正式には「のどちんこ」は口蓋垂(こうがいすい)という名称です。のどちんこと聞くとあまりいい響きではありませんが、口蓋垂というときちんとした体の一部という感じがします。
この口蓋垂に口内炎ができることがあります。口内炎は口の中の頬の内側、歯茎、舌だけかと思ってしまいますが、喉の辺りやこの口蓋垂にもできるのです。
口内炎はご多分にもれず、痛い、しみるなど非常に厄介なものです。では、こののどちんこに出来た口内炎はどのようなことが原因で、そしてまた、どのような症状なのでしょうか。
今回は、のどちんこの口内炎についてお伝えいたします。
のどちんこ口内炎とは?
これもりっぱな?口内炎で鏡で見ると、のどちんこの回りに白い斑点上のものが数多く出来ているのがわかります。
のどちんこ口内炎はごくまれにできるのですが、通常の口内炎よりも非常に厄介です。
口内炎
通常の口内炎は、口の中の頬の内側、歯茎、舌にできて、水を飲んだりものを食べたりすると沁みたり、痛いという症状を引き起こします。
鏡で見ると、白っぽくなっていてひどいと出血しています。口の中は常に水分で満たされていますから、なかなか治りにくいという状態です。
たまに食べる時に頬の内側を噛んだりして、浅い傷ができ、それが原因で口内炎に進行してしまうことがありますが、だいたいが栄養の関係や食べすぎなどの体調の関係で発症することがほとんどで、その他にストレスが影響することもあります。
アフタ性口内炎
口内炎にも種類があり、アフタ性口内炎は一番多い種類のものです。
3,4ミリの円形の白っぽく中央がくぼんだ潰瘍ですが、特に何もしなくても一週間ほどで治まります。
カタル性口内炎
このカタル性口内炎は粘膜自体が炎症の影響で赤く腫れ、斑点や白いただれを引き起こします。
部分的になるのではなく、口の中全体に出来るものです。これもほぼ一週間程度でよくなります。
アレルギー性口内炎
このアレルギー性のものは、そのアレルギー物質が原因となります。多くは食べ物となりますが、薬や金属なども原因となることもあります。
意外とその反応に気がつかないケースもありますので、その症状が起きた直前を思い起こすことが治癒のヒントにもなります。
のどちんこの口内炎の原因
ほとんどが、栄養不足、過食などの影響ですが、今回ののどちんこ口内炎は菌が原因の場合がほとんどです。
細菌感染
のどちんこの部分が傷つき、その部分に菌が入り込むことで炎症を引き起こします。部分的に白っぽい斑点のようなものができ、悪化すると潰瘍になる危険性があります。
傷が付く原因として、熱いものを食べたり飲んだりした際のやけどや、固いものを飲み込んだり引っかかったりした際の傷です。
これも他の口内炎と同様に、一週間ほどで治まりますが、痛みはかなりあり、特に食事の際の飲み込む時などその部分に触れると痛みます。
免疫力低下
体の調子がいま一つというような場合、疲れが溜まっていてそれがなかなか抜けない時などに、菌などが付着して発症します。
また、多少大きな病気をした後も、内臓や体に負担がかかりすぎることもあり、その際に発症することも稀にあります。規則正しい生活などを心がけることが重要となります。
ヘルペス
ヘルペスという細菌は人の体のあらゆる所に生息しています。これは常在菌といって、普段は何の問題もないのですが、免疫力が落ちたりすると、菌の力が強くなることで、回りの粘膜や皮膚が荒れます。
医師の診断で、抗ヘルペス薬の服用でほぼ解消しますが、菌がかなり強いので、その過程においては痛みがあるのと、食事の際の食べ物や飲み物の接触でさらに痛みが倍増します。
かかる原因としては、免疫力の問題がほとんどですので、生活習慣の見直しが必要です。
やけどや他の外傷
割とのどの奥にあるので、まさか傷が付いているとは思えないのですが、意外に固いものでの外傷や熱いものを飲むことでやけどをして傷つくことがあります。他にも魚の骨で傷つくこともありますので、注意が必要です。この傷が原因で菌による感染が起こります。
胃腸の不調
内臓の不調が原因のこともあります。口内炎がよくできる人の特徴として、昔から胃腸が弱いという人が多いです。人は内臓の疲れが多いと、疲れも多いということが言われていますので、胃弱の人はその内臓の疲れの一種である消化がうまくいかないと内臓疲労も多くなるのです。
アレルギー
あまり例はないのですが、ごく稀に食べ物や金属アレルギーでのどちんこ口内炎を引き起こすこともあります。食べ物は体全体にアレルギー症状が出ることが多く、金属に関してその触れた部分が影響を受けることがほとんどです。
咽頭炎
喉に炎症が起きることが咽頭炎であり、細菌やウイルスの感染で赤くなり腫れることがあります。痛みも普通にしている時の痛みに加えて、食べる際の飲み込む時にも痛みがあります。
症状が悪化すると、発熱を起こしたりだるくなったりします。さらに風邪の際に菌が喉に感染し喉風邪の際と同じような症状となります。医師の診断により、抗生物質の内服薬で治療します。
扁桃炎
喉の奥にある扁桃が細菌などの感染で、炎症を起こします。鏡で口の奥を見ると赤く腫れているのがわかります。まれに膿を生じることもあり、放っておくと大変なことになります。
これも咽頭炎同様、飲み込む際に痛みを生じ、熱が出ることもあり、さらに用心しないと扁桃を手術して取らないといけなくなるケースもありますので注意が必要です。
扁桃周囲膿瘍
上記の扁桃炎を悪化させたものが扁桃周囲膿瘍です。つまり、扁桃に膿が溜まってしまう症状であり、喉の強い痛みを発症し、口も開けにくくなります。ここまで悪化すると手術に加えて入院することもあります。
扁桃は炎症を繰り返していると、風邪などの症状でもすぐに腫れやすくなるので、その際にも扁桃を除去することで再発を防ぐことができます。
手足口病
主に子供がかかる疾病です。手や足にぶつぶつができる病気ですが、口の中や喉にまでぶつぶつが出ることも多いとのことです。
口内炎と一緒に発症することも多く、痛みなどはそれほどないものの、熱を伴うこともあります。時期的なもので主に夏に幼稚園や学校などで流行る傾向があります。感染ルートは飛沫感染、ぶつぶつの内部の液、糞口感染で、人から人に感染します。
ヘルパンギーナ
ウイルス性の菌による感染で主に子供がかかります。例年の6月から8月くらいに流行る可能性が高く、手足口病と同様に飛沫感染、糞口感染し人から人へと感染します。この辺は回りからの情報に敏感になることが予防につながります。
医師の診断で速やかに対処することが望まれ、悪化すると髄膜炎などを引き起こしますので注意が必要です。
症状
症状はごく普通の痛みや潰瘍状態のように、白く陥没することが多く、その後はぶつぶつができます。
水ぶくれ
のどちんこの部分とその回りには白い斑点ができたり、その部分に水ぶくれができます。この場合はほとんどがエンテロウイルスやコクサッキーウイルスが原因ですが、これらの菌に対する抗ウイルス薬はないようですう。
ですから、炎症を抑える薬や熱が出た場合の解熱剤などの対処療法となります。
腫れ
喉が腫れ、若干の痛みを感じます。先ほどの水ぶくれもそうですが、ウイルスによるものが多いので、放っておいてもよくならない傾向が強いです。
痛み
一番多いのがこの痛みではないでしょうか。特にのどちんこの回りにできた水ぶくれが破れた時などは、そのような状態になります。
そして、食べ物を飲み込む際もそうですが、唾液を飲み込む時でさえ、強い痛みを感じます。あまりに痛みがひどい場合は治癒薬の他に鎮痛剤で対応しましょう。
発熱
体質にもよりますが、発熱することがあります。その際には解熱剤を処方されるので、安静にしていることで熱は下がり、痛みも治まってくるでしょう。
病気のサイン
のどちんこ口内炎は、そのもの自体ができることは少なく、原因であるもので左右されます。
以下のような病気が発症する直前や発症している時にできることが非常に多いと報告されています。
ベーチェット病
ベーチェット病は自己免疫病であり、眼や皮膚などに炎症を起こす病で、原因は不明ですが、そのほとんどが遺伝的要素によるものと考えられています。
のどちんこ口内炎が意味もなく出来た時はこのようなベーチェット病の疑いもあります。自己免疫病ということは、やはり免疫に異常が発症していることが多いからです。必ずしもという訳ではありませんが、用心することが必要となります。
バセドウ病
バセドウ病は甲状腺ホルモンに異常により、異常な体重の増減や暑がりになったり、汗がたくさん出るような症状が現れます。
女性は男性の4倍ほどかかりやすく、治癒は困難ですが、治らないことはありません。
白血病
血中の白血球の数が何らかの影響で急激に増加する病気です。かかる率は非常に低いのですが、かかるとふじの病とも言われ、治療に苦労が伴うと供に、免疫力の低下などを引き起こし、その結果のどちんこ口内炎にもかかります。
がん
場所によりますが、口の中に出来る口腔がん、舌がん、咽頭がんなどはのどちんこ口内炎を併発します。がんによる影響であれば、口内炎に関して言っている場合ではありません。がんそのものを治療していかないといけません。
糖尿病
この病気はあらゆる病気を引き起こす根源でもあり、原因治療を行って、かからないようにすること一番いいのですが、今や糖尿人口は300万人を超えており、70歳を超えると4人に1人は糖尿病にかかるといいます。明らかに生活や食事習慣の影響なのですが、罹患する人のほとんどはその自覚がありません。
やはり糖尿病患者も口内炎が出来やすい傾向にあり、例え口内炎だけの治療を行っても、大本の病を治さない限り、繰り返すこととなります。
医師の治療によるものの他に、民間療法でもその治療法はいろいろとありますし、かからないようにするその方法もそれこそ沢山あり、実践することでかなりの高い率で防げることが解っているのですが、未だにその糖尿病患者は増え続けています。
国の医療費負担も年々と増加し、無尽蔵に負担できるわけはないので、個々の意識が今後は重要になるかと思います。
治療法
この病気に関する診療は、耳鼻咽喉科、小児科、内科、歯科などの専門家医が適しています。
医師の診療
早く治したいという人は、口内炎ごときで医者の行くのもちょっと、と思わずに診断してもらうのが一番いいと思われます。特に原因が傷なのか菌なのか特定できないのがほとんどだからです。
診療後の対処法はそのほとんどが、薬の処方で治療期間も短く済みます。
うがい薬
通常のうがい薬を一日に数回行うことで、改善します。効果を高めるには、塩水かお酢を少し混ぜた水を使います。塩は若干しみることがありますが、お酢ですとしみることもなく殺菌効果も高いので有効です。
口内炎の薬
この薬は2種類あり、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスには効きません。ですから対処療法となりますが、一方のヘルペスウイルスに対する薬は抗ヘルペスウイルス薬があり、効果を発揮します。
水分補給
喉や患部を乾燥させないことと、菌などを流し繁殖を防ぐことに有効です。また、口のや咽喉が乾燥すると菌が増殖しやすくなるので、水分をこまめに補給し乾燥を防ぎ、菌の増殖も防げます。唾液が出る唾液腺などに菌が繁殖しやすくなる傾向があるので注意が必要となります。
栄養補給など
体調の不良が原因の場合は、栄養を補給することは速やかな解消につながります。特に口内炎はビタミンが不足することで改善効果が高いので、栄養補給の他にビタミン剤を服用することがいいでしょう。
レーザー治療
レーザー治療も有効ですが、治療中と後の痛みなどを考慮すると、ここまでする必要はないかと思います。ただ、即効性があるので若干利用する人もいますが、その部分を傷つけますし、跡が残ることもありますので、あまりお勧めの方法ではありません。
予防法
民間の治療法や予防法はたくさんあります。ここでは民間の予防法も合わせてお伝えいたします。
清潔を保つ
唾液腺や舌下腺という唾液を分泌する部分など特に清潔に保つ必要があります。うがいや歯磨きでウイルスなどから守ることで炎症を防ぎます。これは、唾液腺炎なども防ぐことにつながります。
マスク
外から最近が入り込まないように、マスクで保護することは重要です。ただしあまりナーバスになることはないかと思いますが、最近の傾向として口呼吸する人は注意した方がいいでしょう。
鼻からの呼吸をしていれば、鼻毛や粘膜で菌を防いでくれますが、口からですと直接菌が入り込むために、影響を受けやすくなります。
アレルギー物質の除去
歯の治療などで金属を詰めたりすることで、その金属のアレルギー反応による炎症が起こることがあります。やはり口内炎で腫れたり、痛みを感じることがあります。単純にそのアレルギーの基である金属を取り除くことで解消しますが、多くの人はそれが原因とは思っていないのが現状です。
歯の治療以降、どうも口内炎が出来やすいということになったら、金属アレルギーを疑ってみた方がいいでしょう。
睡眠
体の免疫力の低下が、口内炎を発症させます。ですから普段の睡眠も重要な役目です。睡眠時間が短い、睡眠が浅いなど充分な睡眠が取れていないと、免疫力の低下にもつながります。
食事
食事はある意味、一番重要ではないでしょうか。栄養のバランスも含め、腸内の環境などで口内炎が出来ることがかなりあります。特にあまり栄養価のない、インスタント食品や添加物の多い加工物は食べるのを避けることでだいぶ違ってくるでしょう。
特にビタミン類などが不足すると、口内炎を発症しやすくなります。ビタミンB、Cなどを積極的に取ることをお勧めします。
また、腸内の環境を整えるのに一番適しているのは日々習慣として、ヨーグルトを摂取することです。ただこのヨーグルトもいろいろな種類があり選ぶのが困ります。今までの常識だと乳酸菌がいいとされていましたが、この乳酸菌を多く含むより、プロバイオティクスが入っているものがよいとされてきます。
食べるのが面倒くさい人には飲むタイプのもありますので、お試しいただければと思います。
歯磨き粉の選択
歯磨き粉が原因ということもあり、これは意外に盲点です。これは、歯磨き粉の成分が石油系のものが含まれている場合です。普通に考えただけでも石油系と聞くと、あまり体にいい影響を与えてないと感じると思います。当然、化学的なものなのでいいはずがありません。
これも、のどちんこ口内炎や普通の口内炎がよく出来る人は、歯磨き粉を変えてみてもいいでしょう。多少高めになりますが、石油系の成分が入っていないものが売られています。単純に口内炎のためだけでなく、長い目でみれば今のほとんどの歯磨き粉はあまりよくないので、歯磨き粉をつけずに歯を磨くか、一日おきや二日おきに歯磨き粉を使用することをお勧めします。
口の中の粘膜はいろいろな物質を吸収しやすいので、毎日の習慣でこのような悪影響のあるものを使用することは害をもたらします。このような習慣化が口の中の殺菌力や殺菌性を弱めたり、細菌感染しやすくなるのです。
禁煙
これまでに何回も登場している喫煙の習慣はやはり、他の病気も併発しやすいのですが、のどちんこ口内炎も同様に出来やすくなります。
もともとタバコの煙には、発がん性もありように非常に毒性の強いものがたくさん含まれているので、その毒が当然吸うことにより口の中の粘膜を刺激することになるのです。外的要素として、かからないようにする一番手がこの禁煙となります。
まとめ
いかがでしたか。今回はのどちんこ口内炎の記事でした。冒頭にも述べましたが、通常の口内炎はよくありますが、のどちんこの口内炎はあまりなじみがありません。ですから、意外と気付かないだけで実際には何度もかかっている人もいるかもしれません。
こののどちんこ口内炎は通常の口内炎と同様に、食べる時に非常に痛くてつらい思いをします。特に熱いものなどは大変です。
できれば、ここに書かれていたそれほどたいへんな予防法でもないので、かからないようにしていただければ、と思います。
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