「口の中が赤くただれている」や「口の中に水ぶくれが出来ている」など、口の中に出来る炎症のことを総称して口内炎と呼びます。口内炎は誰もが経験したことのある口内の病気ですが、一言で口内炎といっても、様々な種類があるのを知っていますか?
中でも、丸く白い「アフタ性口内炎」と赤く腫れる「カタル性口内炎」が出来やすい口内炎として有名です。ここでは、口内炎の種類や、赤く腫れるカタル口内炎について詳しく記事にします。
口内炎について
口内炎の種類は様々あり、原因によって異なる見た目や特徴を持ちます。
水ぶくれになる口内炎もあれば、赤く全体にただれているもの、白い苔のようなものまで、全てを口内炎と呼びます。ここでは、口内炎とは何か、また口内炎の種類や特徴についてご紹介します。
口内炎とは
口の中(口腔粘膜)や舌、口の周りに起こる炎症を口内炎と呼びます。口の中は、空気の出入り口であったり、食べ物の入り口の為、様々な菌やウイルスが出入りしやすい場所です。口の中の部位によっては粘膜に保護されていますが、粘膜が傷ついたりするとウイルスが進入しやすくなり、炎症を起こします。出来る場所は炎症が起こると、水泡が見られたり、潰瘍と呼ばれる粘膜がえぐれて穴になる状態など様々な形状のものが現れます。
口内炎は口の中にできる炎症の総称で、歯茎に出来るものは「歯肉炎」、舌に出来る物は「舌炎」、唇に出来るものは「口唇炎」、口角に出来るものは「口角炎」と部位別の呼び方もあります。
口内炎の種類と特徴
口内炎には、原因別による種類があります。
代表的な口内炎は「アフタ性口内炎」「カタル性口内炎」「ウイルス性口内炎」「カンジダ症口内炎」「アレルギー性口内炎」「ニコチン性口内炎」です。ここでは、口内炎の種類と特徴についてご紹介します。
アフタ性口内炎
一番多く見られる口内炎の種類は、アフタ性口内炎です。白やピンク色の境界線がはっきりとした潰瘍で、大きさは1cm程度の小さなものです。1度に複数箇所にみられる場合もあります。ストレスや疲れ、睡眠不足や不規則な食事生活などが原因で出来ます。
しょっぱいものや、辛いものなどの刺激のある食べ物が患部に触れると強い痛みを感じます。通常、1週間~2週間ほどで自然と治りますが、何度も繰り返し出来る場合は、「再発性アフタ性口内炎」と呼ばれ、重大な病気が隠れている場合もあるので、医師に相談することをオススメします。
カタル性口内炎
歯周病がある、入れ歯が合っていない、やけどをした、口の中の衛生状態が悪いなどが原因となり、発生する口内炎がカタル性口内炎です。紅斑性口内炎(こうはんせいこうないえん)とも呼ばれています。
カルタ性口内炎は、アフタ性口内炎のように、境界線がはっきりとしていません。カルタ性口内炎が出来ると、口の粘膜が赤く腫れ、白くただれたり、赤くただれるのが特徴です。また、ザラザラしたり、ヒリヒリするような感じもしますが、痛みはそれほどありません。
しかし、食べ物を食べた時に味覚がにぶいと感じるようになったり、慢性化すると口臭がでてくることもあります。
ウイルス性口内炎
ウイルス性口内炎はウイルスに感染することで起こる口内炎です。原因ウイルスにより呼び方が異なり、「ヘルペス性口内炎」「手足口病」「ヘルパンギーナ」などが代表的なものです。基本的にウイルス感染症の口内炎は、小さな水ぶくれができ、それが潰れるとただれたり、潰瘍が現れます。
また、口内炎だけでなく、その他にも症状が現れるのが特徴です。例えば、ヘルペス性口内炎の場合、乳幼児に多く発症する口内炎の1つで、口の中だけでなく、唇や口の周りに発疹が見られたり、発熱、リンパの腫れや食欲低下、口臭が併せて現れます。
手足口病の場合は、口の中の水泡の症状は比較的に軽く、手や足にも水泡ができるのが特徴です。また、ヘルパンギーナは、喉の近い部分、口の後方部分に多くの水泡が現れ、潰れるとアフタ性口内炎のようになります。ウイルス性の口内炎は市販の薬は効果はなく、抗ウイルス薬を用いて治療を行います。
カンジダ症口内炎
免疫力が低い高齢者や乳幼児に発症しやすい口内炎の1つにカンジダ口内炎があります。もともとカンジダ菌は、口の中にいるカビの一種です。しかし、免疫機能が低下したり、常在菌のバランスが崩れることが原因となり、ガンジタの量が増えることで、口内炎を引き起こします。
カンジダ症口内炎は、白い小さな斑点状の集まったものが、広範囲に広がり、苔のように見えます。出来やすい場所は頬の内側や舌、上顎などです。ガーゼなどを使って白い苔のようなものを、拭き取ることが可能ですが、拭き取ると粘膜が赤く炎症しているのが見えます。ヒリヒリとした痛みを伴い、食べ物を食べると、しみて更に痛みが強くなります。
アレルギー性口内炎
アレルギー原因物質が口の中に入ることで起こる口内炎です。アレルギー症状を起こすものは、様々あり、中には解明されていないものもあります。
代表的なアレルギー原因物質は、果物、野菜、チョコ、そば、牛乳、金属、化学物質、抗生剤、鎮痛剤などがアレルギーを起こすとして知られています。虫歯治療で使われた金属や歯科矯正器具などでアレルギー反応を起す人もいるので、金属アレルギーを持っている方は、治療する際に、事前に歯科医に伝えることをオススメします。
ニコチン性口内炎
タバコには、ニコチンと呼ばれる成分が含まれています。このニコチンが原因となって発生する口内炎をニコチン性口内炎と呼びます。ヘビースモーカーの方など、毎日のように大量にタバコを吸っている方に多く見られます。
ニコチン性口内炎は大きく分けて2つのタイプがあり、1つ目は口の中に円形の潰瘍が見られるタイプ、2つ目は口の中の小唾液腺が炎症を起して全体的に赤く腫れるタイプです。後者の場合は、口の中の上顎が白く分厚くなり、赤い斑点が見られます。両方とも自覚症状はほとんどありませんが、食べ物がしみて痛みが出る場合もあります。
カタル性口内炎の原因と症状は?
口内炎の中でも、出来やすい症状の1つに「カタル性口内炎」があります。この口内炎は、全体的に赤く腫れるのが特徴的な口内炎で、痛みが少ない為気づきにくいです。
ここでは、カタル性口内炎の原因と症状について詳しくご紹介します。
症状
カタル性口内炎は、アフタ性口内炎のように境界線がハッキリとせずに、全体が赤く腫れている為、見た目では気が付きにくいです。
カタル性口内炎は、口の中全体で起きたり、唇、頬の裏、舌などにも現れます。痛みは強くありませんが、刺激物を食べると痛みが強くなります。他にも下記のような症状が見られるのが特徴的です。
カタル性口内炎の症状
- 口の中の粘膜が赤く炎症している
- 白くただれている
- 赤くただれている
- ヒビ割れている
- ザラザラしている
- ヒリヒリしている
- 痛みは強くない
- 刺激物を食べると痛みがある
- 味覚が鈍い
- 食欲低下
- 口内に灼熱感がある
- 唾液の分泌量が増える
- 口臭がある
原因
カタル性口内炎の原因は多くありますが、基本的には物理的刺激により生じます。しかし、他にも、口の衛生状態が悪いことや、体の不調などからも現れる場合があります。
物理刺激による原因
- 入れ歯、尖った歯、クラウン(被せ物)などの歯が口の粘膜と接触する刺激によるもの
- かみ合わせが悪い、早く食べる癖で誤って噛むことで出来た刺激によるもの
- 矯正器具と口の粘膜の接触によるもの
- 熱い食べ物や飲み物による火傷
- 異物を口に入れることによるもの
- 小さい子どもの場合、指しゃぶりやおもちゃを入れることによるもの
その他の原因
- 虫歯、歯槽膿漏、歯周病などの口の中の衛生状態が悪いことによるもの
- 胃腸の不調、疲労、風邪などの体調不調
カタル性口内炎の治療方法
カタル性口内炎の治療法は、基本的には原因治療を行い、患部を清潔に保つことで10日ほどで治すことができます。
しかし、早く治したいという方は口内炎にレーザーをあてて治療する方法もあります。ここでは、カタル性口内炎の治療法について詳しくご紹介します。
原因治療
カタル性口内炎が出来た場合、それぞれの原因にあわせた原因治療を行います。原因となるものを取り除いてから、刺激の少ないぬるま湯やイソジンなどを使ってうがいや丁寧な歯磨きなどで口内を清潔に保ちます。
患部に抗生物質入りの口腔用軟膏を塗り治療を行えば、治療期間は1週間~10日ほどです。しかし、10日以上続いていたり、再発を繰り返したり、悪化する場合は、重大な病気が隠れている可能性もあるので、必ず病院を受診しましょう。
物理的刺激物が原因の場合
物理的刺激が原因で発症した場合、まずはそれが起きないように防止することを行います。例えば、矯正治療器具が口の中で刺激物になってしまっている場合、矯正歯科で位置を調整してもらう必要があります。
犬歯があたっている場合は、歯科医で摩擦がおきない程度に、削ってもらうなどして対処する必要があります。
口の中の衛生状態が悪いことが原因の場合
また、虫歯や歯周病、歯槽膿漏など、口の中の衛生状態が悪いことで起きている場合は、歯科クリニックで治療してもらいましょう。
胃腸トラブル、風邪などの体調不良が原因の場合
胃腸のトラブルや風邪などの体調不良が原因の場合は、クリニックを受診して治療を行いましょう。体調不良が治ると、自然と口内炎も回復傾向に向かいます。
市販薬
市販の治療薬に「パッチ」と呼ばれるシールのような貼り薬があります。これはカタル口内炎のような、水泡ものではない口内炎の患部に貼る事で、刺激からガードして痛みを緩和させる薬です。
他にも口内炎の患部に塗る痛みを緩和させる薬も販売されています。カタル口内炎が生じる原因となるものを取り除かない限り、市販薬だけでは完治することが出来ません。しかし、原因治療をするまでの間に痛みが強い場合は、痛みを緩和する対処法として使用されることをオススメします。
レーザー治療
口内炎を治す治療方法の1つにレーザー治療があります。レーザー治療は、口腔外科もしくは歯医者で行うことが出来ますが、器具がない施設もある為、事前に確認が必要です。レーザー治療は、虫歯の治療にも使われているレーザーを口内炎にあてて治療する方法です。
レーザー治療には消炎、殺菌、鎮痛、消毒、止血もできるために、口内炎を早く治したい方に最適です。麻酔も必要なく、レーザー治療での痛みもほとんどありません。多少痛みは伴いますが、口内炎の痛みよりも痛くはないと言われています。
治療費用は、実費診療になる為、病院によって異なります。ほとんどの歯科医院で500円~3000円範囲で受けられるので、高額な治療法ではありません。
カタル性口内炎の予防法
口内炎が治ったとしても、再発してしまう可能性があります。口内炎が出来やすい方は、予防対策を行うことで、再発を防止しましょう。口内炎は口の中の粘膜に刺激が加わったり、免疫力が低下するなどして、炎症がおきます。
その為、日常生活の中で刺激を少なくする事が予防につながります。口の中の刺激を少なくする方法は食生活の改善が一番大事です。また、疲労や風邪などでも出来る場合もあるので、健康状態を保つことも大切です。ここでは、今すぐに実践できる予防方法をご紹介します。
食事中はよく噛んで食べる
食事をしている際に、誤って口の粘膜をかんでしまい傷つけて口内炎が発生することがあります。毎回同じ場所を噛んでいる場合は、原因と考えられる歯を調整することも重要ですが、ゆっくり注意して食べることで、誤って粘膜を噛むことを減らすことが出来ます。
また、ゆっくり噛むことで、咀嚼が優しくなり、誤って口内を噛んでしまったとしても、衝撃が少なくなります。また、ゆっくり食べることは消化を助け胃腸のトラブルから起きる口内炎を予防する効果も期待できます。
ビタミンB2やB6などの栄養補給
皮膚や粘膜を補強する作用のある栄養素はビタミンB2です。また、皮膚や粘膜を健康的に維持する作用がある栄養素はビタミンB6です。これらの栄養補給を心がけることで、粘膜を強化して、口内炎を出来にくくします。
これらのビタミン類は体の中で一定以上蓄積することが出来ません。その為、1日のうちに一気に摂取するのではなく、毎日こまめに継続して摂取することが重要です。
ビタミンB2
ビタミンB2の摂取量は年齢や性別により異なりますが、1日約1.0~1.2mgだと言われています。10代~50代までの男性や授乳中、妊婦は1.2mg~1.6mgが推奨されています。
ビタミンB2は、豚・牛・鳥レバー、うなぎ、卵、納豆などに多く含まれています。ビタミンB2の主な働きは、脂質の代謝を促進し、皮膚や粘膜、爪の再生や有害物質の過酸化脂質を分解する働きがあります。脂質の摂取が多い人ほど、ビタミンB2が必要になるので、ビタミンB2を補う必要のある方は、脂質を取り過ぎないように気をつける必要もあります。
ビタミンB6
ビタミンB6の摂取量は、年齢や性別により異なりますが、1日約1.0~1.2mgだと言われています。男性の場合は1.4mg、妊婦や授乳中の方は、1.5~2.0mgが推奨されています。
ビタミンB6が多く含まれている食べ物は、レバー、まぐろ、かつお、にんにくなどです。ビタミンB6の主な働きは、たんぱく質の分解や合成を助け、皮膚や粘膜の健康を維持、神経伝達物質に作用して精神状態を安定させる、ホルモンバランスを調整するなどが挙げられます。
ビタミンB6が作用するのに、ビタミンB2が必要になる為、ビタミンB2とあわせて摂取することが効果的です。ビタミンB2とB6が豊富に含まれているレバーを食べたり、サプリメントなどの栄養補助食品で補うのも手軽でオススメです。
口の中を清潔に保つ・ケアする
誤って噛んでしまったり、金属類があたって出来た口内の小さな傷に菌がつくと、口内炎が出来ます。その為、口の中を清潔に保ち、菌の繁殖を抑えることも重要です。食後に歯磨きやうがいを心がけましょう。
歯磨きをする際のポイントは、優しく磨くことです。強くこすると、更に口内に傷をつくる可能性があるので、ゆっくり優しく磨きましょう。
ぬるま湯で口の中を湿らす
菌は乾燥した場所で一気に繁殖します。その為、口の中が乾かないように水分補給をしたり、こまめにうがいをして、口の中を常に湿らすように心がけましょう。冷たすぎる飲み物や熱い飲み物、辛いものやアルコールなどは刺激が強すぎる為に、ぬるま湯で口を湿らすのがおススメです。
おわりに
口内炎と一言で言っても、その種類はたくさんあります。熱いものを食べて口の中をやけどしたり、歯があたるなどの物理的な刺激により発症する口内炎をカタル口内炎と呼びます。この口内炎は、口の中に出来やすい口内炎の1つです。
原因となるものを取り除き、口の中を清潔に保つことで10日間ほどで治療することが出来ます。しかし、10日以上治らない場合や、悪化している場合は、他の原因も考えられるので、一度歯科医師に相談しましょう。
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