呼吸をするとき、息を吸ったときに左の胸が締め付けられるよう痛む。そんなことはありますか?
ぎゅーっと左の胸が締め付けられるような痛みは心臓に何かあるのでは?と不安になりますよね。そんな息を吸うとき左胸が痛くなる原因と医療機関にかかる際のポイントを紹介します。
胸に痛みを発生する可能性のある病気についてまとめましたので、その他に発生している症状や原因などからどの病気が自分に当てはまるのかを明らかにしていきましょう。
息を吸うと左胸が痛くなる原因は疾患?
息を吸うと左胸が痛む場合、疾患が原因の可能性が高いので医療機関を受診しましょう。
特に以下のような症状や生活習慣に当てはまることがありますか?
- 呼吸が乱れる(呼吸が速くなる、呼吸困難になるなど)
- 左右の血圧で差がある
- 脈拍の異常(脈が乱れたり、極端に早くなったり、遅くなったりする)
- 吐き気や嘔吐がある
- 息を吸うときに限って痛む(痛くて深呼吸が出来ない)
- 発熱やだるさがある
- 身体を動かすことで悪化する
- 生活習慣病(糖尿病や高血圧、高脂血症)である
- 長年の喫煙暦がある
- 食欲が低下している
- 体重の増減が激しく起こっている
- 貧血の症状も発生している
- めまいがある
これらの自覚症状が発生している場合には以下の病気が原因となって胸の痛みが発生している可能性があります。それぞれの病気の発生原因と、症状などについて見ていきましょう。
狭心症
狭心症とは、冠動脈といわれる心臓に血液と共に栄養を送る血管が、動脈硬化などの異常を起こし、心臓に十分な血液を送れなくなる症状です。
普段あまり症状がないのですが、運動時や寒い日などの心臓に負担のかかるようなことをした時に胸が痛くなります。
運動後や身体にとって負担なことをした時、または急に寒くなるなど、気温の変化が激しい時などに胸がキューっと痛くなる、息苦しく感じるなどの症状が現れたら狭心症の疑いがあります。さらに心臓以外でも左側に関して痛くなる、突然の発症、安静にしていれば10分程度で治まってくるなどの症状が特徴です。
また狭心症は、悪化すると心筋梗塞を発症することがあります。心筋梗塞は命の危険もあるので、早めに医療機関に受診しましょう。
心筋炎
心筋炎とは、心臓の筋肉に炎症が起こる疾患です。心臓の筋肉を心筋といいます。
炎症が起こることで心臓の機能がきちんと働かなくなり、痛みなどのさまざまな症状を引き起こすといわれています。
多くが風邪などの疾患の後に発症し、呼吸困難や心不全などの症状を起こしているので、ただの風邪などと甘く見ず、少しでも異変を感じたら医療機関に受診しましょう。心筋炎は前もって発症を予知することは出来ません。また治療も簡単ではないので、特に高齢者には注意が必要です。
急性心筋梗塞
急性心筋梗塞は、狭心症が悪化すると起こるといわれています。動脈硬化により発症した狭心症によってできた血の塊が破裂し、冠動脈を塞いでしまうことで急性心筋梗塞になります。
以下の症状に思い当たることはありますか?
- 左胸の痛みが30分以上続いている。
- 呼吸をすると左胸が急激に痛くなる
- 左胸の痛みと共に呼吸困難
- 左胸の痛みと呼吸の異常や意識障害
このような症状は場合によっては命の危険もあります。また左胸の痛みと共に、冷や汗や失神、吐き気や腹痛なども症状が左側に集中するときは注意が必要です。
心筋梗塞の激しい痛みでは失神してしまうこともありますので、一人暮らしの高齢者などがこの病気が原因で死亡してしまう例も多くあります。
もし、この病気の危険性がある人は出来るだけ一人での行動や生活を避けた方が良いでしょう。
特に動脈硬化症や高血圧症などの問題を抱えている人は注意してください。更に急激な温度変化でヒートショックを引き起こしてしまう可能性のある脱衣所やお風呂場での発生例も多くなっていますので注意してください。
心臓神経症
心臓神経症とは、左胸の痛みや動悸、めまいや場合によっては呼吸困難などの心臓病のような症状を発症しているにも関わらず、検査結果では異常が見つからないという疾患です。
過労や過度なストレス、精神的な不安感などの原因から心拍数が増えて動悸、息切れ、めまいなどの症状を起こすほか、息を吸うと左胸に痛みが走ることもあります。痛みの程度は、チクチクといった軽い痛みからズキズキするほどの痛みまで、個人によってさまざまです。
最近では自律神経失調症のひとつとも言われていて、交感神経の過剰な働きによって起こっているといわれています。そのため、息を吸うと左胸が痛くなるような身体的な症状のほかにも、不安、焦燥、抑うつなどの精神的症状も合わさって起こることがあり、それが特徴です。
心膜炎
心膜炎とは、心臓を覆う心膜に炎症が起こっている状態です。
発症原因は不明で、ウィルスや細菌による感染、またはリウマチ熱、膠原病、結核、癌などの病気によって引き起こされているともいわれています。
症状は、息を吸うと左胸が痛むほか、呼吸困難や軽い症状では、食欲不振や倦怠感などがあります。痛みの程度はさまざまですが、上体を起こす、前にかがむなどで楽になったり、横になると悪化するなど体勢で状況が変わるのが特徴です。
肋骨痛、肋間神経痛
肋骨に沿ってはしる肋間神経が何かしらの原因や異常によって刺激を受け痛みとなって現れることがあります。肋間神経痛や肋骨痛などです。これらの痛みは深呼吸や大きな声を出すなどをすると胸が痛みます。
また肋骨が動く体勢でも痛みが出ます。さらにストレスや疲労などの原因からも発症することがあるので、心身ともにリラックスすることで痛みが和らぎます。
肋間神経痛については、肋間神経痛はストレスが原因なの?治療方法は?を読んでおきましょう。
急性胸膜炎
胸膜は肺を包む薄い2層の膜で、この膜がウィルスや細菌、癌などの原因によって、炎症を起こし、さまざまな症状を引き起こします。これを急性胸膜炎といいます。
症状は、息を深く吸うと胸が痛くなったり、呼吸困難を引き起こしたりします。また発熱などの症状も出たりします。胸水が溜まる場合があり、多いときには手術によって溜まった水をチューブで抜くなどの処置が必要になります。基本的には他の疾患が原因で起こることがほとんどなので、根本的な疾患の治療と平行して治療を行うことになります。
肺血栓塞栓症
肺血栓塞栓症とは、血液を心臓から肺に送る肺動脈に血栓が出来て詰まることでさまざまな症状が起こる疾患です。肺動脈が詰まると酸素を取り込むことが出来なくなったり、心臓の機能が上手く働かなくなったりします。
急性の肺血栓塞栓症は、エコノミークラス症候群とも呼ばれ、命の危険性のある恐ろしい疾患です。症状は、咳や息切れなどと共に胸の痛みが起こります。また突然心停止することもある恐ろしい疾患です。血栓のできる原因は、身体を動かさないことだといわれています。また過度なストレスや同じ姿勢での長時間の労働などです。
また災害時には、無理な姿勢で長時間過ごすなどストレスと状況で発症率があがります。適度な休息や一定時間で軽い運動をするなど手足を動かすことで発症リスクを下げることが可能です。
肺気胸
肺気胸とは、肺や胸腔壁といわれる場所に穴が開き、空気が入り、溜まることで肺が圧迫されてさまざまな症状を起こす疾患です。
外傷によって発症するものと、原因不明で自然発症するものがあります。主に、10代から30代の細身のむねの薄い男性に多く発症することが分かっています。イケメン病などともいわれています。
症状は、呼吸をすると胸が痛むほか、呼吸困難になる場合もあります。さらに過度なストレスや喫煙などの生活習慣などによっても症状が重くなったりします。
気胸については、肺に穴が空く病気って?原因や治療方法を紹介!を参考にしてください。
心房細動
心房細動は、心房のきちんとした収縮と拡張が上手く出来なくなる不整脈です。心房の収縮が上手く出来なくなることで寝室の拡張時に血液が十分満たされない状態になり、心臓の機能が低下します。そのため息切れやめまい、息苦しさなどの症状と共に左胸に痛みが起こります。
加齢と共に発症率は増加し、主に男性によく起こる疾患です。この不整脈の状態が長く続くと心不全になる可能性もあり、あまり楽観視できない疾患です。早期発見、早期治療が大切だと理解しましょう。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は胃の中の内容物や胃酸などが、食道に逆流して来てしまい食道を炎症させてしまうという病気になります。
横になると吐き気や酸っぱい液が逆流してくるなどの問題が発生しやすい症状になります。この問題は、ストレスや老化や自律神経の乱れなどによって下部食道括約筋の働きが低下して、墳門という胃と食道の逆流を防いでいる部分が緩んでしまう事が原因で慢性化します。
長期間逆流性食道炎が発生している場合、食道の粘膜が胃粘膜と同じ状態になってしまうバレット食道という症状になってしまう事もあります。
ここまでの症状に発展すると、胃のむかつき、胸の痛み、胸焼けなどの症状もかなり大きくなります。炎症を繰り返してしまう事が原因なので逆流性食道炎を早い段階で治療する事が重要になります。
放置すると、食道がんなどに発展する可能性もありますので軽視しないようにしましょう。
胸痛の専門科
息を吸うと左胸が痛むときに限らず胸の痛みにはどこの医療機関を受診すればよいのでしょうか?
胸の痛みには、原因がさまざまであることから、実は胸の痛み専門の科というのは存在しません。そのため、自分で原因が分からない場合は、まずは一般的な循環器内科に受診することをオススメします。
循環器内科では、心臓に関する疾患のほか、血管などが原因の疾患も対応が可能です。そこで検査し、結果、手術などの外科的な処置が必要な場合や肺などが原因の胸の痛みの場合は呼吸器内科や呼吸器外科などが併設されている総合病院を紹介してもらうのが良いでしょう。また子供などの症状の場合は、さまざまな原因が考えられるので、まずは小児科に相談しましょう。
どんな検査を受けるの?
息を吸うと左胸が痛いとき、どんな検査をするのでしょうか?
胸の痛みがあるときは、まず基本的な問診から始まります。症状が発症した状況や時間、程度などさまざまな要因を患者から聞き、その上で、胸部のX線検査と心電図の検査が行われます。さらに血液検査や血管の造影などの検査、胸部のCTなど詳しい検査を行っていきます。
その他にも症状の状態によっては胃食道内視鏡検査(胃カメラ)を使用して検査を行う場合もあります。胃カメラを使用しての検査の場合には事前の予約や準備をしなくてはいけない場合もありますので、直ぐその日のうちには検査できないことも多いでしょう。
これは、胃の内容物などが溜まっている状態では詳しく検査できないという事が理由になります。更に吐き気も強くなりますので、胃の中を予め絶食などによって空っぽにしておく必要があります。
検査については問診からの予測からしらみつぶしに症状を明らかにしていくしかありません。有効な検査を行うためにも、詳しい症状の報告をするようにしましょう。
病院に行く前に
普通に息を吸っているだけなのに、左の胸が痛いということがあったらまずは危険な自己判断はせずに病院を受診しましょう。でもその前に病院で的確な診断を受けるために、今の状況やその他の症状など医師が知っておくべき情報はまとめておいたほうが良いでしょう。
①痛みの程度
一口に痛みといってもさまざまな形容があります。息を吸うと刺すような痛み、ズーンと重く感じる痛み、チクチクと感じる痛み、また咳をすることで感じる痛みなどさまざまです。自分の痛みの程度をきちんと伝えられるようにしましょう。
②場所
息を吸うと左胸に感じる痛み、その場所はどこですか?左胸のどこに感じますか?場所によっては胸そのものではなく、その裏側にある臓器だったり、骨が原因であることもあります。きちんと痛む場所を把握することで的確な診断をしてもらいましょう。
③痛みの強さや継続時間
痛みの強さは感覚なので個人で変わると思いますが、自分が感じている状態を正直に話しましょう。また痛みの継続時間なども合わせて伝えましょう。
④発症の状況
息を吸うと左胸の痛みを発症するときに、他にどのような症状があるでしょうか?咳が出た時、または発熱や嘔吐、頭痛などのほかの症状がありますか?重篤な疾患を見逃さないように発症の状況をきちんと説明しましょう。
医師はこれら患者からの情報と、診察、触診や視診、血液検査や尿検査、またX線検査や心電図などの画像検査を総合して判断し、診断します。これらの細かい情報は、単なる左胸の痛みの原因だけでなく、隠れた重篤な疾患を発見するために必要な情報です。まずは落ち着いて状況を把握しましょう。
胸の痛みが発生している場合何科に行けばいい?
胸の痛みの症状が発生している場合に診察を受けるべき専門家の居る科は以下のとおり通りです。
- 内科
- 循環器内科
- 血液内科
- 胃腸科
- 消化器内科
- 神経内科
- 心療内科
症状にあわせてこれらの専門家のもとを訪れ、受診していきましょう。
一般的なのは、まずはじめに大きな病院の内科や掛かり付けの内科での検査を行うことです。そこから他の病院や科への紹介状をかいてもらって詳しい検査を受けていきます。
レントゲンの検査は比較的どこの病院でも行えますが、CT検査などより詳しい検査については大きな病院でないと出来ないので結局移らなくてはいけないことになります。
しかし、初診料がかからないので、大きな病院の診察券を持っていない場合は、行きつけの内科に行くと良いでしょう。
逆に既に診察券を持っている場合は、なるべく大きな病院での検査を受けたほうが早いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?息を吸うと左胸が痛いという症状は、さまざまな原因が考えられます。痛みの症状だけではなかなか病気を特定することが難しいでしょう。
複数回続くなどしたら、症状を書きとめて、医療機関に受診して検査を受けたほうが良いかもしれません。
またあわせて生活習慣や食事など自分で改善できることは積極的に行うことで、血管や心臓によい、健康な身体に近づけられるでしょう。
とりあえず生活習慣の改善や
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