海綿状血管腫の症状や原因を紹介!発生しやすい人や治療法、検査法を知ろう!

海綿状血管腫という名前の病気を、聞いたことありますか?あまり聞きなれない病気ですが、MRIが発達してから、偶然見つかることが多くなり、この頃特に多くなってきています。

海綿状血管腫とありますので、腫瘍のような感じに受け取られますが、腫瘍とは全く別物で、血管の奇形によるものなのです。ですから海綿状血管奇形とも呼ばれています。血管の奇形の一種なのです。

海綿状血管腫とは症状がないものもあります。このようなものは無害が多いです。MRIで偶然見つかることが多く、1㎝以下の小さなものがほとんどです。症状がないものは、放置していても大丈夫です。しかし出血を繰り返すものの中には、とても危険なものもあります。

海綿状血管腫について詳しく調べてみましたので、一緒に見ていきましょう!

海綿状血管腫とは

血管肉腫

海綿状血管腫とはどの様な病気なのでしょうか?あまり聞きなれない病気ですが、危険性はあるのでしょうか?

海綿状血管腫はどの様な形?

海綿状血管腫とはブドウの房のように、粒がいくつも連なっていて暗赤紫色しています。出血を起こしたものは、この中でつぶれて大きく拡大し、粒を残すと再発の可能性があります。

海綿状血管腫はどこに出来るの?

海綿状血管腫とは血管腫の一つで、腫瘍ではなくて血管の奇形の病気です。脳のどこの部分にもできますが、主に大脳皮質下、脳室壁周囲、脳幹部に多くできます。海綿状血管腫に似た病気に静脈廔という病気があります。静脈廔は心拍に触るので、海綿状血管腫とは区別できます。この海綿状血管腫は少し皮膚が盛り上がり、押すとブヨブヨした感じです。

この海綿状血管腫は小さくなって、自然消滅することはありません。この海綿状血管腫の大型の、血管腫は静脈奇形を伴うことが多いです。

海綿状血管腫は80~90%が大脳に出来ます。この海綿状血管腫は中枢神経系の、どこにでもできます。前頭葉や側頭葉に多く見られます。また脳幹部にもできますが、ここにできると危険を伴います。手術もあまりできませんし、放射線治療も難しいところがあります。

また硬膜外に起こる場合は、頭蓋骨、脳神経、視交叉(しこうさ)眼窩(がんか)網膜、松果体(しょうかたい)海綿状脈洞、それに脊髄に起こる場合もあります。この脊髄に起こる場合は、小さな出血でも大きな症状が出ます。神経や筋肉に海綿状血管腫が出来た場合は、出血前には何らかの症状が出ています。人によって違いがあるようです。

海綿状血管腫の年齢は?

海綿状血管腫は20~40代に多く一番のピークが30代です。海綿状血管腫の出血は女性に多く出ています。海綿状血管腫じたいの疾病は男女差はありません。小児海綿状血管腫は18歳以下の、年齢の低いほうが出血率は高くなっています。年間の出血率は2%以下です。

海綿状血管腫で出血しやすい人はどの様な人?

これらの海綿状血管腫はMRで偶然見つけられることが多いです。この海綿状血管腫の出血しやすい人は、出血の既往性がある女性や、深部にある病変、若者や家族系、小脳や脳幹部の病変の人や、妊婦患者は出血しやすいです。

治療してその後の生活は良いの?

外科的治療の手術をして、予後は非常に良いです。ただし脳幹部海綿状血管腫は34.7%と非常に多いのですが、他の部位より予後がとても悪いです。脳幹は身体にとってとても重要なところです。

そのため手術がとても困難でできないために、放射線治療で出血を減少させることは出来ます。しかし放射線の合併症が、約27%と放射線壊死などが見られ、合併症の危険度が高いために、海綿状血管腫の出血は低下させても、決定にはとても注意が必要となります。

▼視交叉(しこうさ)

人間は網膜(眼底)からの神経は頭の中で交差しています。脳の中で右目の神経が左脳に、左の神経が右脳に繋がっています。これを視交叉と言います。

▼眼窩(がんか)

眼窩とは眼球の収まる頭蓋骨のくぼみのことです。

▼松果体(しょうかたい)

松果体とは間脳の一部で、睡眠をつかさどり、抗酸化作用や免疫機能などの働きをするメラトニンホルモンが分泌される場所です。

海綿状血管腫のメカニズム

血管肉腫

海綿状血管腫のメカニズムが解ってきているのですか?

CCMすなわち海綿状血管腫の、CCM1,CCM2,CCM3の3つの、機能未知遺伝子の変異によって、惹き起こさせる人間の血管の奇形です。これらの遺伝子が規定する、たんぱく質の働きが鈍ることで、中枢神経の血管内幕が、間葉細胞(かんようさいぼう)や幹細胞のような、分裂しながら骨や、軟骨、または自分と同じ細胞を、作ることが出来る機能を、獲得する事によって、海綿状の血管の奇形が、出来てきていると考えられています。

ですから血管内幕が疎性結合組織や、分裂しながら同じ細胞を作る機能を獲得する事で、この過程をブロックすれば内科的治療が、近い将来可能になると言われています。

▼間葉細胞(かんようさいぼう)

間葉細胞とは個体発生の、初期に作り出された中胚葉から、生じた胚内の未分化の、疎性結合組織の一種です。コラーゲン繊維などの比較的少ない組織で、パラパラとまたは密にさまざまな種類の、細胞が並んでいる組織です。間葉細胞は骨、軟骨、リンパ系、循環器系などの組織に、発展することが出来ます。

▼幹細胞

幹細胞とは自分と同じ細胞を、分裂しながら作ることが出来る細胞です。自分の細胞をコピーなどの分化したり、分裂して自分と同じ細胞を作り出します。

海綿状血管腫の原因

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海綿状血管腫の原因にはどの様なものがあるでしょうか?

家族性に起こる海綿状血管腫は、常染色体優性遺伝の形を、とる場合50%が遺伝する確率です。遺伝子を持っていても、必ず海綿状血管腫になるとは限りません。海綿状血管腫の患者さんの40%が、家族性遺伝子が認められる海綿状血管腫です。家族性の海綿状血管腫は、年間出血率が16.5%/年です。

海綿状血管腫は脳血管障害の約1%で、脳血管奇形の15%の頻度で見られます。

海綿状血管腫の症状

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海綿状血管腫の症状はどの様な症状が起こるのですか?

症状が現れるときはてんかん発作や、脳内出血などで症状が出てきます。運動野に近い前頭葉や、側頭葉の内側にできる海綿状血管腫は、側頭葉てんかんという症状を発症します。症候性てんかんの原因となる、海綿状血管腫の症状がでます。

また何回も出血を繰り返すことで、脳幹部の海綿状血管腫は、脳に重大な障害を起こし、ものが2重に見えたり、ふらついて歩けなかったり、ものが飲み込みずらかったり、半身まひ、顔面麻痺、耳鳴り、めまい、顔がしびれる、声がかすれるなどの症状が出てきます。

海綿状血管腫の症状は、MRで見つかったほとんどが無症状です。しかし頭痛や痙攣(40~50%)脳の局所症状を呈する(20%)などの症状がみられ、また脳出血などの症状も見られることがあります。新しい出血を伴っているものが10~25%います。頭痛を訴える患者が特に多いです。出血の既往性がある場合、新しい出血率が高くなります。また妊娠初期の女性にも多く見られます。

血管の血管腫が出来る場所によっては、麻痺や言語障害、記憶障害などの症状が出ることもあります。また頭蓋内圧亢進症状が起こると、頭痛や吐き気の症状が出る場合もあります。これは出血を繰り返すことで、周辺の脳を圧迫するためです。出血してしばらくすると、血腫が吸収されることにより、改善する場合もあります。また出血を繰り返さなくても、脳の表面近くに、海綿状血管腫できる場合は、てんかんの原因にもなります。

海綿状血管腫の検査

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海綿状血管腫の検査はどの様にしてやるのですか?

専門医が臨床症状と、経過を注意深く観察することで、大体の診断がつきます。しかし海綿状血管腫がどの場所に、どの様になっているかという事は、画像を調べなければわかりません。

ですから急性期の出血の時はCT検査で、大体の場所や形を見つけ出します。また海綿状血管腫の検査は、MR検査で行うと良いとされていますが、これはその医師の判断により、CTかMRが決まることになると思います。

MRI検査で特に出血の成分を、はっきりと映し出すT2(ティーツースター)という特殊なMRI撮影療法です。このMRIはとても性能良く、海綿状血管腫を映りだします。

CTやMRとともに血管造影検査が施行されます。大きな腫瘍ではガトリニウム造影剤で、白く映ることがあります。

海綿状血管腫の治療

手術

海綿状血管腫の治療にはどの様なものがあるのでしょうか?

無症候性病変

無症候性病変とは症状が出なく、MRIなどで偶然発見された病変です。この場合は治療をしなくても心配はありません。

症状が軽微で長期に渡り、症状があまり出てないので、経過観察して様子を見ることが殆どです。無症状の場合の海綿状血管腫は、経過観察の治療が多いです。

症候性病変

症候性病変とは症状が出ている場合の病変です。海綿状血管腫の症状が出ている場合、治療はさまざまな治療があります。脳出血で海綿状血管腫の、症状が発見された場合でも、再出血率は低いとされているので、通常は経過観察することが多いです。

出血を繰り返したり、薬剤抵抗性てんかんの、原因となっている場合には、手術が行われる場合もあります。

塞栓療法

塞栓療法とは血管造影検査で、血管腫そのものをはっきり確認し、海綿状血管腫に出入りしている血管を見極めて、場合によってはこの時に血管に詰め物をして、血管自身をしぼませる、治療方法をとる場合があります。この方法で血管を小さくできなくても、後で手術する場合に、出血を少なくしてくれる利点を備えています。

硬化療法

硬化療法とは血管を固まらせる方法として、血管腫の血管の中に特別な薬を注入する方法です。

手術

さて外科的手術には部位によって、とても難しい手術もあります。簡単な部位もあります。出血を繰り返して、手術して手術の後遺症が出ない、可能性が低い場合のみ手術をします。

薬でコントロールできない難治性てんかんの、原因となっているものを、てんかんを止めるために、手術をすることがあります。血管腫と周囲の軟化した脳を取り除きます。

一緒に存在する静脈性血管腫が、手術により傷をつけられると、脳梗塞を起こしてしまいます。手術では海綿状血管腫のみを取り出します。

手術で側頭葉、特に海馬に傷をつけると、記憶障害を起こします。

脳幹部の海綿状血管腫の手術は、とてもリスクが高いです。手術をして改善された方も大勢いますが、手術をして手術前よりひどく、障害を持たれた方もおられます。それだけ脳幹部は人間にとって、とても大切なところです。

ですから一人の脳外科の医師の意見だけでなく、もう一人ぐらいの脳外科の医師から、セカンドオピニオンを受けて、慎重に決断することが最も大切です。手術でとても良くなられた人もいますが、その反対に後遺症が出て、不自由な生活をしている人たちもいます。そのためにも脳幹の、海綿状血管腫の手術あるいは、手足を動かす運動野という、部分の手術には慎重に慎重を重ねて、主治医ともよく相談し、決断を行ってほしいと思います。

手術をする場合は脳幹部血管腫の、手術経験が多い脳外科医を探す方が、間違いないと思います。

脳腫瘍の多く手掛けている病院

  • 虎の門病院(東京)                     478件
  • 東京女子医科大学(東京)                  324件
  • 脳神経疾患研究所総合南東北病院(福島)           245件
  • 富永病院(大阪)(富永紳介先生)              220件
  • 慶応義塾大学病院(東京)                  203件
  • 鹿児島大学病院(鹿児島)                  192件
  • 筑波大学病院(茨木)                    183件
  • 新潟大学医歯学総合病院(新潟)               183件
  • 広島大学病院(広島)                    182件
  • 熊本大学病院(熊本)                    167件

脳外科の有名な先生

名古屋大学の海綿状血管腫の治療

名古屋大学医学部付属病院の治療方法は、内視鏡治療を行っています。なぜなら海綿状血管腫はぶどうの房のように粒になっているので、他の脳細胞を傷をつけることなく、海綿状血管腫に6㎜~10㎜の円筒を侵入して、正常の脳を傷つけるのはその円筒の中だけなので、従来の外科的手術より危険が少なくて済みます。

上に掲げた先生たちのやり方と同じように思います。

家族性の海綿状血管腫

家族性の海綿状血管腫で、200個の海綿状血管腫があっても、何の障害もなく暮らしておられる、患者さんもいるそうです。家族性多発性海綿状血管腫の患者さんは、小さな出血などが出ても、安易に手術などは受けない方が良いそうです。これは医師の判断により、町々ですが脳外科の手術の多く手掛けてられる、先生に出会うことが出来れば、また考え方も変わるかもしれません。

放射線治療

放射治療は有効でないという専門医が多いです。

出血を繰り返すと大きくなるので、頭蓋内圧亢進の強い物や、薬物治療でコントロールできないてんかんの原因になるものなどが、放射線治療で行われることもありますが、再発も多く積極的に行っている施設はないようです。

ガンマナイフのような定位放射線療法が、外科的治療で困難な部位にある海綿状血管腫が2度以上出血している場合など、この方法がとられることもあります。放射線障害の合併症と、出血のバランスを考えて行われる。

定位放射線(ガンマナイフ、Xナイフ、サイバーナイフなど)が有効と言われる医師もいますが症状を悪化させたという医師もおられて、放射線治療においては賛否両論で有効でないという医師が多いです。

日本脳卒中学会のガイドライン

海綿状血管腫の治療推奨

  1. 無症候性海綿状血管腫は、保存的治療を考慮しても良い。
  2. 症候性の海綿状血腫(出血、コントロール不良な痙攣、進行性の神経症状)のうち病変が脳幹を含む脳表付近に存在する症例では、外科的切除を考慮しても良い。
  3. 定位放射線治療は再出血予防および痙攣コントロールに効果があるが、外科的治療が困難な例において検討されるべきで、照射線量も低く設定する必要がある。

まとめ

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如何でしたでしょうか?海綿状血管腫の病気の事は少しでもお分かりいただけましたか?海綿状血管腫の病気は出来る部位によって、とても危険なものになります。多くは簡単に手術できるものですが、運動野の部分や脳幹の場合は、手術の後遺症が大きい場合もありますので、手術は慎重に決断された方がよいようです。

海綿状血管腫の治療ばかりでなく、脳外科の有名な先生を載せておきましたので、もしご心配な人は、一度脳外科医師のホームページをのぞかれてはいかがでしょうか?

  
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