朝、寝起きに「鼻から血が出て枕についていた!」といったことがありませんか?急に鼻から血が出ていたら、何が原因なのか気になります。
原因を突き止めなければ治しようもなく、下手をするとそれが続いてしまうことがあります。鼻を強くぶつけたり殴られたりしない限り出血はしないので、何が原因なのか、どういった対処をとると良いのか知っておきましょう。
朝から鼻血が出る原因と症状
鼻腔から出血する原因には、生活習慣の乱れや食事の栄養バランスの乱れ、そして様々な病気が関連します。子供の場合と大人の場合でもリスクが異なります。
子供の場合は、ほとんど心配はいりませんが、大人の場合は病気から起因することが多く、命に関わることがあるため、注意が必要です。では、どういったことが原因でどんな症状が出現するのか、紹介していきます。
キーゼルバッハ部位を傷つける
鼻腔には、「キーゼルバッハ」という部位があります。キーゼルバッハ部位は、鼻腔の中でも特に毛細血管が多くある部分に当たります。ここを刺激して傷つけてしまうことで、毛細血管の粘膜が傷ついて出血を起こします。また、鼻の入り口にあり、キーゼルバッハ部位の粘膜が弱くなると、ちょっとした衝撃でも鼻血が出る事がほとんどのケースに当てはまります。
例えば、子供が無意識に睡眠をとっている間に鼻腔をいじってしまい、寝起きに血が出てしまう可能性があります。大人には少ないケースですが、子供には多いケースです。以下に紹介するような病気から起因する出血は、大人に多いケースです。
乾燥
鼻血の原因としても最も多いパターンは、乾燥です。
特に、冬は空気が乾燥しやすく、鼻腔の粘膜が乾燥してしまいます。粘膜にはバリア機能が備わっていますが、粘膜が乾燥すると抵抗力が弱まり、バリア機能が低下します。
季節の変化
季節が変化する時期は、気温の変化が大きく、体温もそれに応じて変わりやすくなることがあります。
体がこの気温や湿度の変化に対応しきれていないと、こういった環境の変化で鼻から出血を引き起こすことがあります。
特に、体が完成している大人よりも、成長過程にある子供は抵抗力が不十分であり、こういった反応を示しやすいです。
アレルギー性鼻炎
ハウスダストなどの原因物質であるアレルゲンに反応して起こるアレルギー性の鼻炎や、スギ、ヒノキなどの花粉が原因となる花粉症によるアレルギー性鼻炎が引き起こされることがあります。アレルギーに反応すると、鼻の奥が炎症を引き起こして鼻腔の毛細血管が破れて出血を引き起こします。特に、子供は大人よりも鼻腔粘膜が弱く抵抗力が低いため、荒れやすいです。
もし、風邪に似た症状がみられたり、鼻水やくしゃみが出る、目が痒いといった症状が出現している場合は、アレルギーによるものの可能性が高いです。特に、春や冬は花粉も飛びやすく、乾燥もしやすいため、出血が起きやすくなります。
なお、こういった病気の症状により鼻水が出やすくなると、鼻や喉、耳の器官は繋がっており、中耳炎になる可能性もあります。耳掃除や鼻かみをしっかりとしないと、状態が悪くなることもあります。
風邪
風邪の症状には熱発や鼻水があります。子供は特に、大人と違って体温調節機能が不十分なため、風邪によって体温が上昇すると鼻の中の毛細血管が破裂しやすくなります。
また、アレルギー性鼻炎にも言えることですが、鼻を強く何度も嚊んだり、くしゃみをして息むことで鼻の中の毛細血管に圧がかかって破裂し、出血につながるケースもあります。
高血圧
高血圧は、血圧が上昇した状態を言います。血圧の上昇が原因となって鼻から出血する場合があります。例えば、飲酒や長時間の入浴、食事で塩分を摂りすぎた時、気温差の激しい所の移動や息んだ時などです。
血圧が上昇すると、圧に負けて血管が破裂することがあります。鼻の中は無数に毛細血管が存在しており、血管が破裂すると鼻血が出るというわけです。
動脈硬化
動脈硬化とは、その名の通り、動脈の血管が硬くなっていくことです。すると、血管は脆く弱くなり、これが進行すると破れやすくなります。動脈硬化は自覚症状がみられにくく、気づくのに遅れてしまい、進行して悪化してから気づくことがあります。
つまり、動脈硬化が進行して血管が膨れ上がって血液の流れを止めてしまうような脳梗塞や、それによって起こる心筋梗塞になってから発覚することがあります。
また、ここまで進行すると、機能障害が生じ、そこでやっと対処をすることになる場合があります。十分な注意が必要です。
血小板の減少
血小板の量が減少する原因は、体の免疫機能に異常が生じて、脾臓(ひぞう)で血小板を破壊されることで起きます。初期症状は、顔や体に赤い内出血が出現します。最初は大きさが砂粒ぐらいですが、症状が進行すると大きなアザの様になります。
血小板が減少する病気としては、次に述べる白血病や、特発性血小板減少性紫斑病、血小板減少病といった病気が挙げられます。これらの病気によって鼻耳だけではなく歯茎からも出血が生じる可能性があるため、歯茎の出血が見られた人も注意が必要です。
白血病
白血病は、血液の中の白血球細胞が異常に増殖し、赤血球や血小板が減少します。これによって、出血が引き起こされます。
白血球の数が増殖する現象は、体のどこかに炎症反応が出ているということなので、一度病院で精密検査を行った方が良いです。また、こういった検査は定期的に行った方が良いでしょう。
詳しくは、白血病の初期症状を紹介!あざやかゆみなどに要注意!を参考にしてください。
肝機能障害
なぜ、肝機能障害が原因に挙げられるのかと言いますと、血液のあらゆる作用に関与する肝機能が機能障害を起こすことで、血液凝固作用が低下するためです。血液凝固作用とは、何らかの原因で出血する際に、血液を固めようとする作用です。つまり、この機能が低下してしまうと、血液が固まらず、ポタポタと鼻血を垂らしてしまうということです。
肝機能障害の主な原因となるのは、過剰な飲酒です。アルコールを摂りすぎることで起きるため、特に中高年の人の多く見られるとされています。
生活習慣病の一種でもあり、他の内臓の病気を患う可能性もあるため、こういった異常が見受けられる場合は、なるべく早期に医師に診てもらうようにしましょう。
詳しくは、肝機能障害の症状とは?治療方法や予防方法を紹介!を読んでおきましょう。
鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)
極稀なケースですが、鼻中隔弯曲症が原因となることがあります。これは、先天性の病気で、生まれつき鼻中隔が曲がっているといった病気です。
鼻の中の奥が曲がっているため、鼻詰まりが起きやすく、長期的に続くと鼻腔の粘膜が傷ついて出血しやすくなります。手術によって治すことが可能なので、最初はお金もかかりますが、早めの対処をオススメします。
詳しくは、鼻中隔湾曲症の症状とは?原因や治療法も合わせて紹介!を読んでおきましょう。
生活習慣の乱れとストレス
生活をしていく中で、様々なストレスや疲れが体に蓄積されます。心身共にストレスや疲れが蓄積されて鼻血が出た時は、自律神経失調症にかかっているサインの可能性があります。自律神経が乱れることで血圧も変動し、毛細血管に圧がかかって血管が破裂し、鼻の穴から出血します。
睡眠不足の場合も、同様のことが言えます。仕事や家事に追われている人は注意をしましょう。
刺激物の過剰摂取
刺激物の中には、血管を収縮させて血圧を上昇させるものがあります。血圧が上昇するということは、鼻の中の毛細血管も破裂して出血し兼ねないということです。一時的に血圧が上昇するため、出血は鼻腔の粘膜が弱くなっている時に出血が起きやすいです。
血圧を上昇させる主な刺激物はカフェインです。これは、チョコレートやコーヒー、紅茶、お茶、栄養ドリンクといった物に多く含まれています。
その他にも、塩分が多い食べ物も血圧を上昇させます。高血圧の人は塩分が高い物を好む傾向があります。ラーメンをソーメン、塩分の濃い味噌汁など塩分が高い物は避けましょう。
病気とは異なり、食べ物の影響で急に鼻から血が出るという可能性は低いですが、こういった食事を継続すると高血圧症や糖尿病といった生活習慣病になるリスクが高くなります。高血圧も糖尿病も血管を脆くするため、出血が起きやすくなるので対策や予防が必要です。
朝から鼻血が出た時の対処法
鼻血の止め方や、対処法は幾つかあります。自分で止めるのも良いですが、高血圧や糖尿病などからくる重篤な病気が関与しているケースもあります。
サインを見逃さず、急に出血が見られた場合は耳鼻科を受診してみましょう。
どこの病院に行けば良いのか?
鼻腔の問題なので、基本的には耳鼻科や耳鼻咽頭科の専門家が勤務している機関を選ぶと良いでしょう。
救急センターに行く人もいますが、そういった場所では耳鼻科の専門家がいる可能性は低いです。
冷やす
出血を抑えるためには、出血部位の血管を圧迫して冷やすことが大切です。冷たいタオルや、氷やドライアイス等の保冷剤をタオルに巻いて鼻の付け根を冷やすといった止血対処をしましょう。冷やし押さえている時間は、止血が完了するまでです。
この時の姿勢は、寝ているよりも体を起こしている方が良いです。鼻を心臓よりも高い位置にくるようにしましょう。
その他の止血方法
姿勢は前述したように、頭を下げた状態で、心臓よりも高くしましょう。基本的な出血の止め方は、鼻の両側の膨らみのある部分(小鼻)を強くつまむとキーゼルバッハ部位が押され、その出血部位の血管を押すことで止血されます。
注意するべき点は、脱脂綿やティッシュペーパー等を鼻に詰める方法を使うことです。ただ鼻に詰めるだけではキーゼルバッハ部位は圧迫されないため、止血が不十分になります。但し、しっかりと鼻の奥まで詰め込んで出血部位を圧迫することができれば、止血は可能です。
また、民間療法として、「上を向く」、「体を寝かす」といった方法がありますが、これも間違えた方法なので注意が必要です。このような姿勢をとると、逆に口の奥、喉の方へ血が逆流していきます。この方法はとらないようにしましょう。
クリームや軟膏を塗る
特に、キーゼルバッハ部位の粘膜が虚弱化している場合は、クリームや軟膏で対処すると良いでしょう。
慣れるまでは違和感を感じる場合があります。病院で薬を貰うことがオススメですが、市販にも売っています。出血してからの対策にも、予防にもなります。
予防法
出血時の対処法を押えておくことも大切ですが、出血を免れるための予防法も押さえておきましょう。
キーゼルバッハ部位が回復すれば治りますが、鼻腔の粘膜は非常にデリケートで、キーゼルバッハは特にデリケートです。傷ついて出血しやすく、一度出血すると治るのに時間がかかるため、予防をしていくことがとても大切です。
マスクを装着する
マスクを着けて寝ることで鼻腔の乾燥を予防したり、無意識に鼻を触って毛細血管を傷つけるようなことがないように対策をしていきましょう。
加湿器を利用する
冬の寒い時期や夏の暑い時期は暖房や冷房を長時間利用する場合があります。すると、空気が乾燥します。乾燥を防ぐためにも、加湿器を用いましょう。
加湿器を買うお金が勿体ないという人は、タオルを濡らして部屋に置いたり、洗濯物を部屋で干したり、水を入れたコップを置いておくといった工夫を施すと良いでしょう。
爪を適時切る
綿棒で鼻の内部を擦っても同じですが、特に、指で擦ってしまう場合は、爪で粘膜が傷つくことがあります。
夜中は無意識に行ってしまうこともあるため、爪が伸びかけたら適時切っておきましょう。
水温に注意する
体温が急激に変動すると血圧が上昇しやすいです。
そのため、特に朝の洗顔やシャワーには注意が必要です。水温は冷たすぎても熱すぎてもいけません。約35℃~45℃のぬるま湯が適温です。
喫煙とアルコールを控える
原因でも述べたように、アルコールや喫煙によって血圧や体温が上昇し、出血をする可能性が高くなります。
喫煙で血管が破裂する可能性があるのは、ニコチンに強力な血管収縮作用があるためです。これを避けるためにも、喫煙やアルコールは過剰に行わず、控えめにするようにしましょう。
十分な栄養分を摂る
食事で十分に必要な栄養素を補給することは、出血後の対策としても大切ですし、予防するためにも大切なことです。では、どういった栄養素を摂ると良いのか、幾つか紹介をしていきます。
・ビタミンA
ビタミンAは、上皮細胞を生成する作用があります。上皮細胞は、皮膚や粘膜を構成する細胞です。ビタミンAが不足すると、体の各粘膜が乾燥して傷を負いやすくなります。
つまり、鼻からの出血も起きやすくなるということです。ビタミンAは、レバーやうなぎ、バター、チーズ、卵、緑黄色野菜といった食品に多く含まれています。
・ビタミンB2
ビタミンB2の作用は多くありますが、これが不足すると特に、皮膚や粘膜に悪い影響が起きます。鼻から出血する可能性の1つとしてビタミンB2不足が挙げられます。
これは、レバー、うなぎ、卵、納豆、乳製品、葉の野菜類に多く含まれています。
・ビタミンB6
ビタミンB6は、タンパク質の分解や合成をする作用があります。皮膚を構成するためにはタンパク質は必要不可欠であり、これが不足するということは皮膚粘膜に悪い影響を与えるということです。
鼻からの出血の際には、少なからずこの栄養素の不足も原因に挙げられる可能性があります。ビタミンB6は、レバー、さんま、まぐろ、かつおといった赤身の魚や、大豆製品、卵、にんにく、バナナといった食品に多く含まれています。
・ビタミンC
ビタミンの中でも、ビタミンCが最も大切です。ビタミンCは皮膚や粘膜を構成する上で最も必要となるビタミンだからです。これが不足すると、粘膜も弱くなり出血を起こしやすくなります。
ビタミンCは主に、野菜全般、果物全般に含まれており、取り入れやすいです。野菜の場合は、前菜として食事の最初に摂取し、果物は食事の最後に摂取すると栄養素の吸収率が上がるとされています。
・ムチン
ムチンは、糖とタンパク質が結合してできる多糖類の一種です。
ムチンは、人の鼻腔の粘膜にも多く含まれています。粘膜を保護する作用があり、鼻からの出血を予防するためには必要な栄養素です。ムチンは、納豆、山芋、里芋、オクラ、レンコン、モロヘイヤといったネバネバする食品に豊富に含まれています。
・ルチン
ルチンはポリフェノールの一種です。ルチンの作用には、毛細血管を強くする働きがあります。そのため、出血症状のある疾患を予防したり、対処するには良い栄養素です。
鼻からの出血がなかなか止まらないという人には打って付けです。ルチンは、ソバ、アスパラガス、トマト、イチジク、ミカン、レモンといった食品に多く含まれています。いずれも少し高い食べ物ですが、体の健康の事を考えると摂取をしていった方が良いでしょう。
まとめ
鼻腔粘膜から出血が起こる原因のほとんどが粘膜表皮の弱いキーゼルバッハ部位が傷つくことで起こるケースがほとんどであることが分かっていますが、人によっては重篤な病気が関与している可能性もあることがわかっています。
たかだか鼻からの出血だ、と甘くみず、原因がわからない場合や不信な点があれば、なるべく一度耳鼻科の専門医がいる医療機関で受診することをオススメします。
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