便秘はとても身近な体の悩みの1つです。便がなかなか出ないと、お腹が張ってしまい体型が崩れてしまうことがありますよね。さらに人によっては腹痛の原因になったりします。
便秘の原因は一般的に腸内の環境の悪化が考えられますが、もう一つ「ねじれ腸」という状態がきっかけとなっていることがあります。では、このねじれ腸について詳しくみていきましょう。
ねじれ腸とは
ねじれ腸とはその名の通り、腸がねじれてしまっている状態。名前そのものには医学的な名称はなく、教科書的には「腸管形態異常」と呼ばれる状態です。それをわかりやすく「ねじれ腸」と表現しています。腸の形態そのものに異常が起きているのですね。これは日本人に多くみられる腸の状態といわれています。
ねじれ腸の提唱者である久里浜医療センターの水上健先生は、ストレスに関係ない過敏性腸症候群では、こういった腸のねじれが顕著にみられていると提唱しています。そして、便秘はこの状態が引き起こしていて、マッサージ等によって改善することもおっしゃっています。
腸に優しいもの、消化が良いものを食べているのに長年便秘症状が続いている。こういう人はねじれ腸の可能性が高いといわれています。腸そのものが変形していて便の通りが悪くなっているのですから、便秘になってしまいますよね。レントゲン等でみるとその特徴がよくわかります。
ねじれ腸の簡単チェック法
自分がねじれ腸かどうか。それはレントゲンを撮ればすぐにわかるのですが、なかなかそうはいきませんよね。水上健先生がおっしゃるチェック項目として、以下の4つがあげられます。
- 子供の頃から便秘症状がある
- 便秘をすると腹痛症状が伴う
- 便秘の後に下痢や軟便が出る
- 運動量の減少とともに便秘になる
以上4つの項目のうち、2つ以上チェックに該当する場合はねじれ腸の可能性が高いといいます。子供のころから便秘というのも、なかなか辛いですよね。症状に何十年と悩んでいる人が実はねじれ腸だったというケースもあるようです。
腸内環境に依存しない便秘
普通の便秘症状は腸内環境の悪化によって起こります。腸の機能が低下し、蠕動運動などが緩慢になることで、便秘症状が起こるのですね。これは食生活やストレスが引き金になっていることがあります。
しかし、ねじれ腸は腸そのものがねじれている状態です。便はその蛇行した道を進まなければなりませんから、当然詰まることもあるわけです。そして、便秘になってしまうのですね。
ストレスもなく、運動もよくしていて、食生活も良い。だけど、便秘症状…そういう人はねじれ腸の可能性があるかもしれません。では、どうやってねじれ腸を治し、便秘改善していけばいいのでしょうか。
ねじれ腸を改善するマッサージ・エクササイズ
ねじれ腸を改善するためには、直接体をマッサージ・体操する方法が効果的です。
一般的な腸内環境の改善法を実施することもいいですが、こちらの方が効果を実感することができるでしょう。その方法は以下の通りです。
お腹をねじる体操
お腹をねじることで腸管を刺激し、ねじれ腸を改善します。普段あまり動かない腸管も体操をすることで動き始めます。そして、便秘解消効果を早期に実感することができるでしょう。方法は次の通りです。
- 立った状態から始めます。
- 足を肩幅大に開きます。
- そのまま両手を左右に上げ、水平に保ちます。
- 上体を左右にひねります。
この体操を1分間続けるようにしましょう。大切なのはお腹がねじるれていることに意識を向けること。普段しない動作ですが、ねじれ腸には効果的なので続けるようにしましょう。
両手で腸を刺激するお腹マッサージ
お腹をねじる体操の次は、両手で腸を刺激していきます。手で押してあげることで、さらに刺激を与え、腸の形を元に戻す効果が期待できます。方法は次の通りです。
- 仰向けの状態から始めます。
- 両膝を立てます。
- 腰・お尻にクッションを敷きましょう。
- 左肋骨の下から骨盤に向けて、両手でマッサージしていきます。
このマッサージ法は腸の下行結腸という部分に働きかけます。腸の形は漢字の「囗」のような形をしていますが、向かって右側が下行結腸にあたります。この部分を意識してマッサージをしてあげましょう。
おへそから恥骨へのマッサージ
次はおへそから恥骨へマッサージをしていきます。これは腸のS状結腸という部分に働きかけるマッサージです。方法は次の通りです。
- 仰向けの状態から始めます。
- 両膝を立てます。
- 腰・お尻にクッションを敷きましょう。
- おへそから恥骨に向けてマッサージをします。1分間行いましょう。
- 今度は反対に恥骨からおへそに向かってマッサージをします。これも1分間行いましょう。
おへそから恥骨へマッサージをするときは、S状結腸を押すイメージで。反対に恥骨からおへそへマッサージするときは腸を上下に持ち上げるイメージを持ってマッサージをすると効果的です。
毎日、朝夜1回ずつ行いましょう
ご紹介した体操や便秘解消マッサージを朝夜1回ずつ毎日行うようにしてください。
毎日続けることで便秘解消効果を実感できるはずです。早い人ではその日からお通じがあるケースもあり、その即効性を実感できるかもしれません。
ねじれ腸と一般的な便秘の違い
ねじれ腸は腸そのものがねじれていて、便の通りを悪くしてしまい、便秘になってしまう状態でした。これは一般的な便秘とは異なるメカニズムです。
では、一般的な便秘はどういったメカニズムで起こるのか。このことについてもみていきましょう。
どうして便秘が起こるのか?
一般的に便秘が起こる原因は大きく3つ挙げられます。
具体的には「便の停滞」「腸機能の低下」「腸の緊張」があります。このいずれかに該当すると、便秘症状を招くことがあります。それぞれ具体的にみていきましょう。
便の停滞
便が出る前にある直腸で便の停滞が起こっている状態です。通常であればお腹に便が溜まると排便するようになるのですが、なんらかの原因でそれが起こらず、便が止まってしまっています。よくあるタイプの便秘です。また、弁を出す際に痔を招くことがあるのもこのタイプです。
腸機能の低下
腸内環境の悪化などにより、腸機能が低下してしまう状態です。便を動かす蠕動運動が行われないため、便の水分が吸収され過ぎてしまい硬い便が形成されます。これもよくある便秘の原因です。
腸の緊張
日常生活で受けているストレスなどによって腸が緊張すると、腸が細くなる現象が起こります。すると、便がコロコロとした小さい形になることがあります。また、便がうまく運ばれず、便秘になりやすくなります。特にダイエット中の過度なストレスが便秘の引き金になることがあります。
一般的な便秘解消法
上記の理由から、便秘の一般的な解消方法はなるべく腸内環境を良くして、ストレスを溜めないというようなことがよく行われます。そうすることで、腸機能が回復し、便が出るようになるというのですね。
腸内環境の正常化にはよく食物繊維が良いと言われています。食物繊維は腸内細菌でも良い働きをする善玉菌のエサになったり、便形成において重要になる成分だからです。食物繊維量の多いものを普段から意識して食べている人は便秘になりにくい傾向があります。
ストレスを溜めないというのも重要な便秘解消法です。腸管はストレスを受けやすい臓器です。長期的に強いストレスを受けると、それだけ便秘症状が悪化したり、お腹が張るなんてことが起こります。日々リラックスして過ごすことが大切です。
一般的な便秘解消法が該当しないケースこそねじれ腸
一方でこのような便秘の解消法を実践してみても、便秘が解消されない人がいます。それこそ、ご紹介したねじれ腸の人。腸がねじれたり、蛇行しているせいで便の通りがわるくなっているのです。
便が腸に長くいればいるほど、水分は吸われてしまい硬くなります。そして、さらに便が出にくくなってしまう…そんな悪循環に陥ってしまうことがあるのです。ねじれ腸の疑いがある人は一刻も早く体操・マッサージをしたほうがいいでしょう。
便秘解消のために意識したい生活習慣・対策
ねじれ腸にしろ、他の便秘原因にしろ、普段から体のことをいたわることは必要です。きちんとした休養を取る必要はありますし、それは便秘だけではなく、身体の健康に直結することでしょう。免疫力を上げ、病気を遠ざけることにも貢献してくれます。
ねじれ腸を始めとする便秘原因を根本から解決するためには、生活改善や体に良い習慣を身につける必要があります。では、具体的にどのような習慣があるのでしょうか。
マッサージを習慣化する
ねじれ腸の可能性がある場合、マッサージをきちんと継続するようにしましょう。朝と夜の2回。時間は4分程度しかかかりませんから、ぜひ実践してみてください。
習慣化するポイントとしては、何かの行動と紐づけること。〇〇をしたらマッサージをするというようにすれば、きちんと継続することができるでしょう。
腸に優しい食べ物を食べる
腸内環境の改善方法は便秘解消だけでなく、体全体の健康を向上させてくれます。腸内細菌が作り出す酵素は、生命維持には欠かせない成分が含まれているといいます。
腸内環境を良くしてくれる食べ物としては食物繊維を含むものがおすすめです。また、ヨーグルトなどの発酵物も日常的に食事から食べることで、腸内環境を改善してくれるでしょう。オリーブオイルなどの良質の油も腸内の便環境を良くしてくれます。食習慣に気をつけたいものです。
ちなみに注意したいのが砂糖を含むヨーグルト。これは腸内環境とは別に肥満の原因となるので食べ過ぎには注意したいものです。できれば無糖のヨーグルトを食べるようにしましょう。
運動をする
腸の運動に刺激を与えるのが体を動かすことです。ウォーキングをするだけでも、腸の動きが活発になり便秘解消に効果的です。もちろん、健康を維持する上でも重要です。
仕事の忙しさから、なかなか運動ができないという人でも朝少しの時間運動してみたり、帰宅した後歩いてみてください。心身ともに健康になるのを感じると思いますよ。
ストレスを減らす
先にも述べたように胃腸はストレスを受けやすい臓器です。日々のストレスは目に見えない部分で負担をかけていることがあるのです。そのため、ストレスとの付き合い方はとても重要です。
便秘対策のためには体をリラックスすることができる入浴をしてみたり、アロマを焚いてみたり。睡眠時間を十分にとるというのも重要な休養です。体をリラックスする、休ませることも意識してみてください。
腸の深刻な病気
長期的な便秘を患っていたり、腸に悪い食べ物を食べることは病気のリスクを高めてしまいます。それは歳を重ねた時に深刻な病気を招き、時として命を脅かすこともあるでしょう。
腸の病気にはどういったものがあるのでしょうか。このことについて詳しくみていきましょう。
大腸がん
女性のがん死亡原因の第一位は大腸がんです。女性にとってはそれほど身近ながんの1つといえるでしょう。大腸ガンといっても直腸やS状結腸、上行結腸など様々な部位にがんができます。
大腸がんの原因は食生活の欧米化といわれています。つまり、脂肪分の多い食事やカロリーが多い食事を日常的に摂るようになったことが原因と考えられています。そのほか、飲酒や喫煙といったことも病気の引き金になることがあります。
大腸がんを発症すると初期症状として便の回数が多くなる、便が細くなるなどの症状がみられます。症状が進行するに伴って、お腹の張り、体重の減少、下血、下痢症状などがみられます。下血が出てくるようになったら、かなり用心しなければなりません。
過敏性腸症候群
その名の通り、腸が過敏状態になっている病気です。症状は多岐にわたり、腹痛、ガス腹、便秘、下痢などがみられます。一般的にはストレスが原因といわれていますが、食生活の乱れや不規則な生活習慣などによっても発症することがあります。症状が進行すると腸症状だけでなく、精神障害や頭痛などにまで広がることがあります。
一過性の腸症状は誰しも起こることがあります。緊張する場面に遭遇するとオナラがたまるなんてことは良くあります。しかしそのような症状が一ヶ月以上続くと、過敏性腸症候群の可能性があるでしょう。腸の状態が悪くなる可能性もあるので、自覚がある人は早めに病院へ行くようにしましょう。
詳しくは、過敏性腸症候群の症状をチェック!治療方法は?を読んでおきましょう。
大腸ポリープ
大腸の内視鏡検査をするとポリープがあると診断を受けることがあります。ポリープとは良性の腫瘍のことです。無害であることが多いのですが、しばし大腸ガンに進行することがあるため、注意が必要なものでもあります。
ただ、年齢を重ねればポリープはよく発生するもので、できたからといって心配になる必要はありません。今までより食生活に気をつけて、生活習慣に気をつけることができれば、病気のリスクは減るでしょう。
詳しくは、大腸ポリープの原因について!種類と症状、予防法も紹介!を読んでおきましょう。
感染性腸炎
何かしらの細菌・ウイルスに感染することで起こる腸炎です。ノロウイルスや赤痢といったものが代表的です。下痢や腹痛症状を始め、嘔吐などもみられます。一過性であることが多く、あまり症状は長く続きません。
感染の原因は様々です。衛生環境の悪い国へ渡航していたり、汚染された食べ物を食べてしまったなどが考えられます。感染に気付いた時は早めに病院へ行き、治療を受けるようにしましょう。また、下痢によって水分が減ってしまうので、きちんと水分補給をするようにします。
腸の状態は便を見ればわかる
基本的には毎日出る便は腸の健康状態を表してくれています。そのため、便秘を始め便に異常があるようであれば、何かしら改善する必要があるでしょう。そのまま放置してしまうと、将来の病気に繋がることがあります。
便秘に関して言えば、腸内で発生したガスが血液に乗り、体のあらゆる部分に悪影響を与えることがあります。身近なところで言えば肌荒れやふきでものも、便秘による症状と言われています。
便はいわば生ゴミ。それは何日も体に溜め込んで置くことは良くないことですよね。排便するためにも、きちんと食事やマッサージをしていくことをおすすめします。
まとめ
一般的にいわれている便秘解消法をいくつも試したけど、効果を実感することができなかった。そういう人は、腸の形そのものに異常があるのかもしれません。
しかし、それを改善することは1日4分のマッサージだけで、とても簡単です。今すぐ実行するかしないかで、その結果に大きな差が生じることでしょう。
便秘歴が長くいつも悩んでいる。いつもトイレで力んでいて、痛みもあり辛い。病院や専門外来でもただのストレスと言われて症状がなかなか改善しない。そういった人はぜひ実践してみてくださいね。きっと効果を実感することができるでしょう。
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