久々に運動をしたら激しい筋肉痛に襲われた!そのような経験は誰にでもあると思います。
通常なら1週間程度で自然回復する筋肉痛、なかなか治らないのは年齢のせいでしょうか?それとも他に原因があるのでしょうか?心配ですよね。
筋肉痛が中々治らないという症状を抱えている人に、その症状の原因や対策方法などについてご紹介します。
つらい筋肉痛を早く直して元気に動けるように対策していきましょう。今日は中々治らない筋肉痛について紹介します。
そもそも筋肉痛ってどういうこと?
筋肉痛とは激しい運動やトレーニングの後に起こる全身の痛みのことです。
誰しも経験したことのある症状だと思います。どの様なメカニズムでこの筋肉痛が発生しているのかについて紹介していきます。
筋肉痛が発生するメカニズム
筋肉痛が発生する詳しい原因については明らかにされていません。現時点では
- 運動によって傷つけられた筋肉細胞が回復する時に発生する炎症物質からの痛み
- 運動などで生じたカリウムイオンが疲労物質を引き起こしている痛みや疲労感
である言われています。激しいトレーニングなどの運動の際には筋肉は伸び縮を繰り返しています。この運動の際に、筋断裂や筋損傷が発生します。
これらの傷は非常に小さな物なのですが、これが修復される際に炎症を引き起こし周囲が炎症して痛みを発します。筋繊維には痛みを感じる神経は通っていません。
実際には周囲の筋膜が炎症を起こして痛みが発しているのです。
また、疲労物質と思われていた、乳酸は筋肉の栄養素であることが判明しています。そのため、疲労している筋肉に乳酸が溜まっているのは、回復を促しているということになります。
実際に動物実験では乳酸を投与した場合には筋肉は回復する傾向が見られたと報告されています。
年をとると筋肉痛が遅れてくるのはなぜ?
諸説ありますが、実は年齢によって筋肉痛が遅れると言う科学的根拠はありません。
勿論、加齢によって運動のダメージを受けた筋肉の回復力が低下したというのは原因の1つですが、筋肉痛とは「負荷の量」によって起こるまでの時間が決まります。負荷の量が多いと遅くやってくるのです。
つまり年齢を重ねると若い頃と同じつもりでも、長年の運動不足などにより普段から使われていない筋肉を使うことによって、若い頃より負荷の量の多い運動となり、回復力に影響しているようです。
それが一般的に言われる筋肉痛の遅れ、ということになります。
筋肉痛がなかなか治らない原因
では筋肉痛がなかなか治癒しない原因は何なのでしょうか。通常であれば痛みが発生してから2〜3日で徐々に回復していく傾向があります。
しかしこの期間よりも長引いている場合にはどの様な原因が考えられるでしょうか?考えられる原因について見ていきましょう。
回復する前に運動している
筋肉痛が完全に回復する前に運動を繰り返す事や、負荷をかけてしまうと、更に筋肉に傷がついて継続して筋肉痛が発生してしまいます。
特に部活動をしている学生や、スポーツ選手などでハードなトレーニングをしている、試合で休めないなどの事情を抱えている人については特にこの問題が発生しやすい傾向があります。
超回復で身体をしっかり休めることが筋肉のパフォーマンスを最大限に高めるコツになります。しっかり筋肉に休息を与えるようにしましょう。
アイシングしなかった
筋トレや運動をした後には筋肉が傷ついてしまって、炎症が発生します。この段階で冷やしておくと炎症が比較的穏やかになり、筋肉痛が軽減します。
しかし逆に運動後すぐに温めてしまった場合には筋肉痛の炎症はひどくなってしまい、痛みが強くなり継続しやすくなります。運動後には熱くなっている筋肉をしっかり冷やすようにしましょう。
栄養不足
筋肉を修復するための栄養素であるタンパク質などが不足していると十分に回復することが出来ません。この問題によって筋肉痛が長引いてしまう可能性があります。
また、脱水症状などで、水分が不足している場合にも回復力は低下します。しっかりと水分と、タンパク質やアミノ酸、ビタミン類を摂取して回復を促していきましょう。
睡眠不足
筋肉や肌の修復などタンパク質を使った細胞の修復については睡眠時に分泌される成長ホルモンが必須になります。
成長ホルモンは子供の成長には欠かせない物質でもあり、肌や髪の毛の生成、修復、疲労回復、成長の促進、自律神経を整える、脂肪の分解、ストレスの軽減など多くの効果を持っています。
この物質が足りなくなってしまうと、慢性的に疲れやすい、皮膚の乾燥、などの症状が発生します。結果的に筋肉の修復も遅れてしまうので筋肉痛が長引いてしまう原因になります。
この成長ホルモンは22時〜深夜2時までの睡眠中に最も多く分泌されるので、せめて24時までの時間には就寝しておくように心がけましょう。
自律神経が乱れている
運動していないのに筋肉痛が発生している、筋肉痛がなかなか治らずに慢性的に発生している。などの症状を抱えている場合、それは自律神経失調症かもしれません。
これは、高ストレス環境や、緊張している時間、活動している時間が長ければ長いほど発生しやすい問題になります。活動している間に働く交感神経と、休んでいる時に働く副交感神経のバランスが乱れることで自律神経失調症は発生します。
交感神経が優位になりすぎている場合に、血管が収縮し血流が促進されて筋肉が緊張してしまうが原因で筋疲労が発生し、筋肉痛に繋がります。
身体を休めているときにも修復などの働きを行う、副交感神経がしっかり働かず細胞の回復が行われないことで治癒も遅れます。
最近眠りが浅い、短時間で起きてしまう、唇が乾く、食欲があまりない、めまい、不整脈、呼吸の異常(浅い呼吸、息切れなど)、手足のしびれ、胃腸の不快感など様々なサインとなる症状が発生しますので、何かしら心当たりのある症状は発生している場合は、発生している症状が強いものに適した専門の病院にいくようにしましょう。
内科、耳鼻科、胃腸科、消化器内科、婦人科、泌尿器科、心療内科、循環器科などから選択して受診しましょう。
筋肉痛ではなく、病気や怪我かも?
あまりにも長引く痛みは筋肉痛では無く別の病気、ケガかもしれません。おかしいな、とおもったら直ぐに医療機関を受診しましょう。
基本的に、筋肉痛は日を重ねるごとに痛みが軽減していき、2〜3日でほとんど痛みはなくなります。日に日に痛みが増す場合や、運動中から激しい痛みが発生している場合は病気や怪我の可能性が高くなります。
以下の問題が発生しているかもしれませんので、症状を確認して病院での検査を受けていきましょう。
肉離れ
肉離れとは筋肉が切れてしまった状態を言います。筋肉痛より激しい痛みに襲われ、動くことが困難だったり内出血がみられたりします。また、肉離れは運動している瞬間もしくは直後に、突然発症する点が筋肉痛との大きな違いです。
肉離れになってしまったら、すぐに医療機関を受診しましょう。数日間は冷やし、その後はテーピングをするなどの保存的療法を行えば、1ヶ月程度で完治します。
普段運動不足なのに突然激しく動いた場合などに起こりやすいので、ウォーミングアップやクールダウンをすることが予防に繋がります。
肉離れが発生しやすい場所として有名なのが太ももの前部、もしくは太もも後方のハムストリング、下腿三頭筋と呼ばれるふくらはぎの部分です。肉離れの9割はこの足に発生する症状になります。
しかし稀に背筋や上腕筋などでも肉離れが発生する場合もあります。これはテニスや野球選手、砲丸投げなどの選手によく発生する症状になります。
肉離れが発生している場合は整形外科にいくことが最適です。スポーツ選手など復帰後の運動能力をしっかり改善させたい場合はリハビリ施設などが充実している病院やクリニックを受診したほうが良いでしょう。
線維筋痛症
長期間続く慢性的な痛みの場合、線維筋痛症かもしれません。この病気は全身または一部に痛みやこわばりを感じる事が主な症状です。
発症原因の多くは不明で、命にかかわるような病気ではありませんが、不眠や倦怠感などもあり日常生活に大きく影響します。残念ながら特効薬が無いため、痛み止めや抗うつ薬など自分にあった治療法を探していくことになりますので、早急に医療機関を受診しましょう。
女性に発生しやすい症状でもあり、膠原病やリウマチなどと関係も深いことから、婦人科やリウマチ科、整形外科などで検査を受けることが最良ですが、多くの場合原因不明や他の症状と診断されて、症状が進行してしまうことが少なくありません。
この病気に悩まされて、原因がわからずいくつもの病院を渡り歩く「ドクターショッピング」を行う人も多く居るのが現実です。
全国の病院から検索して線維筋痛症を専門に扱っている登録医師が存在している施設で最も近いところを受診するのが最も確実な方法です。日本線維筋痛症学会のページから検索してみてください。
多発性筋炎・皮膚筋炎
筋肉の炎症によって全身の倦怠感と発熱、そして筋肉低下により筋肉痛を伴う疾病です。ウイルスや自己免疫などが関連して発症するようですが原因は不明です。女性に多い傾向ですが大人から子供まで誰でも罹患します。
ほどんどの患者が完治・寛解しますが、発症から治療までの期間が長かったりすると肺炎や呼吸困難などを併発し命に係わります。
この病気は難病にも指定されている病気ですので、出来るだけ設備の整っている大きな病院の内科もしくは皮膚科を受診してください。
風邪やインフルエンザ
風邪やインフルエンザでも筋肉痛に似た痛みが現れます。熱、咳、鼻水などの症状はありませんか?この場合は薬を服薬し完治すれば治まりますのですぐに医療機関を受診しましょう。
因みに何故発熱で筋肉痛が起こるのか、原因はわかっていません。一般的には痛みを起こすことによって身体を安静にさせるためだと言われています。
内科を受診して、家族や他人に移さないようにマスクをして生活しましょう。
よりはやく解消する方法
早く筋肉痛を解消する方法を紹介します!筋肉痛が発生している場合、これらの対処法を行って症状の回復を早めていきましょう。
温める、冷やす、温める
- 運動直後は温める
- 筋肉痛が起きた直後は冷やす
- 痛みのピークが過ぎたら温める
この温める、冷やす、温めるが筋肉痛の緩和により良いとされています。
運動直後と運動から24時間以上経過後は温めましょう。ぬるめのお風呂にゆっくり入ったり、ホットタオルをまいたり、筋肉を温め血行を促進することは痛みを和らげる効果が期待できます。
筋肉痛が起きた直後、痛みで日常生活もままならない、そんな時はまず冷やしましょう。濡れタオルなどで幹部を冷やしたりするアイシングが効果的です。
痛みは筋肉内部の炎症が原因ですので、それを冷やすことによって抑えることが大切になります。ただし冷やして良いのは運動後から24時間前後で、長時間の冷却もNGです。一度に20分程度を2~3回程度が目安になります。
軽いストレッチやマッサージ
運動直後に軽いストレッチやマッサージがおすすめです。運動した直後の筋肉は硬く、血行が悪くなっています。これらは痛みの原因となりますので取り入れる事によって、筋肉痛の軽減につながります。
ただし、マッサージの効果は運動直後だけで筋肉痛が起こってからでは期待できないとされています。また、肉離れなど筋肉痛以外のケガや病気だった場合は、逆効果になる場合もありますので、やり過ぎにはご注意ください。
睡眠と食事
筋肉痛とは、いわば運動で傷ついた筋肉繊維の回復期です。良い睡眠と良い食事は回復力を早めます。バランスの取れた食事をして、ふかふかの布団でゆっくり休みましょう。
睡眠中には回復に重要な成長ホルモンが分泌されますので、8時間以上の睡眠を取る、寝る前にホットミルクを一杯飲む、など睡眠の質をあげることも大切です。休息は疲労回復や免疫力の強化も促します。
また、筋肉の回復を促すのに良いとされているのはタンパク質、クエン酸です。運動直後にプロテインを飲むというのを目にしたことがあると思いますが、プロテインはまさにタンパク質です。効率的かつ低カロリーに摂取することができます。
一般的な食材としては
・肉
・魚
・卵
・大豆
・乳製品
などがタンパク質の多く含まれていますので、積極的に取り入れましょう。
クエン酸は
・梅干し
・レモン
・柑橘系
など、一般的に酸っぱいと感じるものです。これらは疲労回復だけでなく美肌効果や血行促進、がん予防にも効果的と言われていますので、食事に取り入れたい栄養です。
もし、これらの栄養を一度に摂取することが難しい場合はサプリメントの服用もおすすめします。
筋肉痛にならないための予防策
出来れば筋肉痛などなく運動を楽しみたいですよね。なにか予防策はあるのでしょうか。
ウォーミングアップとクールダウン
運動の前後にウォーミングアップとクールダウンを行いましょう。筋肉痛は先も述べたように、急激に運動する事によって起こるものです。
軽いランニングやストレッチ、ラジオ体操などが良いとされています。また、これらはケガの予防にもつながるため是非取り入れましょう。
日常的に運動を
日常的に運動することによって筋肉が鍛えられ、普段から使わない筋肉を無くしましょう。急激な運動でなければ筋肉痛は起こりにくく、何度も繰り返すことによってダメージに強い身体になります。
久々に運動して身体が動かない、なんてことを防げますし、健康にも良いですね。
運動中の水分補給
筋肉痛は運動によって細胞に酸素が行き渡らなくなり、乳酸が溜まり起こるのも原因の1つとされています。水分が不足すると血中の濃度が上がり、つまりドロドロの血流となり全身酸素不足となります。
これらはこまめに水分を取ることによって解消されますので、しっかりと水分補給を行いましょう。
水分補給するものも、出来るだけ排出した汗などに近いスポーツドリンクなどで摂取して身体のエネルギーとなり、吸収されやすいものを選択して水分補給していきましょう。
まとめ
筋肉痛についてご紹介しました。2週間以上続く痛みは思わぬケガ、病気が潜んでいる可能性がありますので医療機関を受診しましょう。また、筋肉痛になってしまった場合は正しいクールダウンで十分な栄養と休息を取りましょう。
筋肉痛にならない身体作りを心がけるのも良いかもしれません。
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