細気管支炎は赤ちゃんに危険?症状や原因、治療法を紹介!閉塞性細気管支炎にも注意!

赤ちゃんは風邪をひきながら成長するもの、それもまた免疫力をつけるチャンスとも言われています。このところ少子化で、風邪をうつしあう機会もなくなりました。一番問題なのは先輩ママの減少です。

昔なら育児に詳しい先輩ママが、この風邪は大丈夫かどうかアドバイスしてくれました。少子化とは育児経験者の減少も意味します。そこで不安だから何でもかんでも受診させる母親や、全く受診させない母親と極端な傾向になりがちです。

ここでは緊急な受診を要する赤ちゃんの細気管支炎をご説明します。

細気管支炎がなぜ怖いのか

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気管支炎という病名はよく耳にすると思います。細気管支炎とあらためて聞かされると、よく分かったような分からないような印象ではないでしょうか。たしかに気管支炎と似た症状ではあります。

しかし細気管支炎は初期に治療を受けないと、乳児期の赤ちゃんにとっては命取りになります。しかも一度罹ったら免疫がつくものでもありません。免疫ができるためには数回、感染する必要があると言われています。

まず気管支炎を知りましょう

赤ちゃんから高齢者まで気管支炎という症状にはよくなります。肺炎にさえならなければ、それほど予後の悪いものでもありません。ウイルスや冷えなど、日常のちょっとしたことが原因で風邪をこじらせて気管支炎になることは、誰しもが経験することです。

具体的には、ゴロゴロと痰がからんだり、咳が出たり高熱・鼻水・くしゃみ・喉の痛みが主症状です。典型的な呼吸器系のトラブルを起こします。

育児の経験豊富な先輩ママなら、下手に病院へ行かずに自宅療養を勧めます。体力が弱っているのに病院の待合室で長く待つと、他の病気をもらいやすいからです。ただし、一言アドバイスが入ります。「赤ちゃんの機嫌がよかったらね。」この基準は昔、よく耳にしたものです。少しくらい食欲ななくても、機嫌が良ければ大丈夫だと。あやしたら笑うか、遊ぶ姿が見られるのか、重要な決め手でした。

事実、機嫌の良い赤ちゃんの気管支炎は肺炎に移行しません。病院に連れていったところで治療は対症療法です。咳が出た、咳止め。痰がからむ、去痰剤。ゼイゼイいう気管支拡張剤、といった具合で決めてはありません。結局は赤ちゃんの自然治癒力による克服を待つのみです。

気管支炎と似ていても、細気管支炎は危険性が全く違うのです。

細気管支の特徴

細気管支とは、気管支がより肺の奥に進んだところに位置します。左右の肺に入り込んだ気管支は枝分かれしながら肺の中で広がっていきます。そして肺胞という、酸素と二酸化炭素を交換するブドウの房に行きつきます。細気管支とはその名の通り、枝分かれして細かくなった気管支なのです。

ここが炎症してしまうと肺胞が機能しません。新鮮な酸素が入らず、二酸化炭素が出て行かないという事態は酸欠を意味します。酸欠は即、生命の危機です。

無数の肺胞につなぐために、細気管支は限りなく細くなければなりません。ここは成人でさえ細い部位なのです。まして乳児なら極細サイズで、しかも哺乳という行為は吸引力を使います。しっかり吸わなければ、水であれ、母乳であれ、人工ミルクであれ飲めません。呼吸困難での哺乳は不可能です。脱水と栄養失調のリスクが加わります。

このように細気管支の構造と乳児の栄養摂取手段、炎症を起こすと、この二つが問題になります。

正しく知りたい、細気管支炎

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気管支炎と細気管支炎とでは構造が全く違うこと、吸う力が落ちた乳児は哺乳力が低下することから、危険度が全く違うことを再確認したいと思います。育児経験の少ない方は、異変に気付きにくく重篤な事態になりかねません。

細気管支炎かもしれない、その兆候を知ってさえいれば助かる命になります。知ることで赤ちゃんの命を守りましょう。

細気管支炎の症状

前述した細気管支が炎症を起こすことです。炎症を起こすと組織が腫れてきます。身体のどこかが炎症を起こすと、腫れを伴いますが、それが細気管支においても出てきます。細い細い管が腫れると、空気の通りが悪くなります。

症状としては一般の風邪や気管支炎に似ています。呼吸音と機嫌に注目してください。

そこで呼吸音に変化が出てきます。ゼイゼイという喘鳴が出るのです。赤ちゃんの喘鳴は、重要なサインとみて病院へ連れて行きましょう。ゼイゼイいい始めてすぐは機嫌が良くても、ある時、一気にぐったりする可能性があります。酸欠が全身に回ると予後の悪い症状になります。

目に力がない、うとうとばかりしている、食欲がない、ぐずぐず泣く、個人差はありますが「いつもと違う」ことに気をつけてください。呼吸が早いのも要注意といえましょう。

酸欠は顔色にも出ますから、これも要チェックです。暗い部屋では識別できませんので、時々は部屋を明るくして、しっかり観察しましょう。もし唇が紫っぽいようでしたらチアノーゼと判断して救急車を呼んでください。うろたえず、救急コールセンターにしっかり、酸欠と伝えましょう。早い処置につながります。

ただし、乳児以上の年齢であれば様子を見ていて構いません。もともと喘息症状をお持ちの方は別として、患者が元気で食欲があれば1~2週間で改善されるケースが多いからです。

原因はRSウイルス

この細気管支炎を引き起こす原因として、RSウイルスが知られています。このウイルスは秋の終わりから流行し初め、真冬に大流行します。

飛沫感染、接触感染といわれていますので、家族の誰かが風邪をひくと必ず感染します。発症するかどうかは別として、感染は避けられません。

このRSウイルス、実は2歳までに100%の赤ちゃんが感染します。1歳まで70%かかると言われています。それほどまでにポピュラーなウイルスですが全てが細気管支炎になるわけではありません。

潜伏期間は約1週間、発症して1~2週間くらいを完治の目安にします。感染を経験したからといってすぐに免疫ができるわけではなく、数回、乗り越えてやっと免疫ができると言われています。

RSウイルス感染者の全てが細気管支炎になるわけではありません。だいたい1~2%のRSウイルス感染者が、細気管支炎になります。そして、この1~2%の細気管支炎患者が、生後18ヵ月未満の乳児だった時が危険なのです。

RSSウイルスについては、rsウィルスの症状とは?注意点や予防方法を知っておこう!を参考にしてください!

検査と治療方法

主な検査方法は問診、レントゲン、ウイルス採取、聴診です。ここでいう問診は、乳児の場合は大きな決め手になります。いつもの赤ちゃんを良く知る人が病院に同行しましょう。親であっても、仕事の関係で養育を祖父母にお願いしている場合は、養育者でないと分からないことがあります。

レントゲン検査は客観的な決め手になりますが、乳幼児は動いてしまって撮影しにくいのが難点です。膨張しすぎた肺、横隔膜の下降、くっきりした肺門の陰影などが所見に上がれば、細気管支炎と診断される材料になります。

綿棒を鼻の奥に突っ込んでウイルスの有無を調べます。インフルエンザの検査でする、あの方法です。採取した粘液からRSモノクロール抗原が発見されれば動かぬ証拠といえましょう。

聴診器を当てて呼吸音を調べてもらうことも、大事な検査法です。少子化で小児科医も少なく、百日咳を聞いたことがない医師もいると話題になったことがありました。できれば長く開業されている地元の小児科医をお勧めします。

乳児が感染して発症した時は、すぐに受診しましょう。治療としては、酸素を与えますが重症になると酸素テントを用います。気管支拡張剤で気管を広げて酸素が吸い込みやすいように工夫します。哺乳力が落ちているのですから、水分や栄養剤的な輸液が必要になります。

入院して、しっかり治療すれば1週間くらいで退院できるのが通常です。

細気管支炎悪化させないための注意点

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せっかく赤ちゃんが順調に退院したのに、家庭の環境によっては悪化させる場合もあります。病み上がりで体力を失っている赤ちゃんにとっては、まさに死活問題です。知っていれば避けられるリスクです。完全に治ってしまうまでの注意点をご説明しましょう。

悪化しやすい要因

赤ちゃんの個人差で、ウイルス感染で発症しやすい子としにくい子がいます。それよりも、もともとの体質や傾向について考えてみましょう。発症すれば悪化しやすい要因をここに並べます。

  • 低出産体重児の新生児、未熟児あるいは乳児期
  • 小児喘息疾患を持っている
  • 先天性心疾患を持っている

胎児の臓器で一番最後に完成するのが、肺です。早産などで機能が未熟であれば呼吸器が完成されていない可能性があります。また、そうした赤ちゃんが発育した後も、授乳期は呼吸で栄養を摂取しなくてはならないので気管支トラブルは大きなリスクになります。

出産時に全く問題がなくても、喘息を発症したり先天性心疾患が見つかった時は予後に注意が必要です。細気管支炎になりやすく、治りにくく、悪化しやすいということを念頭に置いて様子をみましょう。

閉塞性細気管支炎について

細気管支炎が治る過程で発症しやすい病気です。あながち悪化と言えないのですが、細気管支という構造からすると危険な状況です。

炎症部が治ろうとして、新しい粘膜組織が盛り上がります。この盛り上がりで細気管支の内部が圧迫されて、ふさがってしまう。これだけでも危機的状況なのに、まだ炎症が完治していないので閉塞性細気管支炎というわけです。

呼吸困難、それによる酸欠、これが生命維持装置をおびやかします。

誘発要件としては喫煙、家族の鼻かぜ、水分不足が挙げられます。家でタバコを吸わない、鼻かぜをひいた家族と部屋を隔てて看病する、加湿器をかける、なければ濡れたタオルを室内に干すことでも有効です。

水分が減ると体内の粘液が濃くなるので、炎症部の改善が遅れます。哺乳力が落ちて水分を摂りにくいようなら、また発熱を伴うなら尚の事、加湿は重要と言えましょう。

まとめ

人生の一時期、普通食で栄養が摂れるようになるまでの間ではありますが、細気管支炎には気を付けてあげてほしいものです。この病気で入院したからといって、発育には何の影響もありません。でも、一気に重篤に陥り死に至る危険性のある病気でもあります。

少子化で赤ちゃんの健康にアドバイスできる人が身近にいないからこそ、ネットや書物やセミナーで情報収集される方が多いと思います。この情報が、大切な赤ちゃんに役立つことを願ってやみません。

  
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