心因性発熱について!症状・原因・治療法とは?病院では何科を受ければいいの?

微熱や高熱が続いたり、たびたびその症状が現われることはありませんか?病院を受診しても「異常がないです」と言われたのに、熱っぽい感じが続いている方は、【心因性発熱】かもしれません。大人の知恵熱などと呼ばれることもある心因性発熱ですが、詳しい内容をご存知でしょうか?

小児~大人まで発症することのある心因性発熱。今回は、心因性発熱の原因や症状をはじめ、その予防法や対処法、併発する症状などについてお伝えしたいと思います。

発熱の原因

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発熱するのに風邪ではないのでしょうか?

まずは、インフルエンザや感染症の発熱どどのように違うのかを見ていきましょう。

風邪などによる発熱

体内に侵入したウィルスや、体内の病変(悪性腫瘍など)と戦うことによってサイトカインやPGE2(プロスタグランディンE2)といった物質が信号となり、交感神経や筋肉に命令を出すことで熱感や微熱といった症状が現われます。この体温上昇でウィルスが増殖しにくくなり、白血球も活発になります。血管が拡張され、頭痛が起こったりもします。

この発熱は体が病気をやっつけようとする免疫反応だったんですね。高熱が続くと体力も消耗しますので、市販の風邪薬や解熱薬(解熱剤)などで体温を下げることもできます。一般的に、発熱の原因となるサイトカインやPGE2を抑制して体温が下がるというメカニズムです。

心因性の発熱

心因性の発熱は、病院で診察をしても「異常がありません」と言われることが多いです。

それは、悪性腫瘍や免疫疾患などの器質的な疾患はありませんよと言うことなのです。【風邪などによる発熱】の項目で挙げたものとは原因が違うため、解熱薬では熱が下がらないことがほとんどです。

現代社会はストレスが多いと言われていますが、日々のストレスやうつ病などの精神疾患が原因となっていることが多くみられます。

心因性発熱とは

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風邪などとは違う理由で起こる心因性発熱。

ウィルスなどが侵入したわけではないのに、なぜ発熱が起こるのでしょうか?

ストレス性の発熱

器質的疾患による発熱であれば、血液検査や画像検査でほとんど特定することができます。このような検査をしても異常が見られない場合、心因性発熱の可能性が高いです。ストレス性高体温症とも呼ばれ、心因性ストレスが原因で交感神経などが刺激され体温が上昇することを言います。

平均体温でも異なってきますが、通常37度を超えると微熱、38度を超えると高熱と言われています。心因性発熱には大きく分けて2つの種類があり、どちらも併発する3つめのタイプの方もいます。風邪などの発熱は炎症反応がみられますが、心因性発熱では炎症反応がみられないのも特徴です。

①突発的なストレスによる発熱

小児に多く見られる症状で、突発的なストレスが原因で発熱してしまうタイプです。

発表会やテスト、喧嘩やお祭りなどで興奮した時などが挙げられます。このタイプは、原因が無くなればすぐに、あるいは暫くすれば症状が無くなります。

②慢性的なストレスによる発熱

大人に多く見られる症状で、仕事などで逃れられない慢性的なストレスが原因で発熱してしまうタイプです。高熱になることもありますが、微熱が続く傾向があります。

このタイプと①のタイプが合併する方もいらっしゃいます。

心因性発熱の主な症状と併存症

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心因性発熱のおもな症状と併存症と呼ばれる併存している病気について見ていきましょう。

発熱以外に症状がでるの?

心因性発熱はストレスが原因だとお伝えしました。ストレスが原因ですので、ストレスを起因とする他の病気を併存している可能性があります。

風邪を例に考えてみてください。風邪をひいているのに無理をするとどうなるでしょうか?運が良ければ快方に向かうかもしれませんが、体力が落ちて免疫機能が働かなくなると肺炎などを併発することもあります。

心因性発熱もこれと同じで、放置していれば他の症状がでてくるかもしれませんし、心因性発熱自体が他の疾患による症状の一つとして起こっている可能性もあります。

脱水症状

発熱の発汗により、脱水症状になることもあります。

脱水症状が重症になると、めまいや頭痛、口中の渇きなどの他、最後には意識障害を起こすこともあります。熱があるときは、こまめに水分をとるように心がけましょう。

併存症

ストレスは心や体に影響を与えますから、それによる精神疾患や身体疾患を併存することがあります。

併存症がある場合には心因性発熱と同時に治療をしていかないと、なかなか体温が下がらないこともあります。

子供に多い起立性調節障害

小児の心因性発熱と併存していることが多いのが起立性調節障害(OD)です。【朝起きられない・頭痛やめまい・倦怠感・食欲不振・イライラ】などの症状が見られます。

急激な身体の発育による自律神経機能失調が原因と考えられていますがさまざまなタイプがあり、同時に治療をしていかないと心因性発熱の症状がおさまらないこともあります。

詳しくは、起立性調節障害とは?症状・原因・種類・治療法を知ろう!注意する合併症は?を参考にしてください!

不安障害や気分障害など

大人の場合、うつ病や躁うつ病などの不安障害、PTSDやパニック障害などの気分障害を併存していることも多いです。

自律神経失調症が原因のものもありますし、女性であればPMS(月経前症候群)なども疑われます。緊張型頭痛を伴うこともしばしばあります。

心因性発熱は何科を受診すればいいのか

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高熱が出たり微熱が続いたり・・・心因性発熱かもしれないと思ったら、何科を受診すればいいのでしょうか。

まずは内科を受診しましょう

発熱を起こす原因となる病気はたくさんあります。まずは内科を受診して、それらの病気ではないかの検査をしましょう。自己判断で心療内科や精神科を受診しても、うまくいかないこともあります。女性の場合は、PMSの検査もしておくといいでしょう。検査をしても異常が見られない場合、心因性発熱が疑われます。

心療内科や精神科への紹介状を書いてもらうのがわかりやすいでしょう。いきなり心療内科や精神科に「心因性発熱かもしれない」と言っても、病院としては検査をしてみないと他の病気を否定できないので、検査のために内科へ回されてしまったり、内科的な診察をしないまま対症療法だけになってしまう可能性もあります。

心因性発熱の治療方法は?

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心因性発熱にはどのような治療方法があるのでしょうか。

薬物療法

風邪とは発熱のメカニズムが違うため、市販の解熱剤や風邪薬は効かないことがほとんどです。心因性発熱の薬物療法では、抗鬱薬や安定剤などのストレスを緩和するようなお薬で治療をしていきます。

睡眠不足や睡眠障害の方には、睡眠導入剤や睡眠薬を処方し、まずは正しい睡眠をとってもらうようにします。軽いものや睡眠不足による心因性発熱であれば、この段階で良くなってくるでしょう。

生活指導

ずっと発熱しているというのは体にも負担がかかっています。きちんと睡眠をとることや、日常生活の中で無理をしすぎないなどのアドバイスを受けます。

仕事や家事、学業の忙しすぎる方が心因性発熱になりがちなので、生活のペースをダウンするようになど、その方に合ったアドバイスをしていただけます。

自律訓練法

自己催眠のようなもので、ストレスの緩和や精神疾患の症状緩和に効果が期待できます。自律訓練法は精神疾患の予防や緩和に良いとされています。

心因性発熱の予防や緩和にも効果がみられることも多いので、予防として行ってみるのもいいでしょう。

自律訓練法を指導されている病院もありますので、気になる方は調べてみてください。

心理療法(心理セラピー)

対話を主に人間の心理や認知に働きかけ、心理的な問題や不適応な行動の認知・改善を図ります。

併存症の治療

併存症がある場合は、心因性発熱の治療だけをしても改善しない場合が多くあります。そのため、併存症がある場合はその治療も平行して行われます。精神疾患を併存している患者さんの場合、精神疾患の治療をしたら心因性発熱もおさまった、ということもかなりあります。

心因性発熱の予防方法

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人間が生きていく上で、全くストレスの無い状態にするというのは無理なことです。ですが、ストレスと上手に向き合って対処していくことで、ストレスを溜め込まずにさまざまな不調を回避することができます。

精神の不調は体の不調に繋がりますし、体の不調は精神の不調に繋がります。体と心にかかるストレスを全部無くしてしまうのは無理ですが、好きなことをしたりしてストレスを解消していくことも大切です。

体を癒したり動かしたりする

マッサージや鍼灸治療院などで体の疲れを癒やしたり、軽いスポーツなどをするのも効果的です。スポーツをするというと体が疲れるんじゃないかと思われるかもしれませんが、運動不足だと体の機能が衰え、さまざまな不調を招くことになります。

アスリートのような訓練をする必要はないので、散歩やジョギングなどの軽い運動を日常生活の中に取り入れてみましょう。身体機能が高まれば体が疲れにくくなり、体の疲れからくるストレスの緩和にもなりますし、他の病気の予防へと繋がります。

睡眠をしっかりとる

睡眠不足はさまざまな不調の原因となります。心因性発熱も例外ではありません。現代は夜でも灯りがついている場所も多いですし、遅くまでテレビも放映されています。それに加えてパソコンやスマホでいつでもインターネットにアクセスできるので、ついつい睡眠不足になりがちです。

夜に強い光を見ると、安眠に必要なメラトニンという物質の分泌が抑制されるため、質の良い睡眠をとりにくくなると言われています。睡眠不足ぎみの方は夜のテレビやスマホは控えて、安眠できるように心がけてみましょう。

好きなことでストレスを発散する

カラオケやおしゃべり、映画鑑賞や音楽鑑賞、なんでもいいのでスッキリしたと思える時間を作りましょう。忙しくてなかなか休みがとれない方は、夜にゆっくり入浴するようにしたり、ちょっとした空き時間に次の休みに何をしよう?と楽しい想像をめぐらすのもいいかもしれません。

ストレスは避けられないものですから、なるべく溜め込まないように発散しましょう。ストレス解消のために「やらなきゃやらなきゃ」という気持ちでいると逆にストレスになってしまうので、自然に楽しめることを行うようにしてくださいね。

「忙しすぎだな」と思ったらペースダウン

毎日家事や育児に大忙し、仕事は休めないし残業は当たり前、成績を落とせないので勉強ばかり、そんな毎日をおくっていませんか?頑張るのはとても尊敬できますが、体を壊してしまっては元も子もありません。今自分が体を壊したら?と想像してみてください。1日に1時間でも30分でも構いません、少しだけリラックスする時間を作ってみて下さい。

たまには家族に食器を洗ってもらったり、残業を少し早めに切り上げたり、徹夜で勉強しない日を作ってみたり、できる範囲でちょっとだけ贅沢をしてみましょう。

自律訓練法を行う

心因性発熱やうつ病、心身症などの治療にも用いられる自律訓練法ですが、予防やストレス解消にも効果的です。一種の自己暗示をかけることによって心身のリラックスを助けます。

実践にあたっては、ある程度の時間とリラックスした環境が必要になります。安眠にも効果があると言われていますので、ご自宅で睡眠前に行うのがいいでしょう。

自律訓練法の行い方

ステップ0~6までの7ステップと、最後に消去動作というものを行って終了となるのが一連の流れですが、慣れない方はステップ2までと消去動作まででも結構です。慣れてきたらステップを増やすのもいいですし、外出先のちょっとした空き時間にも行えるようになってきます。

⓪背景公式-ベルトや洋服などで体を締め付けている場合は緩めておきます。深呼吸をしたり手足をぶらぶらさせたりして心身の緊張をほぐし落ち着きます。自分が落ち着けるような場所を想像するのもいいでしょう。落ち着いたなと思ったら次のステップへ移ります。

①四肢重感練習-自分の利き腕が重たくなると感じるように念じます。人間の体には重さがあり筋肉などで支えていますが、力を抜ききると重たく感じることができます。重たくなると聞いて力を入れがちですが、力を抜いて体の重さを感じるようにしてください。

利き腕が重たくなったら反対の腕・右足・左足と続けてください。四肢の力が抜けてだらんとしたら次のステップへ移ります。

②四肢温感練習-力が抜けて重たくなった四肢が温かくなると念じてください。実際に力が抜けていると血流が良くなるので、じんわりと温かさを感じることができます。四肢が温かくなったら次のステップへ移ります。

③心臓調整練習-自分の心臓に意識を向けて、心臓がトク、トク、トク、と静かに鼓動しているのを想像してください。0~2までのステップでリラックスできているので、そこまで難しくはないと思います。※心臓の弱い方や心臓疾患のある方はこのステップをとばしてください。

④呼吸調整練習-ごくごく自然に呼吸し、鼻や口から吸って肺やお腹が膨らみ、鼻や口から息が出ていくのをリラックスしながら感じます。呼吸もリラックスしているなと感じたら次のステップへ移ります。※ぜんそくや過呼吸の方、呼吸器系に不安のある方はこのステップをとばしてください。

⑤腹部温感練習-苦しくない姿勢でお腹に手を当て、おへその上あたりが温かくなると念じます。意識をお腹に向けて、じんわりと温かくなったら次のステップへ移ります。※妊娠中の方や胃潰瘍・十二指腸潰瘍の方、糖尿病の方など内臓の疾患がある方は、このステップをとばしてください。

⑥額部冷感練習-額に意識を向けて、額がひんやりとするイメージを持ちます。額に涼しい風が吹くようなイメージをするといいでしょう。額のひんやり感を感じられたら消去動作を行って終了です。※てんかんや頭痛など、頭部に疾患をお持ちの方はこのステップを飛ばしてください。

⑦消去動作-ここまでで心身共にリラックスを感じていただけたと思います。このままお休みの方は就寝していただいて結構です。これから活動なさる方は、手を握ったり開いたりを数回繰り返し、ひじの曲げ伸ばしと屈伸を数回行います。最後に大きく背伸びをし、深呼吸を数回して終了です。

※自律訓練法は医師の指導の元に実践することが推奨されています。ここまでで興味を持たれた方は、医師にご相談ください。疾患をお持ちの場合も、行っていいかどうかを教えていただけます。

まとめ

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いかがでしたか?心因性発熱かな?と疑われる方は、一度内科で検査をしてもらってください。毎日が忙しすぎる方も、体に異常が起こってからでは診察や通院で時間を取られることになると思って、たまにはリラックスをする時間を持つようにしてくださいね。

強いストレスにさらされても、体が丈夫であれば耐えられる時もあります。現代は遅くまで蛍光灯などで照らされていますし、遅くまで残業で疲れきったりしてなかなか質の良い睡眠をとれていないのではないでしょうか?まずは体の健康から。しっかり食事をとりしっかり眠ることからはじめてみましょう。

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これらを読んでおきましょう。

  
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