ペクチンの効果とは?成分や摂取の仕方を知ろう!注意点はなに?

ペクチンはジャムなどにとろみをつける食物繊維の1種です。リンゴや柑橘類など完熟した果物に豊富に含まれています。

このペクチンには、スゴイ効果があります。コレステロールを減らしたり、血糖値の上昇を抑えたり、便秘や下痢を解消したりの健康効果だけでなく、肥満やしわ、皮膚のたるみにも美容効果があるようです。

でも、ペクチンがたくさん含まれているジャムには、大量の砂糖が使われています。糖分の摂りすぎは、肥満や血糖値上昇など身体に良くありません。

ペクチンとは何か、その効能・効果、注意するべき点について、お伝えしますね。

ペクチンとは?

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ペクチンとは植物の細胞壁を構成する成分で、セルロースなどの成分と結びついて、植物細胞をつなぎ合わせる働きをする天然の多糖類です。あらゆる植物に含まれています。

[ペクチンの成分]

ペクチンの主成分は、ガラクツロン酸がa-1・4-結合したポリガラクツロン酸です。

ガラクツロン酸(ガラクチュロン酸)のカルボキシル基がメチルエステル化したものがペクチン、メチルエステル化していないものがペクチン酸です。ペクチンは、ガラクチュロン酸(ガラクツロン酸)とガラクチュロン酸メチルエステルが直鎖状につながった構造をしています。

エステル化の度合によって、ゲル化の条件や状態が異なります。ゲル化とは、ネバネバ、ヌルヌルした粘性が固まることです。ゼリー状になることです。

[ペクチンは、いつから使われているの?]

ペクチンとは、ギリシア語の「pectos 固い」に由来しています。ペクチンのゲル化作用から、1825年にフランス人Braconnotが名づけました。

19世紀から、欧米の工場で、乾燥したリンゴや柑橘類の皮からペクチンを抽出し、食品添加物の増粘安定剤やゲル化剤として利用するようになりました。

現在は水溶性食物繊維という性質を利用して、用途が増えています。栄養補助食品や胃腸薬など医薬品にも活用されています。

[ペクチンの性質と作用]

ペクチンは、リンゴやオレンジなどのフルーツ類、サトウダイコン、キャベツ、ヒマワリなどに含まれている食物繊維の1種です。

水溶性

ペクチンには、水溶性と不水溶性があります。不水溶性のペクチンは、未熟な果実に含まれていますが、熟するとともに水溶性に変わります。水溶性のペクチンは、完熟した果実に豊富に含まれています。

ペクチンは黄色味を帯びた白色をしています。

70℃以上のお湯に溶けますが、冷水には溶けません。

ゲル化性

酸と糖をいっしょにペクチンに加えて加熱すると、ゲル化します。常温でもゲル化します。

リンゴやオレンジのジャムを手作りする時、レモンと砂糖と一緒に果物を煮詰めると、果物がゼリー状になるのは、ペクチンの作用です。ペクチンが、果実に含まれる有機酸や糖分と反応してゲル化するのですが、果実に含まれる有機酸や糖分では足りないので、レモン(有機酸が多い)と砂糖を加えるのです。

消化・吸収を遅らせる

ペクチンは胃壁に付着して、食物の胃での消化を遅らせます。

ペクチンは、小腸で胆汁をとらえます。胆汁は、小腸で脂質が消化吸収されるのを助ける働きがあるので、脂質の吸収を抑えたり、遅らせたりするようになります。

ペクチンには、糖分や脂質の吸収を抑制する作用があるのです。

ペクチンの効果

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ペクチンには、動脈硬化や糖尿病など成人病の予防などの健康効果から、肥満の改善や美肌効果、アンチエイジング効果まで、素晴らしい効果がいろいろあります。

[コレステロールを減らす]

ペクチンは、コレステロールの吸収を抑制して、血中コレステロール値を下げます。

ペクチンは、胆汁酸や食物中のコレステロールなどの脂質が体内に吸収されるのを抑制します。高コレステロール症の人に、グレープフルーツペクチンを15g/1日摂取させたところ、6週間後には、血漿コレステロールが7.6%、悪玉コレステロール(LDL)濃度が10.8%低下したという実験結果が出ています。

動脈硬化・高血圧・心筋梗塞・脳血管疾患の予防

「動脈硬化」とは、コレステロールや中性脂肪が動脈の中に溜まり、動脈が狭くなったり、詰まったりして、硬くなり、弾力性を失った状態です。動脈硬化になると、血液が流れにくくなり、血管がもろくなります。

動脈硬化が進行すると、狭心症・心筋梗塞、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患を引き起こします。心筋梗塞と脳血管疾患は、日本人の死亡原因の主となるものです。

ペクチンは、コレステロール値を下げて、動脈硬化や高血圧を予防し、さらに心筋梗塞や脳梗塞・脳出血を予防します。

[糖尿病を予防する]

ペクチンには、糖の吸収を抑制する働きがあります。血糖値の上昇を抑え、インスリンの分泌が低下します。糖尿病を予防することができます。

インスリンは血糖値を調整するホルモンです。インスリンの分泌が不足すると、糖代謝が正常に行われず、糖尿病になります。血糖値の上昇が激しいと、インスリンの分泌が増えますが、やがて不足するようになり、常に血糖値が高い状態になってしまいます。身体中が砂糖漬けになったようなものです。

糖尿病は、様々な合併症を引き起こします。重篤化すれば失明することもあります。重篤な合併症により、死に至る可能性もあります。

[整腸作用がある]

ペクチンは、腸内の善玉菌、乳酸菌を増やし、腸内環境を整えてくれます。

ペクチンは、腸内の消化物やコレステロールを包み込んで、便の量を増やすとともに、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促します。便秘を解消するとともに、体内の有毒物質を排出します。

デトックス効果

ペクチンは食物繊維の1種ですから、体内に溜まってしまった重金属(アルミニウムなど)や余分なミネラル(鉄分やカリウムなど)を体外に排出する働きがあります。ダイオキシンなど有害物質を吸着して、体外に排出します。

身体を解毒・浄化(デトックス)するのです。

下痢も便秘も解消する

腸内環境が良くなるため、下痢も解消します。ペクチンにはゲル化作用があるので、水っぽい便を固めます。下痢にも便秘にも効くわけですね。

下痢をしている生後12ヶ月~5歳児にペクチンを与えると、下痢や嘔吐の期間が短くなるようです。

大腸癌を予防する

ペクチンは腸内環境を整え、毒素を体外に排出する働きがあるので、大腸癌を予防します。

放射性セシウムを排出する

ペクチンには、放射性セシウムを排出する働きがあるようですが、まだ研究中で明確な証明はできていません。

ただ、チェルノブイリ原発事故で内部被爆した子供達にペクチンを投与したところ、体内の放射性セシウム量が減少したという報告があります。

疲労回復・体力増強

ペクチンが腸内環境が整えるために、栄養の吸収が良くなり、疲れが取れ、体力がつきます。

[美容効果]

ペクチンは、美容にも大いに役立ちます。特にリンゴのペクチン、アップルペクチンは、リンゴの皮にポリフェノールが豊富に含まれているので、美容効果が大きいといいます。

美肌効果

ペクチンは腸内環境を整え、便秘を解消するので、肌をきれいにします。便秘は、吹き出物や肌荒れを引き起こします。

しわやたるみを防ぐ

ペクチンに含まれているケイ素は、コラーゲンを束ねる働きがあります。肌をみずみずしく整え、シミ・シワ・タルミを防ぎます。

コラーゲンには、肌をみずみずしくして、ハリやツヤを与え、肌トラブルを起こしにくくする働きがあります。コラーゲンは加齢とともに衰えますから、外から補わないと、シミ・シワ・タルミが生じます。

ダイエット効果

ペクチンは、脂質や糖分の吸収を抑制するので、ダイエット効果があります。

[市販のジャムは糖分が多い]

ペクチンは、リンゴ、ユズ・グレープフルーツなどの柑橘類、ブドウ、キャベツ、オクラ、ナス、カボチャなど、果物や野菜に含まれています。

ペクチンは果実の皮に豊富に含まれている

ペクチンは、果物の果肉ではなく、皮の部分に豊富に含まれています。ですから、生の果実からペクチンを摂取するならば、皮ごと食べる必要があります。

リンゴやブドウは、皮にポリフェノールが豊富に含まれていますし、皮ごと食べることができますから、ペクチン摂取にはオススメです。添加物の心配もありません。

昔から「リンゴ1日1個で、医者知らず」と言われます。でも、柑橘類は皮ごと食べられないので、ジャムにするのが一番簡単な摂取方法です。

市販のジャムには食品添加物が入っている

ペクチンがゲル化するには、糖分と酸が必要です。そのため、市販のジャムには、クエン酸・リンゴ酸・乳酸などの合成酸味料が含まれています。合成酸味料は、問題ありません。

また、果物のだけのペクチンでは足りないので、増粘安定剤の食品添加物である粉末ペクチンを使用します。粉末ペクチンは果実由来のものだけでなく、野菜などから抽出加工したものです。粉末ペクチンには、全く問題がありません。

市販のジャムには糖分が多い

問題は糖分です。ジャムは本来保存食ですから、細菌類が生存できないように、糖度80%以上にする必要があります。ですから、市販のジャムは、日持ちするように、果実の糖度と砂糖で糖度が80%以上になっています。保存用の加工食品として、砂糖の量が多くなるのが当然なのです。

ジャムを手作りする場合も、ゲル化するためには、糖度が50%程度は必要です。ペクチンには、糖尿病予防やダイエット効果などの働きがありますが、ジャムの糖分の多さは要注意ですね。

人工甘味料が含まれている

市販のジャムには砂糖や水飴だけでなく、人工甘味料が含まれています。もちろん、ジャムの製造会社は、人工甘味料の毒性などについて十分な研究を行い、安全性の高いものしか使用しないようにしています。

しかし、人工甘味料については、諸説あります。多量に摂取すると、人体に影響が出るものもあります。人工甘味料は、添加量が問題になることがあります。

人工甘味料にはいろいろな種類がありますが、それぞれの反復投与毒性や発癌性については、研究者の中でも意見が分かれているようです。

ペクチンを料理に使う

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ペクチンのゲル化作用はジャム作りだけに利用されるのではありません。ペクチンのゲル化特性は、いろいろな料理に役立ちます。

[凝固剤]

料理の凝固剤には、ペクチンの他に、ゼラチンや寒天があります。

ゼラチンと寒天のゲル化因子は、加熱と冷却ですが、ペクチンのゲル化因子は、酸・糖分・加熱溶解になります。

料理をゼリー状にしたい時、ゼラチンや寒天をよく使います。ゼラチンはコラーゲンですし、寒天は食物繊維ですから、美容効果・ダイエット効果があります。

ゼラチン

ゼラチンは牛や豚の骨や皮に含まれるコラーゲン(タンパク質の1種)です。魚にも含まれています。日本料理の「煮魚の煮凝り」は、魚のゼラチンのゲル化特性を利用したものです。

コラーゲンですから、美容効果があります。

ゼラチンは常温で水に溶け、冷やすと固まります。

板状ゼラチンと粉末ゼラチンがあります。粉末ゼラチンは扱いやすいのですが、溶かす時に、ダマができやすいので、水でよく湿らせてから使います。

ゼリーやババロアなどプルンプルンした食感のお菓子や、テリーヌなどを作る時に使用します。

寒天

テングサやオゴノリからとれます。凝固力が強いので、少しの量で多くの水分を固めることができます。棒寒天・糸寒天・粉末寒天があります。食物繊維が豊富で、ダイエット効果があります。

ゼラチンやペクチンよりも、弾力性がありません。ホロホロした食感が、日本のデザート、あんみつやところてんにぴったりです。

[ペクチンのゲル化作用を利用して]

ペクチンのゲル化性を利用して、ジャムやゼリー、その他の料理を作ります。

粉末ペクチンは、粉末ゼラチンと同様にダマができやすいので、グラニュー糖と混ぜ合わせ、少量の水で湿らせてから、加えるようにします。常温でもゲル化しますから、注意します。また、機械耐性があるので、かき混ぜても、再びゲル状(ゼリー状)に戻ります。

手作りジャム

ジャムを手作りすると、砂糖の量を加減できますし、添加物の心配も要りません。酸味料もレモンを使います。ただし、砂糖が少なすぎると、十分ゲル化しません。また、保存性が低下して、日持ちしません。

手作りジャムについては、料理関係のサイトで「おすすめレシピ」「レシピ一覧」を紹介しています。ジャム研では、ミカンを丸ごと使用するジャムの作り方などを紹介しています。

ゼリー

パイナップルやキウイ、イチジクなどにはタンパク質を分解する酵素が含まれているので、ゼラチンが固まりにくくなります。その時は、ペクチンを使用すると、やわらかい食感のゼリーができます。

フルーツのピューレをペクチンで固めた「パート・ド・フリュイ」や柿のババロア、フルーチェなどのレシピが、料理系サイトで紹介されています。

人工イクラ

「日本料理人の創作料理研究所CCL」では、ペクチンを使う料理をいろいろ紹介しています。最近では、フルーツ味の人口イクラ球をぺクチンを使用して作るレシピを紹介しています。

[日本料理人の創作料理研究所CCL]

「日本料理人の創作料理研究所CCL」では、正しい料理の知識と技術、無形文化財である伝統的な和食などについて、情報を発信しています。

「ガストロノミー料理」では、食材が調理する過程で変化する仕組みを、科学的に分析・解明します。創作料理CCLでも、料理人が素材の特性などを科学的に分析して、料理に生かすようにしています。ペクチンについても、食品添加物の「増粘多糖類・凝固剤・ゲル化剤」の記事の中で、くわしく取り上げています。

添加物の危険性や調理以外の知識、調理の迷信(昔から伝えられている調理の間違った知識)などを紹介するとともに、「懐石料理の正しい食べ方」など伝統的な日本の食事作法も伝えています。また、飲食経営に関する記事や本もあり、繁盛店のコツを教えています。レシピに関する注意点を書いた記事もあります。

「料理写真館」「食べ歩き写真館」などのサイトもあります。

まとめ ペクチンには健康効果と美容効果があります

ペクチンは食物繊維の1種で、どの植物にも含まれています。ガラクツロン酸を主成分とする多糖類です。特に、リンゴや柑橘類、柿、ブドウなどの完熟したフルーツに豊富に含まれています。完熟した果物の皮に含まれるペクチンは、水溶性です。

ペクチンにはゲル化性があります。ペクチンは酸と糖分に反応してゲル状(ゼリー状)になります。水溶性ペクチンは、食品添加物の増粘安定剤・ゲル化剤として利用されたり、栄養補助食品や胃腸薬など医薬品にも使われます。

ペクチンは、コレステロールや糖の吸収を抑制します。コレステロール値を低下させ、動脈硬化・高血圧を予防し、さらに心筋梗塞・脳梗塞・脳出血を予防することになります。血糖値の上昇を抑えて、糖尿病を予防します。

ペクチンには整腸作用があります。腸の善玉菌である乳酸菌を増やし、腸内環境を整え、腸の蠕動運動を促します。便秘や下痢を解消し、有害物質を吸着して体外に排出します。大腸癌の予防・デトックス効果があります。放射性セシウムを排出するという説もあります。腸内環境が整うので、栄養吸収が良くなり、疲労回復・体力増強の効果があります。

ペクチンは便秘を解消して美肌を作ります。ペクチンに含まれるケイ素はコラーゲンを束ねる働きがあるので、肌をみずみずしくして、シミ・シワ・タルミを予防します。糖や脂質の吸収を抑制するので、ペクチンはダイエットにも役立ちます。

ペクチンのゲル化作用を利用して、ジャムやゼリー、ババロアなど、いろいろな料理ができます。果実のペクチンは皮に含まれているので、果実は皮ごと食べないとペクチンを摂取できません。ジャムやゼリーなどにする方が食べやすいですね。

ただし、ペクチンのゲル化には糖分と酸が必要です。ジャムには多量の砂糖を使います。調理に使う時も、グラニュー糖と混ぜてから加えます。ペクチンでダイエット効果を上げたい時は、糖分のことを忘れないでくださいね。

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これらの記事を読んでおきましょう。

  
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