ゾクゾクと悪寒がして、身体が震え、頭痛がしてくると、熱がでる合図ですね。そのような時にあなたはどうしますか?薬を使って早く熱を下げようとしていませんか?
朝起きると発熱していて、でも仕事は休めない、早く熱を下げたい。と言う人もいると思います。
しかし熱は人間にとって風邪ウイルスや細菌に対する必要な防御・攻撃反応です。むやみに下げてしまっては病気が治りづらくなるだけでなく、悪化する可能性もあります。では熱に対してそのような対処法が良いのでしょう?発熱に対する対処法についてまとめてみました。正しい対処法で早く熱を下げましょう。
熱が出る原因とは?
そもそも、熱が出る原因はどのようなものが考えられるのでしょうか?体が発熱を起こす主な原因について知っておきましょう。
原因には以下の様なものがあります。
ウィルスや細菌が原因
高熱がでる代表的なウィルス性疾患であるインフルエンザのほか、ノロウィルスによるもの、細菌によるものなど、一般的に風邪といわれているウィルスは、約200種類以上もあるといわれています。
感染すると多くが発熱や頭痛、鼻水、喉の痛みなどの症状を引き起こします。
ストレスなど精神的な原因
心因的な原因として過度なストレスや精神的な疲労などが原因で発熱することがあります。心因性発熱ともいわれます。
医療機関に行っても、身体の異常は見当たらないのに微熱が続いたり、一般的に風邪などによいといわれるどんな対処法をしても熱が下がらないなどの症状があった場合、このような原因が考えられます。
緊張感や学校や会社に行きたくないなどの精神的な強いストレスが原因になって発熱を起こすこともあります。
この心因性発熱では合併症として、躁鬱病やパニック障害やPTSDや統合失調症などの精神病も一緒に患うことも多い病気です。この様な原因の発熱が危惧される場合は生活のペースをを落とし、ゆっくりとした時間を過ごすことが重要です。せかせかした時間に追われるような生活の中ではなかなか治療が進みません。
投薬による治療も行われますが、原因である心因を取り除き休むことが重要です。精神的な病気にかかってしまった時は責任感の強い人ならなおさら逆に心を鍛えないと、と自分を追い込んでしまいますが、この様な病気になる人は責任感の強い人や真面目な人に多い病気ですので無理はしないようにしましょう。
肉体疲労など体力的な原因
身体を酷使しすぎて発熱してしまう場合もあります。激しい運動の後には筋肉が炎症を起こすためそれだけでも炎症により筋肉が熱を持ちます。
また過労により免疫が下がることで菌やウィルスなどに感染が起きやすくなります。その他にも過労死をしてしまう人の中に疲労により発熱や微熱などの症状が現れていることがあり、その症状が発生しても働き続けるなどの行為を続けていると、突然死を迎えてえしまうことがあります。
肉体疲労での発熱は身体の危険信号でもあるので無理をせずに休ませてあげましょう。
主に免疫が低下する原因としては、ストレスや疲労などが原因になって自律神経失調症を引き起こすことにより交感神経と副交感神経のバランスが悪くなり、特にホルモンバランスなどを整える副交感神経の働きが短くなることで交感神経が優位になり、血行の悪化やホルモンの乱れにより内臓機能が全体的に低下する事が原因と考えられます。
熱がでる理由
人間の身体はなぜ熱を出すのでしょうか?
発熱のメリット
①免疫機能の効果を最大限にする
私たちの身体は何らかの原因で侵入してきたウィルスや細菌などの異物に対し、自分の力でそれらを排除しようとする力が備わっています。これを免疫機能といいます。
この免疫機能は、38度前後になると、その機能が最大限までUPするといわれています。発熱するということは、人間がもつ最大の防御機能なのです。
②ウィルスの弱体化や死滅
ウィルスや細菌は、低温の状態が一番活性化するといわれています。反対に38.5度以上の高温になると、弱体化したり、死滅したりします。そのため、人間の身体は熱を上げることで侵入してきたウィルスや細菌を弱らせたり、数を減らそうとするのです。
発熱のデメリット
発熱によって、ウィルスや細菌などに対し、防御や攻撃が出来るようになることができる一方で、デメリットもあります。
①体力の消耗
発熱をすることで、体力はかなり消耗します。ウィルスや細菌によって弱っている身体にとって、発熱はさらに体力を消耗させる行為です。特に高熱になると起きていることも困難になります。
②水分やミネラルなど必要な成分の喪失
発熱によって水分やミネラルなど人間に必要な成分はどんどん消費されていきます。水分補給だけでなく、必要なミネラルを補給しないと脱水症状になり、危険な状態になってしまいます。
③頭痛など他の症状
発熱初期には、悪寒や頭痛などの症状が現れることがあります。
④熱性のひきつけやけいれんなど
高熱の場合や幼児期などの発熱は、熱性けいれんやひきつけなどの危険性もあります。特に子供の発熱の場合は、一人にしないで保護者が常に状態を把握できるように傍にいるようにしましょう。またけいれんの際には、対処法などを知っておくと、あわてずに対処できます。
⑤酵素の働きが悪くなる
酵素は体内の栄誉分を分解、消化し体の活動に必要な成分を作り運動や呼吸や思考を行う上で重要な役割を果たしています。また自然治癒力を上げ免疫力を高める効果もあります。
しかしその酵素は体温が1度上がるだけでも50%近く活動量がダウンしてしまいます。
これによって酵素の役割が十分に果たせず、消化不良や運動能力低下などの体調の悪化が現れます。
熱が出るメカニズム
体温が下がると人は寒いと感じ筋肉を振動させたり震えることで自信の体温を上昇させていきます。電子レンジなども物質に含まれている水分を高速で振動させることで物を温めますが、基本的にはこの原理を応用することで発熱が行われています。
発熱の信号を体が脳から受けるにはまず、原因となるウィルスや菌が侵入してから害を受けた後に送られるので、体内に菌が侵入してそれぞれの潜伏期間を過ぎた後になります。長いものでは2週間以上も潜伏期間がるものもあるので、発熱が起こっている時はかなり体内に菌やウィルスが増えてしまっている時になります。
まず体内に菌が入るとそれを白血球が食べてしまうなどして排除してしまいます。少量であればそれだけで済み発熱は起こりません、しかし量が多くなり対応しきれなくなると白血球などの免疫活性食細胞の働きが活発になりサイトカインという物質が作られます。
これは内因性発熱物質といわれ、これが血流に乗り脳付近に移動しそこで脳に信号を届けるためのメディエイタという物質を産んで脳内の視床下部という部分に情報を到達させます。
情報を受けた視床下部は速やかに菌を死滅させるため体温調節中枢から全身に向かって体温を上げるように信号を送ります。
この命令を受けることで体は、皮膚の汗腺を閉じ放射熱を抑えることや、筋肉を振動させたり、血管内の細胞内の水分を振動させたり、血管を収縮させることで体温を上昇させます。
この働きによって体温を素早く上げて病原体を死滅させるのです。
熱を無理に下げてはいけない
人間にとって身体の防御であり、免疫機能を上げる反応である発熱ですが、熱の出ている間はとても辛いものです。仕事や用事の時などは、薬などですぐにでも熱を下げたいところでしょう。しかし熱は早い段階で風邪薬や解熱剤を使って無理やり下げてはいけないといわれています。どうしてなのでしょうか?
熱は人間の持つ免疫機能の改善やその効果を最大限にUPさせるほか、侵入してきたウィルスや細菌自体を死滅させたり、弱体化させるために発動する機能です。その熱を薬などですぐに下げてしまうと、免疫機能が十分に働かないうちに、侵入してきたウィルスや細菌は身体の中で活性化してしまい、どんどん増殖します。
その結果、疾患が長引いたり、さらに症状が悪化するなどの弊害がでてきます。そのため高熱で命の危険がある場合や幼児期の高熱で脳炎などの危険性のない限りは、熱を無理やり下げてはいけないのです。
危険な脳症について
体温が上がりきり、菌を死滅させる前に解熱剤を使って体温を下げてしまうことで、菌やウィルスなどが血管に入り込み、そのまま脳に到達し脳に菌やウィルスが侵入し炎症を起こしてしまう病気を脳症といいます。
代表的なものでインフルエンザ脳症やウイルス性急性脳症があります。脳症を引き起こしてしまった場合の死亡率は一昔前までは30%近い確立で死亡する例がありました。現時点では医学の発展で10%にまで死亡率は下がっていますが、未だ安心することは出来ない病気です。
最近でも2017年2月8日にアイドル活動を行っていた18歳の女性が解熱剤を飲んでインフルエンザ脳症にかかり死亡したというニュースが報道されました。詳しい死因が脳症であったかどうかは定かではありませんが、死亡直前にブログで熱があることを紹介していたので、可能性が高いものと思われます。
どうしても休めない仕事の時は、熱が出た状態ではどうしても辛いものですが、出来るだけ解熱剤を飲むのは熱が上がりきってからの方がいいでしょう。
早く熱を下げる方法は?
熱を下げてはいけないと分かっていても、熱は辛いものです。それならば、必要な熱を早く上げ、出来るだけ早く身体の免疫機能をUPさせ、ウィルスや細菌を弱らせることが出来れば、熱はその役目を終え下がっていきます。
どのように対処したらよいのでしょうか?
発熱初期
身体にウィルスや細菌などの異物が侵入したことで、防御反応として発熱するように脳に指令がいきます。すると身体は熱を出すために、血管を収縮したり、筋肉を震えさせて熱を促します。また汗腺を塞いで、出した熱を身体の外に逃がさないようにします。その際に悪寒や頭痛などの症状が出ることがあります。
このような発熱の初期段階では、寒気がすることが多いので、苦しくならない程度に身体や部屋を温めましょう。この段階では、身体を冷やしてはいけません。出来るだけスムーズに熱が上がるように心がけましょう。熱が上がり始めたら、十分な水分を摂り、発汗しやすくします。
発汗を促す
熱が上がり始め、もうこれ以上上がらないという状態になったら、水分を多めに摂り、熱の上がりすぎを防ぐために、発汗を促しましょう。
また、熱を発散させるためにこまめに着替えるなどの工夫をしましょう。
お風呂に入る
日本では、発熱の際にお風呂に入ることは禁止されていましたが、今では、高熱でないこと、気力や体力があること、そのほか医療機関にお風呂を禁止されていない限りは入っても大丈夫といわれています。
お風呂の温度が高温でないこと、短時間での入浴、などを守れば、熱によってでた汗や汚れを洗い流すことができ、また心身共にリフレッシュすることでさらに早めの回復が望めます。
しかし、入浴をして体の温度を高くしてしまうとその熱を放出するためには実はかなりのエネルギーを使います。体力があるときでないと、頭がぼーっとしてしまい倒れてしまう可能性があります。
自分の体調をしっかり確認した上で入浴を行い普段よりぬるい温度のお湯に浸かるか、早めに出ることで調節しながら入浴を行いましょう。
風邪の時のお風呂については、風邪の時のお風呂の入り方について!入っていい基準は?を読んでおきましょう。
薄着になる
熱が上がりきった後は、熱が身体にこもらないように薄着になることが必要です。また汗をかいたらすぐに着替えるなど、身体を必要以上に冷やさないことも大切なポイントです。
部屋を適温にする
熱が上がりきるまでは、温かい部屋で過ごすことが必要ですが、熱が上がりきった後は風通しの良い適温の部屋で過ごしましょう。身体の熱がこもらないように工夫しましょう。
わきの下などのリンパ近くを冷やす
熱が上がりきったときに、どうしても辛いときがあります。また高熱で脳炎などの危険性や脱水症状などの危険があるとき、意識が朦朧とするなどの危険な状況にならないように、熱が上がりすぎたら、少し下げる必要がでてきます。
そんな時は、わきの下や足の付け根、首もとなどのリンパ腺の近くを冷やすと良いでしょう。太い動脈の通っているこの部分を冷やすことで、体温を効率よく下げることができます。氷のうや市販の保冷剤や冷えピタなどを用いてリンパ腺に当てましょう。その際には体温を下げすぎないように気をつけましょう。
子供ならなおさら仕事に追われている訳でもないので軽い原因がわかっている病気の場合は早く熱を下げる必要はありません。自然治療でしっかり自己免疫力を高めて、菌や風邪ウイルスに対する抗体を作っていきましょう。
体温を効率的に冷やすためにはリンパを冷やすことは効果抜群なのでおすすめです。
休息
発熱しているときは、十分な休息をとりましょう。無理に動いたりすると熱があがります。早く熱を下げるためには、なるべく動き回らずに身体の回復を待ちましょう。ゆっくりと身体を休め、休息することで熱も下がります。また幼稚園や保育園、学校や仕事などは休みましょう。身体を休めることが第一の目的ですが、周りの人にウィルスや細菌を移さないことも大切です。
栄養のある食事
発熱は、通常過ごすよりも5倍以上のビタミンが失われるといわれています。特にビタミンCは普段よりも多めに、また回数多くとることで、早めの回復が出来るといわれています。ビタミンCは水溶性なので、摂りすぎても尿として排出されるので、多めに摂っても大丈夫です。オススメは温かいゆず茶や蜂蜜レモンなどのドリンクやシークワーサーなどです。
またバランスの良い栄養のある食事を少量づつでも食べることで、体力を落とさず、早めの回復が望めます。
もし食事が難しい場合は栄養ドリンクなどを飲むのでも十分でしょう。
その他の原因を探る
心因性の発熱の場合は、微熱のことが多く、また上記のような方法も効果を示さないことがあります。その際には、熱の上がる原因は他にあると考え、それを取り除く方法を考えましょう。過度なストレスの場合は、ストレスの原因となる要素を取り除く努力をし、あまり深刻に考えず、体や心をリラックスするように心がけましょう。
また他に自律神経の乱れからくる発熱も考えられます。規則正しい生活やバランスの良い食生活を送ることで自律神経が改善され、発熱も治まる場合があります。自分の症状をよく考え、症状に合った対処法ができると良いでしょう。
医療機関に受診する
ウィルスや細菌による発熱は、市販薬ではなく医療機関に受診することで、早めに回復することができます。特に細菌によるものは、抗生物質によって効率的に菌を排除することができます。ウィルス性の疾患は対処療法が主ですが、辛い症状を緩和させ、少しでも楽に乗り切ることが可能になります。発熱も咳も長くて5日程度で治まることがほとんどです。
もし5日以上にわたって高熱が続く場合は、他の疾患の可能性が考えられますのですぐに医療機関に受診しましょう。
熱がさがった後に注意すること
熱が下がった後は、どのようなことに注意すればよいでしょうか?
熱がさがったからといって、すぐに運動や仕事などをするのはやめましょう。体力も完全には元に戻っていない状態ですし、免疫力もしっかりと働いた後なので、万全ではありません。そのため医療機関では、発熱後2日は安静にしていることが必要といわれています。十分な栄養と十分な睡眠や休息をとることで、健康な元の身体に戻っていきます。あせらずゆっくりと回復するのを待ちましょう。
またストレスなどの心の健康にも気をつけましょう。過度なストレスは免疫力が下がるといわれています。
まとめ
いかがでしたか?発熱は人間にとって必要な要素だったのですね。
熱が出ると辛いですが、早く原因である疾患を治し熱を下げるために、むやみに薬を使い熱を下げないなどの正しい知識を持つことが必要です。
悪いばかりではない熱の本当の理由をしっかり理解して症状の治療を行っていきましょう。
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