ミオクローヌスとは?症状や原因、治療法を知ろう!てんかんとの関係は?

ミオクローヌスという名前を知っていますか?この名前は病気ではなく、症状を意味しています。実はこのミオクローヌス、自分に病気が潜んでいるという身体からのサインかもしれません。

この症状は、誰にでも起こりうるものですので、是非とも本稿を読んで、ミオクローヌスについて知っていただき、もしミオクローヌスが起きた時には、この記事を思い出して頂き冷静な判断をしてもらえたらと思います。

ミオクローヌスとは一体なに?どんな症状なの?

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ミオクローヌスとは一体なんなのでしょうか。一番最初では病名ではなく、症状であると記載しました。

では一体どのような症状なのか、どんなものと似ているのか、他の病気とは関係があるのかをご説明します。

ミオクローヌスとはなにか

ミオクローヌスとは、脳の全体が興奮する事により起こる発作症状のことであり、短時間で電撃が走ったような不随意運動の事です。またけいれん性疾患筋収縮を起こす発作のことをミオクロニー発作といいます。

このけいれんが稀にではなく、普通に生活している、何気ない動作をしている最中にも起こりうるのも、ミオクローヌスの特徴の1つです。身近な例でいえば、しゃっくりは肺の下にある横隔膜の痙攣により起こるミオクローヌスの1つです。しゃっくりを想像してみたら、わかりやすいかもしれませんね。

ミオクローヌスと類似している症状

ミオクローヌスは手足や全身の筋肉がピクッと早く動きます。これと類似した症状として「ジストニア」というものが挙げられます。ジストニアとは、ある一部の筋肉が緊張し強張り、異常な姿勢をとることをいいます。具体例として、痙性斜頚という状態を挙げましょう。頸部の筋肉が緊張する事により常に首が曲がるというものがあります。

このジストニアは中枢神経系の病気が原因であるとされています。この事から、ミオクローヌスとジストニアの違いは、神経性の病気が原因であるか否かであるという判断基準がわかります。

この具体例とミオクローヌスの症状を照らし合わせてみると、中々に違うものであるという事が分かるのではないのでしょうか。

詳しくは、ジストニアはどんな難病?原因・症状・治療法を知ろう!ジストニアの分類も紹介!を読んでおきましょう。

ミオクローヌスとてんかんの関係とは?

また、この痙攣は、「てんかん」の症状として現れるものであると考えられます。

「てんかん」と「けいれん」の違いはご存知でしょうか?「てんかん」は原因が脳にあり、なんどもてんかん発作として、「けいれん」を繰り返すという反復性を持った脳の病気のことを、てんかんといいます。

けいれんは症状で、てんかんは元の病気であると考えたらわかりやすいかもしれませんね。このてんかんによってミオクローヌスが症状として現れています。

詳しくは、てんかんは遺伝する?症状や原因、治療方法についてを読んでおきましょう。

ミオクローヌスの原因は一体なんなの?

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ミオクローヌスは、一般的に問題とみなされる正常なものから、重症な疾患が様々にあり、中々に診断が難しいのが現実です。それぞれの疾患、勿論それぞれによって原因は異なります。

今回、主な6種類のミオクローヌスについて、何故起こってしまうのか、どんな症状が起こりうるのかを各項目ごとにご紹介します。尚、ミオクローヌスの根本である疾患は皮質性、皮質下性、脳幹性、脊髄性、末梢性と別れています。

今回、本稿ではその中でも多いと言われている皮質性のミオクローヌスについてのお話になります。

ミオクローヌスのおおまかな原因とはなにか?

実は、ミオクローヌスというものが、様々な疾患等の症状として出ている可能性があるという事、ご存知でしょうか。この事はてんかんにも関係があります。

先述にもあるように、てんかんを病気としたら、けいれん(ミオクローヌス)はその症状の1つとして挙げる事ができます。つまりこの事は、ミオクローヌスの原因とてんかんの原因は同じものであると考えられます

ですが、ミオクローヌスの原因となるものや疾患は他にも存在します。詳しくは後述しますが、てんかんが原因のものも含めて6個は原因があると考えてよいでしょう。

生理的ミオクローヌス

この生理的ミオクローヌスは2つに分類してご説明します。睡眠時に起こるミオクローヌスと、それ以外の生理的反応により起こるミオクローヌスの2種類です。

睡眠時の反応

睡眠時ミオクローヌスという言葉を聞いたことはあるでしょうか。睡眠時ミオクローヌスとは、眠っている間に筋肉が瞬間的に、或いは継続して収縮する症状のことです。睡眠最中に突然身体がビクっとしてしまい、目を覚ましてしまうという経験をしてしまったことはありませんか?

睡眠時ミオクローヌスとはそのような症状であり、睡眠障害の一種とみなされる事が非常に多いです。ですが、このような症状は誰にでも起こりうることであるため、病気というよりは生理的反応であるという方が正確です。

その他の生理的反応

睡眠時ミオクローヌス以外にも、他にも吃逆(きつぎゃく)や不安誘発性、運動誘発性等もミオクローヌスを起こす生理的反応として挙げられます。吃逆とは、一番最初に具体例として挙げたしゃっくりの事です。

これも生理的ミオクローヌスの1つの例としてあがります。運動誘発性は運動をする事により引き起こされるミオクローヌスの事であり、不安誘発性は、不安を感じたりすることによってミオクローヌスが起きる事を示しています。不

安誘発性の例としては、ストレスを過度に感じた際に瞼がけいれんするような事が例として上がります。

本態性ミオクローヌスとはなに?

この本態性ミオクローヌスは、主に家系で起こりうる遺伝子的問題が主に挙げられます。これは遺伝子に問題がある事はわかっていますが、根本的な原因はまだ医学界では明かされていないのが現実です。

遺伝子がより濃厚に関与しているミオクローヌスのうち、きわめて治りづらいもので進行性ミオクローヌスてんかんというものがあります。これはミオクローヌスの中でも稀に起きるものであり、全てんかんの中で約1%にも満たない発症率です。また、この進行性ミオクローヌスてんかんは後述のてんかん性ミオクローヌスにも分類されます。

症状はどんなものがあるの?

この進行性ミオクローヌスてんかんは名前のとおり、ミオクローヌスを発症し、更に進行性に悪化する痴呆症等を症状とするてんかんです。尚、痴呆症と同時に小脳失調症を発症し、発症後数年以内に寝たきりになる場合も非常に多い事がわかっています。

てんかん性ミオクローヌスとは?

てんかん性ミオクローヌスとは、大脳の神経細胞が異常な電気的興奮を起こす事により起こるミオクローヌスです。

具体例としては、小児性ミオクローヌスてんかんやミトコンドリア脳筋症が挙げられます。今回では、ミトコンドリア脳筋症を具体例として使用します。

ミトコンドリア脳筋症とはなにか?

ミトコンドリア脳筋症とは、遺伝子の変異の場合とミトコンドリアDNAの異常の2通りによって起こりうる病気です。この病気は希少神経難病であり、後天的には血流不全や梗塞、呼吸不全、低酸素血症等に合併します。この病態が蔓延する事によって、臓器における細胞死を引き起こします。

ミトコンドリア脳症は症状はどんなものがあるの?

ミトコンドリア脳筋症では、エネルギーが不足しているために、脳、筋肉等の内分泌系の臓器に障害を引き起こします。このエネルギー不足が改善されないと細胞自体が死んでしまい、臓器不全を起こします。

具体的な内容を言えば、知的退行、認知症、慢性疲労症候群、心不全などを引き起こし、最終的には慢性進行性の経過が悪化してしまいます。

詳しくは、ミトコンドリア脳筋症ってどんな病気?遺伝との関係や症状や原因、病型についてを紹介!治療方法は?を参考にしてください!

症候性ミオクローヌスとは?

症候性ミオクローヌスとは、その原因となる基礎的疾患が脳の全体、或いは一部にある事により、脳内に電気的な異常・過剰放電が起こるミオクローヌスのことです。

分かりやすく言えば、明らかな病変が認められる際に起こるミオクローヌスのことを症候性ミオクローヌスといいます。また、これは病気が原因で起きる症候性全般ミオクローヌスと、症候性部分ミオクローヌスが存在します。

症候性全般性と部分、なにが違うの?

全般性ミオクローヌスと部分ミオクローヌスの違いは、大きくいってしまうと原因となる脳の部位が広い部位か、一部であるかが違いとなります。

全般性は大脳の両側にまたがる広いに過剰な興奮が起きる事によりけいれん発作が発生するミオクローヌスであり、部分発作は脳の一部に限定されてけいれん発作がおきるものです。部分発作の中には、部分発作から全般発作がみられるものもあります。

薬剤障害ミオクローヌスとは?

ミオクローヌスの中で、唯一人為的原因によって引き起こされるものがこの薬剤障害ミオクローヌスです。何らかの病気を治療する為に医師が処方した薬剤によってミオクローヌスが誘発される事をいいます。

原因となる薬剤は、主に抗精神病薬、抗パーキンソン病薬、抗うつ剤、抗てんかん薬等が挙げられます。これらの薬剤は、ミオクローヌスの症状が認められたら即座に投薬を中止し、その症状を緩和する薬剤を新たに投薬する事が求められます。

一体ミオクローヌスは、どんな病気が原因で起きるの?

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様々な病気がミオクローヌスの原因疾患として存在するというお話を先述では行いました。今回は代表的な例として4つのみ説明します。

代謝性疾患

私たち人間は体内で必要な栄養素を使用し、活動するためのエネルギーを生産します。その一連の過程を代謝と呼び、この代謝が上手くいかないことにより活動をするためのエネルギーが上手く作れないという事が起きてしまいます。

このような代謝が上手くいかない状態の事を代謝性疾患といいます。この代謝性疾患の例としては尿毒症、肝不全、腎不全、高血糖性昏睡、低血糖等が挙げられます。

ヤコブ病

この病気は正式名称を「クロイツフェルト・ヤコブ病」といい、ブリオン病の1つです。この病気は通常、自然発生が多いですが、異常な遺伝子を持つ事や汚染された牛肉を食する事によっても発症します。発症者の死亡率が極めて高い病気としても名前が知られています。

ヤコブ病の症状として顕著なものは記憶喪失・錯乱が多く見受けられます。その次に多く見受けられる症状として筋痙攣(ミオクローヌス)が現れます。また、この病気の特徴として、患者が驚いた際にミオクローヌスの症状、つまり筋痙攣が普通の状態より顕著に現れるという事がわかっています。

詳しくは、クロイツフェルト・ヤコブ病とは?感染経路や原因を知ろう!症状や治療法はなに?似ている病気はなにがある?を読んでおきましょう。

中枢神経障害

脳と脊髄から成る中枢神経が主には外傷を受ける事により、腫瘍を起こした状態の事を中枢神経障害といいます。しかし、例外として外傷を受けてもいないのに起こる中枢神経障害があります。そのうちの1つに脳血管障害と言われるものがあります。

これは病名で言えば、脳梗塞や脳出血が挙げられます。脳血管障害が原因で大脳に傷がついてしまったり、腫瘍や出血によって脳が圧迫されてしまいます。これにより、てんかんが発症する可能性が高くなり、ミオクローヌスが発生するという過程を辿るという場合が多いようです。

認知症

近年ではよくきく病名ですね、認知症。実はこれの症状としてのミオクローヌスがあらわれているんです。顕著な症状としては、健忘症状、知的障害等が見受けられます。しかしこれらの症状は初期・中盤に起こる症状です。

高度な認知症の末期症状として、しばしばミオクローヌスが見受けられる事が多いです。部位で言えば手足に多く、上手く動作が出来なくなる事から失禁を行う患者もいるという事が事実としてあります。

アルツハイマー病

アルツハイマー病もよく聞く病気ですね。これは認識されにくい記憶力の減退や精神錯乱、判断力の低下、痙攣が症状として見受けられます。この症状として挙げられる痙攣がミオクローヌスである事が分かっています。

ミオクローヌスを治療するには一体どうしたらいいの?

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さて、ミオクローヌスを治療する為には、実際どんな病気が根幹にあるのか等を知る事が大切です。それを知る為には、検査をしなければいけませんね。

実際、どんな検査方法があるのでしょうか。専門的な内容として、臨床神経生理学的検査というものがあります。この分野の検査として2つ、ご紹介します。

表面筋電図と脳波の同時記録

表面筋電図検査とはなんでしょうか。これは、対象となる筋肉に沿って電極を装着することによって、筋肉の動きを記録するものです。これと脳波計を組み合わせて使用する事によって、どの程度の不随意運動が起きているのかを計測します。

どのような病気によってミオクローヌスが発生しているのかを推定し、そこから治療の方針を定めていきます。

体性感覚誘発電位検査

この検査は、身体の視覚、聴覚等の感覚神経に刺激を与える事により得られる小さな電位を使用します。これを使って、末梢神経から脳幹、大脳皮質にまで至る長い神経路の機能障害を測定し、病気を推定します。

これにおける機能障害は、検査結果中では異常として扱われます。この異常の現れ具合によって、脳幹に障害があるか否か、或いは末梢神経に障害があるのかなどの5種類がわかるようになっています。

どんな治療をするの?

ミオクローヌスを治療するにあたって、最も重要な事は原因疾患を治療する事、或いは薬物誘発性ミオクローヌスにおいては原因薬剤による疾患の治療です。この他にも代謝障害等が原因として見受けられます。つまり、原因を明確化させ、更に代謝障害を抑える事が最優先として扱われます。

使用される治療方法として、挙げられるのは薬物療法です。てんかんを治療する為に使用する、抗てんかん薬を使用し、原因疾患の治療を行います。ミオクローヌスは主にてんかんの全般発作と部分発作によって、使用する薬剤が異なります。ですので、まずは先述した二つの検査を受けてから、原因を追求します。

そこから適切な抗てんかん薬の投与、或いは治療段階によっては切り替える事が大切であると考えてよいでしょう。

まとめ

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さて今回「ミオクローヌス」にとは一体なんなのかという所から始まり、治療法までをご説明しました。簡単にまとめてみましょう。

ミオクローヌスとは、しゃっくりのように自分の意思で動かしていないのに、筋収縮をしてしまう不随意運動の事です。聞いた事がある病名だと、てんかんの症状の1つとして起こるけいれんの事をミオクローヌスといいます。このミオクローヌスを起こる発作のことをミオクロニー発作です。

原因としては非常に様々なものがあり、代表的なものは生理的反応、遺伝子の異常、てんかん、病気、症候性、薬物等が挙げられます。原因となる病気は認知症、代謝性疾患、ヤコブ病、中枢神経障害等があります。

このミオクローヌスを診断する検査方法としては、表面の筋肉に電極を装着し、筋肉の動きを測定する表面筋電図検査と、感覚神経に刺激を与える事によって機能障害を測定する体性感覚誘発電位検査の2つを行います。

このミオクローヌスは必ず治る症状ですので、もし起こってしまったら、詳しい2つの検査と正しい治療を受けるようにしましょう。

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