くるみの食べ過ぎで起きる悪影響は?効能や成分、摂取の目安を知ろう!

突然ですが、あなたは最近クルミを食べましたか?お酒を嗜まれる方はミックスナッツを構成するナッツ類の一つとして、仙台にお住まいの方はクルミゆべしという伝統的なスイーツとして、食べられたかもしれませんね。

テレビの医療情報バラエティ番組などで、クルミが栄養豊富な点や様々な病気の予防につながる点などが紹介されたことで、クルミについて関心をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

しかしながら、体に良いからといって沢山クルミを食べれば良いというわけでもないようです。

そこで、今回はクルミの摂取による良い効果とクルミの食べ過ぎによる悪影響について、まとめてみましたので、参考にしていただければ幸いです。

クルミの基礎知識

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そもそも、クルミ(胡桃・くるみ)とは、どのような食べ物なのでしょうか?クルミについての基礎知識をおさらいしたいと思います。

クルミとは?

クルミは、欧州南西部から中近東のあたりを原産とする落葉樹の種子のことです。現在では、北半球の温帯気候に属する地域に幅広く分布していて、日本にも自生しています。世界的な主要産地は、米国のカリフォルニア州や中国が多いと言われています。

クルミは花をつけた後に、仮果と呼ばれる直径3㎝程度の実をつけますが、その仮果の中身である種子が、一般的に食用とされている「クルミの実」です。

ちなみに、木の実は一般的にナッツと呼ばれていますから、クルミもナッツの一種です。

クルミの栄養素

ナッツ類は総じて栄養価が高いとされていて、古くは狩猟採集社会の頃から現在まで、様々な形で食用に供されています。その中でも、クルミは非常に栄養価が高いことで有名です。そして、クルミは次のような栄養素を含有していることが分かっています。

  • ビタミンB1
  • ビタミンB2
  • ビタミンB6
  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • ポリフェノール
  • 脂質
  • オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸など)
  • オメガ6脂肪酸(リノール酸など)
  • ミネラル(カルシウム・マグネシウム・カリウム・鉄・リン・銅・マンガン・亜鉛)
  • 食物繊維

クルミ摂取の効能

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では、クルミを摂取すると、どのような効果効能が期待できるのでしょうか?

クルミ摂取の効果効能

クルミを摂取すると、次のような効果や効能が期待できるとされています。

  • 疲労回復効果
  • 美肌効果
  • アンチエイジング効果
  • 動脈硬化の予防
  • ダイエット効果
  • 便秘改善効果

疲労回復効果

クルミを摂取すると、疲労回復に効果があるとされています。

そもそも、強度の運動や肉体労働をしたり、消耗性疾患にかかるとビタミンB1やビタミンB2の体内での必要量が増えるのに対して、体内に貯蔵されるビタミンの量は少ないのです。体が疲労すると、炭水化物などの糖質からエネルギーを産生して、そのエネルギーを細胞の回復に回さないといけませんが、この糖質からエネルギーを産生する代謝にビタミンB1やビタミンB2といった成分が必須なのです。

クルミという食材には、ビタミンB1やビタミンB2が多く含まれ、さらにミネラルなどの栄養素がバランス良く含まれるために、疲労回復効果・滋養強壮効果が期待できるのです。

美肌効果

クルミを摂取すると、美肌効果・美容効果があると言われていますから、女性は特にこの効能が最も気になるのではないでしょうか。

そもそも肌や皮膚は、新陳代謝を繰り返しています。通常は28日程度の周期で、新陳代謝が繰り返されていますが、加齢や生活の乱れなどによって新陳代謝の周期が遅れることがあります。皮膚の新陳代謝が行われないと、肌の乾燥や肌のキメが荒れたり、シミの原因となったりします。

このような新陳代謝が正常周期で行われるには、規則正しい生活などの他に、新陳代謝に必要な栄養素をバランス良く供給する必要があります。そして、新陳代謝に特に必要とされているのが、ビタミンB2とビタミンB6です。また、皮膚組織を構成するコラーゲンの合成にビタミンCも必要となります。

したがって、これらの栄養素の含有量がバランスの良いクルミは、美肌効果を有すると言えるのです。ちなみに、クルミの摂取によって新陳代謝が良くなるため、ニキビの予防・改善にもつながるとされています。

アンチエイジング効果

美肌にとって、大きな障害となるのが皮膚細胞の老化です。細胞の老化とは、細胞の酸化と言い換えることもできます。

人の身体を守る免疫細胞の働きを支えているのが活性酸素ですが、一方で活性酸素は細胞を傷付けて酸化させ老化を加速することも分かっています。

そこで、老化を遅らせるために、抗酸化作用のある栄養素の摂取が必要になります。そして、抗酸化作用が期待されるのが、ビタミンEやポリフェノールです。

ですから、ビタミンEやポリフェノールといった抗酸化物質を多く含む食品のクルミには、アンチエイジング効果も期待できるのです。

動脈硬化の予防

クルミには、悪玉コレステロールを減少させ、善玉コレステロールを維持あるいは上昇させる効果があるとされています。

クルミは、オメガ3脂肪酸の一種であるαリノレン酸とオメガ6脂肪酸の一種であるリノール酸を多く含んでいることでも有名です。

オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は不飽和脂肪酸のことで、人の体内では合成できないため、常に食品などから摂取する必要のある必須脂肪酸でもあります。

そして、αリノレン酸などのオメガ3脂肪酸には、悪玉コレステロールを減少させ、善玉コレステロールを維持・増加させる効果があるとされています。また、リノール酸などのオメガ6脂肪酸には、悪玉コレステロールや中性脂肪を減少させる効果があるとされています。このような悪玉コレステロールの減少によって、動脈硬化予防につながると期待されています。

また、オメガ3脂肪酸には、血小板の凝集を抑制する効果があるとされます。そのため、血液をサラサラにして血流をスムーズにすることから、血管をしなやかに保ち動脈硬化の予防につながります。

ちなみに、クルミは、オリーブオイルの主成分とされるオレイン酸(オメガ9脂肪酸)も含有していて、このオレイン酸も悪玉コレステロールを減らす効果を持っています。

ダイエット効果

クルミには、ダイエットを補助・サポートする効果があるとされています。クルミのダイエット効果というと、クルミを食べていれば痩せると誤解されそうですが、ダイエットの基本は適切な運動と食事であることには留意が必要です。

たしかに、クルミは脂質を多く含んでおり高カロリーです。しかしながら、その脂質のほとんどが、オメガ3脂肪酸などの不飽和脂肪酸です。そして、オメガ3脂肪酸は、前述のように悪玉コレステロールの減少と血流促進を促す効果があるので、代謝が上昇して体内脂肪を燃焼させやすくするのです。

また、クルミはミネラルなどの栄養素を豊富に含有していますので、食事を適切に制限した場合に不足しがちなミネラルの補充に優れた効果を発揮します。

ですから、クルミはダイエットをサポートする効果を有すると言えるのです。

便秘改善効果

クルミは、食物繊維も豊富に含有しています。食物繊維は、大きく水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分類されますが、クルミに含まれる食物繊維のほとんどが不溶性食物繊維です。

この不溶性食物繊維は水に溶けず、水分を吸収して大きくなる性質があります。このため、腸で便容積を肥大化させることによって、大腸を刺激して蠕動運動を促進します。

また、大腸の中で不溶性食物繊維が発酵・分解されると、ビフィズス菌などの善玉菌が増えるとされています。その結果、腸内環境が良くなることにも繋がります。

このような二つ理由から、クルミの摂取は便秘の症状の改善、つまり便秘解消に効果があると言えるでしょう。

クルミ過剰摂取による悪影響

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このようにクルミには、体に良い効能が沢山ありますが、体に良いからといって食べ過ぎると逆に体に悪影響を及ぼしてしまいます。

そこで、クルミ過剰摂取による体への悪影響についても、ご紹介したいと思います。

クルミ過剰摂取による悪影響

前述のような効果効能があるクルミですが、クルミを過剰摂取すると、次のような悪影響が現れる可能性があります。

  • ニキビの発生
  • 老化の進行
  • 動脈硬化
  • 肥満
  • 便秘や下痢
  • アレルギーの悪化

ニキビの発生

クルミには、新陳代謝を良くすることで、美肌効果やニキビの予防効果があるとされています。

しかしながら、クルミを過剰摂取すると、逆にニキビを発生させる可能性があるとも言われています。というのも、クルミの約65%が脂質で高カロリーですから、摂取し過ぎると皮脂分泌を多くしてしまうからです。

老化の進行

クルミを過剰摂取すると、老化を早めてしまう可能性も指摘されています。

クルミに含まれているオメガ6脂肪酸のリノール酸は、酸化しやすい特徴を持っています。そして、脂肪酸が酸化してしまったものを脂肪酸酸化物と言い、特に活性酸素による脂質の酸化物を過酸化脂質と言います。過酸化脂質は体内で形成されると、体内に蓄積されやすくなります。蓄積された過酸化脂質は、活性酸素と同様に、徐々に細胞そのものを傷付けて酸化し老化を加速させていきます。

このようりリノール酸が過酸化脂質に変じることによって、皮膚や肌などのあらゆる細胞を老化させてしまう可能性があるのです。ですから、クルミの摂取は美肌効果やニキビの予防効果があるものの、クルミの適量を超えた過剰摂取は逆に肌の老化やニキビの発生を助長してしまう可能性があると言えます。

動脈硬化

動脈硬化の原因は、血液中に増えた悪玉コレステロールが活性酸素によって、変性悪玉コレステロール(過酸化脂質)になることにあります。

この変性悪玉コレステロールは異物とみなされて、免疫細胞のマクロファージに捕食されます。捕食したマクロファージは死滅して、その死骸が血管内壁に付着して隆起し、血管を狭くしていきます。この隆起は性質的に壊れやすく、壊れると血管が傷つきます。血管が傷つくと、血管を修復するために血液が固まり血栓が形成され、血管の弾力性も失われて動脈硬化に至ります。

このような動脈硬化の発症メカニズムに対して、善玉コレステロールが変性悪玉コレステロールを運び出して肝臓に運び、肝臓が分解します。

しかしながら、オメガ6脂肪酸のリノール酸は、悪玉コレステロールや中性脂肪を減少させる効果があるものの、過剰摂取すると善玉コレステロールをも減少させてしまうことが分かっています。

したがって、クルミの過剰摂取はリノール酸の過剰摂取につながり、動脈硬化のリスクを高める可能性があるのです。

肥満

前述しましたが、クルミの約65%が脂質ですから、クルミは非常に高カロリーな食品です。ですから、クルミ摂取量が過剰となれば、必然的にカロリーオーバーとなります。そうなると、肥満につながる恐れがありますので注意が必要です。

ちなみに、同じナッツ類のアーモンドも非常に高カロリーですので、ナッツ好きの方は注意しましょう。

便秘や下痢

クルミに便秘解消の効果があることは、前述した通りです。

しかしながら、その効果は適度な量の不溶性食物繊維を摂取するからであって、過剰な不溶性食物繊維を摂取すると逆効果になってしまいます。

というのも、不溶性食物繊維は水に溶けず、水分を吸収して大きくなる性質がありますから、大量に摂取すると便容積が大きくなりすぎて大腸に詰まってしまうからです。

したがって、クルミの過剰摂取は便秘を招く危険があると言えます。

また、クルミは脂質が多いですから、その油分が原因で、人によっては大量摂取すると下痢になる可能性もあるとされています。

アレルギーの悪化

オメガ6脂肪酸のリノール酸は、必須脂肪酸として摂取が必要とされています。

しかしながら、近年の研究によって、リノール酸の過剰な摂取は炎症やアレルギーを悪化・助長させてしまう危険性が指摘されています。

ですから、リノール酸を豊富に含むクルミを過剰摂取すると、花粉症やアトピーといったアレルギー症状の悪化を招く危険性があるのです。

クルミ摂取の目安は?

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このようにクルミは適正量を摂取することで栄養効果を得られますが、摂取量が過剰になると逆に悪影響が現れることがわかりました。それでは、クルミを食べるにあたって、摂取量の目安はどれくらいなのでしょうか?

リノール酸とαリノレン酸の摂取基準値

クルミ摂取量の目安を考える前に、そもそもオメガ3脂肪酸のαリノレン酸やオメガ6脂肪酸のリノール酸の摂取量目安は、どの程度なのでしょうか?

厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、次のように規定されています。

・オメガ3脂肪酸の摂取目安量

18才~29才の男性は1日2g、18才~29才の女性は1日1.6g

30才~49才の男性は1日2.1g、30才~49才の女性は1日1.6g

・オメガ6脂肪酸の摂取目安量

18才~29才の男性は1日11g、18才~29才の女性は1日8g

30才~49才の男性は1日10g、30才~49才の女性は1日8g

(引用元:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」)

クルミの摂取量の目安

クルミの100gあたりのリノール酸とαリノレン酸の含有量は、次の通りです。

・脂質:約65g

(・脂質のうちリノール酸:約38g)

(・脂質のうちαリノレン酸:約9g)

ということは、単純にリノール酸がオメガ6脂肪酸の摂取目安量の枠内に収まるように計算すると、1日あたり約25gがクルミの摂取量の目安ということになりますね。

ただし、リノール酸は現代の食生活では不足することがなく、むしろ過剰傾向にあると言われています。たとえば、ご飯をお茶碗2杯半で必要量を満たすことができるのに対して、間食でポテトチップスなどを食べると、その時点でリノール酸については1日の摂取目安量を上回ることになります。

したがって、クルミの摂取は、その人の食生活にも左右されますが、25gを超えない範囲で少量を毎日継続して食べると良いのではないでしょうか。

まとめ

いかがでしたか?クルミの栄養効果とクルミの過剰摂取による悪影響について、ご理解いただけたでしょうか?

たしかに、クルミは栄養価が高く、様々な栄養成分を含有していますから、沢山食べれば食べるほど良いと考えがちですよね。

しかしながら、近年の研究によって、リノール酸は必須脂肪酸であるものの、リノール酸の過剰摂取は様々な悪影響を及ぼすことが判明しています。そして、クルミはリノール酸を多く含有しているのです。

ですから、クルミの栄養価が高いからといって過剰に食べると、リノール酸の過剰摂取につながってしまいます。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という格言の通り、クルミの栄養効果が良いからといっても、クルミを食べ過ぎることは良くないということですね。

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