近年、テレビの健康情報番組などで豆乳が健康に良いと取り上げられる機会が多くなっています。また、大手のカフェチェーンでは、コーヒーに加えるミルクの代わりとして豆乳を常備しているところもありますよね。
たしかに、豆乳は牛乳に比べて摂取カロリーや脂肪分が少なく、ダイエット食材の代表格と言えます。しかしながら、豆乳がもたらす効果はダイエットサポートだけではなく、様々なものが存在します。そして、そのもたらされる効果は、特に女性に対してメリットがあるものが多いのです。
そこで今回は、豆乳の摂取によってもたらされる効果や効果的な摂取方法について、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
豆乳に関する基礎知識
豆乳が大豆から作られた飲み物で大豆製品であることは、ほとんどの人がご存知でしょう。と言っても、豆乳に含まれる具体的な栄養素・栄養成分や豆乳の種類について問われると、すぐには答えられない方も少なくないのではないでしょうか?
そこで、豆乳の摂取によってもたらされる効果や効果的な摂取方法をご紹介する前に、まずは豆乳に関する基礎知識をおさらいしておきたいと思います。
豆乳とは?
豆乳は、大豆を水に浸して柔らかくした後すり潰したものに、水を加えて加熱して煮詰めた液体状の汁を、搾り濾してできた飲み物のことです。
ちなみに、大豆を水に浸して柔らかくした後すり潰したものに、水を加えて加熱して煮詰めた液体状の汁に「にがり」を添加して固めたものが豆腐で、豆乳の搾りかすが「おから」です。
豆乳の見た目や味は、比較的に牛乳に似ていることから、牛乳の乳脂肪分などを気にする人などの間では牛乳の代替品のような形で飲まれることがあります。
豆乳の栄養成分
豆乳には、三大栄養素と呼ばれる炭水化物・脂質・たんぱく質がバランス良く含まれています。また、ミネラル類(カリウム・カルシウム・マグネシウムなど)、ビタミン類(ビタミンB群・ビタミンEなど)、食物繊維も豆乳には多く含まれています。
さらに、豆乳の栄養成分として有名なのが、大豆イソフラボン・大豆サポニン・レシチンといった栄養素と大豆由来のオリゴ糖(大豆オリゴ糖)で、これらの栄養素は特に豆乳がもたらす健康効果の源泉となっています。
ちなみに、大豆ペプチドは、大豆たんぱく質が酵素で分解されてできる一種のアミノ酸ですので、大豆イソフラボンとは異なる成分です。
豆乳の種類
市販されている豆乳には、主に豆乳(無調整豆乳)・調製豆乳・豆乳飲料の3種類が存在します。この3種類の区別については、意外と知られていませんので、簡単に解説しておきたいと思います。
豆乳(無調整豆乳)
無調整豆乳は、大豆と水だけを原料にして作られた豆乳のことで、飲みやすさのために味の調整や栄養成分の調整をしていないもののことです。
農林水産物やその加工品の品質保証規格であるJAS規格(日本農林規格)では、無調整豆乳は原料が大豆と水のみで、大豆固形分8%以上かつ大豆タンパク質3.8%以上であるものと定められています。
ちなみに、JAS規格上は単に豆乳と定義されていますが、調製豆乳や豆乳飲料との区別から無調整豆乳と呼ばれています。
調製豆乳
調製豆乳は、大豆と水から作られた豆乳に、砂糖・塩(ナトリウム)・乳化剤・香料などを添加することで、飲みやすさのための味の調整と栄養成分の調整を行ったもののことです。
農林水産物やその加工品の品質保証規格であるJAS規格(日本農林規格)では、大豆固形分6%以上かつ大豆タンパク質3.0%以上であって、食味や栄養成分の調整のために植物油脂・砂糖・塩などの調味料を加えたものと定められています。
ちなみに、調製豆乳において「製」の漢字が使われているのは、JAS規格によって定義されているためです。
豆乳飲料
豆乳飲料は、調製豆乳をより飲みやすくするために、ココア味やバナナ味などの味付けをしたもののことです。
農林水産物やその加工品の品質保証規格であるJAS規格(日本農林規格)では、風味・味付けによって微妙に異なるものの、基本的に大豆固形分4%以上かつ大豆タンパク質1.8%以上であって、食味や栄養成分の調整のために植物油脂・砂糖・塩などの調味料や風味原料を加えたものと定められています。
豆乳の摂取によってもたらされる効果
それでは、豆乳を飲むことで、どのような効果がもたらされるのでしょうか?
前述したような豆乳に関する基礎知識を踏まえて、豆乳の摂取によってもたらされる効果について、ご紹介したいと思います。
便秘解消効果
そもそも豆乳の原料となる大豆は、豊富な食物繊維を含むことで有名な食品です。食物繊維には、水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維がありますが、豆乳は搾る過程で不溶性食物繊維がおからとして取り除かれてしまいます。
とはいえ、水溶性食物繊維は豆乳にも残っていますので、この水溶性食物繊維が腸内でゲル状になることにより、腸の便からの水分吸収を阻害して便に適度な水分を保持させるのでスムーズな便通が期待できます。
また、豆乳に含まれる大豆オリゴ糖は、腸内の乳酸菌をはじめとした善玉菌のエサとなって、善玉菌の増殖を助けて腸内環境を改善する働きをします。
したがって、豆乳を摂取することにより、便秘の解消効果がもたらされるのです。
ダイエットのサポート効果
大豆食品に含まれるサポニン(大豆サポニン)は、様々な作用を持っています。その作用の一つが、小腸における食事によって摂取された脂質の吸収を抑制する作用です。つまり、サポニンは体内への脂肪吸収を抑制して、身体に体脂肪が蓄積することを防ぐのです。
また、前述の便秘解消・腸内環境の改善は、大腸の動きを活性化させますので、血液やリンパ液の流れも回復します。そのため、代謝の向上が見られたり、身体の中の余計な水分が回収されてむくみが解消されたりという効果も期待できます。
さらに、豆乳に含まれる水溶性食物繊維は、胃腸で水分を含むことで膨張することで胃腸での滞留時間が長くなり、満腹感をもたらします。そのため、食べる量や食欲が抑えられます。
ですから、豆乳を摂取することによって、ダイエットをサポートする効果が期待できるのです。
ちなみに、豆乳の原料となる大豆は不溶性食物繊維や大豆たんぱく質も豊富なので、より便通を良くする腸内環境の改善や筋肉の形成が期待でき、大豆ダイエットというダイエット方法が生まれるくらい、ダイエットに向いた食品と言えるでしょう。
女性ホルモンの補充効果
大豆イソフラボンは植物性のポリフェノールの一種なのですが、その構造が女性ホルモンのうちのエストロゲン(卵胞ホルモン)に似ています。そのため、イソフラボンが摂取されて身体の中のエストロゲン受容体に結合することで、エストロゲンに似た作用を示すとされています。
バストアップ効果
女性ホルモンのエストロゲンは、女性らしさを形作る働きをするホルモンです。そして、女性らしさの象徴と言えるものの一つが、乳房・バストです。つまり、乳房・バストを形作るには、エストロゲンが必要不可欠なのです。
ですから、個人差はあるものの、豆乳を通じて大豆イソフラボンを摂取することでイソフラボンがエストロゲンの分泌の不足を補い、乳房の張りを維持する効果やバストアップの効果が期待できるのです。
美容効果
乳房・バストに並んで女性らしさ象徴と言えるものの一つに、肌の美しさ・きめ細かさが挙げられます。エストロゲンには、コラーゲンの産生を促す働きがあり、その結果として美肌をもたらします。
また、大豆サポニンには抗酸化作用もあり、肌の老化を抑制する効果が期待できます。さらに、ビタミンB類は肌の新陳代謝には欠かせない栄養素です。
ですから、個人差はあるものの、豆乳を通じて大豆イソフラボンを摂取することによって美肌・美容効果がもたらされる可能性があるのです。
生理痛の緩和効果
大人の女性には生理周期が存在し、その生理周期は大きく二つの時期に分類されます。すなわち、卵胞期(生理直後から排卵日まで)と黄体期(排卵日から生理直前まで)です。
この二つの時期では、女性ホルモンのホルモンバランスが大きく変化します。卵胞期にはエストロゲン(卵胞ホルモン)が多く、黄体期にはエストロゲンが減りプロゲステロン(黄体ホルモン)が多くなります。
そして、生理痛の直接の原因となるのは、生理の際に分泌されるプロスタグランジンという物質が子宮を収縮させることなのですが、エストロゲンが少なくなっていることも生理痛を酷くさせる一因となっています。というのも、エストロゲンには血行促進や自律神経の安定といった作用があり、エストロゲンが減ることでそれらの作用が低下するからです。
ですから、豆乳を通じて大豆イソフラボンを摂取することでイソフラボンがエストロゲンの分泌の不足を補い、生理痛を緩和する効果が期待できるのです。
更年期症状の緩和効果
更年期症状・更年期障害は、主に中高年の女性が閉経して生理が無くなるとエストロゲンの分泌も止まることにより、ホルモンバランスが乱れることで生じる心身の不調のことです。更年期症状では、動悸・身体のほてり・倦怠感・腰痛など様々な症状が現われます。
ですから、豆乳を通じて大豆イソフラボンを摂取することでイソフラボンがエストロゲンの分泌の不足を補い、更年期症状を緩和する効果が期待できるのです。
生活習慣病の予防効果
大豆サポニンは、前述した脂肪吸収抑制作用や抗酸化作用だけでなく、血液中の余剰な脂質(コレステロール・中性脂肪)を減少させる働きもあります。
また、豆乳に含まれたレシチンも血液中の悪玉コレステロールを減少させる作用を有していて、血流を促進する働きもあります。
このように豆乳を摂取することにより、大豆サポニンやレシチンが血液中の脂質を減少させることで肥満や高血圧の予防につながるほか、動脈硬化の予防にもつながります。そして動脈硬化の予防は、動脈硬化を原因とする脳梗塞や心筋梗塞などの病気の予防にもつながるのです。
したがって、豆乳の摂取によって生活習慣病の予防効果がもたらされると言っても良く、健康面においても非常に良い影響がもたらされるのです。
脳の活性効果
レシチンには、前述のように血液中の脂質を減少させる働きがありますが、もう一つの作用として脳細胞を活性化させることが挙げられます。
レシチンは、アセチルコリンと呼ばれる神経伝達物質を体内で合成する上で必要不可欠な栄養素です。体内で合成されたアセチルコリンは、脳の神経細胞間の情報伝達で大きな役割を担っており、アルツハイマー病や認知症の患者でアセチルコリンが不足している傾向があるという研究報告もなされています。
ですから、豆乳を飲むことでレシチンを摂取することは、アセチルコリンの体内合成をサポートして、結果として脳を活性化し認知症などの予防につながるのです。
豆乳の効果的な摂取方法
それでは、ここまで述べてきたような豆乳摂取によってもたらされる効果を享受するには、どのように豆乳を摂取すれば良いのでしょうか?
そこで、豆乳の効果的な摂取方法について、ご紹介したいと思います。
基本は毎日継続すること
豆乳の摂取によってもたらされる効果は、前述したように多岐にわたっていますが、豆乳はあくまでも一つの飲料・食品・食材にすぎません。薬剤であれば、一錠を服用することで劇的な効果が現れることもありますが、食品ではそのような劇的な効果が現れることは、まずあり得ません。
ですから、豆乳摂取によってもたらされる効果を享受するには、基本的に毎日継続して豆乳を摂取することが肝要となります。
イソフラボンの過剰摂取には注意
だからといって、毎日たくさんの豆乳を飲めば良いというものでもありません。というのも、過ぎたるは猶及ばざるが如しという諺(ことわざ)があるように、イソフラボンの過剰摂取が弊害をもたらす可能性があるからです。
過剰摂取が問題となるのは、イソフラボン量が強化されたサプリメントを摂取する場合などが該当します。イソフラボンのサプリメントを摂取する場合は、サプリの取扱説明書を良く読みましょう。また、きな粉や揚げ大豆は、イソフラボンの含有量が非常に高くなっていますので、継続して多く摂取することは控えたほうが良いかもしれません。
ですから、通常の食事にプラスして豆乳を適量飲む程度ならば、イソフラボンの過剰摂取にはあたりません。ただし、豆乳を大量摂取する場合は、一応注意が必要になるでしょう。
イソフラボンの過剰摂取の弊害
イソフラボン量が強化されたサプリメントを摂取するなどして、イソフラボン摂取量が過剰となる場合、女性においてはホルモンバランスが乱れて生理周期に影響が出る可能性があるとされています。
また、男性においては体内の女性ホルモンが増えて男性ホルモンの働きが相対的に低下することで、筋力の低下などの可能性があるとされています。
ちなみに、インターネット上では様々な深刻な弊害について触れられていますが、あくまでも研究調査で弊害の可能性・危険性があるかもしれないと報告されたにすぎず、科学的・医学的に確固たる定説となっているわけではありません。
豆乳の摂取目安量
イソフラボンの摂取量目安は、1日70~75㎎とされています。日本人の大豆製品(醤油・味噌・納豆など)摂取量から推定されるイソフラボンの摂取量は平均して1日16~22㎎程度とされます。
そして、豆乳100mlあたりのイソフラボン含有量が24㎎程度です。ですから、豆乳の摂取量目安は1日あたり100~200ml程度であると言えます。
ただし、調製豆乳や豆乳飲料には砂糖などの糖質が加えられていることがありますので、ダイエット中の方は糖質の量についても気を配りましょう。
豆乳の摂取タイミング
豆乳の摂取タイミングについては、それほど神経質になる必要はありませんが、前述した大豆サポニンの食事によって摂取された脂質の吸収を抑制する作用を有効に活かすためにも、食事の前に摂取することが良いのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたか?豆乳の摂取によってもたらされる効果や効果的な摂取方法について、ご理解いただけたでしょうか?
たしかに、豆乳は牛乳に比べて摂取カロリーや脂肪分が少なくて健康的なイメージがあり、ダイエット食材の代表格と言えるでしょう。しかしながら、豆乳がもたらす効果はダイエットサポートだけではなく、便秘解消効果・女性ホルモンの補充効果・生活習慣病の予防効果・脳の活性効果など様々な効果が存在するのです。そして、そのもたらされる効果の多くは、特に女性に対して有効性を発揮します。
近年は豆乳メーカーの努力によって、ただの無調整豆乳だけでなく、様々なフレーバーの豆乳飲料も販売されており、非常に飲みやすくなっています。是非、飲み比べをしてみて、好みの豆乳を見つけてみてください。
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