メチコバールは末梢性の神経障害を治療する治療薬(処方薬)です。手や足のしびれ、痛み、めまいや難聴など末梢神経の障害による症状があるときに処方されます。これらの症状はビタミンB12が不足・欠乏すると現れてくる症状です。
メチコバールはその成分の殆どがビタミンB12で構成されています。なのでこれらの症状の原因がビタミンB12の不足出会った場合に有効に働きかけることが出来ます。
これらの医師から処方される薬は他の薬との併用に注意しなければいけなかったり、副作用が大きかったりするので使用に十分注意しなければいけない物が多くありますので、自分が使用する立場になった場合は薬に関して詳しい情報が知りたくなりますよね。
今日はメチコバールの効果や用法、副作用などについてまとめました。後半は、メチコバールをより効果的に飲む方法やメチコバールと同じ成分を含む市販薬、ビタミンB12を含む食品などをご紹介します。より安全に薬を使用して毎日の健康や日常生活に役立ててください。
この記事の目次
メチコバールについて
まずはこのメチコバールという薬についての基本的な情報から紹介していきたいと思います。
メチコバールの薬に関する情報を知ってどういう薬なのかを把握していきましょう。薬の成分などについて理解することで、その薬がなぜ症状に有効なのかを理解することが出来ます。
ではメチコバールについて見ていきましょう。
メチコバールについて
メチコバールは、主成分をメコバラミンにしようし作られた薬で、ビタミンB12を主成分とする医薬品です。
ビタミンB12は傷ついた神経の修復や、正常な血液を作るのに必要な成分です。ビタミンB12が不足すると、神経の障害による痛みや貧血などが現れます。この症状を和らげるために開発された薬になります。
メチコバールはエーザイ株式会社から販売されている先発薬になります。1981年に販売が開始され今でもなお、処方され続けています。実際には先発薬ではなく後発薬として販売されているようですが、少し特殊な事情があり、後発薬と言う位置づけになっています。
現在では最初にメチコバール錠500μgが販売されてから、1984年にメチコバール錠250μg、メチコバール細粒0.1%が順番に販売されるようになりました。
主成分
メコバラミン(メコバラミンとはビタミンB12のことです。)
その他に成分調整のため16種類ほどの添加物が含まれています。含まれている添加物は以下になります。
- カルナウバロウ
- 含水二酸化ケイ素
- 沈降炭酸カルシウム
- トウモロコシデンプン
- 乳糖水和物
- 白色セラック
- ヒドロキシプロピルセルロース
- 結晶セルロース
- 酸化チタン
- ステアリン酸
- ステアリン酸カルシウム
- 精製白糖
- タルク
- プルラン
- ポビドン
- マクロゴール6000
保存方法
・室温で保存しましょう。
・光が当たらないように管理してください。光によってメコバラミン(ビタミンB12)が減ってしまいます。
・湿気ないようにしてください。湿気で変色してしまうことがあります。
・表示されている使用期限内に使いましょう。
・一度開封してしまったものを長期間保管して使用しないように注意してください。
・前回処方された薬は保存しないようにしてください。
特徴
神経は再生されるのに時間がかかるので、メチコバールの効果もすぐに実感できるものではありません。主成分のメコバラミンは水溶性ビタミンなので、不要な分は尿から排出されます。
肩こりなどの症状でも処方されることのあるメチコバールですが、筋肉の凝りや、血行不良などでの肩こりなどの症状には効果が期待できません。基本的に効果が期待できるものは神経系が原因になって発生してしまっている症状になります。
神経系の痛みの特徴は動かした時に痛みが増す傾向があります。筋肉の凝りなどの場合は動かすと逆に楽になりますので自分でも診断しやすいでしょう。
メチコバールが先発薬でない理由
メチコバールは実質的に先発薬という位置づけの薬になりますが、実際には後発薬として販売されています。先発薬が存在しない薬は意外と存在していますが、メチコバールの場合には背景に少し特殊な理由があります。
当時メチコバールがエーザイから開発された時には水俣病が問題になっていた背景があり、この病気との関係で水俣病の原因になっている水銀の性質が変化し、より毒性の強いメチル水銀への変質が懸念されてしまい、その確認のために1年間、安全性を検証するための期間を要してしまったためにメチコバールの販売が遅れ、先発薬としての販売の時期が遅れ、他のジェネリックと同時期に販売が開始されたので後発薬の位置づけになってしまいました。
しかし値段に関しては先発薬と変わらない価格ですので、実質的には限りなく先発薬に近い後発薬になります。
メチコバールが処方される症状
メチコバール錠が適用されるのは末梢性神経障害の症状です。添付文書などでの記載でも末梢神経障害の症状に有効という文言のみが書かれています。では末梢神経によって症状が発生してしまう問題にはどの様な症状が挙げられるのでしょうか。
詳しい症状について一覧で紹介していきます。どの様な書状に有効な薬なのか見ていきましょう。
肩こり、手足や腰の凝りや痺れ
末梢神経系の症状として現れる代表的な症状の一つとして四肢の凝りや痺れがあります。
主に関節に集中して存在する末梢神経に異常が引き起こり、運動の際に神経が圧迫されたり、傷ついてしまい痛みが発症する場合に症状に有効に効果があります。
メチコバールを摂取することで栄養障害の問題が解消され、回復に向かいます。末梢神経の痛みの特徴は安静にしているときには痛みが治まること、筋肉の凝りでの痛みや痺れの症状の逆の症状になります。
めまい、耳鳴り
末梢神経の問題によって引き起こる問題ではありませんが、耳鳴りやめまいの症状の原因が自律神経失調症などからくる場合もあります。
その場合には、自律神経失調症がビタミンB12の不足から発生している事があります。ビタミンB12には自律神経を正常に整える働きがありますのでこの場合はメチコバールが有効になります。
慢性的な耳鳴りなどの症状を発する神経性難聴やメニエール病などの場合にもこの薬が処方されることがあります。
神経痛
腰や手足の痺れの中でも神経痛としての症状が重い、坐骨神経痛や痛みに変わる神経障害性疼痛などの症状があります。
マッサージなどでの有効な対処法が少ないので、薬で痛みを軽減していくしかありません。痛みの症状が酷すぎる場合はブロック注射などでないと痛みを軽減することは出来ませんが、痛みがきつくない場合はメチコバールで対処することが出来ます。
貧血
ビタミン不足による血液の不足での貧血が懸念される場合にも、メチコバールは有効になります。ビタミンB12は血液の生成にも関わっているビタミンですので、メチコバールを飲むことでこの問題を解消に向かわせることが出来ます。
メチコバールだけでなく、食事や運動、睡眠などの改善が必要なものになりますが、ビタミンB12を補給することで良質な血液の生成を助けます。
症状のまとめ
基本的には神経の障害によって起こる、肩や首のこり、痛み、腰痛、手足のしびれ、神経の麻痺、味覚障害、難聴、めまい、貧血、糖尿病や帯状疱疹による神経痛などに処方されます。
医師の判断によっては、乏精子症などによる男性不妊にも応用されることがあります。
症状によって他の薬とも併用が可能で、リリカやステロイド剤、アデホスコーワなどの薬とも併用されることが多くあります。安全性の高い薬でもありますので、併用処方が行いやすい薬でもあります。
メチコバールの飲み方
医師の指示やお薬に記載されている用法・用量を守って飲んでください。メチコバールは白色の糖衣錠と呼ばれる小さな円形の錠剤もしくは粉状の細粒剤になります。
正しい飲み方について記載しておきます。
メチコバール錠250μg
1錠にメコバラミン250μgを含有しています。
成人は、一日1500μgとして、6錠を3回に分けて飲みます。
1錠12円、1日6錠なので1日72円の計算になります。
メチコバール錠500μg
1錠にメコバラミン500μgを含有しています。
成人は、一日1500μgとして、3錠を3回に分けて飲みます。
1錠は17,1円ですので250μg2錠よりも割安な計算になります。1日計算では51,3円になります。
メチコバール細粒0.1%
1g中にメコバラミン1,000μgを含有しています。
成人は、一日1500μgとして、3包を3回に分けて飲みます。
こちらは1包が24円ですので一番割高なタイプになります。1日計算では72円です。
子供の場合に飲む量を調整できるので処方しやすいタイプになります。
使用上の注意
飲み忘れに気づいたら、なるべく早く飲みましょう。しかし、1度に2錠まとめて飲んではいけません。また、勝手に服用をやめてもいけません。
1ヶ月程服用しても効果が感じられない場合は、すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。
メチコバールの副作用
メチコバールはいわゆるビタミン剤のため、深刻な副作用はあまりありませんが、まれに、次のような症状が起こると報告されています。
・食欲不振
・嘔吐、吐き気
・下痢
・発疹
以前薬を飲んでアレルギー症状を起こしたことがある人は注意して下さい。
これらの症状は基本的にどの薬にも発生する可能性のある症状になります。これらの症状が出てしまった場合は医師に相談し、他の薬品への変更などの対応を取っていきましょう。基本的には安全性の高い薬品になりますので、これらの症状は基本服用量を守っていれば派生することは少ないものになります。
特に過剰摂取した場合に発生しやすくなりますので、注意しましょう。
メチコバールと他の薬の飲み合わせ
飲み合わせで気をつけなければいけないお薬などは特にありません。
ただし、別の病院にかかったり、別のお薬が処方される場合は、メチコバールを飲んでいることを必ず伝えましょう。
また、栄養ドリンクなどにビタミンB12が入っている場合は、過剰投与にならないように注意する必要があります。
基本的にはビタミンB12を過剰摂取することでの重篤な健康被害の報告は上がっていません。5年渡りビタミンB12を推奨摂取量の半分近い量に相当する1 µg投与し続けた研究での結果では健康被害は認められませんでした。
しかし、血中のビタミンB12の含有量が多い人にがんの発生率が多いことに関するデータがアメリカの医学誌で掲載されました。この問題に関しては生活習慣に関係するもので、ビタミンB12との関係性が明確なものではありませんが、現段階でもこれらの病気とビタミンなどの過剰摂取についての研究が行われています。
過剰に摂取してしまってもビタミンBやビタミンCは現段階では排泄されるだけとの意見が脳王ですので、無駄に栄養を摂取しても特に有効性は無いでしょう。もし、沢山ビタミンBを摂っていても症状が出てしまう場合は吸収障害の可能性も考えられます。
その場合は病院での詳しい検査を受けるようにしましょう。
メチコバールの購入方法
メチコバールは病院で処方せんを出してもらうか、同じ成分が入っている市販薬を薬局で購入することができます。
処方せん
メチコバールは病院で診察を受けて、処方せんをもらう必要があります。
メチコバール錠250μg 1錠12,8円です。
メチコバール錠500μg 1錠18,6円です。
ジェネリック
ジェネリック医薬品として、メコバラミン、メチクールなどがあります。250μg・500μgのどちらも1錠 5,60円です。
市販薬
メコバラミンが入っている市販薬には次のようなものがあります。
・ナボリンS
・ナボリンEB錠
・ユンケルB12
・ロスミンS
・ロスミンB12
・アリナミンEXゴールド
・アクテージSN錠
薬剤師や登録販売者と症状などを伝えよく相談をして、用法や用量などの説明を聞いてから購入するようにしましょう。
正しいお薬の飲み方
飲み薬にも正しい飲み方があります。お薬の効果を発揮させるためにもぜひ覚えておきましょう。また効果が現れる時間や効果の持続時間などについても紹介していきます。
水で飲む
飲み薬は、水またはぬるま湯200cc程度(コップ1杯)と一緒に飲むと効果を発揮するように作られています。胃や腸で十分に吸収されるためには、たっぷりの水分にお薬が溶けている必要があります。水が少ないと、吸収が遅れたり、溶け残って便から排出されてしまうこともあります。
ジュースや牛乳、お茶などで飲むのはあまりよくありません。胃での吸収が遅れたり、お薬が十分に溶けないことがあります。できるかぎり水で飲んでください。
アルコール
お薬を飲んでいるときは、アルコールの摂取は控えましょう。作用が強く効きすぎてしまったり、予期しない作用が現れてしまう可能性があります。また、栄養ドリンクなどもアルコールを含んでいることがあるので注意してください。
服用するタイミング
添付文書にはタイミングに関しての記載は無く、1日に何錠3回服用などの記載しかありませんが、メチコバールは血糖値が最も高くなる食後に服用することが最も有効になります。
朝昼晩の食後30分以内のうちに沢山の水と一緒に飲むようにしましょう。
効果の現れる時間と継続時間
ビタミンが吸収されることで効果が現れるので、効果を実感するまでにかかる時間は長くかかり、即効性は無いようです。血中の成分濃度としては1時間目から徐々に上昇を始め4時間ほどで最高値に達します。
そこから8時間でほとんどの成分は排出されてしまうので効果の持続時間は長くて8時間ということになるでしょう。
ビタミンB12を食事から補う
ビタミンB12を多く含む食材は次のようなものがあります。食品からは1日2,4μgを目標に毎日摂取することが推奨されています。
魚介類、さんま、いわし、あさり、かき、のりなど
レバー、牛肉、豚肉など
ベジタリアンやビーガンなどの食生活をしている人は、ビタミンB12が不足しがちです。貧血などを感じたら注意が必要です。
まとめ
メチコバールについてまとめました。いかがでしたでしょうか。
メチコバールはビタミンB12を補うお薬です。
ビタミンB12は傷ついた神経細胞を修復したり、正常な血液を作る働きがあります。
神経痛や肩こり、しびれなどの症状に処方されます。
光に対して不安定なので遮光をして保存します。
メチコバールは医師の処方せんが必要なお薬です。
日本食は魚介類や海藻類を食べる機会が多く、極端なビタミンB12の欠乏は起こりにくいといわれています。しかし、胃を大きく切除している人やベジタリアン、ビーガンなどの食生活を取り入れている人、極端な食事制限によるダイエットをしている人などは不足しがちになることがあります。手足のしびれや肩こりだけでなく、貧血やだるさなど体調に異変を感じたら、すぐに病院に行って、検査を受けてください。
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