ウンナ母斑とは生まれてまもない、赤ちゃんの頭からうなじにかけて、境界線がはっきりとしない赤あざが出来ていることがあります。これをウンナ母斑と言います。
ウンナ母斑については、コウノトリがくちばしで運んできたとか、ヨーロッパでは天使のキスマークともいわれとても微笑ましい言い伝えが残されています。ウンナ母斑について調べてみました。
ウンナ母斑とは
ウンナ母斑とは生後生まれて間もない、新生児の全体の1割程度の赤ちゃんに、境界がはっきりしない平らな赤あざが、後頭部からうなじにかけてできます。
ウンナ母斑は正中部母斑の一種で、正中母斑は20~30%の新生児にみられます。
ウンナ母斑とサーモンパッチ
ウンナ母斑と似たような赤あざが顔面にでる「サーモンパッチ」といって、区別されていますが新生児の20~30%がどちらかに現われます。
単純性血管腫(火炎母斑)など代表的な顔面に出るあざなどと、区別されています。
サーモンパッチについては、サーモンパッチとは?原因・症状・治療法を紹介!他の赤ちゃんのあざについても知ろう!を読んでおきましょう。
言い伝え
ウンナ母斑は、ストークマークと言ってコウノトリが、首を加えて飛んできた、幸運の印だと言われているそうです。
またコウノトリのくちばしの跡と、言われているウンナ母斑ですが、ヨーロッパでは天使のキスマークと表現しているそうです。
消滅
ウンナ母斑の場合は3歳頃までに、皮膚のあざが消えてなくなるのが一般的です。それ以上消えないと、大人になっても消えない人もいるそうです。お母さんにもおなじウンナ母斑がある家庭もあって、遺伝的な要素も考えられることもあるようです。
ウンナ母斑はできているところが、頭の後ろからうなじなので、大人になっても目立たなくなるので殆どの人が、治療しないそうです。治療法はレーザー治療になります。
ウンナ母斑の原因
ウンナ母斑の原因は毛細血管が過剰に増殖したり、拡張したりして血管が浮き出たものです。血管が作られる過程で、何らかのトラブルがあったのではないかと言われていますが本当の原因はまだ分かっていません。
皮膚の一番外側の表皮より一つ内側の真皮の部分で、毛細血管が拡張・増殖したのが原因で、赤いあざとなっていて、神経障害とは全く関係がありません。ウンナ母斑は真皮の毛細血管の異常増殖拡張が原因で、神経には影響がありません。
ウンナ母斑の症状
ウンナ母斑の症状は1年半くらいしたら自然に約半数は消えます。後頭部からうなじにかけてですので、赤ちゃんの場合は目立つかもしれません。
ウンナ母斑は赤みが強く、消えるのがゆっくりとしています。しかしうなじなので、毛を焼くことになりますので、そのままにされる方も多いです。
50%は3歳くらいまでで、消えてしまいますが、3歳以後残っている人は大人になっても消えない人もいます。
ウンナ母斑の治療
ウンナ母斑の治療はレーザー光線で照射します。医療レーザーを使った治療ですが、Vビームレーザーと言う機械で行われることが多く、1~2回の照射でほとんど目立たなくなります。このVビームレーザーは、赤い色素を吸収する性質があるために、ウンナ母斑の赤あざにはとても有効です。
他の細胞を傷つけることなく、赤く色素沈着した色素細胞のヘモグロビンと反応して、色素沈着の細胞を除去する可能性があります。但し機械については、病院によって異なりますので、医師の説明をよく聞いて、納得したうえで治療方針を、決める事が大切です。
また自然に消えることもあるので、経過観察して様子を見る場合もあり、治療をしない人も多くおられます。
ウンナ母斑の様なあざの種類について
あざについて見てみたいと思います。あざとはどうの様なものを言うのでしょうか?あざの種類について調べましたら、とてもたくさんの種類があり、新生児や幼児のあざについてみてみました。
あざとはメラニン色素や血管が皮膚の一部に増えて、形や色などの異常によって起こるものです。あざの色には赤、茶、青、紫、黒など様々な種類の色素があります。
赤ちゃんのあざについては、たいていの場合は良性のあざが多いですが、中には悪性のものや、成長と共に大きくなるものもありますので、あざをみつけたら、皮膚科に受診して良性か悪性かを、検査してもらうと安心できます。
新生児中心性紅斑
新生児中心性紅斑と言うのは、赤ちゃんの身体の中心にそってできる、血管の拡張によりみられる紅斑です。中心部の頭部や背中に紅斑がでることもあります。
この紅斑にはウンナ母斑、サーモンパッチ、火炎母斑が代表的です。
蒙古斑
蒙古斑はお尻にできる青いあざです。生後間もない赤ちゃんのお尻にできるのを見かけると思います。蒙古斑の場合は色の濃いものは、大人になっても残るものがあるそうです。
原因はメラニン色素のメラサイトが、赤ちゃんの胎生期に真皮に残っていることが原因で、メラノサイトから過剰なメラニンが作られることで、蒙古斑の症状が出てきます。
蒙古斑は主にモンゴル人や日本人に見られます。アジア系民族では漢民族にみられ、日本人では出生時の90%の赤ちゃんに見られます。蒙古斑は「神様からの贈り物」と言われています。
異所性蒙古班(いしょせいもうこはん)
異所性蒙古斑とはお尻以外にできる蒙古斑です。
首や顔、腕、足、お腹などにできる、字のごとくお尻以外の蒙古斑です。異所性蒙古斑と蒙古斑の違いは、あざのできる場所の違いです。生後1週間から1か月ごろまでに現われ、小学校に行く頃までには消えています。
蒙古斑の濃い色もの、広範囲なものや異所性蒙古斑の症状は、3~4%が成人になるまで残っています。殆どの人は消えていきます。もし消えない場合は皮膚科に、受診することをおすすめいたします。
青いあざは普通のレーザーでは効果がなく短時間照射の「Qスイッチ・レーザー」があざ治療として有効です。高出力のレーザーは細胞を破壊しますが、短時間照射することで、細胞破壊を最小限にします。レーザー治療は痛みを伴いますので、全身麻酔で行います。
サーモンパッチ
サーモンパッチの正式名は正中部母斑と言います。新生児の3割に出ると言われているサーモンパッチは、皮膚の症状がサーモンに似ているところから、名前が付けられたと言われます。
新生児の20~30%に出ると言われている、サーモンパッチは、新生児期に顔の額や、瞼や、鼻の下など顔の中央に、出るのが特徴だそうです。3歳頃までにほとんど消えますが、中には大人になるまで消えない場合があるそうです。治療はレーザー治療で、2~3回の治療でほとんど消えます。Vビームレーザーでレーザー療法を行うと、赤い色素沈着を解消してくれます。
詳しくは、サーモンパッチとは?原因・症状・治療法を紹介!他の赤ちゃんのあざについても知ろう!を読んでおきましょう。
イチゴ状血管腫
苺状血管腫とは出生後数日から数週間たって、点状の小さな内出血の様なあざが現われ、3~7ヶ月をピークに大きくなり、1割弱の赤ちゃんに見られます。
大きいものは10cmもなるようなものもあり、自然に消えていきます。皮膚の表面の局所に発症しますが、深部に発症することもあります。但し赤みが消えても皮膚にしわやたるみ、色が白く抜けたりしてあとが残りますので、注意しないと顔などの場合は、外見的に気になる場合があります。
血管腫が大きくなると治療が難しくなることがあるので、できるだけ早期に治療したほうが良いですが、それはできた場所により自然治癒を待つのか、レーザー治療するのか、治療の方針を決める事が大切です。
大きいものや顔にできたものはレーザー治療などで治療します。小さいうちにレーザーすると大きく膨らむことが無いので、早めに皮膚科に行かれることがよいです。
腫瘤型苺状血管腫
腫瘤型苺状血管腫では、表面の色が薄くなっても、皮下血種には関係がなく、腫瘤の残ることもあります。
皮下腫瘍を縮小するためには、数回色素レーザー治療で、表面の血管腫がややなくなって安定したところで、全身麻酔下で、光ファイバーを腫瘍内にさして、レーザーを照射します。これは血管腫がややなくならないと、血管腫が自潰して皮膚潰瘍を起こすことがあるからです。
扁平母斑
比較的多くの人に見られる扁平母斑は、全身どこにでもできる茶色の平たい茶あざです。扁平母斑は再発が多く、治療しても再発することが多いので、そのままにしている人が多いです。
良性のあざなので、特に治療する必要はありません。生まれながらにある先天性の茶あざと、思春期の頃に現れるものとあります。
詳しくは、扁平母斑とは?症状・原因・診断方法を知ろう!治療にはレーザー治療が必要?を参考にしてください。
海綿状血管腫
海綿状血管腫は自然に治ることは無く、色は赤、紫、皮膚と同等の色など様々です。静脈が奇形になって絡み合っていて、皮膚の下で盛り上がってしまい起こる血管腫です。
詳しくは、海綿状血管腫の症状や原因を紹介!発生しやすい人や治療法、検査法を知ろう!を参考にしてください!
単純性血管腫(火炎状母斑)
ポートワイン母斑
単純性血管腫は赤ワインの様な色をしているので、ポートワイン母斑とも言われています。顔首、足、腕に現れる先天性の赤くて平らなあざです。
大きくなることはありませんが、消えないので、大きくなる前に治療をするとよいです。境界線がはっきりしているあざです。
女子が多い
症状が変化してくるのは、思春期から成人にかけてです。
皮膚の真皮で起こる毛細血管の局所異常で、赤ちゃんが胎児の頃に、真皮の毛細血管が拡張・異常増殖したもので、発生する確率は男の子より女の子に多く、顔や首に症状が出ます。手足に出る子もいます。
早い治療がベスト
治療が早ければ早いほど効果が期待できるので、70~80%の症状に対して、レーザー治療は有効とされていますので、できるだけ早く治療する方が良いそうです。
特に目にできていると目が圧迫され視力に影響が出ます。広範囲の場合は生後3か月までは経過観察して、その後に全身麻酔にて行うそうです。
早期受診が必要
単純性血管腫は別の病気が、潜んでいることがあるそうですので、皮膚科で受診されることをお勧めします。症状が特に目の周辺にある場合、顔の両側や片側にある場合、スタージ・ウェーバー症候群と言う、神経障害性の難病が潜んでいることもあります。
また片側の足や腕にある場合はクリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群と言う血管・リンパ管の奇形の難病の場合もありますので、早期の受診をされることをおすすめします。
スタージ・ウェーバー症候群
スタージ・ウェーバー症候群は出生時から見られますが、遺伝性の病気ではなく、血管が蝕まれる病気で、皮膚や、眼や、脳の血管が蝕まれることが多いです。
顔の片側にもしくは両側、目の周りに紅斑ができる事が多いです。腫瘍が脳を覆う組織にできると、身体の片側に筋力低下や痙攣をおこしたりします。難病指定されています。
クリッペル・ウェーバー症候群
クリッペル・ウェーバー症候群とは四肢の先天的な、血管形態の異常によるもので、片側の脚や腕に紅斑ができるので、成長と共に肥大や長さが違ってくるため、歩行困難になることもあります。難病に指定されたいます。
太田母斑
太田母斑は全体の0.1%の赤ちゃんにできる、青紫色のあざで顔と片側にできます。おでこ、目の周り、白目や口の中や頬にできて、自然に消えることはありません。
悪性ではなく大きくもなりませんが、色が濃くなってきますので、赤ちゃんの早い時期に治療すると効果が得られますので、早めの受診をおすすめします。
詳しくは、太田母斑の症状とは?原因・治療法を知ろう!レーザー治療が有効な理由はなぜ?を読んでおきましょう。
カフェオレ班色素性母斑
1.5cm以上の大きさで全身に6個以上ある場合は、カフェオレ班色素性母斑です。
カフェオレ班のある赤ちゃんは、神経線維腫瘍のレックリングハウゼン病という遺伝性の難病が疑われます。レックリングハウゼン病は赤ちゃんの0.03%程度に起こる病気です。レックリングハウゼン病は、成長と共に皮膚や臓器などに全身症状として現れるようになるので、通院しながら経過観察して症状に合わせて治療を行います。
レックリングハウゼン病の神経線維腫I型が、カフェオレ班色素性母斑に当たります。神経線維腫は皮膚の病変ばかりでなくて、神経細胞に色々な異常をきたすことがあり、また悪性腫瘍を合併する場合が大きいので、注意が必要となります。
詳しくは、カフェオレ斑の症状とは?遺伝との関係や診断方法、治療方法を知ろう!を参考にしてください。
色素性母斑
悪性黒色腫
色素性母斑はほくろです。赤ちゃんの場合先天性色素母斑となります。赤ちゃんの色素母斑の5%の確率で、悪性黒色腫というメラノーマと呼ばれる皮膚がんの一種を発症する確率があるそうです。
中でも毛の生えている大きな色素母斑は、皮膚がんになる可能性がありますので、早めに皮膚科を受診されることをおすすめします。
原因
色素母斑の場合先天性は、遺伝が原因によりますが、後天性の場合は紫外線の、影響によるメラニン色素の増殖によるものが、原因でないかと言われていますが、まだはっきりとした原因は解っていません。
早めの受診をおすすめ
悪性良性を見分けるのは、専門家による検査が必要となりますので、悪性の場合は命に関わることもありますので、見つけたらすぐに皮膚科を受診することをおすすめします。
専門のダーモスコピーという、拡大鏡と用いた検査が行われるので、皮膚科の設備の整っている病院に受診して判断してもらうのが良いかと思います。
結節性硬化症
結節性硬化症は全身性の疾患で、難病指定にされています。
過誤腫と呼ばれる良性の腫瘍やかご組織と言う病変ができる病気で、皮膚に母斑がでるため神経皮膚症候群、母斑症という分け方がされています。新生児には心臓の腫瘍の横紋筋腫がでて、乳児期にはてんかん発作、知的障害、学童期は顔面血管線維腫がでてきます。この病気は遺伝性の病気です。しかし60%以上の患者さんは精子か卵子が、突然変異して子供に遺伝したものだそうです。
症状は生まれたときに皮膚に白いあざの白班がでて、日焼けするとこの部分が日焼けしないため目立つようになり、髪の毛のところに白班ができると、褐色の髪や白髪になることもあります。
若年性黒色腫
若年性黒色腫は小児にできやすいのが特徴で、顔の表面の皮膚にホクロの様な黒い斑点ができます。悪性黒色腫とよく似ているので、検査して確定的な診断が必要となります。
ホクロとは幾分症状が異なり、淡紅色や褐色で腫瘍の周囲は赤みを帯び、腫瘍の周辺は出血しやすくなっています。紫外線が原因と言われ、日光浴等の過剰な日焼けや、皮膚に対する刺激などが原因と言われています。
黒色表皮腫
皮膚面が黒く黒ずみ皮膚が弾力性がなくなり、ごわごわする角化症になってきます。
良性型、悪性型、仮性型の3つに分かれています。わきの下、首、陰股部、頚部、腋窩、肘窩、膝窩、肛囲、乳房下部や項部にでき、また全身にできることもあります。
皮膚線維腫
皮膚線維腫は女性の多数でき、足にできやすく、無害で時々かゆみを発することもあります。これはコラーゲンが固まってできたものです。皮膚の中の線維腫が増殖して、飛び出し黒色や褐色の魂となって出てきます。
詳しくは、皮膚線維腫とは?症状・原因・治療方法を紹介!を読んでおきましょう。
まとめ
如何でしたでしょうか?ウンナ母斑について調べてみました。
ウンナ母斑の様なあざの病気が赤ちゃんには沢山ある事がわかり、その数もとても多いのに驚きました。やはりあざを見つけたら良性悪性に問わず、一度皮膚科で診てもらい、良性ですから心配ありませんと言われてから、治療をするのか、そのまま経過観察するのか決めた方が良いと思います。
ウンナ母斑の場合は自然治癒してもしなくても、問題はないと思いますが、その他のあざについては、一応専門家のアドバイスを、受けた方が良いと思います。
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