「ファイト一発!」というキャッチフレーズでお馴染みのリポビタンDは、50年以上人々に愛飲されている大正製薬の栄養ドリンクです。
起床時の倦怠感を緩和させるため、あるいは仕事によって蓄積された疲労を軽減させるために、リポビタンDの力を借りる人も多くいらっしゃると思います。本記事ではリポビタンDの効果と、摂取すべきタイミング、そしてあまり知られていないリポビタンDの副作用などをご紹介します。
リポビタンDの主成分
リポビタンDの成分を紹介します。
タウリン 1000mg
リポビタンDの主成分であるタウリンは、一本あたり1000mg含有されています。タウリンは魚や貝に多量に含まれる成分で、人間の体内においては脳、心臓、肝臓、筋肉に高密度で含有されています。タウリンには複数の効果があります。
まず、タウリンにはホメオスタシス(恒常性)という、生物のもつ内部環境を一定に維持しようとする傾向を助ける作用があります。したがって、タウリンは四季の変動によって起こる脈拍や血圧の上昇を正常な状態に戻すことを手伝ってくれます。肝臓の疲労回復にも効果があります。また、高血圧、高血糖、高コレステロール、などの改善に役立ちます。
タウリンは高血糖を改善してくれるため、糖尿病の予防や糖尿病の治癒にも効果的です。糖尿病とはインスリンの作用が不十分であるためにブドウ糖が有効に使用されず、血糖値が高い値を示す状態のことで、治療をしなければ全身に多様な悪影響が現れます。代表的な自覚症状は、尿量が多くなる、喉が渇いて水分摂取が多くなる、体重の減少、疲れやすくなることなどです。糖尿病を患っているとき、膵臓が過度に使用されているためインスリンの分泌が困難、もしくはインスリンが常に分泌されているためホメオタシス(恒常性)の維持が不可能となっています。
いずれにせよ、高血糖状態が継続してしまうと体内のたんぱく質が変性し、体の具合が悪化します。タウリンは高血糖状態時にインスリンの分泌を促進し、血糖値を低下させる働きを持っています。一度糖尿病に罹患してしまうと日常生活に大きな支障を来してしまいますので、タウリンは日ごろから摂取すべき成分であると言えるでしょう。
タウリンは胆汁酸の分泌量を増加させます。胆汁酸は肝臓から分泌されるもので、コレステロールを排出します。つまり、タウリンの働きによって胆汁酸が増加することにより、血中コレステロールの値が低下する効果がもたらされます。
アルコールは胎内に入ると肝臓でアセトアルデヒドによって分解、のちに酵素によって分解されます。これらの分解作業は肝臓に大きな負担を与えますが、タウリンはこの負担を軽減させるはたらきを持っています。
脂肪肝は肝臓に脂肪が蓄積し、生活習慣病を招く危険な状態を指します。タウリンは脂肪肝の排出と予防に役立ちます。
イノシトール 50mg
イノシトールとは果物に多く含有される、ビタミンB群の一種です。ブドウ糖から作られる、体内で生成可能な成分です。イノシトールは脂肪肝ビタミンとも故障されており、資質の代謝を促進して血中コレステロール値を低下させる効果があります。イノシトールによって血液の流れが改善され、肝臓に脂肪が蓄積することを予防し、すでに肝臓に蓄積してしまった脂肪は排出されます。
これらの効果に加えて、イノシトールは神経細胞が正常に働くことを助ける作用も持っています。神経細胞が正常な働きを保っていると、例えば、精神状態が安定したり、作業に集中しやすかったり、記憶力の低下を防ぐといった効果があります。
ビタミンB群
ビタミンB群に含まれているのは、B1、B2(リボフラビン)、ナイアシン、パントテン酸、B6(ピリドキシン)、B12(コバラミン)、B13、B15(パンガミン酸)、ビオチン、コリン、葉酸、イノシトール、PABAです。ビタミンB群はお互いを助け合うことによって効果を発揮しますので、ビタミンB群のうちの一つだけを大量摂取するとそのほかのビタミンB群の欠乏を招き、好影響をもたらさないという特徴があります。
ビタミンB群は人間の体にとって必須の栄養素ですが、体内生成不可能です。その上、胎内に蓄積させておくこともできないため、摂取する習慣を持たなければすぐに不足してしまいます。
人体のエナジーサイクル(=糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素をエネルギーに変換するシステム)において、ビタミンB群はサイクルを円滑に回すための潤滑油としての役割を担っています。三大栄養素をどれだけ適切に摂取していても、ビタミンb群が不足していればエナジーサイクルが上手く回らず、栄養を活用し切ることができません。ビタミンB群は健康を維持するためになくてはならないものです。
無水カフェイン 50mg
カフェインは眠気や疲労感を和らげ、頭をスッキリさせてくれます。コーヒー一杯に約60-100mgのカフェインが含有されているのに対し、リポビタンDは50mgしか含有されていまでんので、眠気を覚ますために非常に効果的であるとは言えません。
しかし、カフェインには骨格筋を刺激して筋肉の活動度を高める効果があるため、運動による筋肉疲労を感じている人にとっては摂取すべき成分です。
リポビタンDの効果
風邪への効果
風邪をひくということは体力や免疫力が低下している証拠ですので、リポビタンDは風を早期治癒させるために有効です。上述の効能の一部が風邪の罹患時に回復させることが望まれる項目に一致しています。
注意点は、リポビタンDは風邪そのものを治すのではなく風が早く治るのを助けるということです。リポビタンDが助けるのは風邪を早期治癒するための、体力を回復させることです。風邪はウイルスが体内に侵入して感染し、体力の低下など様々な症状を生じさせる感染症で、リポビタンDにそのウイルスを倒す効果はありません。
しかし、体力が低下したままだとウイルスはなかなか倒されませんので、リポビタンDの体力を回復させる効果によって風邪を治しやすくすることが可能となるのです。風邪のひき始めに飲むと最も効果的だそうです。
眠気覚まし効果
上述の通り、リポビタンDに含有されるカフェインの量はコーヒー一杯に含有されるカフェインの量よりも少ないため、劇的な眠気覚まし効果は期待できませんが、少しは効果があると言えるのではないでしょうか。
疲労回復による作業効率の向上
リポビタンDに多く含まれるタウリンには疲労を回復させる効果があります。
例えば、勉強や仕事で疲労が蓄積してくると作業効率が低下しがちですが、リポビタンDを飲むことによっていくらか疲労が緩和され、その結果、作業への集中が保てるようになります。
また、長距離ドライブでは行楽シーズンになると渋滞に巻き込まれることが多くあります。肉体的にも、精神的にも疲労が蓄積されます。そんな時にリポビタンDを飲むことによって目的地到着時に疲労困憊となってしまうことを防ぐことも可能でしょう。
効率的な飲み方
ビタミンは体が必要としている量を超過すると、全て体外へと排出されてしまいます。
したがって、可能な限り多量な栄養分を体に吸収させるためには、一日一本が摂取目安として定められているのリポビタンDを、一度に全量ではなく複数回に分けて摂取します。特に、食後は栄養分の吸収率が高いです。
このとき、注意すべきなのは就寝する四時間前までには全量飲み切らないと睡眠の妨害になってしまうという点です。
飲むべきタイミングと飲むべきではないタイミング
飲むべきタイミングは、風邪の引きはじめや風邪と闘っているとき、筋肉疲労を感じているとき、眠気を覚ましたいときなどです。適切な睡眠をとっても疲労感がよく抜けていない、気怠い朝に飲むのも良いでしょう。
タウリンにはアルコール分解酵素の働きを助ける効果がありますので、飲み会の前に飲んでおくと二日酔いの対策ができます。
一方で、飲むべきではないタイミングは就寝前です。体を元気にさせる成分が含有されているリポビタンDを飲むと、体内細胞の活動度が上昇し、体は就寝準備を始めることができなくなってしまいます。リポビタンDにはカフェインが含有されていますので、就寝前にコーヒーを飲むのを控えるのと同様にリポビタンDを飲むことも控えたほうが良いかもしれません。
効果の持続時間
リポビタンDは体内に吸収されるのが早く、即効性が期待できます。個人差はありますが、効果が表れるまでの時間はおよそ30分間です。
持続時間は、一日です。大正製薬によると、一日の摂取目安は一本です。著しい効果が表れないからと言って、一日に複数本飲むことは良くありません。実際に一日二本飲んだ経験のある人は、「一日二本飲んだ日は胃もたれし、夜は寝つきが悪くなってしまいました。」と報告しています。
副作用について
医薬部外品に含有してよいタウリンの量は、3000mgまでと規定されています。何故ならば、タウリンは過剰摂取することによって肝機能障害のリスクを大きくする可能性があるからです。
また、リポビタンDの対象年齢は15歳以上となっています。これは、15歳未満の子供は大人と比較してカフェインからもたらされる影響に対して敏感であることや、タウリンやカフェインの過剰摂取を防ぐことに起因しています。
まとめ
リポビタンDの成分
- タウリン
- イノシトール
- ビタミンB群
- カフェイン
リポビタンDの効果
- 風邪の早期治癒
- 眠気覚まし
- 疲労回復
効果的な飲み方
- 一日に一本、数回に分けて飲む
飲むべきタイミング
- 風邪のひき始め
- 筋肉疲労を感じているとき
飲むべきではないタイミング
- 就寝前
効果の持続時間
- 一日
副作用
- 過剰摂取すると、肝機能障害のリスクが大きくなる
以上が本記事のまとめです。リポビタンDの効果、効果的な飲み方、飲むべきタイミングをしっかりと把握して、リポビタンDの有効活用に努めましょう。