近年大流行しているジョギングや、運動慣れしていない人にもトライしやすいウォーキングに挑戦して、そのときは楽しく終わっても、その後襲ってくる脚の痛み・・・。
太ももやすねの筋肉が痛む、そう、筋肉痛です。この嫌な筋肉痛を早く治す方法はあるのでしょうか。そもそも筋肉痛とはなぜ起こるのでしょうか。
筋肉痛の問題について詳しく知って対策法を練っていきましょう。運動不足の場合、特に筋肉痛が引き起こりやすい箇所がスネになります。意外にもスネの筋肉は歩く、走るなどの行為に特に重要に働く部分なので意外と問題になりやすい部分でもあります。
スネが筋肉痛になってしまったときの効果的な対処方法について見ていきましょう。
筋肉痛とは
激しい運動や、普段あまり運動をしていない人が急に慣れない運動をした後などは、筋肉痛はつきものですよね。では、なぜ筋肉痛になるのか、まずはそのメカニズムついて考えてみましょう。
筋肉痛は運動によって筋肉の繊維が破壊されたことによって起こると考えられています。ですが実は、なぜ筋肉痛が起こるのかというメカニズムは、現代医学をもってしても完全に解明されているわけではないのです。次の章でご説明するいくつかの原因が関係して運動後の筋肉に痛みが起こると考えられています。
また、筋肉痛が起こるのは、普段運動やトレーニングをしておらず筋肉が発達していないためだと思われることが多いですが、必ずしもそうとは限りません。日々鍛錬を積んでいるアスリートでも筋肉痛になることはありますし、筋肉痛にはまったくならない人というのもいます。
筋肉痛の発症が運動の翌々日以降など遅いことが「年を取っている証拠」と言われることがありますが、これには科学的根拠は証明されていません。血管の老化が関係しているのではないかと言われています。
スネに筋肉痛が起こると足指が動かせなくなる
すねの外側には前脛骨筋という筋肉があります。この筋肉は足首を持ち上げたり、足先の足指などを上に持ち上げる時によく働きます。
もしあなたが今スネに筋肉痛があるのであれば、足の指を上に動かしてみてください。恐らく上に上げる時にスネの外側の筋肉が痛くなり、指が上がらないもしくは上がったとしても非常に弱い力でそれ以上力を入れられないと思います。
この症状によりスネに筋肉痛が起こっている時は歩いている時に足首がきちんと平行に地面と接触せずに、また足首が上がりきらず捻挫などの問題につながりやすくなります。
スネに筋肉痛を発症している時は歩行時や運動時に捻挫をしないように注意しましょう。
筋肉の痛みの原因
筋肉痛には「現発性筋肉痛」と「遅発性筋肉痛」の2つの種類があります。筋肉痛ときいて多くの方が思い浮かべるのは、筋肉を使った後の1日~数日後に痛みを感じる「遅発性筋肉痛」の方ではないでしょうか。
「現発性筋肉痛」と「遅発性筋肉痛」では原因も痛み方も違いますので、2種類の痛みの原因についてご説明します。
現発性筋肉痛の原因
「現発性筋肉通痛」とは、運動やトレーニングを行っている最中、あるいは直後に感じる痛みです。運動が終わりしばらく経てば自然と痛みは治まります。これは運動によって筋肉の中に疲労物質(主に乳酸などの物質)が溜まることによって引き起こされる痛みです。
筋肉が激しく伸び縮みを繰り返すと、筋疲労が起こり酸素供給が間に合わなくなり、エネルギー源(ブドウ糖)が不完全燃焼となってしまい乳酸が筋肉に残るために痛む、と一般的には考えられています。
遅発性筋肉痛の原因
「遅発性筋肉痛」の原因は先ほども述べたように完全に解明されているわけではありません。ただし下記のような原因が関係すると考えられています。
・筋肉と結合組織の損傷
筋肉は、大きな力で伸び縮みを繰り返すと、小さな断裂ができて傷ついてしまうことがあります。また、筋肉の内部には結合組織という部分があり、この結合組織は伸び縮みせずに筋肉の強度を保っていますが、激しい運動によって筋肉が大きく形を変えることによって傷ついてしまいます。
この筋肉や結合組織の傷つき損傷した部分が炎症を起こすことで痛みが生じるとする説があります。
・筋肉の修復に発生する炎症
傷つき損傷した筋肉の繊維は、一度分解され新しく筋繊維をつくるという反応で回復していきます。
この筋肉がいったん分解されるときに生じる痛みが遅発性筋肉痛の原因であるとする説があります。筋肉の損傷を修復するときには白血球が損傷した筋肉の繊維を取り除きますが、このときに発生するカリウム、ブラジキニン、ヒスタミンなど痛みの出る物質が神経を刺激したり炎症を引き起こしたりして痛みが生じると考えられます。
毛細血管が細くなってくると血液の循環が悪くなるため、遅れて痛みが出てくるのではないかと考えられています。現在ではこの説が最も有力であるとされています。
すねの筋肉痛の原因
ウォーキングやジョギングで筋肉痛になりやすいのは、太ももやすねなどの脚の筋肉です。
運動によるすねの筋肉痛
ウォーキングやジョギングを行うと、太ももやすねなどが筋肉痛で痛むという方は多いのではないでしょうか。中にはその筋肉痛の痛みがひどく、運動を続けることが嫌になってしまう人もいるかもしれません。
実は、ウォーキングやジョギングでの筋肉痛は、フォームが大きく関係しています。とくに、ウォーキングやジョギングを始めたばかりの人の筋肉痛は仕方がない面もありますが、何度経験しても繰り返し筋肉痛になるような場合には、歩き方、走り方の見直しが必要かもしれません。
すねの筋肉痛はつま先着地の走り方(フォアフット走法)で走ったときに起こりやすいものです。フォアフット走法は膝や足関節への負荷をやわらげるとされているので、あえてその走法を選ばれているなら話は別ですが、つま先着地を意識しているわけではなく原因不明の筋肉痛に悩まされている場合は、歩くとき走るときの着地のかたちを見直してみましょう。着地は足の裏全体で行うよう意識します。まずかかとから地面に触れ、足裏の腹、つま先と順に着地していきます。その後地面を蹴り上げるというイメージで走ります。
後はウォーキングやジョギングの前にしっかりとストレッチをして筋肉を伸ばしておくことも大切です。しかしながら、すねの筋肉は疲れやすい筋肉でもあるため、過度な負荷、過剰なストレッチを行うと逆に筋肉を傷めてしまう可能性もあります。筋肉痛がひどい場合には運動はお休みをし、湿布などを貼って筋肉を休ませてあげましょう。
靴の問題
また、ウォーキングシューズやランニングシューズが原因であることも考えられます。これらのシューズの靴底が自分の足にとって厚すぎる場合、薄めのものに変えてみると筋肉痛が改善される可能性があります。
靴の重さも関係して筋肉痛の問題に繋がる可能性もあります。これは、足を地面に接着する時に地面に平行に足を着地させるためにスネの筋肉を使って足首に力を加えています。このときの負荷が大きくなることにより問題につながりやすくなります。
もし、スネに力を入れなかったら歩く時に人の足は垂れ下がった状態になり簡単に捻挫をしてしまうでしょう。そうならないためにスネに力を入れて歩行を行っています。靴の重さはダイレクトにすねに負荷をかけてしまうのでなるべく軽い靴を履い方がいいでしょう。
体の衰えによるすねの筋肉痛
特別に運動をした覚えもなく普通に生活しているだけなのに、すねに筋肉痛を感じた場合には、体全体の筋肉が衰えているために起きているという可能性があります。つまり、筋肉が弱ってしまったために、歩行時に蹴り上げる動作だけで筋肉痛になってしまっているということです。
あるいは、足の指が弱っていたり浮き指など何らかの異常を起こしている場合には、指で歩行を支える力が弱るため、すねの筋肉に負荷がかかってしまっていることも考えられます。
スネの外側の前脛骨筋の筋肉はふくらはぎやスネの横の腓骨筋などの筋肉と拮抗関係にあります。スネの筋肉痛が頻繁に起こるのはスネの前脛骨筋の筋肉が衰えているだけではなく、足首から膝までの筋肉全体が衰えている場合が多いでしょう。
急激な負荷
もし、普段あまり運動を行わない場合、ちょっとした運動や信号を急いで渡ったり電車に遅れそうで走るなど25〜50mほどのダッシュでも簡単に筋肉痛になります。
太ももの筋肉は比較的大きく、普段の歩行や階段の昇り降りでも使用するので筋肉痛になるにはそれなりの運動量が必要になります。しかし、スネの筋肉は大きな力をかけての運動を普段行わないのですぐに筋肉が小さくなります。
特にスネが筋肉痛になりやすいのは平行な地面でのダッシュや長距離の歩行などです。急激な運動を行ったことで簡単に筋肉痛になる事が多いでしょう。
歩き方の問題
もうひとつは、運動による筋肉痛でもあげたような良くないフォームによる影響、つまり歩き方が足に負担のかかる歩き方になっているため、筋肉痛を起こしてしまっているという原因も考えられます。足のどこかが痛くていつも通りの歩き方ができていなかったり、新調した靴が足に合わないものだったというようなケースが考えられるでしょう。
特に良くない歩き方としてはガニ股歩きがあります。がに股の歩き方ではスネの筋肉が緊張状態になりやすくなります。がに股の人は骨盤が下がったり、猫背になったり、膝が曲がるなどの問題が起きやすくなります。さらに加えて股関節の捻れが起こり、その影響で膝下の関節も外側にねじれやすい傾向があります。
これらが合わさることによって前頚骨筋が緊張状態になりやすくなります。その他にもリュックを背負っての歩行などでも体の全体的なバランスが崩れることで問題につながりやすい傾向があります。
歩き方がおかしい場合は過度な運動を行っていなくてもスネの緊張などの問題に関係しやすいので正しい歩き方を意識して普段の歩行を行うようにしましょう。
すねの筋肉痛の解消方法
筋肉痛の解消方法にはいろいろな考え方や種類があります。
筋肉を温める筋肉痛解消法
まずは一般的な筋肉痛の解消法のご紹介です。運動をしてから筋肉痛の痛みが出るまでの間に、体を温めて血行をよくすることで筋肉痛の痛みが出ることを回避することができる可能性があります。
温かいお湯で入浴を行うことや、暖房などに当たることで温める事ができます。しかし注意したいのは間違って炎症が起こっている時に温めてしまうことです。あたためるのが効果的なのは筋肉痛が始まっていないときや、筋肉が慢性的に固まっているときや凝っている状態で痛みを発症しているときです。
有効なタイミングを見極めて効果的に症状を対処法を行っていきましょう。
筋肉を冷やす筋肉痛解消法
運動直後でまだ痛みが出ていないときには温めることが効果的ですが、筋肉が炎症を起こしすでに痛みが生じているときには炎症に伴う熱を冷やして沈静化することが必要です。
このときに温めてしまうと炎症を促進し痛みがひどくなることがあります。冷やすときの判断基準は患部を熱を持っている時、赤くなっている時、腫れている時などが有効なタイミングでしょう。組織内での炎症や出血などが考えられる場合は温める行為はタブーで冷やすことで症状を緩和できるので、もし温めて症状が回復しない場合は冷やす方向で対処していきましょう。
すねの筋肉のマッサージ
すねの外側には前脛骨筋という筋肉があります。この筋肉によってつま先を持ち上げることができるので、歩行ができます。前頚骨筋は疲れやすい筋肉でもあります。
この筋肉が筋肉痛になってしまったら、優しくマッサージを行いましょう。無理に揉むと逆効果なので、そっと行うことをこころがけましょう。
- 両手の親指を重ね、骨から筋肉を押し下げるようにマッサージします。
- 床に座って膝を立て、手の根元や四本の指をそろえて、こねるように脛の外側の筋肉を揉みます。
- 四本の指をすねの外側に置き、膝から足首に向かって骨に沿って揉んでいきます。
- あぐらをかき、手の根元ですねの内側をマッサージします。
- 足首のストレッチをマッサージを併用すると効果的です。
すねの筋肉痛に有効なストレッチ
マッサージよりも簡単で効果的なストレッチを紹介します。
- 床に座ります。
- 足を立てます。
- 踵は床につけたまま、体重を前にかけます。
- 筋肉痛になっている場所が緩む姿勢を取ります。
- 90秒間その姿勢をキープします。
- 体をゆっくりとおこします。
- 筋肉痛になっている箇所がほぐれいてるかを確認します。
- 足をゆっくりと戻します。
すねの筋肉の病気
筋肉痛にとどまらないほど筋肉を酷使すると、シンスプリントという疾患になってしまうことがあります。
シンスプリントは過労性骨膜炎といわれ、ランニングなどを繰り返していたり、足の底背屈運動を過剰に繰り返したときに生じることが多い症状です。下腿の筋や腱の炎症障害で、すねの周囲に疼痛が起こります。年齢的には10代の病気で、陸上競技やバスケット選手などに多く発生します。
シンスプリントには2つの種類があり、ランニングなどのやりすぎで前脛骨筋の過収縮が原因である「前方型シンスプリント」と、足裏の土踏まず部分の機能が低下するなどしてランニングやジャンプ時の衝撃の吸収がうまくいかずヒラメ筋や後脛骨筋の過伸張を引き起こすことが原因である「後方型シンスプリント」に分けられます。
シンスプリントを発症した場合には原因となるスポーツ活動を停止し筋肉への負荷を下げ、ストレッチなどで痛みの症状を改善していく必要があります。
まとめ
普段運動をしていない人にとって、運動を始める前のハードルになる筋肉痛ですが、まだ解明されていない痛みであるとは意外でした。
筋肉痛がある=運動量が十分で効果があったという図式が必ずしも成り立つわけではないということがわかりましたので、筋肉を大事にしてあげながら、自分に合ったペースで運動をしていきましょう。
特に太ももやすねの筋肉は日常の歩行に使いますので、ひどい筋肉痛になってしまうとつらい思いをします。さらに足の筋肉痛の症状を長期間放置していると歩き方が大きく崩れ足の裏でバランスを取ろうとするので足部の負担が大きくなり足底筋膜炎などの問題に繋がる可能性もあります。運動方法だけでなくフォームや靴などにも気を付けて、楽しく運動を行いましょう。
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