単純性血管腫という病気を聞いたことあるでしょうか?赤ちゃんの生まれた時から、赤い境界線のはっきりした赤アザです。
この単純性血管腫は他の病気の可能性や、また成人になっても色々、不都合なことが起こることもありますので、できるだけ早く大学病院などの医療機関を訪れて、早期治療をされるほうが安心できます。
現在はレーザー治療もとても良くなって、保険適用になっていますので、できるだけ早い時期に治療されるほうが、本人や周りの人にとっても安心です。
またこれに似た赤あざもありますが、そちらの方は余り慌てなくても良いですので、単純性血管腫について詳しく見てみたいと思います。
単純性血管腫ついて
単純性血管腫とは、境界線のはっきりした身体のどこにでもできる、生まれつきの赤いあざで、他の病気が隠されていることもありますので、早急に大学病院などの医療機関に行って診察を受けてください。
またこれに似た新生児から幼児にかけてみられる、境界線が不鮮明な赤あざについては、後で詳しく書きますが正中部母斑と呼ばれるもので、これは子どもから大人にかけて、自然消滅することがあります。
単純血管腫とは
単純性血管腫は別名ポートワイン母斑、火焔状母斑(かえんじょうぼはん)ともいいます。通常皮膚の膨隆をとわず、境界線がはっきりとした、均一の紅斑を呈していて、赤ちゃんの生まれつきある赤あざで、特徴として乳幼児期は、大きさも濃さも変化はありません。
変化してくるのは思春期から成人にかけて、色が濃くなったり腫瘤を、形成する場合もあります。加齢になってくると皮膚の、厚さが分厚くなる為、褪色(たいしょく)して色あせることもあります。
自然に消えると書いているサイトもありますが、ほとんど自然に消えないので、早期治療が必要で、早期治療することで本人も、周りも安心できます。血管腫の病変は真皮の位置によって浅在性、深在性、びまん型に分かれています。
単純性血管腫に似た病気
また別の病気が隠されている事がありますので、できるだけ早く病院を訪れて、医師に診察を受けてもらってください。この病気は治療も診察も全て、健保適用となりますので、できるだけ早くされるほうが、治療費も安く済みます。
また治療費も収入に応じて取られますが、高額医療になった時は現在は医療費が、ある程度戻ってきます。しかしこの制度も現在の政治が続くようでは、どのようになるか分かりませんので、できるだけ早く診察を受けられる方が良いのではないでしょうか?
スタージ・ウェーバー症候群
スタージ・ウェーバー症候群というのは、顔面の赤アザと眼圧の上昇、脳の表面を細かな血管が覆う軟膜血管腫を特徴として生まれてくる幼児で、発達障害、運動麻痺、てんかん、視力障害などの合併症を抱えています。
難病に指定されているこの病気は、顔面の両側、片側、特に目の周辺のあざで、この病気の患者数は、約1000人で1年間に10人~20人発症しています。
クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群は、血管、リンパ管の奇形によるもので、ポートワイン母斑、静脈瘤、動静脈瘤などの、片側の腕や足の四肢に見られる脈管奇形のあざです。
あざのある方の骨の軟部組織の、成長が早く肥大します。また時にはリンパ管系の、形成異常がみられたり、この脈管奇形は内臓でもみられることがあります。
そのために静脈うっ滞のために血栓性静脈炎や肺塞栓症、深部静脈血栓などの合併症が現れることもあり注意を要する病気です。
単純性血管腫の原因
単純性血管腫の原因は、赤ちゃんがまだお母さんのお腹にいた胎児のころに、皮膚の下層にある真皮の毛細血管が拡張したり、異常繁殖して赤あざができたものです。
なぜ異常繁殖や毛細血管が拡張するのかは、まだ分かってない部分が多いです。顔や首に症状が出る事が多いですが、手足にでることもあり、男の子よりも女の子の赤ちゃんに多く発症します。医学的にはこの病気は遺伝によって、引き起こされるのではないことは分かっています。
単純性血管腫の症状
症状は生まれた時から赤色から、暗赤色の丁度ワインの色に似た色で、平たい境界線のはっきりしたあざが見られます。自然に消えることがないのが特徴で、身体のあらゆるところにでます。
以前は手術などで傷の残るものが殆どでしたが、現在はレーザー治療の進歩と共に、傷の残らない治療が行えるようになりました。
単純性血管腫の治療
単純性血管腫は自然に治るアザではないので、早期から治療が必要となります。顔や頭など目立つ部分にできたアザは、早期に治療しないと、盛り上がってくるので外見に苦しめられることになります。
ですから単純性血管腫がある場合は、できるだけ早く医療機関を訪れて、治療を行うことが重要です。
単純性血管腫の治療方法
70~80%の症状に対して有効とされている、血管レーザー治療が一般的です。治療は早ければ早いほど効果が上がるので、できる限り早く医療機関を訪れてください。
ただし症状が広範囲に及ぶ場合は、麻酔をかけないといけないので、生後3ヶ月までは経過観察し、赤ちゃんの成長を待って、治療にあたるケースが多いですが、医療機関に行って調べてもらうことは大切です。
色素レーザー治療(ダイレーザー治療)
色素レーザー治療は赤いものに、吸収される性質をもつレーザーで、赤あざ治療をするときに使用されるレーザーです。色を変える事でさまざまな治療に使われます。
ダイレーザー治療はレーザーの光が、血液の中のヘモグロビンの赤に反応します。このヘモグロビンに熱エネルギーを発症させ、血管の構造異常を破壊吸収し、周囲組織のダメージを最小限にし赤あざの治療を行います。
単純性血管腫に対して最も効果のある治療法で、また保険適用になっているので、色素レーザーの治療はとても受けやすくなっています。
レザー照射の痛みは無麻酔治療が可能ですが、通常は局所麻酔下で7%リドカイン軟膏を塗ります。単純性血管腫の面積が大きい場合や、病変が目や瞼にある場合は、全身麻酔下のもとで行う方が、治療時間や期間の短縮などの利点が得られますし、照射の確実性や安全性が確保できます。
治療経過は次の通りになります。治療開始して、レーザー照射部位は次のように変化します。
- 照射直後には灰青色になります。
- 24時間後には黒色となります。
- この状態で1週間続きます。抗生剤を含有ワセリン基剤軟膏塗布ガーゼで被覆します。
- 1週間の間に暗赤色になり、一週間以内に上皮化します。
- 2週目に入ると血管腫の赤色調がだんだん薄れてきます。
- この状態が1~2ヶ月続きます。
これ以外の方法として、冷凍療法、電気凝固、放射線療法などがありますが、副作用が伴いますので、現在は行われていないところが多いです。
稀に水ぶくれになることがありますが軟膏で14日程度で治ります。
治療効果
治療効果については病的血管の組織学深度や、血管内の血流の速度、血管腫内血管の赤血球の充満度などにより違いがでてきますが、手のひら、四肢、足底などの有効結果の有効率は低いです。
また成人や色調の変化や隆起病変が生じたものは、根気よく治療を行わなければなりません。大体レーザー治療回数は3~6回で効果が得られます。病院や病状によって違いがでてきます。
腫瘤型については手術療法と、レーザー治療の併用したり、複合レーザー照射などをおこなって取り除きます。
Vビームレーザー
Vビーム治療を行うのに、Vビームレーザーを使用しますが、これは波長が595nmのレーザーで、光が赤色に吸収される特徴があり、血管中のヘモグロビンに反応します。この機械は冷却装置を備えています。
その為に赤く色素沈着したニキビや赤ら顔、ウイルス性のイボ、ケロイドの治療と様々な症状に効果がでて、今までのレーザーに比べてレーザー後の副作用の、赤みや腫れが少ない、最新レーザー治療です。単純性血管腫にも使用されています。
線維芽細胞を設定を変える事で強力に刺激して、コラーゲン生成を促進したり、レージャーフェイシャルにもなる、デリケートな目じりの小じわにも高い効果を上げています。
VビームレーザーをVレーザーといわれる方もいるのでしょうか?
ダイオードレーザー
赤アザ治療にはダイオードレーザーが最も有効的で、毛細血管拡張(赤ら顔)の治療、また血行代謝改善の治療に、緊張や日照り浮きやすい皮膚の赤み、糸状の皮膚の正面に浮いている血管などに使用できます。
また深めの血管にはシナジーを使い、皮膚の血液の酸化ヘモグロビン赤色素のみに反応するので、跡が残ったり皮膚にダメージを与えたりすることはありません。
半導体をつかったレーザーで、さまざまな波長の光を、半導体を変える事でだすことができて、いろいろな治療法に用いられています。
乳幼児の単純性血管腫の治療
乳幼児の場合小範囲であれば、麻酔なしで行いますが、広範囲に広がっていたり、目の付近などは全身麻酔を考慮に入れて、生後3ヶ月を待って色素レーザー治療を行います。
血管腫が成人に比べて、皮膚の浅い所に存在するために、早ければ早いほど治療効果は上がり、治療回数が少なくて済みますので、できるだけ早く医療機関を訪れてください。
小児の単純性血管腫は、正常血管に比べて幼若なためレーザー治療に反応しやすく、治療面積も狭いので治療費など経済的に行うことができます。
単純性血管腫に似た病気の種類とレーザー治療
単純性血管腫に似たあざの病気の種類について、見てみたいと思います。
隠れている部位の場合は気になりませんが、顔など見える部分にできていると、本人も周りの人も精神的な苦痛を受ける時があります。
単純性血管腫に似た病気の種類
母斑症
先天性や後天性によるいわゆるあざのことを母斑といいます。母斑症は身体のあらゆる部位に対して病変を発症し、皮膚に多数の母斑が生じます。
母斑症の代表的なものに、クリッペルウェーバー症候群、スタージウェーバー症候群、色素失調症、結節性硬化症、ポイツ・イエガース症候群、神経線維腫、青色ゴムまり様母斑症候群、神経皮膚黒皮症などがあります。
正中部母斑
正中部母斑はウンナ母斑や、サーモンパッチなど生後すぐに、見られる血管腫です。正中母斑は額の真ん中、うなじ、人中、眉の間などに生じる、新生児から乳幼児にかけてみられる境界線が不鮮明で、色調にムラのある隆起しない紅斑です。
この正中部母斑は大人になるまでに、自然消滅する人が多いです。
サーモンパッチ
サーモンパッチは境界線が不明な、正中部に淡い紅斑がみられ、新生児の20~30%に見られます。額の正中部の物はV型が多く、上瞼のものは両側が多いですが、片側性の物は不規則なものが多いです。
詳しくは、サーモンパッチとは?原因・症状・治療法を紹介!他の赤ちゃんのあざについても知ろう!を読んでおきましょう。
ウンナ母斑
ウンナ母斑は別名ストークマークともいわれ、「コウノトリが運んできた」との言い伝えもあります。
後頭部からうなじにかけて生まれた時からある赤あざで、50%近くは子供から大人になるまで残っています。
ウンナ母斑の原因は子宮の中にいた胎児のときに、うなじの皮膚にある毛細血管が異常増殖したのが原因といわれています。
髪の毛で隠れてしまう部分なので、治療しないでそのまま放置することが多いです。自然に治癒することもあるので、3歳ぐらいまではそのまま放置して様子を見るのが良いかもしれません。不規則な形で逆三角形になる事が多いです。
詳しくは、ウンナ母斑とは?原因や治療法を知ろう!その他の母斑についても紹介!を参考にしてください。
老人性血管腫
皮膚血管腫は老人性血管腫ともいわれ、赤いホクロのような状態や、ホクロ状の赤い斑点ができ中には隆起して、盛り上がっているものもあります。
これは皮膚の中の毛細血管が、異常繁殖して広がったもので、これは思春期のころの若年層から発症する場合もあり、加齢になると発症率は高くなりますが、老人だけがかかる血管腫ではありません。
紫外線を浴びて炎症を繰り返すことで、発症しやすくなりますので、皮膚をできるだけ傷つけなくて、日光や炎症などを防ぐ紫外線対策を、しっかりすることが必要です。
毛細血管拡張症
皮膚の毛細血管が密集している皮膚の、二層目にある真皮が通常であれば、血管が拡張や収縮を自律神経によって、繰り返されているはずです。
しかし何らかの原因で血流の速度や量が調節されず、血流量が増加した状態で、毛細血管が拡張したままになっています。
そうなると血流が滞ってしまい、皮膚が透けて肌が赤く見え、特に頬や鼻などに症状が現われやすく、これを毛細血管拡張症といいます。
原因はハッキリとはしていませんが、自律神経の血流など身体の器官を促進する交感神経が、緊張したままになっていることが原因ではないかといわれています。
詳しくは、毛細血管拡張症の原因とは?治し方や対策方法を紹介!を読んでおきましょう。
あざの医療レーザー治療
現代は医療の発達と共に、保険適用外の治療方法もありますが、保険適用された治療もありますので、痛みの少ない医療レーザー治療を受けるのも、一つの方法ではないでしょうか?
レーザー治療機器も開発され、さまざまな症状に合う医療レーザーが沢山でて、医療レーザー治療も以前よりは効果も高くまた痛みも少ないです。
医療レーザー治療には
医療レーザーにはずっと光り続けるレーザーの連続波レーザーと、一瞬だけ強い光がでるパレスレーザーがあります。
パルスレーザー
パルスレーザーとは点滅を細かい時間間隔で、繰り返すレーザーで、1回の時間はパルス幅と呼ばれるレーザー照射時間です。
連続波レーザー
パルスレーザーと連続波レーザーとは違いがあって、パルスレーザーは発光時間の間隔の短いものであって、連続波レーザーは連続的に行うレーザーです。
・高反応レベルレーザー
疾病部分の細胞を焼却・破壊をレーザーの光の熱で行います。
・低出力レベルレーザー
生体を活性化させる治療に使われ、免疫力を高めたり、血行促進したり、筋肉の緊張を和らげたりします。
YAGレーザー
YAGレーザーは単純性血管腫にもやられる方はおられます。
・QスイッチYAGレーザー
シミを治すレーザーで、QスイッチYAGレーザーは、治療法によってこれまで無理としてきた、レーザー治療のシミでも、治療可能になったレーザーです。
このレーザーは皮膚の深部(真皮)に届く1064nmの波長に加え、半波長の532nmを使用することで、表皮のメラニン色素を効率よく破壊できます。
この2つの波長をそのシミに合わせて、対応できるので波長を切り替える事で、今までできなかったシミの治療もできるようになりました。
この為QスイッチYAGレーザーは、そばかす、老人性色素班(しみ)、脂漏性角化症(いぼ)後天性メラノサイトーシス、太田母斑(青あざ)タトゥー除去などに利用されています。
このレーザーは肝斑だけでなく、ハリ感の増加、毛穴の引き締め、くすみの改善、美白、美肌効果があるといわれています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?単純性血管腫について見てきましたが、単純性血管腫は赤あざが良く目立ちます。以前は手術などで痛みがともない、傷も残りましたが今は医療レーザー治療が普及して、痛みも以前より少なく、傷が残らないのが特徴といえます。
治療を受けている瞬間はピリーとする痛さがあるようですが、瞬間ですので堪えられないことはありませんし、早く治療することで精神的苦痛もなくなります。
単純性血管腫は保険適用なので、どなたも単純血管腫と診断が下されたら、レーザー治療を受けられる方が良いと思います。但し病院によってレーザーや治療方法が異なりますので、病院を事前に調べていかれた方が安心できます。
関連記事として
・海綿状血管腫の症状や原因を紹介!発生しやすい人や治療法、検査法を知ろう!
これらの記事も読んでおきましょう。