすることで、早めに治していきましょう。

もし症状が長引くようなら早めに病院に行き正確な原因を突き止めて治療を行うことが重要になります。また、痰が多く絡むと言う人は耳鼻科に相談し、吸引器でマメに掃除してもらいましょう。さらに程度によっては、去痰剤なども処方してくれるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。痰は、「症状」という捉え方もありますが、見方を変えると、私たちの身体が正常に機能している証拠であるとも言えます。よく考えてみると、侵入しようとしている細菌を、粘度のある分泌液に絡ませようとするなんて、素晴らしい技術です。

その素晴らしい技術を、存分に活かすためにも、体調が優れないときにはしっかりと休養をとることが大切です。

しかし、何週間も症状が改善しない場合には、大きな病気のサインかもしれませんので、病院で受診することをおすすめします。

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