手に怪我をしているわけでもないのに、なぜか手が痺れて痛い時ってありますよね。チクチクする刺激的な痛みやジンジンと鈍い痛みと、痺れ方にも色々種類があります。
その原因っていったいどこからくるのでしょう。
末梢神経の病気で手が痺れる
末梢神経とは体の色々なところに存在している神経繊維の事です。手の痺れに関係してくるのが主に腕、手首、手指に繋がっている末梢神経系で、何かしらの異常があり手に痺れを感じる事があります。手の中でも痺れる場所やどのように痺れているかで判断する事が出来ます。
●胸郭出口症候群
鎖骨の周辺に腕神経叢(わんしんけいそう)という末梢神経の束があります。この末梢神経は骨下動脈・鎖骨下静脈と一緒に腕や手指に繋がっています。この血管と末梢神経が圧迫される事によって手に痺れが起こります。
――症状――
手指や腕に痺れを感じ、それと共に「熱を持った感覚」「冷たくなる感覚」「脱力感」を感じます。それから暫くして首や肩に脈打つような痛みが起こります。感覚的な症状の他にも、動脈が圧迫されると腕、手指の色が青白くなるので見た目でもわかります。
この状態が一定時間続くと腕や手指を全く動かせなくなる状態にまでなってしまいます。
――原因――
第7頚椎から出ている頚肋や第7頚椎横突起、胸郭出口を横切っている異常な繊維性索状物と言われています。特になで肩の女性に多いが、男性でも筋肉を人並み以上に鍛えている人がよくなります。
●手根管症候群
手首内に存在する腱と神経が通っている手根管というトンネルの中を走る正中神経が、何らかの原因で手根管内圧が上昇し、圧迫されてしまう事によって起こるものです。
――症状――
この手根管症候群は手の中でも症状が現れる部分が限られているので、とても分かりやすい症状になっています。薬指の中指側半分から親指にかけて痺れるというのが特徴的です。手根管は薬指の小指側半分から小指にかけては神経が通っていないので痺れを感じる事はありません。
そして特に夜中から朝方にかけて痺れる症状が悪化し、起床時に激しい痛みを感じるのも特徴的です。
――原因――
この症候群は突発性の物が多く原因は明らかになっていません。骨折などの怪我を経験している人や、仕事やスポーツで同じ動きを繰り替えし行う人に多いようです。一番の原因は手の酷使によるものです。
●肘部管症候群
肘の内側に肘部管というトンネルを通っている、小指・薬指の感覚と動きを支配している尺骨神経が何らかの原因で圧迫されることによって発生する神経麻痺です。
――症状――
主に薬指の小指側半分から小指にかけて痺れを感じるのが特徴的です。神経麻痺が酷くなると、手の筋肉が痩せてきたり小指と薬指がまっすぐにならず、変形したまま固まってしまう事もあります。
――原因――
肘の内側に位置する上腕骨内上顆という部分の後ろに、骨と靭帯で作られた肘部管というトンネルがあり、そこを尺骨管が通っているわけです。このトンネルはとても狭く普通の時でも圧迫されやすい場所なのです。
そこがトンネルを作っている骨が骨棘・靭帯の肥厚化・ガングリオン膿腫によって圧迫されることによって肘部管症候群になります。
脳の病気で手が痺れる
手の痺れと共に体全体に症状が出る場合は、脳の病気を疑いましょう。
●脳出血
脳内にある血管が何らかの原因で破けてしまい、大脳・小脳・脳幹に出血した状態の事を言います。この為、脳で制御している意識・運動・感覚において障害が起きます。
――症状――
一般的に「頭痛」「嘔吐」「意識障害」「片麻痺」が患者さんの多くに見られる症状です。脳の中で出血する場所によっても症状が少し変わってきます。
- 被殻出血:「片麻痺」「感覚障害」「同名性半盲」
- 視床出血:「片麻痺」「感覚障害」「半身の酷い痛み」
- 皮質下出血:「片麻痺」「半盲」「失語」
- 橋出血:「意識障害」「高熱」「縮瞳」「呼吸異常」「四肢麻痺」
- 小脳出血:「回転性のめまい」「歩行障害」「頭痛」「嘔吐」
――原因――
脳出血で最も多い原因が高血圧です。重度の高血圧と診断されなくても上の血圧が120mmHg以上あれば発症する確率が高くなります。また、野菜不足の食生活を続けていると脳出血になる可能性が高くなります。緑黄色野菜や果物をたくさん摂取する事をオススメします。
アルコールの過剰摂取すると、血圧が上昇して脳出血のリスクが高まります。アルコールは脳出血の他にも肝機能障害など、体のあちこちに影響をもたらすので気を付けてください。
詳しくは、脳出血の前兆とは?頭痛やしびれなどの症状に注意!を参考にしてください。
●脳梗塞
脳の血管が詰まり何らかの原因で脳の血の巡りが低下してしまい、脳が酸素不足や栄養不足に陥った状態の事を脳梗塞と呼びます。その状態がある一定時間続いてしまうと、脳の組織が壊死してしまう事もあります。予防や治療の面から以下の3つに分類されるようになりました。
・アテローム血栓性脳梗塞
脳、頸部の脳の中でも比較的太めの血管の動脈硬化が起こり、その硬化した部分の血管が詰まってしまい血流が悪くなります。また、硬化した部分の血栓が剥がれて他の部位に流れ狭い血管の場所に詰まってしまう状態の事を言います。
・心原性脳塞栓症(しんげんせいのうそくせんしょう)
心房細動、心臓弁膜症、心筋梗塞などで心臓に血栓ができ、それが血液と一緒に脳まで流され脳梗塞になった状態の事を言います。
・ラクナ梗塞
脳の深部にある直径1mmの細い血管の2分の1~3分の1ほど詰まり、15mm以下の脳梗塞が出来た状態の事を言います。
――症状――
- 「片方の手や足が痺れる」
- 「急に手の力が抜ける」
- 「めまい」
- 「ろれつが回らない」
- 「立っているのが苦痛」
- 「言語障害」
- 「文字が思うように書けない」
- 「片側の目が一時的に見づらくなる」
- 「物が二重に見える」
これらの症状は一過性脳虚血発作と言い、脳の血流が一時的に悪くなる事で起こる症状です。
血栓が詰まって起こる症状ですが、一時的に詰まり血栓は溶けて血流が元に戻ってしまうので、約30分ほどで症状が消えます。すぐに症状が無くなってしまうので、あまり深く考えない人が多いのですが、これらの症状は脳梗塞の初期症状ですのでこの時点で治療を開始すれば、重症化する事を防ぐことが出来ます。
脳梗塞で最も多い症状が「片麻痺」です。右脳の血管が詰まった場合左半身に、左脳の血管が詰まった場合は右半身に麻痺が起こります。
――原因――
高血圧・高脂血症・糖尿病・肥満といった生活習慣病が原因となるものがほとんどです。
また、心臓病や喫煙も脳梗塞に繋がります。生活習慣病や喫煙は脳梗塞の下地の動脈硬化を促進する作用があるので気を付けなければいけません。
●くも膜下出血
脳は硬膜・くも膜・軟膜という3つの膜で覆われています。そのくも膜下腔の部分が出血した状態の事を言います。よく脳梗塞と同じと考えている人もいらっしゃいますが、脳梗塞は脳自体がやられていますが、くも膜下出血は脳自体には異常が無く、くも膜下の部分だけが出血している状態になります。
――症状――
・脳動脈瘤の破裂によるもの
破裂によるくも膜下出血になった人のほとんどが「ハンマーで殴られたような痛み」と表現します。今までに経験した事の無いようなとても激しい痛みが頭に起こります。それにプラスして「吐き気」「嘔吐」「意識障害」を起こします。
・脳動静脈奇形からの出血によるもの
痙攣発作がとても多く、出血する場所によっては「頭痛」「吐き気」「意識障害」などの症状が現れますが、動脈瘤の破裂ほど酷くはなりません。
突然死としても有名な病気ですが、実は数日前から血圧の乱れや違和感が前兆として現れるので、そこで気が付くことが出来れば危険な状態を回避する事が出来るかもしれません。
主に「血圧の乱れ」「頭痛」「めまい」「吐き気」「嘔吐」が前兆として現れる事があります。ほんの少しの症状になるので軽視してしまいがちですが、元々喫煙している人や高血圧の人や高コレステロールの人は、こういった少しの症状でも病院に行く事をオススメします。
――原因――
喫煙と高血圧によるくも膜下出血が大半です。喫煙には血管を細くする作用があり、くも膜下出血ととても繋がりがあります。ただでさえ高血圧でリスクがある人が喫煙をするなどもっての外です。禁煙を心がけるようにして下さい。
くも膜下出血については、くも膜下出血の前兆をチェック!頭痛に要注意?を参考にしてください。
脊髄の病気で手が痺れる
脊髄の病気により手が痺れることがあります。
●脊髄腫瘍
脊髄とは脊椎の中に存在する中枢神経の事を言います。この部分は硬膜・くも膜・軟膜の3つの膜で覆われています。脊髄内部の細胞から発生した腫瘍の事を脊髄腫瘍と言います。その腫瘍が発生した場所により「硬膜外腫瘍」「硬膜内髄外腫瘍」「髄内腫瘍」の3つに分類されます。
――症状――
「全身の痺れ」「脱力感」「運動障害」
徐々に痺れから痛みに変わり、ペンなどを持つのが困難になるほど力が入らなくなる事もあります。
――原因――
残念ながら主な原因は解明されておらず不明のままです。
●脊髄損傷
脊髄の骨折や脱臼を起こした際に生じる脊髄の損傷の状態を言います。
――症状――
どのくらい脊髄が損傷しているかによって症状が大きく変わってきます。損傷した部位が脳に近いほど麻痺する範囲が広がってきます。脳からの命令が完全に伝達出来なくなり、体が動かなくなってしまう完全型や一部の機能が働く不完全型があります。
――原因――
交通事故や高い場所からの転落などが主な原因です。高齢の人は転倒によって損傷する人が多いですが、若い人はダイビングやスノボーなどのスポーツ外傷で起こす人もいます。
血がうまく流れていない
血行不良によって手が痺れる場合もあります。わかりやすい例を挙げると、寝る時の体制によって血管が一定時間圧迫され起床時に起きる痺れも一時的な血行不良による痺れです。
他にも正座した時に足が痺れて暫く立てなかったりする状態も血行不良による痺れです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?手の痺れには単純に一時的な血行不良の物から、重症の病気まで色々な原因がある事を頭に入れていて欲しいです。特に重症の病気は手の痺れの他に、嘔吐やめまいといった症状が一緒に現れるのでその場合は診察を受けましょう。
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