ベーチェット病ってなに?症状や原因、治療方法を知ろう!ただの口内炎に要注意?

ベーチェット病という病気を知っている方は少ないと思います。この病気は、原因不明の病と言われ根本的な治療方法は、残念ながら見つかっていません。しかし、医療の発達に伴い今では症状を緩和したり、日常生活への支障を最小限に抑えることができるようになってきています。

この病気は全身に炎症が起きる症状で、症状の出方はや程度は患者さんによって異なりますが、自然治癒と再発を繰り返すのが特徴的です。ただの口内炎や皮膚炎だと思って放っておいたら、実はベーチェット病だったということもありえます。

炎症の再発を繰り返している方は、この病気の可能性も念頭に入れ、病状について知っておくことで早期発見に繋がるかもしれません。ここでは、ベーチェット病の詳しい症状や原因、治療方法についてご紹介します。

ベーチェット病について

ニキビ

ベーチェット病の概要や原因についてご紹介します。

ベーチェット病とは

ベーチェット病(Behçet’s disease)とは、慢性の全身炎症性疾患です。ベーチェット病は慢性的に全身に炎症がおきる病気です。症状は大きく分けて主症状と副症状の2つあります。主症状は、口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状の4つで、また、副症状には、消化器症状、神経症状、福睾丸炎、血管炎症状、関節炎の5つあります。

この病気は特別な検査方法がない為、厚生労働省が定めた診断基準に沿って、問診などで症状を見て判断します。上記で挙げた主症状の4つの症状が全て見られた際には、完全型ベーチェット病と診断し、主症状が3つ、もしくは主症状が2つと副症状が2つ現れた場合や、眼症状と主症状1つまたは、副症状2つが見られた場合を不全型ベーチェット病と診断基準を設けています。

このように基準から見ても分かるとおり、人によって症状の出方や程度は様々です。これらの症状が急になくなる非活動期と、再発する活動期を繰り返しす事が病気の特徴として挙げられています。

この病気は20代~40代に発症しやすいと言われ、男女比の差はほとんどないです。ベーチェット博士がこの病気を発見した為、彼の名前を取ってそのまま病名として呼ばれていますが、シルクロード沿いの寒い地域に多く発症していた歴史もあり、別名シルクロード病とも呼ばれています。日本でも、北海道や東北地方の寒い地域に多くの方が発症し、暖かい地域ではあまり見られない病気です。

残念ながら原因は明らかにされていませんが、遺伝要因や寒さなどの環境要因が影響してるのではないかと考えられています。根本的な治療方法は見つかっていませんが、現在では薬で症状を緩和させたり、日常生活への支障を最小限に抑えることはできます。症状が現れていない時期でも、定期的に受診をすることが重要です。

ベーチェット病の原因とは?

原因は残念ながら明らかにされていませんが、最近の研究結果によると、遺伝要因や寒さや細菌、ウイルスといった環境要因の両方が関係して発症するのではないかと言われています。

遺伝的要因では、白血球のHLAーB51が影響しているのではないかと考えられています。
べーチェット病にかかった半分以上の患者さんがこのHLAーB51を持っていることが分かっています。

環境因子では、寒さやウイルス、細菌などが関係しているのではないかと考えられています。寒い地域の方に多く発症していることや、寒い地域には細菌やウイルスが繁殖しやすいなどの理由が挙げられています。体に進入した細菌やウイルスに対しての抗体が低下して、炎症を起こしているのではないかと考えられています。

ベーチェット病の症状と治療方法について

視力

ここでは、主症状である、口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状の4つの症状と副症状である消化器症状、神経症状、福睾丸炎、血管炎症状、関節炎の5つの症状と各治療方法についてご紹介します。

眼症状

この眼症状は、突然に発作のように発症します。眼のぶどう膜という部分に炎症をおこし、眼の痛みや充血、視力の低下や視野が狭まる、眼がかすむなどの様々な眼の異常が起こります。

再発を繰り返す為、ぶどう膜と眼の組織の傷がどんどんと進行し、視力の低下や視野が狭まるなどの異常が見られ、最悪の場合は失明に至ります。合併症として、緑内障や白内障などが見られることもあり、このような合併症も視力を低下させる要因となります。

治療方法:

治療方法は、発作をたびたび起こさないようにコントロールし、視力の低下をふせぐことが目的とされます。発作が起きた場合には、炎症を抑える薬のステロイドや散瞳薬の点眼薬で症状を緩和させます。炎症がひどい場合には、ステロイドのテノン嚢下注射を使用します。

また発作が起きていない期間には、好中球遊走抑制薬、免疫抑制薬、抗TNFα製剤などの薬の投与を行い、発作が起きないように予防します。

眼の症状に使用されている薬剤が神経症状を引き起こすのではないかという疑いの声が上がっているので、眼に使用する薬の副作用に関して医師からきちんと説明をうけることをおススメします。

口腔内再発性アフタ性潰瘍(口内炎)

べーチェット病患者さんのほとんどに見られる症状で、初期症状の1つとも言われています。
口唇、頬粘膜、舌、歯肉、口蓋粘膜、扁桃、咽頭辺りに痛みを伴う口内炎が見られますが、1~2週間ほどで良くなり、再発を繰り返します。口の中に複数できることがあり、痛みを伴うので発症している間は、食べ物が食べづらいなど日常生活にも影響がでてきて、とても辛いと思います。

口内炎は少し栄養不足であったり、体調を崩しただけでも出来るので、軽視してしまいがちで気づきにくいと思います。しかし、痛みを伴ったり、口の周りや喉の奥にまで広がってたくさん現れたり、再発を繰り返している場合は、何か病気を疑って医療機関を受診されることをおススメします。口内炎だけでべーチェット病を判断することは難しいですが、早めに診察されることで、病気の予防に繋がったり、痛みを緩和することが出来ます。

治療方法:

特別な治療法はなく、炎症が引くまで様子を見ますが、痛みがひどい時には軟膏や口内炎用貼り薬などを使用して、痛みを緩和させます。

外陰部潰瘍

男性では陰嚢、陰茎、亀頭に、女性では大小陰唇、腟粘膜の周りに口内炎のような潰瘍が見られ、痛みを伴います。この症状は、1~2週間で自然治癒しますが、再発を繰り返します。

痛みがひどい場合は、歩行が困難になったり、瘢痕が残ってしまう場合があります。また女性の場合は、排尿時や生理中に痛みが悪化する場合があります。デリケートな部分の為、医療機関を受診しにくい方もいるかと思いますが、こちらが診断の決め手になる場合も多くあります。

治療方法:

発症して痛みがひどい際には、ステロイド軟膏や内服薬を使って炎症を緩和することができます。しかし、ステロイド軟膏は副作用があるので、長く続けることはお勧めされません。自分で出来るケア方法としては、デリケート部分を丁寧に洗ったり、毛を剃るなどして清潔に保つことも重要です。

皮膚症状

赤く腫れあがった発疹が、足首からひざの間に生じたり、ニキビのような発疹が顔や顎、胸の周辺に出来ます。また、皮膚の内側に痛みのある硬いしこりのようなものが現れ始めます。

その他の症状として、静脈の流れに沿うように、痛みが現れる血栓性静脈炎という症状が現れる可能性があります。どの症状も発作から1~2週間後で自然治癒しますが、しばらくすると再発し繰り返し起きます。

この症状のある患者さんに共通することは、皮膚が刺激に敏感になることです。虫に刺されたり、脱毛したり、注射など皮膚への小さな刺激でも敏感に反応し、赤みがひどくなり腫れがみられるようにもなります。

治療方法:

特別な治療法はなく、炎症が引くまで様子を見ますが、痛みがひどい時には軟膏や口内炎用貼り薬などを使用して、痛みを緩和させます。

消化器症状

消化管に潰瘍が出来、腹痛や下痢、下血などが症状として現れだします。特に小腸と大腸の間にある回盲部と呼ばれる部分に発生することが多くあります。

回盲部とは、聞きなれない箇所ですが、小腸と大腸の境目にある回盲弁が中心となった領域のことで、回腸、回盲弁、盲腸、虫垂、上行結腸などの器官から構成されています。消化官症状は、この部分だけでなく、消化官である食道~直腸までどこでも発症する可能性があります。

クローン病などの炎症疾患に症状が似ている為、症状を聞いただけではハッキリとした診断が難しいです。その為、内視鏡検査などを通して、病名を明確にする必要があります。

治療方法:

基本的な治療方法は、腸の炎症を抑える事、体調や栄養管理、合併症の予防などを目的とした治療内容です。5アミノサリチル酸製剤、ステロイドホル モンや抗TNFα製剤などの免疫調節薬を投与したり、発熱を伴う全身症状が見られる場合は、完全静脈栄養療法などを取り入れます。また、薬で改善がみられない場合や腸に穴が開いた場合などは、手術が検討されます。

神経症状

急性型と慢性型で症状が異なります。急性型の場合は、髄膜炎、脳幹脳炎による、高熱、頭痛、めまい、麻痺などの症状が現れ、慢性型の場合は、神経症状や精神症状が現れ、しゃべりづらくなったり、ふらついたり、認知症、人格変化などが見られるようになります。

この症状は比較的に男性に多いといわれており、患者さんの10%の方に症状が現れます。また、眼の症状に使用されている薬剤が神経症状を引き起こすのではないかという疑いの声が上がっているので、眼の薬を使用される場合は、薬の副作用やリスクに関して医師からきちんと説明をうけることをおススメします。

治療方法:

急性の発作の場合は、ステロイドのパルス療法と呼ばれる、ステロイドを点滴により投与して、効果を見ながら量の調整を行う治療方法を用います。

この治療を受ける際には短期間ですが、入院が必要になります。また、慢性型の治療については、免疫抑制薬、抗TNFα製剤などを使い症状の進行を出来るだけ防ぎます。

福睾丸炎

男性患者さんの内、10%の割合で発症すると言われています。睾丸に痛みと腫れが見られるのが主な症状です。数日で自然治癒しますが、再発を繰り返します。細菌などに感染して、睾丸の痛みや腫れが見られる病気はありますが、これら以外の病状でこのような症状起きることがあまりないことから、ベーチェット病への診断手助けになる場合が多いです。

治療方法:

特別な治療法はなく、炎症が引くまで様子を見ますが、痛みがひどい時には痛み止めを内服します。

血管炎症状

この症状は比較的に男性に多く見られる症状といわれています。静脈、動脈の両方の太い血管部分に症状が現れ血流が悪くなり、様々な症状を引き起こします。特に多いのが静脈の血栓症で、血液が心臓に戻りにくくなって、静脈に腫れが見られたり、静脈瘤が見られる場合もあります。

その他には、腹部や足に動脈血栓や静脈血栓がみられ、腫れが見られたり、腫れにより歩行が困難になったり、動脈瘤や静脈瘤がみられる場合があります。

治療方法:

血管で起こっている炎症の場合は、基本的にステロイドや免疫抑制薬、 抗TNFα製剤を使って炎症を緩和させます。また、血液の流れをよくしたり、血を固まりにくくする、抗血小板薬や抗凝固薬などの投与も行う場合があります。

このような薬により改善が見られない場合は手術により動脈瘤や血栓の除去を行いますが、手術などの刺激により再発を起こしやすく、破裂するリスクもあるので、慎重な判断が必要になります。

関節炎

副症状の中では、この症状が現れる確率が高く、再発しやすいのが特徴です。大関節がはれ上がったり、痛みや熱感をもち、特にひざ、足首、手首、ひじ、肩などに症状が現れます。関節リウマチと間違われやすいですが、異なる点として、指などの小関節に症状が現れないことや、関節が変形を見せないことから症状から区別することが出来ます。

治療方法:

痛みがひどい場合には、消炎鎮痛剤を使い様子を見ます。薬による効果が感じられない場合は、ステロイドを投与することもありますが、ステロイドには副作用がある為、長期使用はおススメされません。

まとめ

ベーチェット病という病気は原因が未だに分からない難病の1つです。この病気は、全身に起こる炎症が主な症状で、症状は発作的に起こり数日~数週間で自然治癒しますが、再発を繰り返すことが特徴として挙げられます。

原因が明らかになってないことから根本的な治療法方が見つかっていませんが、放置せずに病院で治療をはじめることにより、進行を遅らせることができたり、症状を緩和することができます。発作が起きていない時も、定期的に病院を受診されることが重要です。

  
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