キトサンの効果とは?どんなものに含まれている?キチンとの違いも知ろう!

キトサンという物質をご存知でしょうか?ダイエットに関心のある方は、ご存知かもしれませんね。

キトサンは、コレステロール値を減少させたり、脂質吸収を抑制したりする効果があるとされていて、健康食品やサプリメントに利用されている物質です。

しかしながら、キトサンの研究が進むに連れて、それ以外の効果も判明してきています。そこで、今回はキトサンの効果や効能を中心に、キトサンの概要をまとめてみましたので、参考にしていただければ幸いです。

キトサンとキチン

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そもそもキトサンとは、どのような物質なのでしょうか?

キトサンとは?

キトサンは、キチンと呼ばれる多糖類の一種を化学処理することで得られる物質のことで、キトサンも多糖類の一種とされます。

現在、化学製品の原料、医療分野での再生医療素材、化粧品、食品添加物、健康食品などとして様々な分野で利用されています。

キチンとは?

キチンは、多糖類の一種で、カニやエビといった甲殻類の殻や、キノコなどの菌類の細胞壁の主成分とされています。

キチンは、このように自然界に存在する天然素材です。そして、人間が利用するために、工業的にはカニやエビの殻を化学処理することで、タンパク質やカルシウムを取り除いて精製されています。

栄養学においては、キチンは食物繊維の一種類として扱われます。キチンはカニやエビから精製されるために、由来が動物性であるとして動物性食物繊維と分類されることもあります。

多糖類

多糖類は、単糖分子が多数の結合をすることで、単糖と異なる性質をもつようになった物質のことです。糖ないし糖質は、一般的に炭水化物と同じ意味として捉えられています。

ただし、栄養学上では、人間の消化酵素で消化できない多糖類を食物繊維として定義することで、炭水化物・糖質とは区別しています。

ちなみに、単糖分子が2個結合して1分子になったものが二糖、単糖分子が3個結合して1分子になったものが三糖、そして単糖分子が2~20個程度結合したものがオリゴ糖と呼ばれます。多糖は、オリゴ糖以上の単糖分子が結合したものです。

多糖類の主な種類

多糖類は、その物質によって性質は異なります。水に溶けない不溶性を持つ多糖類としてはセルロースやキチン、加熱すると水に溶けてゲル状になる多糖類としてはデンプン、グリコーゲン、アガロース、ペクチンなどがあります。

キトサンについて

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では、キトサンはどのようにして作られるのでしょうか?

キトサンの精製

キチンは自然界に存在する天然素材ですが、キトサンはキチンを化学処理することで得られる物質のため、キトサンという状態で自然界に存在するわけではありません。

キトサンは、キチンを強アルカリ溶液(塩酸や水酸化ナトリウム溶液など)で長時間加熱処理することで抽出・精製されます。この化学処理のことを、脱アセチル化と言います。

ただし、このような化学処理をしても、キチンが全てキトサンに変換されるわけではありません。つまり、精製後のキトサンには、多かれ少なかれキチンが残っていて、通常の場合は概ね30%程度はキチンが残存しているとされています。これは、化学処理の方法の違い、加熱時間の違いなどによるとされています。

キトサンの品質

このようにキトサンには、いくらかのキチンが残存しています。ですから、市販のキトサン・サプリメントなどで、「キチン・キトサン」と表記されている場合があるのは、化学処理後にもキチンが残存してるからなのです。

そして、キトサンの品質は脱アセチル化の割合(%DA)によって示されるので、70%DAと表示があれば、キトサンの中にキチンが30%残っていることを意味しています。当然のことながら、脱アセチル化の割合が高いほど精製の手間がかかっているわけですから、その金額も比例して高くなる傾向にあります。

キチンとキトサンの違い

このように、キトサンとキチンは脱アセチル化の割合のどこまでがキチンで、どこからがキトサンと明確に区別することは難しいのです。また、キチンとキトサンは、いずれも水に溶けない性質を有していて、栄養学上では両方とも動物性食物繊維として扱われます。

しかし、キチンとキトサンは、いずれも多糖類ですが、性質が大きく異なる点があります。それは、キチンが分子間の結合が強く安定しているため、強アルカリ溶液以外の溶剤には溶けないのに対して、キトサンは酸性水溶液には溶ける性質があります。

したがって、一般に酸性水溶液に溶けるものがキトサン、それに対して溶けないものがキチンと呼ばれているようです。

特定保健用食品(トクホ)に認定されたキトサン

このようなキトサンは、様々な働きや効能があることが判明しており、たくさんの分野で利用されています。

そして、健康食品の中には、キトサンを関与成分とする特定保健用食品(トクホ)の許可を消費者庁(以前は、厚生労働省)から受けた商品も出てきています。

キトサンの働きや効能

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では、キトサンには、どのような働きや効能があるのでしょうか?

キトサンの働き・効能

キトサンは様々な働きや効能を有していますが、代表的な働き・効能には次のようなものが挙げられます。

  • コレステロールの減少
  • ダイエットをサポートする効果
  • 便秘改善・整腸作用
  • 有害物質の排出
  • 血圧の上昇抑制
  • 免疫機能を高める
  • ガン転移抑制の可能性

コレステロールの減少

キトサンは食中や食後に摂取すると、血中のコレステロール値を下げる働きがあるとされています。キトサンを関与成分とする特定保健用食品(トクホ)は、コレステロールの体内への吸収をしにくくするものとして消費者庁(厚生労働省)から許可が下りています。

コレステロールと胆汁酸

そもそもコレステロールは肝臓で合成されるか、食事によって摂取します。コレステロールは悪者扱いされていますが、1日に1000㎎~1500㎎程度は人が生きていく為に最低限必要とされます。人は肝臓で500㎎~1000㎎を合成しますから、残りの不足分を食事で補っていることになります。

そしてコレステロールを原料にして、消化液の一つである胆汁酸が同じく肝臓で合成されて、胆嚢の蓄えられます。この胆汁酸は、脂肪酸・脂溶性ビタミンなどの食事で摂取した脂肪成分と結合して、腸での脂質吸収を助けます。

コレステロール値低下のメカニズム

このように腸で脂質と一緒に吸収された胆汁酸は、再び肝臓で胆汁酸として再利用されます。

しかしながら、キトサンを食中や食後に摂取すると、キトサンが胆汁酸を吸着してしまい、そのまま便として体の外に排出します。すると、胆汁酸の再利用ができなくなりますので、肝臓はコレステロールを利用して胆汁酸の補充をしなくてはなりません。

このようにコレステロールの利用が促進されると、血液中のコレステロールも肝臓で胆汁酸に代謝されるようになります。その結果として、血中のコレステロール値が低下するのです。

コレステロール値低下の注意点

たしかに、コレステロールは動脈硬化などの原因とされ、悪者扱いをされています。

しかしながら、コレステロールは神経線維を保護したり、精巣や卵巣で性ホルモンの原料になります。また、前述したように胆汁酸の原料としても必要ですから、コレステロールが体内で不足しても問題が生じるのです。

ですから、コレステロールを悪者扱いしてキトサンを過剰摂取するなどして、過度に血中コレステロール値を低下させることのないように注意してくださいね。

ダイエットをサポートする効果

キトサンは、ダイエットを補助・サポートする効果、肥満の予防効果があるとされています。

キトサンのサプリを服用すれば痩せると誤解されそうですが、ダイエットの基本は適切な運動と食事であることに留意しておくが必要があります。

脂質吸収の過程

肥満は、糖質や脂質によって得られる摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが悪くなることによって進行していく生活習慣病です。

そして、摂取エネルギーのうち脂質が吸収される過程は、前述した胆汁酸によって乳化された脂肪に、膵臓が分泌する膵臓リパーゼという消化液(消化酵素)が働くことで腸が脂質を吸収します。

しかしながら、キトサンが胆汁酸を吸着してしまうと脂肪の乳化が阻害され、膵臓リパーゼも乳化していない脂肪には作用しません。その結果、食事で摂取された脂肪は消化吸収されずに、そのまま排泄されてしまうのです。

ダイエット補助効果・肥満予防効果

このようにしてキトサンを摂取すると、キトサンの働きによって、脂肪吸収が阻害されます。そして、脂肪は一般に高カロリーですが、吸収されなければ摂取エネルギーになりませんので、結果的に摂取エネルギー量が抑制されます。

以上のような仕組みで、エネルギー摂取量と消費量のバランスが改善され、肥満の予防やダイエットのサポートに繋がるのです。

あくまでも、キトサンは摂取エネルギーを抑制することで太りにくくする補助をするにすぎず、キトサン含有のダイエット食品やサプリメントを服用したからといって痩せるわけではないことに注意が必要です。

便秘改善・整腸作用

キトサンは動物性食物繊維であり、水に溶けない不溶性食物繊維でもあります。この不溶性食物繊維は、水分を吸収して大きくなる性質があります。このため、腸で便容積を大きくすることによって、大腸を刺激して蠕動運動を促します。

また、大腸で不溶性食物繊維が発酵・分解されると、ビフィズス菌などの善玉菌が増殖します。その結果として、腸内環境が良くなります。したがって、キトサンは便秘の症状の改善につながると言えるのです。

ただし、不溶性食物繊維を過剰摂取すると、便容積が大きくなりすぎて、逆に便秘になる可能性もありますので、注意が必要です。

有害物質の排出

キトサンは動物性食物繊維です。食物繊維全般に言えることですが、食物繊維にはダイオキシンなどの有害物質が体内にある場合、それを吸着して体外に排出する機能があります。

ですから、キトサンを摂取すると、体内の有害物質の排出を促進する効果があります。

一方で、食物繊維でも水に溶ける水溶性食物繊維の特徴の一つに、血糖値の上昇を抑制する働きがあり、糖尿病の改善や治療を助けるとされています。しかし、キトサンは不溶性食物繊維であるため、血糖値上昇抑制の働きはあまり期待できません。

血圧の上昇抑制

キトサンを摂取すると、血圧の上昇を抑制する効果があるとされています。これは、キトサンが塩素を吸着して、体外に排出することが理由と考えられています。

塩分と血圧上昇の関係

そもそも塩分・食塩(塩化ナトリウム)を摂りすぎると、血液中の塩分濃度が高まるため、体は塩分濃度を下げようと血液中の水分を多くします。

そうすると、血管の中の血液量が増えて、多くの血液を送り出すには血圧を上げる必要が出てきます。このような仕組みで、血圧が上昇してしまいます。

血圧上昇抑制のメカニズム

塩分と同時にキトサンを摂取すると、その後の血圧上昇が抑制されることが判明しています。これは、塩素とナトリウムの化合物である食塩のうち、キトサンが塩素を吸着して体外に排出することが理由とされています。

従来の考え方では、ナトリウムの方に血圧上昇の原因があるとされていました。しかし、愛媛大学などの研究によって、塩分とキトサンを同時に摂取すると血圧に変化が無く、体内のナトリウム量にも変化が無いことが分かったのです。

日本人は、醤油や味噌など塩分の摂りすぎる傾向がありますから、キトサンが余分な塩分を排出してくれると嬉しいですね。

免疫機能を高める

キトサンは、体内に異物である抗原が入ってきた際の免疫応答性、つまり免疫力を高めるとされています。

免疫応答システム

体内に細菌などの異物が侵入すると、白血球(免疫細胞)の一種であるマクロファージが異物を貪食して分解・処理します。

そして、マクロファージは抗体を体内に作るために、異物の情報を提示する抗原提示を行います。この抗原提示を受けて、同じく白血球の一種であるリンパ球のB細胞が抗体を作り出します。また、リンパ球のヘルパーT細胞は、B細胞の抗体作成を助けます。さらに、リンパ球のNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、細菌やウイルスなどに感染した細胞を認識して破壊・処理します。

そして、同じ異物が再度体内に入ってきた場合は、この抗体が抗原(異物)と結合して病原体としての働きを失わせるのです。

キトサンが免疫応答性を高める

このような一連の免疫応答システムが、キトサンによって高められることが分かっています。明確な仕組みが解明されているわけではありませんが、キトサンがマクロファージを活性化したり、その他の経路に働いていると考えられています。また、腸内環境の改善が免疫システムを活性化するという研究報告もあります。

ですから、キトサンによって免疫機能が高まり、病気の自然治癒力がアップするとされているのです。

ガン転移抑制の可能性

最近の研究によって、キトサンはガンの転移を抑制する働きを持っているという可能性が示唆されています。

北海道大学の研究では、キチンを化学処理したガン細胞転移防止の薬剤候補の物質をマウスに投与する動物実験が行われ、投与したマウスにおけるガン細胞の転移が抑制されたと研究報告しています。また、マウスには特段の副作用も現れていないとされています。

ですから、このような研究が進展することで、ガン転移を抑制する薬が将来的に登場するかもしれません。

そして注意すべきは、キトサンがガン抑制・縮小に効果があるとする民間療法が見受けられますが、キトサンのガン抑制・縮小の効果は実証されていません。上記の研究も、あくまでガン細胞の「転移」を抑制する研究ですから、ご注意ください。

キトサン摂取の注意点

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このように様々な効果が見込めるキトサンですが、摂取するに際して注意すべきことはあるのでしょうか?

キトサンの摂取方法

キトサンは、通常の食事や食物で摂取できる栄養素ではありません。ですから、キトサンの摂取は、キトサン含有のサプリメントや健康食品を服用することになります。

そして、キトサンの過剰摂取はコレステロール値の問題、不溶性食物繊維の取り過ぎによる便秘などの問題が生じますので、各サプリメントの規定量を遵守して服用することが重要です。

キトサンの服用タイミングは、食中あるいは食後すぐというのが一般的です。

好転反応

キトサンを摂取すると、場合によっては好転反応が現れることがあります。好転反応とは、体が悪い状態から良い状態に変化していく途中で、悪い状態に慣れていた体が一時的に拒否反応を起こすことです。たとえば、便秘や下痢、吹き出物、目の充血、発熱、吐き気、倦怠感などといった症状が現れます。

好転反応は副作用ではありませんので、心配する必要はありませんが、症状が現れた場合は一時的に服用を停止するなどの対処が必要です。

キトサンの副作用

キトサンの副作用については報告されていませんから、キトサン服用の安全性に心配はいらないでしょう。

ただし、甲殻類アレルギーをお持ちの方は、念のため注意が必要かもしれません。アレルギーの原因は、基本的にタンパク質とされています。キトサンは、原料となるキチンの精製過程でタンパク質を除去しますから、基本的にアレルゲン(アレルギーの原因)を含みません。とはいえ、絶対にアレルギー反応が無いとは言い切れませんので、注意をしましょう。

まとめ

いかがでしたか?キトサンの概要について、ご理解いただけたでしょうか?

キトサンの効果は、コレステロール値を減少させたり、脂質吸収を抑制するだけではありません。研究の進展によって、キトサンの新たな効果が発見・判明してきています。

今後の更なる研究の広がりに期待をしたいと思います。

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